戯れ言たれる侏儒
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< 頸動脈狭窄のスクリーニング検査の適応 | メイン | PATROL試験アゲイン >

5,000人が参集し,腎臓病領域の最新知見について意見を交わした世界腎臓学会議(WCN 2011)がカナダで開かれました。(主催;国際腎臓学会、ISN)

この学会でのLate-Breaking Studiesの記事で勉強しました。 
 
CKDの新たな治療法探る試験相次ぐ
慢性腎臓病(CKD)が世界的に増えている背景には,人口の高齢化や,糖尿病・高血圧といった生活習慣病の増加がある。
CKDは進行すると透析や腎移植が必要な末期腎不全(ESRD)に至るが,透析となった場合,患者の生命予後は不良だ。
また,CKDは心血管疾患の強力な危険因子であることも明らかとなっている。
したがって,CKDは早期に発見し,適切な治療を行い,腎障害を進展させないことが極めて重要となる。
<私的コメント>
CKDの概念が提唱された時もそうでしたが、未だに私はこのCKDがよく理解できません。
「心血管疾患の『強力な危』険因子 」といわれてもピンと来ないのです。
「蛋白尿」も「動脈硬化(糸球体硬化)」の結果かも知れません。
すなわち、腎の糸球体高血圧が続いた結果、腎臓の細動脈の動脈硬化(糸球体硬化)が生じます。
更に、この糸球体硬化が蛋白尿を生じると考えると、たとえ「蛋白尿が尿細管への負荷となる」といわれても原因と結果が逆ではないかと思ってしまうのです。
蛋白尿が動脈硬化の原因ならばネフローゼ患者では、とりわけ動脈硬化が進行しているはずです。
しました

 

その1
PREDIAN試験
pentoxifyllineがeGFR低下を抑制
糖尿病腎症はESRDに至る最大の原因だ。
レニン・アンジオテンシン系(RAS)抑制薬による恩恵はあるものの,ESRDに進展する患者は依然相当数に上る。新たな治療法を探るべく,pentoxifyllineを用いて行われたランダム化比較試験(RCT)では,2年後の推算糸球体濾過量 (eGFR)低下が有意に抑制されたことが判明した。カンデラリア聖母病院(スペイン・サンタクルス・デ・テネリフェ)腎臓研究室のJuan F. Navarro-González氏が報告した。

RAS抑制下での上乗せ効果確認
Pentoxifyllineには,腫瘍壊死因子(TNF)αをはじめとした各種炎症性サイトカインの活性を修飾する作用がある。これまでに行われた複数の少数例での検討では,同薬に抗蛋白尿効果があることが示されている。
 
PEDIAN(Pentoxifylline for REnoprotection in DIAbetic Nephropathy)と名付けられた今回の試験は,カルロスⅢ世保健研究所(スペイン科学・技術革新省)から資金提供を受け,研究者主導で実施されたもの。
2型糖尿病患者462 例がスクリーニングされ,うちCKDの病期(ステージ)が3~4の患者169例がランダムに対照群(87例)と実薬 (pentoxifylline;1,200mg/日)群(82例)に割り付けられた。
同薬は最初の1カ月は1日1回600mgの徐放剤を夕食時に服用させ,その後は1日2回服用させた。
なお,同試験の組み入れ基準の1つが,6カ月間以上,ACE阻害薬またはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)を推 奨最大量服用していることである。
 
対象の平均年齢は69歳,糖尿病罹病期間15年。
CKDステージ3が69%,ステージ4が31%で,eGFRは37mL/分/1.73m2,尿中アルブミン1.39g/日,血圧142/86mmHgだった。
両群間で患者背景や腎機能,炎症プロファイルに差は見られなかった。

同試験は今年2月に終了したばかりであり,Navarro-González氏は「部分的で完全なものではない」と断った上で,結果について説明した。
 
ベースライン時と比べて2年後の尿中アルブミン排泄量は,対照群では6.5%有意に増加していたのに対し,実薬群では15.1%有意に低下しており,両群間の差も有意であった。
 
1次評価項目に設定された「2年後のeGFR低下度」を見ると,対照群の0.32mL/分/1.73m2/月に対し,実薬群では0.11mL/分/1.73m2/月と小さく,両群間の差は有意であった。

eGFRの低下度が0.20mL/分/1.73m2/月を超える者を「進行例」と定義すると,対照群の73.5%に比べて,実薬群では24.3%と有意に少なかった。
また,全体を進行群と非進行群に分けて比較したところ,進行群で尿中アルブミンや尿中TNFαが有意に多いことも分かった。

消化不良や胃痛,吐き気/嘔吐,下痢は実薬群では対照群の2~3倍多かったが,いずれも最初の1カ月に起きた一過性のものであり,重篤な副作用は認められなかった。
実薬を中止したのは1例のみであった。
 
以上のように,RAS抑制薬を使用している2型糖尿病合併CDK患者へのpentoxifylline投与により,上乗せの抗蛋白尿効果が認められるとともに,eGFR低下も有意に抑えられることが明らかとなった。
 
最後に,同氏は「半量での開始,徐放という剤形,そして食事とともに服用する方法を取ったことで,同薬は良好な忍容性が得られた」と付言した。
 


その2
~厳格な降圧療法のメタ解析~

蛋白尿ある患者でESRDリスク低減

最近のガイドラインでは,CKD患者に対しては腎機能保護のため,より低い血圧目標値を勧告している。
シドニー大学ジョージ国際保健研究所(オース トラリア・シドニー)のVlado Perkovic氏は,メタ解析の結果から,蛋白尿を呈するCKD患者では厳格な降圧療法によりESRDのリスクが低減されるが,蛋白尿のないCKD患者ではこうした効果は見られなかったことを明らかにした。
 
心血管イベントや死亡は減らず
Perkovic氏らはまず,Medline,Embase,コクランライブラリーをシステマチックに検索し,1950~2010年4月に掲載された RCTを抽出。
そのうち,CKD患者に対して異なる血圧目標値を設定していて,転帰として腎不全や心血管イベント,総死亡について報告している9試験を今 回のメタ解析の対象とした。
 
9試験のCKD患者は総計6,713例。1,244件の腎イベント(血清クレアチニンの倍化/GFRの半減,またはESRD)と234件の心血管イベント,644件の死亡が確認された。
 
通常降圧群と厳格降圧群との血圧の差は9.5/5.2mmHgであったが,厳格な降圧によるESRDリスク低減効果は有意とはならなかった〔ハザード比(HR)0.82,95%信頼区間(CI)0.67~1.01,P=0.061〕。
 
ベースライン時の蛋白尿の有無で分けてサブグループ解析を行ったところ,蛋白尿(0.3g/日以上またはそれ相当値)を呈した患者群では厳格な降圧によ りESRDリスクが29%有意に低下することが判明(HR 0.71,95%CI 0.59~0.85,P<0.001)。
一方,蛋白尿のなかった患者群ではリスク低減効果は得られなかった(HR 1.12,95%CI  0.66~1.90,P=0.679)。
 
心血管イベント〔相対リスク(RR)1.09,95%CI 0.84~1.42,P=0.535〕および死亡(RR 0.94,95%CI 0.84~1.05,P=0.242)に関しては,厳格な降圧による効果は認められなかった。
 
同氏は,今回の解析の限界として,対象としたRCT間に不均一性が見られたことや蛋白尿のない患者群で一致しない結果だったことなどを挙げた上で,「蛋 白尿を呈するCKD患者に対して厳格な降圧療法はESRDリスクを低減させる」と結論。
「降圧はESRDという“重荷(burden)”を減らすための重 要な戦略だが,さらなるデータが必要だ」と締めくくった。
 
 
その3
~LDL-C低下療法~
腎疾患進展は抑制できず

CKD患者9,000例余りを対象にLDLコレステロール(LDL-C)低下療法の効果を検討した大規模臨床試験SHARP
Study of Heart and Renal Protection)。
動脈硬化性イベントが17%有意に抑制されたとの結果は既に昨秋の米国腎臓学会(ASN)で発表されているが,事前に設定された腎エンドポイントに関しては効果がなかったことが判明。
オックスフォード大学(英オックスフォード)臨床試験サービス・疫学研究室のDavid Lewis氏が報告した。

効果得られるサブグループない

Lewis氏によると,CKDではない患者を対象としたRCTのメタ解析では,LDL-C低下療法により腎疾患進展が多少抑えられることが示されたが,進行したCKD患者において同療法により臨床的に意味のある効果が得られるかどうかは不明だった。

 
そこで,SHARPでは腎の評価項目として,「ESRD(=透析導入または腎移植)」,「ESRDまたは死亡」,「ESRDまたは血清クレアチニンの倍化」の3つが事前に設定された。
 
同試験の参加者9,270例のうち,開始時に透析導入されていなかった6,247例が今回の解析対象とされた。
CKDステージは3が36%,4が 43%,5が20%。
尿中ACR(mg/g)は30未満(正常アルブミン尿)が20%,30以上300未満(微量アルブミン尿)が38%,300以上(蛋 白尿)が42%という患者集団だった。
 
中央値4.9年の追跡で「ESRD」に至ったのは,LDL-C低下療法群33.9%,プラセボ群34.6%で,両群間に有意差はなかった(RR 0.97,95%CI 0.89~1.05)。
ちなみに,ESRDとなった患者の約4分の1は透析導入される前に腎移植を受けていた。
 
死亡もLDL-C低下療法群20.4%,プラセボ群20.3%と全く差がなく,2つ目の腎評価項目である「ESRDまたは死亡」もそれぞれ47.4%,48.3%と有意差は認められなかった(PR 0.97,95%CI 0.90~1.04)。
 
血清クレアチニンが倍化した割合は,LDL-C低下療法群が11.9%と,プラセボ群の13.3%に比べて低い傾向にとどまり,「ESRDまたは血清ク レアチニンの倍化」もそれぞれ38.2%,40.2%で有意とはならなかった(RR 0.93,95%CI 0.86~1.01)。
 
eGFRや尿中ACRのレベルで分けてサブ解析を行っても,LDL-C低下療法によりERSD進展抑制効果が得られたサブグループはなかった。
 
eGFRの変化率に関しても解析を試みたが,LDL-C低下療法群とプラセボ群で有意差は認められなかった。

出典 Medical Tribune  2011.6.16
版権 メディカル・トリビューン社

<eGFRに関する私的コメント>
日本腎臓病学会編「CKDガイド」の「推算GFR値」早見表を患者さんに見せながら説明していて、アッと気付いたことがあります。
それは男女で差はあるものの(女性は男性のeGFR値に0.739という係数を掛ける) 、Cr以外では年齢だけが変数であるということです。
要するに体重に対する配慮がないのです。
最近、体格の良い高齢の女性でCrが高めに出るケースをしばしば経験しました。
周知のように、クレアチニンの量は筋肉量や運動量と関係しているといわれます。そのため、一般に女性より男性のほうが高値に出るというわけですが、男性より体格のよい女性もいくらでもいます。
このことが気になって、あるMRさんに学術に訊いてもらいました。
次回の改訂ではシスタチンCが用いられるようになるのではないか、ということ。
 
 
<シスタチンC 関連サイト>
腎機能評価にシスタチンC
筋量に影響されるクレアチニン(Cr)に比べ、糸球体濾過量(GFR)を正確に反映する。現在、シスタチンCを基にしたGFR推算式の作成も進行中。
分子量が小さく全て腎糸球体で濾過されるため、血中濃度はGFRに依存し、腎機能の低下に伴って血清シスタチンCの濃度は上昇する。
基準範囲はおよそ0.5~1.0mg/Lで、その産生は生涯を通してあまり変動せず、年齢や性別の影響を受けにくい。
シスタチンCはCrに比べて腎機能低下の影響を早期から受けるという特徴を持つ。
2006年から国内でも、3カ月に1回の検査が保険適用となり、腎臓内科を中心に利用が広がっている(点数は130点)。
CKDの進行をより正確に予測する新しい検査法
eGFRに代わる腎機能の簡便な指標
シスタチンC

 

 

その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(循環器専門医向き)
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖 
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/  
があります
 
 

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