戯れ言たれる侏儒
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< 心房中隔欠損症 その2(2/2) | メイン | 低コレステロールと高死亡率その2(2/2... >

昨年来の国内のコレステロール論争については今までにも取り上げました。
 
きょうは北里研究所病院糖尿病センター・山田悟先生が書かれた「自治医大コホート研究」についての最新記事で勉強しました。
 
 
脂質栄養学会に追い風? 調整後も低コレステロールと高死亡率が関連
不毛な議論はやめて実りある介入試験を
研究の背景:昨年のコレステロール議論は鎮静化
昨年(2010年)9月,日本脂質栄養学会(以下,脂質栄養学会)が「長寿のためのコレステロールガイドライン」を発行したことで,コレステロールについての議論が盛り上がった。

しかし,このガイドラインはコレステロール異常値に対しての臨床的指針を示したものというよりは,単に日本動脈硬化学会(以下,動脈硬化学会)の 「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」に対する異論を世間が注目したくなるような形で発表したものという色彩が強かった。
これに対する動脈硬化学会の反論は以下のようなものであった。
(1)ガイドラインでありながらエビデンスレベルが明示されていない。
(2)十分に交絡因子を調整していない観察研究から因果 関係を導きだしている。
(3)介入試験と観察研究であるコホート研究を混同し,介入試験なしに結論を出している。

 

昨年来の議論は鎮静化しているように思われるが,このたび自治医大コホート研究から,比較的しっかりと調整をしてもなお,低コレステロール値が高死亡率と関連していたという興味深い結果が発表された。
 
J Eoidemiol 2011;21:67-74
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=J%20Epidemiol%202011%2C%2021%2C%2067-74
 
Low cholesterol is associated with mortality from stroke, heart disease, and cancer: the Jichi Medical School Cohort Study.
Nago N et al.
 
ABSTRACT
BACKGROUND:

We investigated the relationship between low cholesterol and mortality and examined whether that relationship differs with respect to cause of death.
CONCLUSIONS:
Low cholesterol was related to high mortality even after excluding deaths due to liver disease from the analysis.
High cholesterol was not a risk factor for mortality.
 
 
 
研究のポイント1:日本の12地域1万2,334人の健常者を対象としたコホート研究
自治医大コホート研究は1992年度に開始された,北は岩手県から南は福岡県までの全国12地域での住民健診のデータを集積しているコホート研究である。
この研究は,生活様式,血清脂質などと心血管疾患発症との関連を見ることを目的に開始されたもので,1992年4月~1995年7月に基礎データ が集積され,計1万2,490人が登録された。

 
平均11.9年の経過観察(14万5,312人・年)が行われ,死亡については死亡診断書から死因を判定することとした。
住民健診のデータであるので(論文の抄録のMethodsの項にはhealthy adultsを対象としたと記載されてはいるが),何らかの疾病を抱えている人を除外してはいない。

 
登録時40~69歳であった1万2,334人〔男性4,839人,BMI 23.1,収縮期血圧(SBP)130mmHg程度,拡張期血圧(DBP)78mmHg程度〕を対象にして,基礎データの総コレステロール(TC)値に従って,第1群:160mg/dL未満群,第2群:160~200mg/dL未満群,第3群:200~240mg/dL未満群,第4群:240mg/dL 以上群―の4群に分割し,その後の死亡率や死因を検討したのが今回の報告である。
 
また,NIPPON DATA80において肝疾患が交絡因子となってTC低値群での見かけ上の死亡率を上昇させていたことから,死因から肝疾患を除外した場合についての検討も行われた。

 
研究のポイント2:さまざまな調整をしても低コレステロール群の死亡率が高い
経過観察期間中のデータの欠損を除外して1万1,869人のデータが解析された。
経過観察期間中に635人の男性と423人の女性が死亡し,うち34人の男性と15人の女性が肝疾患(肝臓がん,肝硬変,その他)を死因としていた。
 
基礎データのTC値に従って,群別の比較をすると(第2群を基準として),男性では基準群での死亡率のハザード比が最低であったものの,女性では第3群,第4群(TC高値の群)の方が第2群より低く,第1群(TC低値の群)の死亡率が最も高いという結果であった(表1)。
これは,肝疾患を死因とする死亡を除外しても同様であり(表2),がんや心血管疾患の既往者を除外しても同様であった(表3)。
 
表1. 全体での死亡率のハザード比(年齢,SBP,HDL-C,喫煙,飲酒,BMIで補正)
 
 
表2. 肝疾患以外での死亡率のハザード比(年齢,SBP,HDL-C,喫煙,飲酒,BMIで補正)
 
 
表3. がん,心血管疾患既往者を除外した対象の肝疾患以外での死亡率のハザード比(年齢,SBP,HDL-C,喫煙,飲酒,BMIで補正) 
の出典はいずれも J Epidemimol 2011;21:67-74)

 

第1群の死因として,第2群よりもハザード比が有意に高かったのは,男性ではがん,女性では脳出血,心不全であった。                                                  (続)
 
 
<関連サイト>
日脂質栄養学会コレステロールガイドライン その1
http://blog.m3.com/reed/20101015

日脂質栄養学会コレステロールガイドライン その2
http://blog.m3.com/reed/20101016/_2

高コレステロールで長生き 脂質栄養学会が新ガイドライン
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/37020118.html

日本脂質栄養学会の再反論
http://blog.m3.com/reed/20101114/1

日本脂質栄養学会の回答を分析する その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20110116

日本脂質栄養学会の回答を分析する その2(2/2)
http://blog.m3.com/reed/20110117/_2_2_2_

 
 
 
出典 Medical Tribune  2011.5.30
版権 メディカル・トリビューン社
 
 
 
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(循環器専門医向き)
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
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井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
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井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
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