戯れ言たれる侏儒
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< 抗血栓療法の実際とエビデンス その4(4... | メイン | ACSのCAGには橈骨動脈アクセス >

第44回日本痛風・核酸代謝学会で、医療法人祐生会みどりヶ丘病院(大阪府)リウマチ科(痛風外来担当)の清水徹先生が発表した内容を紹介した記事で勉強しました。
要旨は「臨床的に検討した結果,高尿酸血症が持続すると単独でも腎障害を進行させる」というものです。
 

高尿酸血症が最も影響大
対象は最近約7年間に同院を受診した初診時の原発性痛風男性(痛風群)573例と2008年1年間の京都工場保険会人間ドックの男性受診者のうち,血清尿酸値(SUA)が2.0~7.0mg/dLで高尿酸血症治療薬や利尿薬を服用していない尿酸正常男性(尿酸正常群)5,893 例。
まず両群の「年齢-推算糸球体濾過量(eGFR)」の散布図と回帰直線を見ると,痛風群の年齢-eGFRの単回帰直線の傾きは尿酸正常群よりも大きかった。
両群をそれぞれ10年ごとの年齢階層に分けてeGFRの95%信頼区間を比較したところ,痛風群のeGFRは20歳代を除く年齢層で有意に低値を示した。
以上から,痛風男性の腎機能は尿酸正常男性より低く推移することが確認された。
 
次に,両群から腎障害に影響を与える可能性のある関連疾患を1つでも有する症例を除いた痛風男性192例と関連疾患を有さない尿酸正常男性3,566例 の腎機能を比較。

合併症のない痛風群の年齢-eGFRは,合併症のない尿酸正常群よりも有意に低値を示した。
両群の腎機能を共分散分析で比較した結果,年齢調整後でも痛風群の血清クレアチニン値は有意に高く,eGFRは有意に低かった。

以上から,高尿酸血症単独でも腎機能が障害されることが示された。
 
両群を合計した6,466例を対象に,慢性腎臓病(CKD)をリスクとする多変量ロジスティック回帰分析の結果,高尿酸血症のORは3.98で,蛋白尿,肥満,高血圧のORよりも高値であった。
また,年齢-eGFRの回帰直線の傾きに及ぼす高尿酸血症と関連疾患の影響を見たところ,高血圧,蛋白尿,肥満などに比べ高尿酸血症が最も影響が大きいことが分かった。
 
以上から,清水氏は「高尿酸血症が持続した状態(痛風)は,緩徐ではあるが確実に腎を障害しており,高血圧,高血糖,蛋白尿,肥満などの関連疾患の中で最も大きく影響している」と結論付けた。


出典  NM online 2010.6.11.24
版権 日経BP社


<私的コメント>
この記事を深読みしていなのでので軽々にはいえませんが、 eGFRに尿酸値が相関しているということはないのでしょうか。
文中の「両群をそれぞれ10年ごとの年齢階層に分けてeGFRの95%信頼区間を比較したところ,痛風群のeGFRは20歳代を除く年齢層で有意に低値を示した。以上から,痛風男性の腎機能は尿酸正常男性より低く推移することが確認された。」はどのように解釈すればよいのでしょうか。
「痛風男性の腎機能は尿酸正常男性より低く推移する 」という結論がどうして導き出されるのか、今ひとつ理解出来ません。
文章を読む限り、長期間経過を追跡した研究ではなさそうだからです。
もしそういった研究なら、
「eGFRが高い、つまり腎機能が悪い結果として尿酸値が高い」という推論つまり「ニワトリとタマゴ」論になってしまいます。
間違ってこの論文を解釈していたらすいません。

 

<追加>
しくもNikkei Medical 2011.5 P34-35に「悩ましい無症候高尿酸血症−積極的に治療すべきか経過観察か」という記事が出ていました。
高尿酸血症が尿酸結晶の沈着を介さずに高血圧や腎障害の発症・進展と密接に関係することや、高尿酸血症が慢性糸球体腎炎の腎機能予後不良因子であることが明らかになってきた。
■心血管イベントの発症についても、尿酸高値が独立した危険因子となるとの報告がある。
ただしこれについては否定する報告もある。
■高尿酸血症により血管の内皮細胞が障害される。
腎臓の輸入細動脈が障害されると、結果として糸球体障害や高血圧を生じ、腎機能が悪化、尿酸も上がるといった悪循環が生じると考えられる。
■アロプリノールによる高尿酸血症治療が慢性腎臓病患者の血清クレアチニン値の上昇を抑制したというRCTもある。
■高尿酸血症と心・腎疾患との関連を調べた臨床研究は大半が観察研究であり、ヒトを対象に積極的に尿酸降下薬を検討した介入試験はほとんどない。
■介入試験が行われない限りは、尿酸と心・腎疾患との関連がどれほど得られても、両者の因果関係は立証できない。
■2010.1に改訂された「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」では、血清尿酸値が高ければ、将来、高尿血圧などの生活習慣病になりやすいとの考え方に基づき、血清尿酸値を「生活習慣病のマーカー」として新たに位置付けた。

(実際は、生活習慣病の「危険因子」というより「予測因子」という位置付け)
■尿酸は、ビタミンCを上回る強い抗酸化作用を持ち、酸化ストレスから組織を守る有益な作用もある。
例えば、神経系の保護に尿酸が寄与している可能性があり、多発性硬化症やパーキンソン病、アルツハイマー病などでは一般に尿酸値が低いことが知られている。
また、尿酸による発癌抑制作用も報告されている。


<私的コメント>

CKDの講演後、演者の某大学の先生に懇親会でCKD特にCRD(腎不全)の患者さんの高尿酸血症は治療されるかどうかを尋ねたことがあります。
返ってきた答えは「原則的に放置します。10mg/dlを超えても介入しません。腎臓病専門医の多くはアロプリノールによる重篤な合併症としての皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)」を経験しているからです。
後日、病院勤務の腎臓病専門医にもお聞きしましたが全く同じ回答でした。
同じ大学医局出身の方なので全国的ないし世界的にどうかは知りません。
個人的には痛風腎による腎機能の更なる悪化は避けたいし、このぐらいしか腎機能悪化をはっきりした形で阻止する方法がないような気もします。
実際のところどうなんでしょうか。

 

 

<追加>
奇しくもNikkei Medical 2011.5 P34-35に「悩ましい無症候高尿酸血症−積極的に治療すべきか経過観察か」という記事が出ていました。

高尿酸血症が尿酸結晶の沈着を介さずに高血圧や腎障害の発症・進展と密接に関係することや、高尿酸血症が慢性糸球体腎炎の腎機能予後不良因子であることが明らかになってきた。
■心血管イベントの発症についても、尿酸高値が独立した危険因子となるとの報告がある。
ただしこれについては否定する報告もある。
■高尿酸血症により血管の内皮細胞が障害される。
腎臓の輸入細動脈が障害されると、結果として糸球体障害や高血圧を生じ、腎機能が悪化、尿酸も上がるといった悪循環が生じると考えられる。
■アロプリノールによる高尿酸血症治療が慢性腎臓病患者の血清クレアチニン値の上昇を抑制したというRCTもある。
■高尿酸血症と心・腎疾患との関連を調べた臨床研究は大半が観察研究であり、ヒトを対象に積極的に尿酸降下薬を検討した介入試験はほとんどない。
■介入試験が行われない限りは、尿酸と心・腎疾患との関連がどれほど得られても、両者の因果関係は立証できない。
■2010.1に改訂された「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」では、血清尿酸値が高ければ、将来、高尿血圧などの生活習慣病になりやすいとの考え方に基づき、血清尿酸値を「生活習慣病のマーカー」として新たに位置付けた。

(実際は、生活習慣病の「危険因子」というより「予測因子」という位置付け)
■尿酸は、ビタミンCを上回る強い抗酸化作用を持ち、酸化ストレスから組織を守る有益な作用もある。
例えば、神経系の保護に尿酸が寄与している可能性があり、多発性硬化症やパーキンソン病、アルツハイマー病などでは一般に尿酸値が低いことが知られている。
また、尿酸による発癌抑制作用も報告されている。


<私的コメント>

CKDの講演後、演者の某大学の先生に懇親会でCKD特にCRD(腎不全)の患者さんの高尿酸血症は治療されるかどうかを尋ねたことがあります。
返ってきた答えは「原則的に放置します。10mg/dlを超えても介入しません。腎臓病専門医の多くはアロプリノールによる重篤な合併症としての皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)」を経験しているからです。
後日、病院勤務の腎臓病専門医にもお聞きしましたが全く同じ回答でした。
同じ大学医局出身の方なので全国的ないし世界的にどうかは知りません。
個人的には痛風腎による腎機能の更なる悪化は避けたいし、このぐらいしか腎機能悪化をはっきりした形で阻止する方法がないような気もします。
実際のところどうなんでしょうか。
 

<2011.5.13追加>
本日、日本医師会雑誌の最新号が届きました。
先生方もご覧になられたかと思いますが、高尿酸血症の特集です。

 

 

 

その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(循環器専門医向き)
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖 
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/  
があります
 

 

 

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