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安定狭心症患者へのPCI前と退院時の至適薬物治療実施率、COURAGE試験発表後も微増にとどまるCOURAGE試験では、安定狭心症患者に対する、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)実施前の至適薬物治療(OMT)の妥当性を示したが、同試験発表前後のPCI前・退院時のOMT実施率を比べた結果、微増にとどまっていたことが明らかになった。米国・コーネル大学Weill Cornell医学校のWilliam B. Borden氏らが、47万人弱の安定冠動脈疾患患者を対象に行った観察研究の結果明らかにしたもので、JAMA誌2011年5月11日号で発表した。 被験者全体のPCI前OMT実施率は44.2%、退院時実施率は65.0%同研究グループは、2005年9月から2009年6月にかけて、PCIを実施した安定冠動脈疾患患者、46万7,211人について観察研究を行った。主要評価項目は、COURAGE(Clinical Outcomes Utilizing Revascularization and Aggressive Drug Evaluation)試験発表前後の、PCI前と退院時のOMT実施率だった。なおCOURAGE試験は、安定冠動脈疾患患者を対象に、OMTのみと、OMTとPCIの併用について、その臨床アウトカムを比較した無作為化試験。同試験の結果から、生存率や 心筋梗塞発症率に両群で有意差が認められず、すなわちPCI前の積極的なOMTの妥当性が示されていた。今回のBorden氏らによる試験の結果、被験者全体でPCI前のOMT実施率は44.2%(95%信頼区間:44.1~44.4)、退院時のOMT実施率は65.0%(同:64.9~65.2)だった(p<0.001)。PCI前OMT実施率は1.2ポイント増、退院時実施率は2.5ポイント増COURAGE 試験の前後で比較してみると、同試験発表前の被験者17万3,416人のうち、PCI前にOMTを実施していたのは7万5,381人(43.5%、 同:43.2~43.7)だったのに対し、同試験発表後の被験者29万3,795人中では13万1,188人(44.7%、同:44.5~44.8)であ り、1.2ポイント増だった(p<0.001)。またPCI後の退院時OMT実施率も、COURAGE試験前63.5%(同:63.3~63.7)に対し、同試験後は66.0%(同:65.8~66.1)で、2.5ポイント増(p<0.001)と変化は微増だった。 (當麻あづさ:医療ジャーナリスト) 出典 Care Net.com 2011.5.24版権 Care Net <原文>Borden WB et al. Patterns and intensity of medical therapy in patients undergoing percutaneous coronary intervention. JAMA. 2011 May 11;305(18):1882-9. <自遊時間> 先生方にも以下のメールが届いているかと思います。 JCS Newsletter 号外-----------------------------------------------------今回のJCS NEWS LETTERはテキストメールにてお送りいたします。 【日循】アジア太平洋心臓病学会(APSC)退会のお知らせ-JCS Newsletter 号外- 日本循環器学会会員各位日本循環器学会は、このたび諸般の事情を熟考し、これまで会員であった、アジア太平洋心臓病学会(APSC)(本部NPOは京都市内設置)を正式に退会いたしました。これまで日本循環器学会は毎年学会員数(約24,000名)に見合うAPSC年会費を定期的にかつ自動的に納入しておりましたが、今後はこの納入と、循環器学会がサポートしていたAPSC事務局を閉鎖することに決定いたしました。日本循環器学会理事長 松崎 益徳http://www.j-circ.or.jp/international/apsc.htm <参考> シンガポール訪問記http://www.kamakuraheart.org/world/no16_singapore01/singapore.html アジア太平洋心臓病学会http://www.weblio.jp/content/%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E5%A4%AA%E5%B9%B3%E6%B4%8B%E5%BF%83%E8%87%93%E7%97%85%E5%AD%A6%E4%BC%9A アジア太平洋心臓病学会(APSC) 新理事長就任のお知らせ http://worldheartday.blogspot.com/2011/05/apsc.html ■「松森昭先生 (Dr. Akira Matsumori)」次期理事長が、5月8日付で新理事長に就任いたしました。
(私的コメント;新理事長になったばかりだったようですが。)
<私的コメント>日本循環器学会も脱亜入欧? 諸般の事情についての説明がされていません。 私は昔、3回APCCで発表しました。(バンコック、台北、オークランド) おかげで海外旅行が出来、いい思い出が出来ました。 APCCとASPのの関係を調べたのですが、ASPC学術集会がAPCC(最近は2年ごとに開催)とのことです。退会に至った経緯はどういったものか知れませんが、日本が脱会すれば自然消滅の危機と思われます。ちょっぴり残念です。 その他「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/(循環器専門医向き)ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy(一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~http://wellfrog4.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15http://wellfrog3.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~http://wellfrog2.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/ があります
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ACC2011で発表された「EPA製剤の左室拡張能改善作用」の記事で勉強しました。 精製EPA製剤はEPA/AA比が低い高血圧患者の左室拡張能を改善する日常臨床で左室拡張能が低下した患者に遭遇する機会が増えている。左室拡張能障害は加齢、高血圧、インスリン抵抗性を伴う症例で多く、糖尿病と合併する頻度が高いが、治療に関するデータは不足していた。ただし、最近の基礎研究で、エイコサペンタエン酸(EPA)がTGFβ1およびリン酸化JNK経路の抑制を介して、エンドセリン1誘発性の心肥大を抑制することが報告されて、新たな治療法につながると期待されている。 大阪赤十字病院循環器科部副部長の伊藤晴康氏らは、高血圧患者を対象に、精製EPA製剤が左室拡張能を改善するかどうかをドップラー心エコー所見 から非侵襲的に検討し、その結果を米国ニューオーリンズで4月2~5日に開催された第60回米国心臓学会(ACC2011)で報告した。
対象は、拡張能障害を伴う高血圧患者41例(平均年齢68歳)。ドップラー心エコーで、拡張早期僧帽弁輪運動速度(e’)<8cm/秒かつ左室駆出率が50%より高い場合に左室拡張能障害と定義した。
本研究では、登録時の血清EPA/アラキドン酸(AA)比の中央値(0.42)を境界として高EPA/AA比群と低EPA/AA比群の2群に割り付けた。 全例に精製EPA製剤1.8g/日を6カ月間投与し、登録時および6カ月後のe’、EPA/AA比、脳性ナトリウム利尿性ペプチド(BNP)の変化を評価した。
高EPA/AA比群(21例)と低EPA/AA比群(20例)の背景を比較すると、年齢、性別、BMI、収縮期血圧/拡張期血圧、心拍数に群間差はなく、喫煙者は両群ともにいなかった。また、登録時におけるARB、ACE阻害薬、Ca拮抗薬、β遮断薬、利尿薬、スタチンの服用状況にも群間差はなく、フィブラート服用例は両群ともにいなかった。
登録時と精製EPA製剤6カ月間投与後の各指標を評価した結果、両群ともに血糖コントロールに大きな変動はなく、LDLコレステロール値、HDLコレステロール値についても治療前後で有意な変動は認められなかった。中性脂肪値は低EPA/AA比群でのみ登録時と比較して有意に低下していた(p=0.03)。
EPA/AA比については、精製EPA製剤の投与によって、高EPA/AA比群では0.57±0.12から1.24±0.30に、低EPA/AA比群では0.28±0.08から1.12±0.42に、それぞれ有意に増加した(p<0.0001)。
拡張能を評価した結果、e’は高EPA/AA比群では有意な変動は認められなかったが、低EPA/AA比群では5.6±1.1cm/秒から 6.1±1.0cm/秒に有意に増加していた(p<0.05)。血漿BNP値は、高EPA/AA比群では有意な変動は認められなかったが、低EPA/AA 比群では40.9±39.7pg/mLから32.6±33.7pg/mLに有意に低下していた(p<0.05)。収縮期/拡張期血圧には両群で有意な変動は認められなかった。
伊藤氏は、「EPA/AA比が高い患者は、血中のEPA量が多いことから精製EPA製剤によってEPAを追加しても効果が少ないかもしれない。しかし、EPA/AA比が低くなってしまっている患者においては、精製EPA製剤投与によってEPA濃度を高めることで拡張能改善が期待できる可能性がある」と指摘した。 出典 NM online 2011.5.27
版権 日経BP社
<私的コメント>
今回は、高EPA/AA比群では精製EPA製剤による拡張能改善は期待出来ないという結果でした。結局、精製EPA製剤投与による拡張能改善を目的とした場合には、 投与前にEPA/AA比を測定して投与の要否を検討した方がよい、ということが結論とも考えられます。今回のようにEPA/AA比を2群に分類して、中性脂肪の低下率しいてはHDLの上昇率を検討した報告はあるのでしょうか。本来、スタチンのように精製EPA製剤の治療開始基準や治療目標のガイドラインがあれば、決して薬価の安い薬剤ではないだけにいいのかも知れません。製薬メーカーとしてはガイドラインを作ってもらっては困るかも知れませんが。 さて、今回の研究では最初から高EPA/AA比群と低EPA/AA比群の2群に割り付けられています。 症例数を揃えるにはやむを得ないことです。
しかし、「年齢、性別、BMI、収縮期血圧/拡張期血圧、心拍数に群間差はなく、喫煙者は両群ともにいなかった。ARB、ACE阻害薬、Ca拮抗薬、β遮断薬、利尿薬、スタチンの服用状況に群間差はなく、フィブラート服用例は両群ともにいなかった。」と「ないないづくし」 がちょっと気になります。
その他「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/(循環器専門医向き)ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy(一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~http://wellfrog4.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15http://wellfrog3.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~http://wellfrog2.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/ があります
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メタボリック症候群でない若年成人においも高尿酸血症は高血圧の危険因子若い年齢層(18~30歳)において、高尿酸血症がメタボリック症候群とは独立して高血圧の予測因子となることが分かった。前向き観察研究であるCARDIAコホート研究で明らかになったもので、米スタンフォード大学医科大学院のE.Krishnan氏氏らが、5月28日までロンドンで開催されている欧州リウマチ学会(EULAR2011)で報告した。Krishnan氏らはすでに、中年層(35-57歳)においては、メタボリック症候群とは独立して高尿酸血症が高血圧の危険因子であることを報告している。今回は、もっと若い年齢層(18-30歳)においても、高尿酸血症がメタボリック症候群とは独立して高血圧の予測因子となるかどうかを検証した。
方法としては、前向き観察研究であるCARDIA(Coronary Artery Risk Development in Young Adults)コホートのデータを分析した。このコホートは、登録時に18~30歳であった5115人の被験者を2年から5年間隔で診察し、15年間 (1986-2001)追跡したものである。
コホート登録時に、高血圧(米高血圧合同委員会第7次報告に基づく)であった被験者、あるいは他のメタボリック症候群(米高脂血症治療ガイドラインATPIIIに基づく)の被験者は除外した。年齢、性別、人種、血清クレアチニン値および腹囲などの交絡因子となる可能性のあるものの影響については、補正して多変量コックス回帰分析を行った。
最終的な分析対象は4918人で、45%が男性、51%がアフリカ系アメリカ人だった。登録時の年齢、体格指数、血清尿酸値、および収縮期/拡張期血圧の平均(標準偏差)は、それぞれ順に、25(4)歳、24(5)kg/m2、5(1)mg/dL、および110/68(10/9)mmHgであった。
注目した高血圧の発症は、血清尿酸値の四分位が上がるごとに増加していた。多変量回帰分析の結果、血清尿酸値の下から2番目、3番目、最高の四分位の調整 ハザード比(95%信頼区間)は、最低の四分位を1とすると、順に1.20(0.85-1.70)、1.50(1.05-2.10)、 1.76(1.19-2.59)となった。
これらの結果から演者らは、「高尿酸血症は若年層の成人の間でも、高血圧の独立した予測因子であり、メタボリック症候群と無関係である」と結論した。 出典 NM online 2011.5.28版権 日経BP社 <私的コメント> 高尿酸血症が年齢にかかわらず高血圧発症の独立した危険因子であるということはともかくとして、高血圧の人は尿酸値が高いということはいえるのでしょうか。また、高尿酸血症と若年成人の高血圧発症の関連についての考察はされていませんが、高尿酸血症のコントロールをすれば高血圧発症が防止できるのでしょうか。防止できないような気がするのは私だけでしょうか。 <自遊時間>近未来の医学部受験もこのようになるのでしょうか。医学部新設推進派の方々はどのようにお考えでしょうか。 新設に慎重な立場の全国医学部長病院長会議会長の黒岩教授も7月に医学部長を辞任されます。 横浜市大医学部長解任、「全く身に覚えなし」http://community.m3.com/doctor/showMessageDetail.do?boardId=1002&topicListBoardTopicId=163492&messageId=1613570&messageRecommendationMessageId=1613570&F=rm
医学部新設をめぐり、文科省で議論スタートhttp://community.m3.com/doctor/showMessageDetail.do?boardId=1002&topicListBoardTopicId=155355&messageId=1541385&messageRecommendationMessageId=1541385&F=rm
私が医学部新設を目指すわけ http://community.m3.com/doctor/showMessageDetail.do?boardId=1002&topicListBoardTopicId=156688&messageId=1554103&messageRecommendationMessageId=1554103&F=rm
以下、記事の転載。私立歯科大・歯学部、受験者全員合格校も■大幅な定員割れが問題になっている私立歯科大・歯学部で、今春も全国17校のうち10校が定員を満たさなかったことが、文部科学省の調査でわかった。■半数を超える大学の定員割れは3年連続で、全体の競争倍率も1・52倍と低く、「大学によっては質的に一定レベルの入学者が確保できていない」との指摘も出ている。 入試結果は、25日に開かれた同省の「歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」で報告された。■昨春に比べて、定員割れした学校数は1校減。今春は、5大学で定員を削減したこともあり、全体の定員充足率も83・5%と5ポイント改善した。各校別にみ ると、最も充足率が低かったのは、奥羽大で25%。北海道医療大、神奈川歯科大、松本歯科大も充足率が6割を切った。国公立では、東北大だけが定員割れした。■松本歯科大は81人の受験者全員が合格していた。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110526-OYT1T00553.htm
<私的コメント> いよいよ国立大学の歯学部の定員割れの時代に突入しました。これは震災の影響による一時的なものでしょうか。願書をだしておけばとホゾをかんだ私立歯学部受験性も多かったのでは。学費は雲泥の差。しかし、入ってからの進級の問題も。
大昔、私の父が戦前に大学医学部を受験した時、京大医学部が定員割れ(無試験ではない)していた、と言っていました。しかし、それは旧制高校という振るい落としの洗礼を受けて来た受験生なので意味が違います。 その他「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/(循環器専門医向き)ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy(一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~http://wellfrog4.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15http://wellfrog3.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~http://wellfrog2.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/ があります
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~腹部大動脈瘤の手術適応~ 瘤径に加え成長速度も重視すべき腹部大動脈瘤は無症候に増大し,破裂する恐れがあるが,確立した薬物治療はなく,手術適応の見極めが重要になっている。わが国のガイドライン(大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン2006年改訂版)では,米国の指針にならって最大瘤径が男性で5.5cm超,女性で5cm超の場合にクラスⅠの手術適応としている。しかし,これまで日本人のデータが十分に検討されていなかったことから,今回,東京医科大学血管外科の渡部芳子氏らは,同科において経過観察を行っていた患者のデータを解析した。その結果,瘤径のカットオフ値は男性でも5.0cmが妥当と考えられたが,それ以下の場合でも瘤の成長速度を考慮に 入れるべきとした。 瘤径4.0cm以上,成長速度0.3cm/年は手術の可能性高い 渡部氏の検討の対象は,1999~2009年にCTを2回以上撮影した124例。同科では,瘤径5.0cm以上の場合や成長速度が0.5cm/年以上の場合に手術適応としているため,瘤径5.0cm未満や手術高リスク,または手術拒否の患者が含まれた。対象の平均年齢は73.7歳,平均追跡期間は3.0 年だった。 観察期間中に他病死が10例あり,瘤の破裂により死亡した症例はなかったが, 26例は手術施行に至った。そのうち開腹術は20例で,6例についてはステントグラフト内挿術が施行された。 観察開始時の瘤径を0.5cmごとに区切って成長速度と手術施行の有無を見たところ,4.9cm以下では成長速度は遅かったが,5.0cm以上では0.3~0.5cm/年と速くなっていた。また,4.0cm以上では5年以内の手術施行率が高かった(表)。
同氏らはさらに,瘤径5.0m超となるか成長速度が0.5cm/年であった症例を増大群とし,非増大群と2群に分けて比較したところ,増大群が34.2%であった。増大群は平均0.34cm/年の成長速度で,3cm台から0.3cm/年以上を呈した。 以上の結果から,同氏は「腹部大動脈瘤の瘤径が4.0~5.0cmであっても,成長速度が0.3cm/年以上で手術リスクが低い患者では手術を考慮してもよいのではないか」とした。 出典 Medical Tribune 2011.5.26版権 メディカルトリビューン社
<私的コメント>
AAAの手術適応が、瘤径に加え成長速度も重要であるというのは別に目新しい知見ではなく、ごく常識的な結論と思われます。
Surgery is usually recommended for patients who have aneurysms bigger than 2 inches or 5.5 cm across and aneurysms that are growing quickly.
http://www.nlm.nih.gov/medlineplus/ency/article/000162.htm
誰しもが疑問に思うことは、体格によって瘤径の許容範囲が変わる筈だということです。
メタボ健診の腹囲の正常値が 身長差が全く考慮されないのは、一般の人でも分かることです。
こんな滑稽なことが何故ゴリ押しされるのでしょうか。
私は、ある講演で斯界の重鎮のT大のK教授にこのことについて質問したことがあります。
その返答はまったく納得のいくものではありませんでした。
想定通りでしたが、学会側に都合のいい返答しかされないのです。
さて、この記事で「米国の指針にならって最大瘤径が男性で5.5cm超,女性で5cm超の場合」と書かれています。
このことは非常にショッキングでした。
これって、裏をかえせば「米国人と日本人の体格が同じだ 」といっていることになります。
今頃になって、「男性でも5.0cmが妥当」という結論もどうでしょうか。
男性と女性が同じというのも変じゃないでしょうか。
CTで大動脈径を計測して、(体格を考慮せず)一律5.1cmになるまで様子をみていいというのもどうかと思うのですが。
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多彩な症状の陰に感染性心内膜炎回診時の聴診で心雑音に気付き、事なきを得る「感染性心内膜炎の診断は難しいことを改めて認識した症例だった」。こう話すのは、国立病院機構長野病院循環器科の関年雅氏。関氏が2年前、長野赤十字病院(長野市)で経験したのは、75歳の女性のケースだ。
当初は感冒様症状や関節痛のため、近医で抗菌薬の治療を受けたが改善せず、膠原病も疑われステロイドも投与されていた。原因が分からないまま全身状態が不良となり、喘鳴・呼吸苦が出現。SpO2 88%(room air)、胸部単純写真で心拡大や両側胸水が認められ、自院の呼吸器科に入院した。
入院後の検査結果などから、感染症のほか、膠原病、多関節炎、リウマチ性多発筋痛症、悪性リンパ腫、Crow-Fukase症候群なども鑑別に挙がった。 そんな中、腰背部痛の精査で行った腰椎MRIやガリウムシンチ所見に加えて血液培養や腰椎穿刺の結果から、化膿性脊椎炎と診断された。そこで抗菌薬による治療を続けたが、37℃台の熱は一向に下がらない。 そんなとき、病棟回診中の聴診で拡張期雑音が増強していることが判明。感染性心内膜炎の疑いで循環器科に紹介され、心エコーの所見(写真1)から確定診断に至った。「感染性心内膜炎の存在に気付かずに、病巣部の掻爬などを行っていたら術後の二次感染は免れなかったかもしれない」と関氏は振り返る。
写真1
(エコーの説明)患者の心エコー所見 大動脈弁直下の心室中隔基部に、ひも状構造物の付着を認めた(→)。形態と付着部位から細菌性疣贅と考えられ、最終的に感染性心内膜炎と診断された。
不明熱プラス塞栓症の症状に注意
感染性心内膜炎は、弁膜や心内膜などに疣贅が形成され、菌血症や血管塞栓などを生じる疾患。逆流性雑音を聴取したり心エコーで疣贅などを確認できれば診断に結びつくが、症状は発熱や全身倦怠感、関節痛など多彩で、しばしば診断に難渋する。
これは血栓が血行性に飛散し、様々な部位で塞栓症を起こすためだ。感染性心内膜炎の44%に関節痛や関節炎、腰背部痛が認められたという海外の報告がある。一方で、化膿性脊椎炎の9.3%に感染性心内膜炎が合併していたという論文もある。
感染性心内膜炎の発症リスクが高いのは、僧帽弁逸脱症や先天性心疾患などがある患者だ。しかし冒頭に紹介した症例の基礎疾患は高血圧のみ。関氏は「このケースのようにハイリスクな患者でなくても、突然発症することがある。原 因不明の発熱が続く場合の鑑別疾患として、感染性心内膜炎を念頭に置くべきだろう。脊椎炎を診ることの多い整形外科の医師もぜひ知ってほしい」と強調する。なお、不明熱に加え脳梗塞を疑える症状が表れているときも要注意という。
出典 NM online 2008.9.4版権 日経BP社 <私的コメント>
私がこの記事に興味を示したのは、まさにこの写真にあります。
以前にこのブログにもUPしたことがあるのですが、よく似た症例を経験したことがあったからです。
当院の症例です。(以前にもアップしたことがありました)81歳 女性AR(Ⅲ度) BNP 123.8pg/mL問診上は心内膜炎の既往なし。ルーチンのUCGで左室流出路(大動脈弁下部)に可動性の索状物あり。 精査目的で 某大病院循環器科来へ紹介。TEE (経食道エコー法) 検査によるレポートは以下の如し。 『異常構造物は僧帽弁後尖の余剰弁膜様構造物と思われました。現在は弁膜症もひどくなく、感染性心内膜炎を疑わせる所見も乏しいため経過観察とさせていただきます』 これがどうして「僧帽弁後尖の 」ということになるのか不思議です。vegitation(疣贅) かどうかもコメントされていません。この 「異常構造物」は、はたして何なのか今もって私にはわかりません。 <番外編>
慢性心不全に適応 高血圧薬で追加承認取得
田辺三菱製薬は高血圧症や狭心症の治療薬「メインテート(一般名ビソプロロールフマル酸塩錠)」が慢性心不全への効能追加の承認を取得したと発表した。
効果が広く知られていることから臨床試験(治験)を省略できる「公知申請」の形で昨秋に追加申請していた。6月3日に慢性心不全の専用薬として 0.625ミリグラムの錠剤を発売する。
メインテートは心拍数や心収縮力を低下させて心臓への負担を抑え、心機能を改善する。
低用量の投与から始め、段階的に増量する必要があるため、従来の2.5ミリグラム、5ミリグラムに加え、新たに0.625ミリグラム錠を用意した。
慢性心不全は心筋がうまく働かずに心臓のポンプ機能が低下し、臓器に十分な酸素が届かない。
国内に約400万人の患者がいるという。
出典 日経産業新聞
版権 日経新聞社 2011.5.25 <私的コメント> 「心拍数や心収縮力を低下させて・・・ 」で思い出したことがあります。
随分昔の勤務医時代に、メインテートの治験に参加したことがありました。
市販後調査だったかも知れませんが、発売前だったような気もします。
著明な徐脈が出現したことがあって脱落症例になったのです。
MR(当時はプロパー) さんに、「著明な徐脈で脱落した」旨を告げました。
返った来た言葉が「全国で今までにそのような報告はありません」 とのこと。
以後、私はメインテートは一切処方しないようにして来ました。
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尿中ナトリウムが少ない方が心血管死亡リスクは高い欧州で行われた大規模前向き研究の結果一般住民が食塩の摂取量を減らせば、 心血管イベントは減るのではないかと考えられている。だが、ベルギーLeuven大学のKatarzyna Stolarz-Skrzypek氏らは、この定説に疑問を投げかける長期的な大規模研究の結果を、JAMA誌2011年5月4日号に報告した。著者らはこの論文で(1)24時間蓄尿中のナトリウム排泄量の増加に伴って収縮期血圧は上昇するが、拡張期血圧には影響は見られないこと、(2)ナトリウム排泄量が少ないほど心血管死亡リスクは高いこと、(3)ナトリウム排泄量と心血管イベントリスクの間には有意な関係はないこと、などを報告している。
塩分摂取と血圧の関係を示した集団ベースの観察研究や無作為化試験は、これまでに複数報告されている。特に、INTERSALT研究は、世界32カ国、52の集団を対象に尿中ナトリウム排泄量と血圧の関係について分析し、年齢上昇に伴う収縮期血圧と拡張期血圧の上昇はナトリウム排泄量が多い人ほど急激であると報告した。その後行われたメタ分析では、ナトリウム排泄量の低下が血圧低下に関係することが示された。また、塩分摂取を1日当たり3g程度減らすと心血管イベントが減少するとの報告もある。
今回著者らは、ナトリウム排泄量がその後の血圧上昇や心血管イベントの予測因子になるかどうかを調べるため、集団ベースの前向き研究を行った。
Flemish Study on Genes、Environment and Health Outcomes(1985~2004年)またはEuropean Project on Genes in Hypertension(99~01年)に登録された家族のメンバーで、ベースラインで必要なデータが記録されており、心血管疾患ではなかった3681 人(全員が欧州在住の白人)をアウトカムコホートとした。このうち、追跡調査への参加に同意した患者の中から、ベースラインで高血圧だった760人を除外した2096人を高血圧コホートとし、高血圧発症について評価した。さらに、ベースラインと05~08年の両方で血圧とナトリウム排泄量が測定されており、降圧薬の投与を受けていないなどの条件を満たした1499人を血圧コホートとし、ナトリウム排泄量の変化と血圧変化の関係を調べた。
アウトカムコホートでは、中央値7.9年、3万9780人・年の追跡で219人が死亡し、232人が致死的または非致死的心血管イベントを経験していた。死亡のうち心血管死亡は84人だった。
心血管死亡は24時間ナトリウム排泄量が多いほど低かった。コホートをベースラインの尿中ナトリウム排泄量に基づいて3分位群に分けたところ、心血管死亡は、最低3分位群(平均107mmol)の1220人中50人、中間3分位群(平均168mmol)の1250人中24人、最高3分位群(平均 260mmol)1211人中10人(P<0.001)に発生し、死亡率はそれぞれ4.1%(95%信頼区間3.5-4.7%)、1.9% (1.5-2.3%)、0.8%(0.5-1.1%)となった。
コホート全体と比較した各3分位群の心血管死亡リスクを求めるCox回 帰分析を実施。ベースラインの性別、年齢、血圧、BMI、飲酒量、降圧薬の使用、尿中カリウム排泄量、喫煙歴、糖尿病、総コレステロール値、登録された施設、学歴などを共変数として調整を行ったところ、最低3分位群の心血管死亡の多変量ハザード比は1.56(1.02-2.36、P=0.04)、中間3分 位群が1.05(0.72-1.53)、最高3分位群は0.95(0.66-1.38)となり、ナトリウム排泄量と心血管死亡率の間には有意な逆相関関係が認められた(P=0.02)。ベースラインのナトリウム排泄量は、全死因死亡と心血管イベントの予測因子ではなかった。全死因死亡のオッズ比は最低3分位群が 1.14(0.87-1.50)、中間3分位群が0.94(0.75-1.18)、最高3分位群では1.06(0.84-1.33)(P=0.10)、致死的イベントと非致死的なイベントを合わせた心血管イベントのオッズ比はそれぞれ1.13(0.90-1.42)、1.11(0.90-1.36)、 0.90(0.73-1.11)だった(P=0.55)。
高血圧コホートについては、6.5年の追跡で2096人中552人が高血圧と 診断されていた。ベースラインのナトリウム排泄量はその後の高血圧発症の予測因子ではなかった。高血圧と診断されたのは最低3分位群が187人 (27.0%)で調整ハザード比は1.00(0.87-1.16)、中間3分位群は190人(26.6%)で1.02(0.89-1.16)、最高3分位 群は175人(25.4%)で0.98(0.86-1.12)だった(P=0.78)。
血圧コホート1499人の血圧は、6.1年の追 跡期間中に有意に上昇していた。収縮期血圧は1年当たり0.37mmHg(P<0.001)、拡張期血圧は0.47mmHg(P<0.001)上昇した が、ナトリウム排泄量には有意な変化が見られなかった(1年当たり0.45mmol減少、P=0.15)。
だが、多変量解析を行い、ナトリウム排泄量 100mmol上昇当たりの血圧変化値を求めたところ、収縮期血圧は1.71mmHg上昇(P<0.001)するが、拡張期血圧には変化がない(変化量は0.38mmHg、P=0.28)ことが示された。
著者らは、ナトリウム排泄量が少ないグループの方が心血管死亡リスクが高い理由について、「尿中ナトリウム排泄量低値が示す塩分低摂取状態が血圧低下を引き起こすレベルになり、それが持続すると、交感神経の活性化やレニン-アンジオテンシン系の活性化が起き、アルドステロン分泌が刺激され、インスリン感受性が低下する、といった一連の反応が起こるため、心血管死亡が発生しやすくなるのではないか」との考えを示している。
なお、著者らは、今回の結果は、高血圧患者における減塩の効果を否定するものではない、とも述べている。
大西淳子=医学ジャーナリスト原文Fatal and Nonfatal Outcomes, Incidence of Hypertension, and Blood Pressure Changes in Relation to Urinary Sodium Excretionhttp://jama.ama-assn.org/content/305/17/1777.short 出典 NM online 2011.5.25版権 日経BP社 <私的コメント>
ドキドキわくわくしながら読み進みましたが、最後に「高血圧患者における減塩の効果を否定するものではない」と一気にトーンダウンしています。ここで誰しもが考える疑問があります。
(1)「
全員が欧州在住の白人」であり、食塩感受性が高い集団ではない。したがってこの研究は日本人などの非白人には敷衍できない。(2)この対象は、もともと食塩摂取量は多くないため、さらなる減塩(厳しい減塩)により今回の考察のような「交感神経やRASの活性化」が起きているのではないか。
(3)「尿中ナトリウム排泄量」は「ナトリウム摂取量」にきれいな相関があるのか。(これはあくまでも初歩的な、そして素朴な疑問です)
(4) 「高血圧コホート」は、非高血圧者の高血圧発症について評価したものと分かるのですが、「血圧とナトリウム排泄量が測定されており、降圧薬の投与を受けていないなどの条件を満たした人」を対象とした「血圧コホート」」では「降圧薬の投与を受けていない高血圧者」も入っているのか。そして、この集団の評価目的は何なのか。
是非、東大・藤田教授や名市大・木村教授らのコメントを知りたいものです。
さて講演会などでとりあげていただけるでしょうか。
<自遊時間>
最近、岡山大学の先生の講演を聴く機会がありました。
一番前の席だったのでよく見えたのですが、スライドで赤煉瓦の医学部正門の写真と小さなロゴが紹介されていました。
そのロゴにsince 1870。
明治維新のすぐ後ですよね。
「医学部長のあいさつ」 をネットで見てみましたが、「岡山大学医学部は明治3年(1870年)の創立で、来年140周年を迎えます。東京大学医学部に次ぐ長い歴史と伝統を誇る医学部です。」と書かれています。
ちょっとびっくりしました。
鹿児島大学、長崎大学も古そうですね。
長崎大学にいたっては「1857年11月 医学伝習所設置 」「1868年10月 精得館を長崎府医学校と改称」と書かれています。
何が何だかわかりません。
11世紀に設立されたボローニャ大学に比べたらどうでもいいことです。
http://www.hsc.okayama-u.ac.jp/med/meddean.html http://blog.goo.ne.jp/fc2008-2/e/471b6f817816deec65d96c6f7bd32530http://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/about/guidance/history/index.html
日本最古の西洋医学校
http://blog.livedoor.jp/bakumatusaga/archives/51090386.html
世界最古の大学
http://d.hatena.ne.jp/gkmond/20070114/p1
その他「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/(循環器専門医向き)ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy(一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~http://wellfrog4.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15http://wellfrog3.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~http://wellfrog2.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/ があります
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成人の心房中隔欠損は何科?カテ治療の普及で増える高齢患者に小児科が苦慮成人先天性心疾患 の中でも患者数の多い心房中隔欠損症。カテーテル治療の普及により、高齢患者も増加した。だが同治療は小児科が担ってきたことから、成人患者が小児科に集中している。先天性心疾患の中で最も患者数が多い心房中隔欠損症(ASD)。以前は外科手術で欠損孔を閉鎖する方法しかなかったが、2005年3月に「AMPLATZER Septal Occluder」というデバイスが承認され、アテーテル治療による欠損孔の閉鎖術が可能になった。この治療法は、ニッケルとチタンの合金で編まれたデバイス(図1)がカテーテルに収められており、欠損孔にカテーテルを通してバルーンで膨らませると、デ バイスが欠損孔を挟み込むように密着して固定されるというもの。低侵襲であることなどから徐々に施行例が増え、10年には累計2000件を突破した。
AMPLATZER Septal Occluderは、ニッケル・チタン合金のワイヤを編み込み、2枚の円盤が合わさったような構造をしている。カテーテルを欠損孔に通した後、バルーンで膨らませると、2枚の円盤様構造が欠損孔を挟み込むように固定される。 成人の治療例が増加しかし、施行例の増加に伴って患者層が変わってきた。ASDのカテーテル治療を行った患者のうち、40歳以上 が約25%、60歳以上が10%強を占めるなど、成人患者が多くなってきたのだ(図2)。これは、成人期になって初めてASDと診断された患者がカテーテ ル治療を選んだり、外科治療を躊躇する成人患者が、カテーテル治療を希望するケースが増えているためだと考えられる。成
2005年3月~10年8月に、AMPLATZER Septal Occluderを用いて治療を行ったASD患者の割合を年齢別に示した。最も人数が多いのは10歳代だが、20歳以上の成人患者も半数近くを占める。 高齢者の場合、悪性腫瘍や糖尿病、高血圧、脳梗塞などの基礎疾患を抱えていることも多い(次ページ症例参照)。国立循環器病研究センター小児循環器科の矢崎諭氏は、「合併症の管理などには習熟していない小児科で、すべての成人患者を受け持つには限界がある」と指摘する。そのため同センターでは、小児循環器科医が内科医とチームを作り、適応の判断や治療入院時の合併疾患の管理などについては内科医に協力を仰ぐようにした。 患者の重症度によっては内科入院のまま、カテーテル治療のみを小児循環器科が行う。矢崎氏は「内科との連携は非常に重要」と強調する。 循環器科に高いハードルそもそもこのカテーテル治療には、循環器科が参入しにくい事情があった。治療実施のための教育プログラムを受けるには、日本Pediatric Interventional Carduology学会(JPIC)による、小児循環器科医向けの厳密な施設基準と術者基準を満たす必要があった。そのため高齢の患者であっても、治療を行えるのは小児科医に限られていたのだ。榊原記念病院(東京都府中市)循環器内科部長の高山守正氏らは、日本心血管インターベンション治療学会(CVIT) の専門医資格を持つ循環器科医もカテーテル治療を行えるよう、07年からJPICに働きかけてきた。10年にはJPICとCVITが合同教育委員会を設置。CVIT専門医も教育プログラムを受講できることになり、施設基準が拡大された。これを受けて、10年には4施設のCVIT専門医4人が術者基準を満 たした。しかし、小児を診ていない循環器科医にとっては依然としてハードルが高い。術者基準には、「1年間に直接施行した先天性心疾患または構造的心疾患のカテーテル治療が15例以上」などの条件があり、それらを満たすのは簡単ではない。昨年術者として認定された東邦大医療センター大橋病院循環器内科の原英彦氏は、「今の時点では、国内だけで必要な症例数を経験することは難しいだろう」と話す。同氏も症例数の多い複数の海外の医療機関に出向し、認定に必要な経験症例数を満たすことができたという。11年には新たに5施設が認定される見込みだが、循環器科医がどう必要症例数を満たし、治療資格を維持するかは、今後解決すべき課題といえる。先天性心疾患全体の問題ASDで提起された問題は、実は先天性心疾患全体の問題でもある。小児期に診断され、手術を含む積極的治療が行われることが多かったため、治療の主な担い手は小児科だった。だが現在、わが国の成人の先天性心疾患患者は30万~40万人。さらに年間1万人ずつ増加しているといわれる。成人した先天性心疾患患 者をどの診療科で診るのか、そのシステムはまだ整備されていない。国立循環器病研究センターでは、小児循環器科と循環器内科が共同で受け持つ「成人先天性心疾患外来」を10年12月に開設した。 細やかなフォローアップが必要な複雑先天性心疾患の患者を、両診療科が連携して診ていく方針だ。矢崎氏は「欧米では、人口1000万~2000万人に1施設の割合で、成人先天性心疾患患者を診る医療機関が設けられようとしている。いずれ日本でも センター化の検討は必要だろう」との意見だ。「本来ならば循環器内科医が診るべき高齢の成人先天性心疾患患者を、小児科医に負担をかけず、しっかりと治療できる体制をつくりたい」と高山氏も話している。 出典 NM online 2011.2.10版権 日経BP社 <関連サイト>非冠動脈疾患のカテーテルインターベンションhttp://blog.m3.com/reed/20080222/1
■心房中隔欠損症(ASD)に対する治療法として,従来の外科的閉鎖術に加えて,国内でも経カテーテル的閉鎖術が2005年に保険適用となり普及しつつある。■ASDに対する経カテーテル的閉鎖術は外科的閉鎖術に比べて侵襲が少ない利点があるが,ASDの形態によっては適応できない症例がある。■成人ASDカテーテル治療の適応評価の際には心エコー図診断が重要であり,(1)ASDの形態がカテーテル治療に適しているか(2)手術が望ましい他の心合併症がないかの 2 点を念頭に置いて検査を進める。■欠損孔が大きい(30mm以上),周囲縁欠損,多孔型などはカテーテル治療が難しい場合が多い。■Amplatzer Septal Occluder(ASO)を用いた経カテーテル的ASD閉鎖術の適応基準は,二次孔型,欠損孔のバルーン進展径38mm以下,欠損孔周囲縁5 mm以上(前縁欠損例を除く),左右短絡比(Qp/Qs)1.5以上,もしくはQp/Qs<1.5であってもASDに伴う心房性不整脈や奇異性塞栓を合併 する症例,体重15kg以上(経食道ガイド下閉鎖術が十分可能)などとされている。■ASDの形態評価は,おもに経食道心エコー図検査で行う。欠損孔の多くは正円でないため,サイズは 0 度,90度のほかさまざまな角度で評価し,収縮期末期の最大径を計測する。周囲縁(rim)は,0 ~20度(transverse plane)で全体像を把握し,おもに 0 度で前縁,後縁,90~110度(longitudinal plane)で上縁,下縁の各最小部分を計測し,十分な周囲縁(5 mm以上)の有無を確認する。さらに,欠損孔辺縁と心内構造物(僧帽弁前尖,三尖弁,右上肺静脈)との距離を計測し,閉鎖栓の突出部と十分な距離(5 mm以上)が確保できるかを評価する。■ASD患者は40歳前後で症状が増悪して受診することが多い。■成人ASDの治療では,心房性不整脈や房室弁閉鎖不全,肺高血圧,心予備能低下などが問題となる。特に50~60歳以上の症例では左室拡張能が低下していることが多く,このような症例には閉鎖後の心不全対策として,閉鎖前からのホスホジエステラーゼ(PDE)-III阻害薬の予防的投与などを考慮する。■左房内血栓を有する症例はカテーテル治療を禁忌とし,持続的な心房細動,心房粗動,明らかな房室弁閉鎖不全を有する症例は手術適応とする。■労作時などに間欠的に心房細動,心房粗動を有する症例にはカテーテル・アブレーションを先行し,その後閉鎖術を施行する。■成人ASDのカテーテル治療は,大きな閉鎖栓の操作に習熟すると,心房が大きくカテーテル操作により閉鎖栓の位置や角度を調整可能なため,10歳未満の小児よりも技術的に容易なことが多い。しかしその半面,経食道エコー検査のASD計測径に比べて大きな閉鎖栓が必要になる傾向があり,特に周囲縁が脆弱な症例ではその傾向が強い。■左心機能の拡張能が著しく低下している症例では,ASD閉鎖直後に左室前負荷の増大により心不全を呈することがあるため,PDE-III阻害薬などを閉鎖術前後に予防投与する。左心拡張能低下が軽度であっても,閉鎖後日常生活に復帰して心不全症状を一過性に訴える場合は,退院後短期間,利尿薬やACE阻害薬を投与する。 その他「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/(循環器専門医向き)ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy(一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~http://wellfrog4.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15http://wellfrog3.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~http://wellfrog2.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/ があります
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「ARBによる心筋梗塞リスク上昇」を否定14万人超を対象としたメタ分析と逐次分析の結果アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)は心筋梗塞のリスクを上昇させるのか。米New York大学のSripal Bangalore氏らは、かねて議論のあるこの疑問について、通常のメタ分析と、メタ分析より精度が高いと言われるTrial Sequential Analysis(TSA、逐次分析)を行い、対照群と比較した有意なリスク上昇はないことを明らかにした。分析結果は、BMJ誌2011年5月7日号に 掲載された。
04年にBMJ誌に掲載されたエディトリアルが、VALUE試験の結果に基づいてARBが心筋梗塞リスクを高める可能性を提示して以来、様々な議論が交わされ、検証が試みられてきた。
著者らは今回、ARBが心血管イベントやその他の臨床転帰に及ぼす影響を調べるために、無作為化試験の系統的レビューとメタ分析に加えて、TSAを行った。
TSAは、無作為化試験を年代順に並べて、古い方から順番に有意性検定と信頼区間の算出を繰り返す方法。単一の臨床試験で複数回の中間解析を行う場合に用いられる群逐次検定と似ているが、患者群の代わりに個々の臨床試験の登録患者をグループとして逐次解析する。TSAを行うと、通常のメタ分析のランダム誤差を調整し、エビデンスを導き出すために必要な登録者数を知ることができる。
著者らは、Pubmed、Embase、コクランセントラルに10年8月までに登録された研究の中から、ARBと偽薬または対照実薬を比較した試験で、100人以上の患者を登録し、1年以上追跡して、心筋梗塞、 死亡、心血管死亡、狭心症、脳卒中、心不全、新規発症糖尿病のいずれかの発生件数を報告していたものを選んだ。ARBとACE阻害薬を併用していた試験は除外した。(私的コメント;JIKEI HEART STUDYは併用例が多い試験でした。当然除外されている筈です。)
37件の無作為化試験(対照群は39群、内訳は偽薬が17群、対照実薬が22群)が条件を満たした。登録患者の合計は14万7020人(49.8%がARBに割り付けられていた)、平均追跡期間は3.3年で、48万5166人-年の追跡が行われていた。
メタ分析では、対照群(偽薬または実薬)に比べARB群で心筋梗塞リスクが高いことを示す結果は得られなかった。相対リスクは0.99(95%信頼区間 0.92-1.07)。偽薬群と比較していた研究を対象に相対リスクを求めると0.93(0.81-1.07)、実薬対照群と比較していた研究では 1.04(0.98-1.11)で、いずれも有意差なし。不均質性は低-中等度で、出版バイアスは認められなかった。 全死因死亡、心血管死亡、狭 心症についても同様に、ARB群に有意なリスク上昇は認められなかった。
対照群と比較すると、ARB群では以下のリスクが有意に低かった。脳卒中、心不全、新規発症糖尿病。
TSAでは、対照群に比べARB群で、心筋梗塞の相対リスクの7.5%上昇(絶対リスク上昇にすると0.3%)があるかどうかを検証したが、このレベルのリスク上昇はないことを示す確かなエビデンスが得られた。加えて、全死因死亡に ついては相対リスクの4%上昇、心血管死亡については相対リスクの5%上昇、狭心症については相対リスクの15%上昇はないことが確認できた。
一方、ARB群で脳卒中の相対リスクの7.5%減少があるかどうかを検証したが、これは否定された。しかし、相対リスクの1%以上の減少が見られることは 確認できた。心不全については5%以上の相対リスク減少が、新規発症糖尿病については4%以上の相対リスク減少が確認された。
今回の大規模で総合的な分析により、「ARBが心筋梗塞リスクを上昇させる」という仮説を否定する確かなエビデンスが得られた。TSAの結果は、絶対リスクの 0.3%上昇も否定した。しかし一方で、偽薬と比較した場合に、ARBには心筋梗塞や心血管死亡を有意に減らす効果は見られないことも明らかになった。 私的コメント;偽薬は対照実薬とは違うわけですから本当のプラセーボのようです。
そういった臨床試験がどうして出来るのか不思議です。人道上の問題はないのでしょうか。
また、ACE阻害剤とARBとの比較がこの論文から見えて来ません。
恣意的な感じもします。
なんだか、偽薬に対する非劣性が証明されたという情けない解析結果です。
これは論文が情けないということではなく、ARBが情けないということです。
「心筋梗塞リスク上昇」は否定されたものの、「心筋梗塞や心血管死亡を有意に減らす効果は見られない」ことが露呈したわけですから。出典 NM online 2011.5.18版権 日経BP社 <原著>(抄録)Angiotensin receptor blockers and myocardial infarctionhttp://www.bmj.com/content/329/7477/1248.extract?sid=c6935c76-857f-4e80-9721-dbd87771d96b
その他「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/(循環器専門医向き)ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy(一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~http://wellfrog4.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15http://wellfrog3.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~http://wellfrog2.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/ があります
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Ann Intern Med誌の紹介記事で勉強しました。
CKD患者の降圧、“低め”で利益があるのは顕性蛋白尿がある場合
3件の無作為化試験の系統的レビューの結果
慢性腎臓病(CKD)患者に対する最適な血圧の目標値は 明確になっていないが、ガイドラインは、CKD患者の血圧の目標値を合併症がない高血圧患者より低く設定している。
だが、CKD患者により低い血圧目標値を設定することで、本当に臨床利益が得られるのだろうか。
この疑問に基づき系統的レビューを行った米Tufts大学医学部のAshish Upadhyay氏らは、140/90mmHg未満を目標とした場合と130/80mmHg未満を目標とした場合とで、転帰に有意差はほぼ見られないこと、ただし顕性蛋白尿の患者については、目標値を低く設定することでいくつかの転帰が有意に向上することを示した。
論文は、Ann Intern Med誌電子版に2011年3月14日号に掲載された。
CKD患者の血圧の目標値がより低く設定されているのは、心血管リスクと腎不全リスクが高いからだ。
蛋白尿はこれらのリスクをさらに高めることから、一部のガイドラインは、蛋白尿のある患者にはさらに低い目標値を用いるよう指示している。
著者らは、より低い血圧値を目指すことが患者に利益をもたらすかどうかを明らかにするため、無作為化試験を対象に系統的レビューを行った。
MEDLINEとコクランセントラルに01年7月から11年1月までに登録された研究と、04年にNational Kidney Foundation Disease Outcomes Quality Initiativeによるガイドライン作成時に行われた系統的探索で同定された研究(MEDLINEに66〜02年7月に登録された研究を含む)の中から、高血圧でCKDだが透析は受けていない成人患者を登録し、血圧の目標値を低く設定した場合と高く設定した場合の臨床転帰への影響を比較していた無作為化試験を探した。
さらに、それらの中から、割り付け群1群当たり50人超の患者を登録し、1年以上追跡して、死亡、腎不全、心血管イベント、腎機能の変 化、糸球体濾過量(GFR)変化率、使用した降圧薬の数、有害事象などについて報告していた研究を選んだ。
3件の無作為化試験 (MDRD試験、AASK試験、REIN-2試験、計2272人の患者を登録)に関する8本の報告が条件を満たした。
MDRDとAASKについては、無作為化試験終了後の長期追跡結果も報告されていた。
3件とも、ベースラインの蛋白尿のレベルに基づいて患者を層別化し,サブグループ解析を行っていた。
3件の試験自体の方法論的な質は良好だった。
追跡研究とサブグループ解析の質は中等度と判定された。
条件を満たした試験が3件しかなく、試験間に不均質性が認められたため、メタ分析は行わなかった。
<私的コメント;メタ分析を行わないこの「論文」と「レビュー」の違いは、どこにあるのでしょうか。>
血圧の目標値が125/75mmHg未満または130/80mmHg未満だった患者群と140/90mmHg未満の患者群の転帰を試験ごとに比較したが、いずれの研究も、より低い目標値を設定することによる利益を示せていなかった。
血圧の目標値が低い方が有意に良好であることが示されたのは、MDRD試験の追跡期間における腎不全/死亡リスク(ハザード比0.77、95%信頼区間 0.65-0.91、P=0.002)と腎不全リスク(0.68、0.57-0.82、P<0.001)のみだった。
著者らは、MDRD試験では、血圧目標値が低く設定されたグループへのACE阻害薬の適用が多かったことがリスクの差に寄与した可能性があると考えている。
<私的コメント;これでは降圧度による差ではなくdrug effectをみていることになってしまいます>
一方、蛋白尿で患者を層別化して行われた分析では、MDRD試験とAASK試験のデータが、顕性蛋白尿患者においてより低い目標値を設定することによる利益を示した。
AASK試験では、尿蛋白300 mg/日超に相当する、尿蛋白/クレアチニン比0.22g/g超の患者においては、血圧の目標値を低く設定されたグループの方が、以下のイベントリスクが 有意に低かった:試験期間中と追跡期間中の「GFRが50%以上低下または腎不全または死亡」、追跡期間中の「腎不全または死亡」、「GFRが50%以上 低下または腎不全」。
MDRD試験では、蛋白尿が1000mg/日超のグループで、目標値が低く設定された患者群の方が試験期間中の1年当たりのGFR低下率が小さく、追跡期間中の「腎不全または死亡」と「腎不全」のリスクも有意に低かった。
一方、血圧目標値が低かった患者群では、一部の有害事象(めまい、咳など)の発生率が有意に高かった。
3件の試験の不均質性が高いため決定的な結果は得られなかったが、CKD患者全般においては、血圧の目標値を130/80mmHg未満に設定しても、 140/90mmHgを目指した場合に比べて臨床転帰の向上はほぼ見られないこと、尿蛋白が300mg/日超から1000mg/日超の患者の場合には、血 圧目標値を下げることによって利益を得られる可能性があることが示された。
著者らは、「蛋白尿のあるCKD患者についてはリスクと利益のバランスを個々に考え、忍容性や患者自身の好みも考慮して血圧の目標値を設定することが好ましい。低い値に設定するなら、有害事象に対処するためにより慎重な監視を行う必要があるだろう」と述べている。
Systematic Review: Blood Pressure Target in Chronic Kidney Disease and Proteinuria as an Effect Modifier
http://www.annals.org/content/early/2011/03/11/0003-4819-154-8-201104190-00335.abstract
(医療ジャーナリスト 大西淳子)
出典 NM online 2011.4.11
版権 日経BP社
私的コメント;
何だか読んでみて、今一つすっきりしない論文です。
カタルシスが感じられません。
一般的に、蛋白尿のあるCKD患者においては腎機能が低下していることも多いのではないかと思われます。
こういった群では、降圧が過度になって腎機能が悪化するケースはないのでしょうか。
このあたりについては触れられていません。
さらに、もう一つ問題があります。
130/80mmHg未満という低い血圧目標値を設定することによって蛋白尿の出現が抑制される、すなわち顕性蛋白尿群になるのを未然に防止している可能性については言及されていません。
<関連サイト>
CKD合併例の降圧治療
http://wellfrog4.exblog.jp/14917735/
CKDの降圧治療戦略
<補足>
New Eng J Med 2010;363:918-29 の「Intensive Blood-Pressure Control in Hypertensive Chronic Kidney Disease」では、一見、腎臓機能保護にintensive blood-pressure controlはあたかも無効だったかのような表現になっています。
しかし深読みすると、ベースラインの蛋白尿の有無で腎臓機能の保護は異なる結果ということがわかります。
降圧剤についてはACE-I(ARBではない)がよいと指摘されています。
ARBは腎保護作用、心臓保護作用がはっきりしていないという見解のようです。
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MMJ誌に掲載されたLANCETの論文紹介の記事で勉強しました。
HDL cholesterol and residual risk of first cardiovascular events after treatment eith potent statin therapy:an analysis from the JUPITER trial
MMJ 2011 Vol.7 No.1 P24-25
Ridker PM,et al. LANCET 2010;376:333-339.
この研究はJUPITER試験の対象集団から得たデータが用いられました。
研究の目的は、高用量スタチン療法によりLDLコレステロール値がきわめて低い範囲に低下した場合でも、HDLコレステロール値と心血管イベントの関連が維持されるのかどうか、ということの解明です。
■ JUPITER試験の参加者は、糖尿病および心血管疾患の既往がなく、試験開始時のLDLコレステロール値が130mg/dl未満、高感度CRP値が2mg/L以上をしめした成人。■JUPITER試験の主要エンドポイントは、非致死的心筋梗塞、不安定狭心症による入院、動脈血行再建、心血管死。■結論LDLコレステロール値の測定は、初期の心血管リスク評価の一環としては有用であるが、強力なスタチン療法を受けてLDLコレステロールがきわめて定値に達した患者における残存リスクの予測には役立たない。 以下
神戸大学・石田達郎准教授の解説。
■積極的LDL-C低下療法による心血管イベント減少率はいずれの報告においても30%前後であり、残存リスクに対する治療的介入が今後の課題である。
(HDL−C低値も残存リスクに対する治療標的の一つ)
■ HDLは炎症や糖尿病などの病態ではその構成成分が変化し、「dysfunctional=悪玉」となることが報告されている。
HDLの質はHDL−C量では判断できず、HDLの質的変化と心血管イベントとの関係も検討する必要があろう。
■本論文発表直後、欧州心臓病学会(ECS) はプレスリリースにおいて懸念を表明し、1つのサブ解析だけでHDL−C上昇に臨床的な意がないと判断すべきではないと反論している。<私的コメント> 文中に
「ロスバスタチンの投与量が20mg/日と欧米や日本でも使用可能な用量であることなどから大きな話題を呼んだ」
とあります。
さて、この20mg/日は実際にはどうなんでしょうか。
私はほとんどの症例は2.5mgで十分な効果がえられており、せいぜいごく一部で2錠(5mg)を使用します。
そしてスタチン増量を考える前に エゼチミブの併用を考えます。
他の先生方の処方が分かりませんのでコメントをいただけると有り難いのですが。
ロスバスタチンの市販後調査結果が明らかに:日経メディカル オンライン
<関連サイト>
動脈硬化とHDL
http://blog.m3.com/reed/20090129/_HDL
スタチン使用中でのHDL-C低値
http://blog.m3.com/reed/20110114/_HDL-C_
高齢者ではHDL-C値が高い場合にはコレステロール低下薬(スタチン)の効果は期待できない
http://www.m-junkanki.com/topics/topics15h.html
ポスト・スタチン”の最右翼はCETP阻害薬か HDLコレステロール値が2倍に--米研究
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/301941.html
(要パスワード)
■HDLコレステロール値を上昇させる、新しい脂質改善薬の臨床試験結果が、New England Journal of Medicine(NEJM)誌2004年4月8日号に掲載された。
わずか19人を対象とした短期間のパイロット試験だが、8週間の服用でHDLコレステロール値が 2倍になるなど、期待の持てる結果になった。
■今回の臨床試験に使われたのは、脂質代謝で大きな役割を果たしている、コレステロールエステル転送蛋白(CETP)の阻害薬。
CETPには、HDLからコ レステロールエステルを引き抜き、LDLや超低比重リポ蛋白(VLDL)に転送する(中性脂肪と交換する)作用がある。
CETPを阻害すると、HDLコレ ステロールが増え、LDLコレステロールが減ることが期待できる。
■面白いのは、LDLコレステロールやHDLコレステロールの「サブクラス分布」に変化がみられることだ。
作用機序からは当然ともいえるが、HDLコレステロールについては、粒子径が大きいHDL(HDL2)の比率が増えていた。
同様にLDLコレステロールでも、粒子径が小さく、比重が高いLDL(small,denseLDL)が減り、粒子径の大きなLDLが増えていた。
■ただし、CETPを完全に欠損した人(日本人では約1000人に一人と、他の人種より多い)の場合、HDLコレステロール値が高く、HDLの粒子径も大きいが、心疾患リスクはむしろ高いとの報告もある。
つまり、HDL2が増えることが、本当に心疾患予防の方向に働くか否かはまだわからない。
■ 次の課題は、CETP阻害薬によるHDLコレステロール値の増加が、心疾患の予防に結び付くことを、長期間の大規模試験で示すこと。副作用がスタチン並みに少なく、患者の服薬継続率(コンプライアンス)が高いことも必須条件だ。
原著
Effects of an Inhibitor of Cholesteryl Ester Transfer Protein on HDL Cholesterol
N Engl J Med 2004; 350:1505-1515
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa031766
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