この度の東北地方太平洋沖地震により被災されました方々に、心よりお見舞い申し上げます。
犠牲になられた方々、そしてご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。
また、福島第一原発事案(事故)で避難中の方々、そして計画停電中の首都圏の方々にお見舞い申し上げます。
また、被災者支援や原発復旧作業などの災害対策に全力を尽くされている作業員の皆様に敬意を表します。
2009年7月の第39回先進医療専門家会議で、拡張型心筋症に対する「免疫吸着療法」は「不適」と評価されました。
第39回先進医療専門家会議議事録 - 厚生労働省しかし、その後も
慶大や北里研究所病院を中心として研究が進められています。日本医事新報の「
一週一話」のコーナーに、北里大学
北里研究所病院循環器内科の馬場彰泰副部長が「拡張型心筋症の免疫吸着療法」というタイトルで寄稿されています。
日本医事新報 No.4500 2010.7.24 P86-87■拡張型心筋症は、遺伝因子を背景として、ウイルス性心筋炎等が契機となり、遷延する自己免疫異常によって生じると想定されている。抗心筋自己抗体の抗原としては、ミオシン、β1アドレナリン受容体、M2ムスカリン受容体などの報告がある。従来より抗ミオシン抗体は単独では心筋炎は生じないとされていたが、いくつかの心筋抗体(抗トロポニンⅠ抗体、抗β1アドレナリン受容体抗体)は健常マウスもしくはラットに持続投与することで、拡張型心筋症類似の心病変を誘発することが最近になって明らかとなった。■これらの心筋抗体を除去する試みは、約10年以上前から主にドイツで行われており、少なくとも現在までに200例以上の実施例が報告されている。 ■初期の検討では重症心不全例(NYHA 3度以上)に行われたが、治療例の2年生存率は約8割と、それ以外の標準的心不全治療による約6割を上回る予後改善効果も期待されている。■このアフェレシス治療には、血漿交換療法、二重濾過血漿交換療法、免疫吸着療法などがある。現在ドイツや本邦で臨床試験が実施されているのは、このうち免疫吸着療法である。 ■初期の検討では重症心不全例(NYHA 3度以上)に行われたが、治療例の2年生存率は約8割と、それ以外の標準的心不全治療による約6割を上回る予後改善効果も期待されている。
■このアフェレシス治療には、血漿交換療法、二重濾過血漿交換療法、免疫吸着療法などがある。
現在ドイツや本邦で臨床試験が実施されているのは、このうち免疫吸着療法である。 
以下は新聞記事からです。
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血中の原因物質除去
心臓移植でしか助からない重い心臓病患者の症状を、病気の原因物質を除去する治療法で改善させることに、北里研究所病院と慶応義塾大学のチームが成功した。
患者によっては移植を待つ間に人工心臓を装着しなくて済むようになるほか、移植を前提にしない長期温存療法の実現につながる可能性があるという。
鹿児島市で開催する日本心臓病学会で二十七日発表する。
人工透析のように治療治療法を実施したのは北里研病院の馬場彰泰副部長と慶大の吉川勉・助 教授ら。
対象は心臓の筋肉が伸びきって機能不全を起こす「拡張型心筋症」の患者。
同症は病状が進行すると心臓移植が必要になる重い病気で、国内の患者数は約一万七干人。
年間約二干人が死亡している。
心臓移植を必要とする患者の九割がこの病気だ。
同症を巡っては、京都大学の本庶佑特任教授らが2003年、心臓の細胞(心筋細胞)の中にあるたんぱく質を異物として認識してできる抗体によって発症することをマウスで突き止めた。
馬揚副部長らぼヒトでもこうした抗体があり、同症を引き起こしていることを確認。同症患者の六割が該当した。
治療法はまず、腐気の原因となる抗体が血中に含まれている患者を選別。
関節リウマチなどの治療に使う「自已抗体除去法」と呼ぶ方法で、人工透析のように血液から原因抗体を取り除く。
研究チームは心臓移植が必要 な同症患者のうち原因抗体が見つかった三人(女性二人、男性一人でいずれも五十歳代)に治療法を実施。
治療前は心臓から血液を送り出す能力が健康な人の半分以下だったのが、治療後は八割程度と日常生活に支障のないレベルまで回復した。
三カ月程度で原因物質は増えてくるが、再治療で除去できる。
ドイツでも同 様の抗体除去法を約百人の患者に実施。七割の患者で治療効果が認められ、二年以上移植せずに生存している患者がいるという。
画期的な成果
大阪夫学の澤芳樹教授(心臓血管外科)の話(抗体ができている患者だけという)条件が限られるとはいえ、画期的な成果だと言える。
心臓の血液を送り出す能力 が人工心臓を付ける一歩手前の状態から、正常の一歩手前まで回復した効果は大きい。
特に症状が悪化している場合では有効だろう。
心不全を起こしているような重い患者にとって、移植や人工心臓装着の代替治療になるかどうかは現時点では判断できない。
症例数を増やし様々な角度から評価していく必要がある
出典 日経新聞・朝刊 2006.9.25
版権 日経新聞社
【拡張型心筋症—心移植せず治療。臨床研究に注目。抗体取り除く「免疫吸着療法」。効果に慎重意見も】 臓器移植でしか助からないとされる心臓の病気、拡張型心筋症の新しい治療法として「免疫吸着療法」が注目されている。特殊な装置で体内の血液をろ過し、病気の原因を除去する手法だ。まだ、いくつかの医療機関で有効性を確認する臨床研究が始まった段階だが、脳死移植医療が進展しないなか、期待は大きい。
「臓器移植が進まない現実では、何らかの救済策が求められる」。慶応義塾大学の吉川勉・准教授が新たに免疫吸着療法の臨床研究をスタートさせた背景をこう語る。
1997年に施行された臓器移植法のもと国内での心臓移植はこれまで69症例が実施された。 だが、430人が移植の希望を申請しており、実施まで2年は 待つというのが現実。7月には改正臓器移植法が本格的に施行され、本人の意思が不明な場合でも家族が承諾すれば脳死での移植が可能になったが、今後、急速 に心臓移植が増えるとみる専門家は少ない。
◇「移植待ち」の大半
心臓移植が必要になる病気にはいくつかあるが、移植を待つ患者の8〜9割が拡張型心筋症とされる。国内の患者数は約2万人で年間2000人が亡くなる。心臓の筋肉(心筋)に何らかの異常が発生し、血液を全身に送り出す力が弱まってしまう病気だ。
原因が分からず、少しずつ弱まっていく心臓を見守りながら心臓移植を待つケースが多かった。 「ただ、必ずしも原因不明ではなくなってきた」と吉川准教授 は言う。今では遺伝的な要因とウイルス感染や免疫系の異常などが複雑に絡み合っているとみられている。リウマチやアレルギーなどの自己免疫疾患と同じよう に、体を守るはずの免疫系が間違って自分自身を、拡張型心筋症だと心筋を攻撃している可能性がある。
心筋を攻撃する抗体は血液中にある。 血液をろ過して抗体を取り除き、攻撃をなくそうと狙うのが免疫吸着療法だ。ドイツでは90年代から臨床試験が進められ、200例以上実施された。今回国内での臨床研究には慶大病院のほか、国立循環器病研究センターや北里研究所病院など全国8施設が参加し、症状の重い40人の患者を対象に効果を確認する計画だ。
治療は1回あたり血液の液体成分1.5リットルを特殊なろ過装置に通す。1日おきに5回実施する。その後、3ヵ月後にもう一度同じ処置を繰り返す。腎臓病患者の人工透析に近いイメージだ。
2006年に17人を対象に実施された小規模臨床研究では、ある程度の効果があった。 心臓移植を考えていたある男性患者の場合、治療を受けた後は自分の足で歩いて退院でき、その後も日常生活を送れるようになったという。
◇未解明の部分多く
ただ、拡張型心筋症に対する免疫吸着療法には慎重な意見もある。信州大学の池田宇一教授は「まだ本当に何が効いているのかが分からない。“ブラックボックス”が多い」と話す。
血液をろ過すると、抗体以外にも様々な物質が取り除かれる。 もともと抗体が増えていない人でも効果があったという報告もあり、狙った抗体ではなく別の物質がなくなった結果、症状が緩和された可能性もある。
ほかの自己免疫疾患でも抗体を取り除く治療法はあるが、抗体は一度取り除いてもしばらくすると増えるケースが多い。 拡張型心筋症の場合、一度減少した抗体は1年たっても増えないという報告もある一方、処置前の状態に戻ってしまったという報告もある。
信州大学が独自に進めている臨床研究でも8人の患者に試みたところ、「処置後すぐは症状の改善がある程度みられたが、1年以上たった効果については疑問 も残る」(笠井宏樹・信大助教)。 ドイツ以外の欧州各国でも免疫吸着療法が広まらない現状も、何が効いているのか、どんな患者であれば特に効果が期待でき るのか絞り込めない点にあるとみている。
こうした課題を踏まえつつ、池田教授は「多くの症例を比較してどんなタイプの症例に特に有効か手掛かりが見つかればいいだろう」と臨床研究に期待も込める。 免疫系の働きを抑える薬との併用が効果的かもしれないとみる。 出典 日経新聞・夕刊 2010.8.6版権 日経新聞社
<関連サイト>拡張型心筋症|慶應義塾大学病院 KOMPAS人工透析のようなカラムを用いて、拡張型心筋症の患者さんの血清に存在する抗心筋自己抗体の除去を行うことで心機能の改善を認めることが報告されています。
日本では当院においてはじめて臨床応用を行い、現在までに17例(共同研究施設を含む)に治療を行っています。
まだ確立された治療ではありませんが、 拡張型心筋症による治療抵抗性心不全の場合に考慮すべき治療と思われます。
当院が全国の中核施設となって、現在臨床試験を推進中です。 [PDF] 拡張型心筋症による重症心不全に対する免疫吸着療法重症心不全の「免疫吸着療法」を発表:信州大学医学部
拡張型心筋症に対する免疫吸着療法の治験について http://www.kitasato-u.ac.jp/hokken-hp/consultation/guide/diagnosis/circulation/immunoadsorption.html
[PDF] PowerPoint プレゼンテーション
拡張型心筋症に対する「免疫吸着療法」
http://yaplog.jp/hurst/archive/150
拡張型心筋症に新治療
http://blog.m3.com/reed/20101224/1
~心筋症~ 病因解明・治療に新展開
http://blog.m3.com/reed/20100627/2