この度の東北地方太平洋沖地震により被災されました方々に、心よりお見舞い申し上げます。
犠牲になられた方々、そしてご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。
また、福島第一原発事案(事故)で避難中の方々、そして計画停電中の首都圏の方々にお見舞い申し上げます。
また、被災者支援や原発復旧作業などの災害対策に全力を尽くしてみえる皆様に敬意を表します。 テキサス大学サウスウェスタン医療センター(テキサス州ダラス)のJames A. de Lemos博士らは,高感度心筋トロポニンT(cTnT)検査の検査値と左室異常(私的コメント;あまり耳慣れない言葉です。左室壁運動異常または左室機能異常か?)の有病率や全死亡率との関連を検討し,高感度検査法は従来の標準的な検査法より優れるとの研究結果をJAMA(2010; 304: 2503-2512)に発表した。 高感度検査で3,500例強を検討 cTnTは心筋梗塞の診断に用いるバイオマーカーであるが,血中のトロポニン濃度上昇が冠動脈疾患(CAD),心不全,慢性腎臓病などの慢性疾患のマーカーとなるとの認識も広がっている。一部の研究ではトロポニンは無症候性心血管疾患(CVD)の検出に有用で,一般人口におけるCVDリスクを評価する マーカーとなることが示唆されているが,標準的な検査法では検出感度が低いため限界があった。 そこでde Lemos博士らは,高感度cTnT検査法を用いて一般人口の血中cTnT濃度の測定を行い,cTnTの検出率と心臓異常や全死亡率との関連を検討。 2000~02年にダラス心臓研究(Dallas Heart Study)に参加した30~65歳の被験者3,546例を対象に標準検査法と高感度検査法による血中cTnT濃度の測定を行った。 今回の研究では,人種構成は多岐にわたっていた。死亡の有無に関する追跡調査は,2007年まで実施。被験者を血中cTnT濃度に従い5段階のカテゴリーに分類した。心臓の構造と機能は,MRIで評価した。 全死亡リスクと関連 cTnTの検出率(0.003ng/mL以上)は高感度検査法を用いた場合は25%,標準検査法では0.7%であった。検出率は性や人種・民族で大きく異なり,男性の検出率は女性の3倍(37.1%対12.9%),アフリカ系米国人での検出率はヒスパニック系や白人に比べ有意に高かった(34.4%対 25.4%対19.0%)。検出率は加齢に伴い上昇し,30~39歳は14%であったが,60~65歳では57.6%であった。 標準検査法では,最大濃度群の3分の2を検出できなかった。cTnT濃度の段階が上がると高血圧の有病率は27.2%から70.9%へ,糖尿病の有病率 は7.7%から41%へと増加した。左室容積と左室壁厚は高濃度群ほど大きく,左室肥大の有病率は最小濃度群で7.5%,最大濃度群では48.1%であった。自己申告による心不全,CADおよびCVDの有病率は,高濃度群ほど高かった。 6.4年間(中央値)の追跡期間中,151例が死亡した。そのうち62例はCVD死であった。全死亡率は,最小濃度群の1.9%から最大濃度群では 28.4%とcTnT濃度に伴い上昇した。数種の因子で調整した後も,cTnT濃度別カテゴリーは全死亡と独立した関連を示した。 マーカーとしての有用性の検討が必要 de Lemos博士らは「近年,高感度cTnT検査法が開発され,標準的な検査法の検出限界の約10分の1の濃度でも測定できるようになった。過去の研究では,標準検査法で測定したトロポニン濃度と死亡リスクとの関連が明らかにされていたが,今回の研究では,現行の検査法では検出限界未満のトロポニン濃度でも関連が認められた。新しい高感度検査法では慢性心不全やCADの患者のほぼ全例で循環中のcTnTが測定でき,血中cTnT濃度の上昇と心血管死の増加との間に強固な相関が認められた」と述べている。 同博士は,今後は高感度検査法を採用した場合に従来の心血管危険因子をしのぐマーカーとしての有用性が得られるか否かを検討する必要があるとしている。 出典 Medical Tribune 2011.3.10版権 メディカル・トリビューン社高感度心筋トロポニンT
<関連サイト>高感度心筋トロポニンT検査の実力は?出典 NM online 2009.12.2版権 日経BP社http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/kitazawa/200912/513318.html(要パスワード)
■高感度心筋トロポニンTについては、心血管疾患の早期発見に役立つとの結果が蓄積されつつあるようです。以前に行われたランダム化比較試験(RCT)のサブスタ ディーとして、高感度心筋トロポニンT検査の結果と心血管イベントの関連を検討した結果が発表されました■Omland T, de Lemos JA, Sabatine MS, Christophi CA, Murguia Rice M, Jablonski KA, et al. A sensitive cardiac troponin T assay in stable coronary artery disease. New Engl J Med (published online on Nov 25, 2009.) ○この研究は、冠動脈疾患患者を対象に、ACE阻害薬であるトランドラプリルの効果を検討したプラセボ対照二重盲検RCTであるPEACE試験のサブスタディーとして計画されました。今回の研究の対象集団(コホート)は、PEACE試験の参加者の一部です。 ○今回の結果は、過去の研究と基本的に矛盾しておらず、高感度心筋トロポニンT検査でほんのわずかな量を測定することが、心血管イベントの早期発見に役立つ可能性を示しています。○ほんのわずかな(今回の高感度アッセイ系は0.001μg/L以上で測定可能)心筋トロポニンT値を測定することの臨床的意義については、さらに検討する 必要があると思われます。ごくわずかな値を測定することで、患者に余計な不安を与えたり、余計な検査や治療が行われたりする可能性がないとは言えないということも考慮しなければならないと思います。 (私的コメント;以上筆者の北澤京子氏のコメントです)
安定冠動脈疾患における高感度心筋トロポニンTアッセイ
心筋トロポニンTの高感度検査法が糖尿病リスクの検出にも有用
高レベルが心疾患や全死因死亡と関連
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/(循環器専門医向き)ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy(一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~http://wellfrog4.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15http://wellfrog3.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~http://wellfrog2.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/ があります