この度の東北地方太平洋沖地震により被災されました方々に、心よりお見舞い申し上げます。
犠牲になられた方々、そしてご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。
また、福島第一原発事案(事故)で避難中の方々、そして計画停電中の首都圏の方々にお見舞い申し上げます。
また、被災者支援や原発復旧作業などの災害対策に全力を尽くしてみえる皆様に敬意を表します。 米国・ニューオリンズで開催された第60回米国心臓病学会議(ACC)の「Late-Breaking Clinical Trials(LBCTs)」セッションで報告された「PARTNER」で勉強しました。
PARTNER (Placement of Aortic Transcatheter Valves)術適応と判断された高リスクの重度症候性大動脈弁狭窄患者において,TAVI(注)の1年後の生存率は心臓外科手術(大動脈弁置換術)と同等であった。 次世代デバイスを使用するPARTNER IIの実施が決まる。(注) transcatheter aortic valve implantation(経カテーテル的大動脈弁留置術。発表スライドではtranscatheter aortic valve replacement: TAVR) 背景・目的PARTNER試験は,TAVI の安全性,有効性を検証するために,(1)手術不適応例,(2)手術リスクが高いにもかかわらず手術適応と判断された高リスク大動脈弁狭窄例の2つの患者群で実施された試験。手術不適応例の結果は,TAVIは標準治療よりも脳卒中および主要血管イベントのリスクが増大したものの,全死亡,全死亡+再入院, 心症候を有意に抑制したと2010年に発表された。 症候性の重度大動脈弁狭窄患者のうち,加齢や左室機能障害,合併 症のため開胸大動脈弁置換術のリスクが高い患者では大動脈弁置換術(AVR)が行われない。このような高リスク大動脈弁狭窄患者に対する低侵襲性の新治療 法としてTAVIがある(本邦では2010年に高度医療として承認された)。 手術リスクが高いにもかかわらず手術適応と判断された高リスク大動脈弁狭窄患者において,TAVIの有効性をAVRと比較する。 [一次エンドポイント]1年後の全死亡。 <コメント>高リスク大動脈弁狭窄(AS)症例であってもTAVIとAVRの1年後生存率が同等であったことはTAVIにとって朗報であろう。AVRの利点は,脳血管 障害合併症がより少ないこと,術後のARの程度がより軽いこと,主要血管合併症リスクが少ないこと,TAVIが手技的にできない例でも施行可能なこと,があげられる。一方,TAVIの利点は,大出血の頻度が少ないこと,新規心房細動出現が少ないこと,術後のAVAがより広いこと,AVRよりdrop outが少ないこと,女性やCABG既往例では予後が良い可能性があること,ラーニングカーブがあり術技の進歩が予後 改善につながりうること,があげられる。本研究はTAVI時代の確立につながるが,大規模ランダム化試験・長期予後の成果が期待される。 (八尾市立病院 星田四朗先生) 昨今の内科治療の成果は外科的手技による長期予後の改善を困難にしている。重症大動脈弁狭窄症は予後の改善において内科医が外科医に頼らざるを得ない数少ない疾患である。経カテーテル治療法TAVIは長期予後を改善できる手技として注目されている。薬剤の試験は二重盲検にて施行すべきであるが,外科的手術の評価はオープンラベルで行わざるを得ない。TAVIの効果が急性期のみでなく,術後1年まで継続できることを示した本研究のインパクトは大きい。 冠動脈インターベンションは症状を改善できるが予後を改善できない。TAVIは症状,予後ともに改善できるとの意味で画期的治療法であろう。(東海大学医学部内科学系・循環器内科 後藤信哉先生)出典 http://circ.ebm-library.jp/conferences/trial_ACC_2011.html#acc2011PARTNER (対象・結果などについても書かれています) PARTNER手術不適応の大動脈弁狭窄患者において,TAVIは標準治療に比べて平均余命を有意に増加し,獲得生存年あたりの増分費用効果比は一般的な心血管治療の許容範囲内。 手 術不適応例(355例;平均年齢83歳,女性54%)での試験結果(TAVIは標準治療に比べて12ヵ月後の生存率[70% vs 50%]を改善し,再入院[22% vs 44%]を有意に抑制)をうけて,米国の医療制度をもとにTAVIの費用対効果を短期(12ヵ月後),長期(生涯)で検討。
TAVI群の入院費用は$78,540(うち手技関連費用$42,806),12ヵ月の追跡費用はTAVI群のほうが標準治療群よりも$23,372有意に低かったものの,12ヵ月後の総費用はTAVI群のほうが高かった。
12ヵ月後の生存率から推定した長期生存率の解析では,平均余命はTAVI群のほうが1.59年長く,TAVIによる獲得生存年あたりの増分費用効果比は$50,212であった。
心血管以外の費用,デバイスの費用などを除いた感度分析で,結果への影響はわずかであった。 <コメント> 手 術不適応のAS症例に対するTAVI治療は,1年生存を延ばす費用が約50,000ドルであり,費用対効果としては満足できるというのが今回の結果であ る。医療費のかかり方は米国と日本では異なり,獲得生存年と費用効果比のとらえ方もその治療法の身体への侵襲度などにより変わることが想定されるが,日本 では市民権を得ている考えとはいまだ言いがたい。日本の風土にそぐわないかもしれないが,種々の医療費の効率性についての議論を正面切って行う時代が到来 しつつある。 (八尾市立病院 星田四朗先生)出典 http://circ.ebm-library.jp/conferences/trial_ACC_2011.html#acc2011PARTNER2
<PARTNER試験 関連サイト>PARTNER重度大動脈弁狭窄での経カテーテル大動脈弁置換術に劣らず:PARTNERの結果http://therres.jp/1conferences/2011/ACC2011/20110405151510.php■重度大動脈弁狭窄患者において経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)は開胸大動脈弁置換術(AVR)に対し非劣性である。■PARTNER試験は,コホートA(手術高リスク患者)とコホートB(手術が不可能な患者)の2つで構成。今回のコホートAでの検討では,患者をTAVI 群とAVR群に割り付け,1年後の全死亡(一次エンドポイント)や,脳卒中,大血管合併症,大出血,不整脈などの発生率を比較。脳卒中と大血管合併症の発 生率はTAVI群で高かったものの,大出血や不整脈は少なく,一次エンドポイントについては両群間で有意差はなかった。発表者のSmith氏は, 「TAVIはすでに手術不適応患者での標準療法となっているが,この結果により,外科手術高リスク患者に対するAVRの代替療法にもなることが明らかに なった」と結論づけた。 ■なお,PARTNER試験のコホートBでは,TAVIは外科手術以外の標準療法にくらべ,1年後までの死亡率を有意に低下させることが2010年に報告さ れている。今回のLBCT IではコホートBにおけるコスト分析の結果も報告された。TAVI群における入院コストは,医師の診察料を含め78540ドル,フォローアップにかかった コストは1年間で29352ドルであった。一方,対照群では,1年間のフォローアップに52724ドルを要した。 画期的な結果,今後さらなる予後の改善も
––TAVIについてMoliterno氏に聞く
http://therres.jp/1conferences/2011/ACC2011/20110404184622.php <番外編>先日、MSDからリポバスに関する「使用上の注意改訂のお知らせ」が郵送されて来ました。5%以上又は頻度不明の部分の2箇所追加です。
精神神経系:記憶障害(「抑うつ」追加)
その他:心悸亢進、頻脈、テストステロン低下(「勃起不全」追加)
ここで感心(?)したのは60歳代男性にmorning erectionがあること、そして主治医に相談したことです。
スタチン全般にそういったこと(記憶障害、抑うつ、心悸亢進、頻脈、テストステロン低下、勃起不全)があるのかをMSさんを通して卸会社の学術課に問い合わせてみるつもりです。
(リポバスには他に「膵炎」、「光線過敏症」の記載あり)
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/(循環器専門医向き)ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy(一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~http://wellfrog4.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15http://wellfrog3.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~http://wellfrog2.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/ があります