戯れ言たれる侏儒
Profile

ブログ内検索

カレンダー

<< 2012/05 >>
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

新着コメント

新着トラックバック

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

< NAGOYA HEART試験 | メイン | EXCELLENT試験 >

OSCAR-Study

戯れ言たれる侏儒 / 2011.04.09 00:01 / 推薦数 : 1

この度の東北地方太平洋沖地震により被災されました方々に、心よりお見舞い申し上げます。
犠牲になられた方、そしてご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。
また、福島第一原発事案(事故)で避難中の方、そして計画停電中の首都圏の方にお見舞い申し上げます。
また、被災者支援や原発復旧作業などの災害対策に全力を尽くしてみえる皆様に敬意を表します。
 
 「降圧度が同等ならば高用量オルメサルタンによる心血管系予後改善作用は通常用量オルメサルタン+Ca拮抗薬併用を上回る」という仮説のもとに2007年5月に患者登録が完了してスタートした多施設共同研究、大規模試験「OSCAR-Study」の結果が第60回ACCで発表されました。
 
 
高齢者高リスク高血圧対象に高用量ARB vs. ARB+Ca拮抗薬
OSCAR試験,併用療法でイベントリスク低い
熊本大学大学院循環器病態学教授の小川久雄氏は,65歳以上85歳未満の高リスク高血圧患者へのアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)オルメサルタン高用量と,ARBオルメサルタン+長時間作用型Ca拮抗薬(アムロジピンまたはアゼルニジピン)併用の効果を比較したOSCAR試験Olmesartan and Calcium Antagonists Randomized-Studyの結果を第60回米国心臓病学会(第60回ACC;4月2~5日,ニューオリンズ)のLate-Breaking Clinical Trialsで発表した。
その結果,有意ではないもののARBとCa拮抗薬併用群のイベントリスクが高用量ARB群よりも低く,特に心血管疾患既往患者ではその差が有意であった。
 
心血管疾患既往が70%の高齢高リスク患者が対象
OSCAR試験の対象は,心血管疾患,腎障害,2型糖尿病のリスクを1つ以上有する65歳以上85歳未満の高血圧患者。血圧については,単独薬による降圧療法で座位時収縮期血圧(SBP)140mmHg以上もしくは拡張期血圧(DBP)90mmHg以上などが条件とされた。
 
ただし,登録時点の降圧治療を継続すべき患者やニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能クラス分類Ⅲ度以上の心不全や二次性高血圧,がん,重篤な肝・腎障害を有する場合は除外された。
 
PROBE法によるRCTとして行われた同試験には,国内134施設が参加。
1,217人が登録され,基準を満たした1,164人が高用量ARB 群578人とARB+Ca拮抗薬併用群586人に割り付けられた。
試験患者の平均年齢は約74歳で,登録時の平均血圧は158/85mmHg,心血管疾患 既往は約70%,糖尿病患者は54%だった。
プロトコルは,オルメサルタン20mg/日でのランイン期間が設けられ,その後高用量ARB群では40mg/日に増量され,併用群ではCa拮抗薬およびオルメサルタン20mg/日の併用療法が行われた。
併用群でのCa拮抗薬は長時間作用型のアムロジピンまたはアゼルニジピンが使用された。
血圧管理が不良な場合は試験薬以外の薬剤が追加された。
1次評価項目は,脳血管疾患,冠動脈疾患,心不全,他の動脈硬化性疾患,糖尿病性細小血管合併症,総死亡を合わせた複合評価項目と設定された。
 
心血管疾患既往者では併用療法が高用量ARBより有意なリスク低下
36カ月の追跡の結果,血圧は両群とも同等に低下したが,収縮期血圧(SBP)で2.4mmHg,拡張期血圧(DBP)で1.7mmHg,それぞれ併用群が高用量ARB群よりも低下していた。
1次評価項目の発生は,併用群48例に対して高用量ARB群58例で,高用量ARB群のハザード比は 1.31〔95%信頼区間(CI)0.89~1.92〕だったが,有意差はなかった(P=0.1717)。
 
サブグループ解析では,心血管疾患既往患者群でのみ有意差が認められた。
高用量ARB群51例に対して併用群は34例で,ハザード比 1.63(95%CI 1.06~2.52,P=0.02610)だった。
心血管疾患既往がない糖尿病患者では,1次評価項目の発生が高用量ARB群7例に対して併用群14例で 高用量ARB群で低い傾向にあったが,有意差はなかった(ハザード比0.52,95%CI 0.21~1.28,P=0.1445)。
小川氏はOSCAR試験の意義について「高用量ARBとCa拮抗薬との併用をRCTで比較した初めての試験」と述べ,この結果をどのように臨床に適応させていくかという点については「2つの治療法は等しく有効であったが,心血管疾患既往患者ではARBとCa拮抗薬の併用が高用量ARBよりも有効であり,患者の背景リスクを考慮して治療法を決定する必要がある」とまとめた。
              
出典 MT Pro 2011.4.7
版権 メディカル・トリビューン社
 
<私的コメント>
■この試験の特徴の一つに、対象が高齢(65歳以上85歳未満)高リスク患者である、ということです。
ここでいう高リスク患者とは以下の少なくとも1つを有する場合とされます。
「2型糖尿病」「脳血管障害既往(直近6カ月を除く)」「無症候性脳血管障害」「心筋梗塞既往(直近6カ月を除く)」「狭心症またはNYHA分類I〜II度心不全」「左室肥大」「大動脈瘤」「大動脈解離既往(直近6カ月を除く)」「閉塞性末梢動脈疾患(Fontaine分類:2〜4度)」「血清クレアチニン:1.2〜2.5mg/dL(男性)、1.0〜2.5mg/dL(女性)」「尿蛋白(定性:+1以上、定量値:0.3g/g・Cr以上)」。
 
主要評価項目は複合評価項目で「致死的・非致死的心血管系イベント」と「総死亡」。
心血管系イベントの内訳は「脳血管障害」「冠動脈疾患(突然死を含む)」と「心不全」、「その他動脈硬化性疾患」「糖尿病性合併症」と「腎機能の悪化」。
 
■ARBの高用量投与は、糖尿病性腎症や、心不全患者における心血管系疾患の発症予防において、高い予防効果があると指摘されています。
しかし、ARBとCa拮抗薬の併用と比較してどちらが高い効果が得られるのかは明確に分かっていませんでした。
 
■ARBの高用量投与群の方が心血管系疾患の発症予防が高いという予測で始まった試験です。
ITT解析を行った結果は 1次評価項目の発生については両群間に差が見られないというものでした。
降圧度はARBとCa拮抗薬併用群が、ARB高用量群に比べ、有意に大きかった(P<0.05)ことが、高用量ARBの理論上の優位性がキャンセルされてしまったのかも知れません。
このように両群間の血圧値に優位差が出てしまったのがこの試験の不幸(残念)なところともいえます。
 
■「心血管系疾患の既往例」に限定して検討したサブグループ解析の結果、主要評価項目(致死性または非致死的心血管系イベントの複合「脳血管疾患、心血管系疾患、心不全、そのほかアテローム血栓症、糖尿病性微小血管障害、腎疾患」+総死亡)の発生がARB高用量群で有意(P=0.0261)に高い結果となりました。
一方、心血管系疾患の既往がなく糖尿病だけを合併する患者では、主要評価項目の発生が、ARB+Ca拮抗薬と比較しARB高用量群で低い結果(傾向?)となりました(P=0.1445)。
しかし、有意差がないためこれは考察には値しません。
 
■2011.4.12追加
後日オルメサルタンを発売しているK社のMRさんが訪問され、OSCAR試験の話になりました。
その際に「弊社はD社と違って配合剤の取り扱いが出来ないんです」 との言葉。
それを聞いて、「ああ、そうなんだ。どっちに転んでもいい試験だったんだ」と思いました。
しかし、よく考えたらレザルタス配合錠はオルメサルタン+アゼルニジンの合剤です。
私はてっきり今回の Ca拮抗薬をアムロジピンと読み間違えていました。
読み返してみるとCa拮抗薬は「アムロジピンまたはアゼルニジピン」となっています。
ある意味で「巧み」(Ca拮抗薬追加群でいいデータが出てもレザルタス配合錠を推奨できる、という意味において)といえますが、この「アムロジピンまたはアゼルニジピン」というプロトコールの設定は些か微妙ではないでしょうか。
さらに一言。
アムロジピン、アゼルニジピンのそれぞれの解析はされているのでしょうか。
されているとすれば、その結果はどうだったのでしょうか。
 
<関連サイト>
OSCAR: Olmesartan improves outcomes in patients with diabetes
http://www.endocrinetoday.com/view.aspx?rid=82323
■Combination therapy with olmesartan and a calcium channel blocker was associated with similar rates of cardiovascular events and mortality when compared with a high-dose angiotensin II receptor blocker alone in patients with cardiovascular disease.


 
■However, dual therapy appeared inferior to angiotensin II receptor blocker monotherapy in patients with diabetes, according to results of the OSCAR study.
私的コメント;前述のように有意差がない事象のためこの記述は間違っています)

 
■High-dose angiotensin II receptor blockers (ARBs) are more effective than low-dose ARBs for the prevention of CVD in patients with diabetic nephropathy or heart failure; however, the question of whether combination therapy with an ARB plus a calcium channel blocker (CCB) is superior to ARB monotherapy remains unanswered.
私的コメント;この文章表現は、心血管系イベントに関し「併用療法」がARB高用量より有効であるかも知れないというニュアンスになっています) 

 
Compared with monotherapy, combination therapy induced considerably greater decreases in BP, according to the researchers. Mean systolic BP was a mean 2.4 mm Hg lower and mean diastolic BP 1.7 mm Hg lower.
私的コメント;この血圧差は、きっと今後に出されるであろうコメントで問題にされそうです。もし議論されなければ「出来レース」ないしは「人情コメント」の誹りを免れないことになります。今後のコメンテーターの内容が楽しみです。) 
 
■It is interesting to see how different subgroups seem to benefit differently from different antihypertensive medicines.
I think that people really do need to take into consideration the patient’s individual profile before deciding which drugs to use and which combination of antihypertensive treatments because many patients need more than one drug. That’s bottom line.
– Byron Lee, MD
Associate Professor of Medicine
University of California, San Francisco

 


日本医事新報2011.4.9に掲載されていました。
「OSCAR-Study」が某メーカーの期待を集めて行われたスタディであることがわかります。
Medical Tribune誌 2011.4.7 にも見開き2ページのOSCAR-Studyの紹介(広告)がされていました。
http://www.oscar-study.info/
このサイトで早速「コメント」を見ることが出来ます。

熊本大学大学院生命科学研究部 循環器病態学分野
小川 久雄教授
■日本人のCVD既往のあるハイリスク高齢高血圧患者における厳格な降圧、つまり数mmHgの降圧の重要性が示されました。
■ハイリスク高齢者高血圧患者さんに対しては、オルメサルタンをベースとした治療が有用であるということを意味していると考えられました。
私的コメント;Ca拮抗薬単独と比較した試験ではないので「オルメサルタンをベースとした治療が有用」とは言えないのでは。)

日本高血圧協会 荒川 規矩男理事長
■「結論として、ハイリスク高齢高血圧患者においてもARBをベースとして、降圧目標達成のために必要ならCa拮抗薬を併用した降圧治療が有用であることが検証されました。」
私的コメント;「ARBをベースとして」という結論も微妙です。) 
 
熊本大学大学院生命科学研究部 生体機能薬理学分野
光山 勝慶教授

「糖尿病のみを合併している患者においては、オルメサルタン増量(40mg)群でCa拮抗薬併用群よりイベント抑制が示唆されました。」
私的コメント;「抑制が示唆されました」という表現は有意差がなかったためです。この点については「更なる検討の必要性が示唆されました」とも述べられています。) 
ARB+Ca拮抗薬併用群、ARB単独増量群と別にCa拮抗薬単独(増量)群を加えた検討ならどういった結果になったのでしょうか。
以前から、高齢者とCa拮抗薬の相性はいいことが知られていたわけですから。
 
<きょうの一曲> Chopin Prelude n°24
Chopin Prelude n°24 - Yuma Osaki
http://www.youtube.com/watch?v=0CS2bwTw0Jg
24の前奏曲集(プレリュード)
http://www.chopin-web.com/work/prelutde.html
前奏曲 (ショパン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2_%28%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%91%E3%83%B3%29
ショパン : 24のプレリュード(前奏曲集) / 24 Preludes Op.28
http://www.piano.or.jp/enc/dictionary/composer/chopin/002078.html
(楽譜および音源再生あり)
 
大崎結真オフィシャルホームページ
http://www.yumaosaki.com/


<自遊時間>
医療機関は停電対象外に 厚労相、東電に注文 
細川律夫厚生労働相は5日の記者会見で、地域ごとに交代で電気を止める計画停電をめぐる対応について「病院などへの送電停止は例外でお願いしたい」と述べ、冷房需要が増加する夏でも、医療機関は計画停電の対象外とするよう東京電力にあらためて求めた。
厚労省によると、これまでに実施した計画停電では、自家発電により入院患者らに被害が出たケースは報告されていない。
しかし、医療機関が自家発電で賄えたのは医療機器に使う電気のみで、病室などの冷房に回す電気までは確保できない可能性もあるという。
http://community.m3.com/doctor/showNewsArticleDetail.do?boardId=3&boardTopicId=162430&messageListBoardTopicId=162430&newsArticleId=1603957
 
<私的コメント>
この記事を読んで厚労省もなかなかやるわいなと思ってしまった私はお馬鹿さんでした。
「技術的に出来るわけがない」 「厚労省のパフォーマンス」とか、m3.comで散々叩かれていました。
m3.comって賢明な方々の集いの場なんですね。
再認識しました。
 



その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(循環器専門医向き)
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖 
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/  
があります
 
 
 
 
 

固定リンク