戯れ言たれる侏儒
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NAGOYA HEART試験

戯れ言たれる侏儒 / 2011.04.08 00:10 / 推薦数 : 1
この度の東北地方太平洋沖地震により被災されました方々に、心よりお見舞い申し上げます。
犠牲になられた方、そしてご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。
また、福島第一原発事案(事故)で避難中の方、そして計画停電中の首都圏の方にお見舞い申し上げます。
また、被災者支援や原発復旧作業などの災害対策に全力を尽くしてみえる皆様に敬意を表します。
 
 
米国・ニューオリンズで開催された第60回米国心臓病学会議(ACC)の「Late-Breaking Clinical Trials」セッションで報告された「NAGOYA HEART」(2011.4.5)で勉強しました。
「糖尿病合併高血圧患者に対象を絞ったARBの大規模試験」ということが ポイントのようです。
「『日本循環器学会認定施設46施設』で患者登録がなされた」ということも国内的にはアピールできる点かも知れません。
6カ月以内の冠動脈疾患の既往がある患者や左室駆出率(LVEF)<40%、血清クレアチニン≧221μmol/L(2.5mg/dL)の患者などは除外されています。
 
 
糖代謝異常合併高血圧対象にバルサルタン vs. アムロジピン
NAGOYA HEART試験,1次評価項目では両群同等
第60回米国心臓病学会(第60回ACC;4月2~5日,ニューオリンズ)のLate-Breaking Clinical Trialsにおいて,名古屋大学大学院病態内科学教授の室原豊明氏は,糖尿病または耐糖能異常(IGT)を合併する高血圧患者へのアンジオテンシンⅡ受 容体拮抗薬(ARB)バルサルタンとCa拮抗薬アムロジピンの効果を比較検証したNAGOYA HEART試験を発表。
1次評価項目は両群同等であったが,心不全による入院の抑制についてはARB群が有意に優れていた。

PROBE法によるRCT,5因子を考慮して割り付け
NAGOYA HEART試験は,PROBE法によるRCTとして実施された。
対象は2型糖尿病またはIGTを合併する30~75歳の高血圧患者。
国内46施設から1,168人が登録された。
このうち,基準を満たした1,150人に対して割り付けが行われた。
 
年齢,性,喫煙歴,スタチン投与,IGTか2型糖尿病という5因子が均等になるように割り付けが行われ,ARB群(バルサルタン)とCa拮抗薬群 (アムロジピン)それぞれ575人となった。
患者背景は,平均年齢63歳,女性の比率は35%だった。
平均BMIは25で,心血管疾患既往が約25%,脳血管疾患既往は5%程度含まれ両群同等だった。
 
試験における降圧目標は130/80mmHg未満で,プロトコルは以下の通り。
ARB群はバルサルタン80mg/日,Ca拮抗薬群はアムロジピン 5mg/日から開始し,治療目標値に到達しない場合は4週後にそれぞれ160mg/日,10mg/日に増量,それでも達しない場合は両群とも4週後にバル サルタン以外のARBやACE阻害薬が,さらに4週後にはACE阻害薬,ARB,Ca拮抗薬以外の降圧薬が追加された。
両群とも開始前に4週間のランイン期間が設けられた。


心不全による入院はARBが有意に抑制,現行ガイドラインを支持する結果
追跡期間中央値3.2年で,1次評価項目(急性心筋梗塞,脳卒中,血行再建術の施行,うっ血性心不全による入院,心臓突然死からなる複合評価項目)の発症は,ARB群9.4%に対してCa拮抗薬群9.7%で両群同等だった(ハザード比0.97,95%CI 0.66~1.40)。
2次評価項目の総死亡も順に3.8%,2.8%で有意差はなかった。
 
1次評価項目の構成項目のうち,心不全による入院の発生については,ARB群の3例に対してCa拮抗薬群15例とARB群で有意に低下していた(ハザード比0.20,P=0.01)。
副作用については,固形がんを含めて両群とも同等だった。
 
室原氏は,蛋白尿を有する高血圧患者へのARBイルベサルタンとCa拮抗薬アムロジピンの効果を比較したIDNT試験においても,2次評価項目である心血管疾患発症リスクについては両群間で有意差がなかったのに対して,心不全入院についてはARBイルベサルタン群で有意に低下していた点を挙げ,今回の結果もこの試験と同様の傾向であったと分析した。
 
以上の結果から,同氏は「主要な心血管疾患の予防という点で両薬は等しく有効で安全な薬剤と言えるが,心不全の予防と言う観点ではARBが優れており,これは現行のガイドラインを支持する結果だ」とまとめた。
なお,「高血圧治療ガイドライン2009」では,糖尿病を合併する高血圧の治療計画とし て,ARBまたはACE阻害薬が第一選択薬として挙げられており,Ca拮抗薬は利尿薬とともに第二選択薬となっている。
                                               (田中 かおり)
出典 MT Pro 2011.4.7
版権 メディカル・トリビューン社


<私的コメント>
■演者の室原教授は、発症率が想定よりも低かったこと(「慢性心不全による入院は、有意差がみられ、バルサルタン群0.5%(3例)、アムロジピン群2.6%(15例)」)や、PROBE法を用いたことなどから試験に限界 があることは認めてみえます。
しかし、あまり客観的ともいえない、つまり担当医の主観や患者の事情などが入りうる「心不全による入院」を両者で優位差があったと強調されるのはいかがなものでしょうか。
JIKEI HEARTでも、この「心不全による入院」の解釈については問題視されました。
「両者に有意差は見られず」という結論でよいのではないでしょうか。
■JIKEI HEARTでは大学関連病院という単一グループでおこなわれ,しかもPROBE法という担当医が患者がどちらの群に割り当てられたかを知っている方法によって実施されたということが問題点として指摘されました。
の2つの点では NAGOYA HEART試験も同様です。
PROBE法であるが故に「心不全による入院」もどちらかの群を多くすることが出来るかも知れません。
こういったことを書くこと自体、発表者には大変失礼なことは承知しているつもりです。
しかし、
「心不全の予防と言う観点ではARBが優れている」という結論になっていれば、在野(?)の開業医としてはちょっと書きたくなってしまいます。
■HbA1cがvalsartan群で7.0%→6.7%,amlodipine群で6.9%→6.7%となっています。
この低下が有意かどうかは分かりませんが、少なくとも3.2年(中央値)の追跡期間で悪化していません。
通常悪化するような気もするのですが、 糖尿病に対してvalsartanとamlodipineが何らかの好影響を及ぼしているのでしょうか。
はたまた糖尿病治療薬の増量や変更がされているのでしょうか。
■今回の発表では、2型糖尿病性腎症がある高血圧患者を対象に、ARBのイルベサルタンとアムロジピンの効果を直接比較した「IDNT」の結果を提示されたようです。
「血清クレアチニン≧221μmol/Lの患者などが除外された」今回の発表では、対象患者のうち2型糖尿病性腎症はどの程度の割合なのでしょうか。
それを語らずには「IDNT」の結果を引用することは出来ないような気がします。
サブ解析の結果が待たれます。

 

 

<関連サイト>
Two Different Heart Drugs May Work Equally Well for High-Risk Patients
http://health.usnews.com/health-news/diet-fitness/diabetes/articles/2011/04/05/two-different-heart-drugs-may-work-equally-well-for-high-risk-patients
■"For diabetic patients, we might want to use an ARB, but for prediabetic, hypertensive patients, there doesn't seem to be any difference in outcomes between the two groups," said Dr. Suzanne Steinbaum, a preventive cardiologist with Lenox Hill Hospital in New York City.
■Steinbaum added that the information should not be completely new to most cardiologists.
■Research presented at meetings should be considered preliminary until published in a peer-reviewed medical journal.
<私的コメント> 辛口コメントが続きます。
NAGOYA HEART: ARB, calcium antagonist equally effective in patients with diabetes, hypertension
http://www.cardiologytoday.com/view.aspx?rid=82320
■The NAGOYA HEART Study is the first randomized trial comparing the efficacy of an ARB with a calcium antagonist, according to Murohara.
■“Our present paper shows that ARB is superior to a calcium antagonist in HF, and clinical trends already show ACE inhibitors slow [the development of] some of the complications of diabetes,” Murohara said.
私的コメントACE inhibitorsとARBは別物という声が外野席から聞こえそうです)
■“Our study results support the current guidelines recommending ARB and ACE inhibitors for first-line treatment in diabetic patients with hypertension.” 
私的コメント今回の成績から「そこまで言って委員会」と思われます
 
 

<きょうの一曲>

ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2010 - 美しく青きドナウ 1/2
http://www.youtube.com/watch?v=hOm9s7_ZNsQ&feature=related
ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2010 - 美しく青きドナウ 2/2
http://www.youtube.com/watch?v=ATkwPu7Prgo

 
 
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(循環器専門医向き)
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖 
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/  
があります
 
 
 

 

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