この度の東北地方太平洋沖地震により被災されました方々に、心よりお見舞い申し上げます。
犠牲になられた方々、そしてご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。
また、福島第一原発事案(事故)で避難中の方々、そして計画停電中の首都圏の方々にお見舞い申し上げます。
また、被災者支援や原発復旧作業などの災害対策に全力を尽くしてみえる皆様に敬意を表します。 近年、アルドステロンの直接的な臓器障害が注目されています。
選択的アルドステロンブロッカー(SAB)のエプレレノンには、臓器障害の抑制、特に心保護が期待されます。
開業医レベルでは、なかなかその効果を実感することは出来ません。
しかし、2003年に4E-LVHというスタディの結果が論文となりました。
Effects of eplerenone, enalapril, and eplerenone/enalapril in patients with essential hypertension and left ventricular hypertrophy: the 4E-left ventricular hypertrophy study.
Pitt B et al. Circulation. 2003; 108: 1831-8.
以下は、「循環器トライアルベース」のサイトからです。
4E-Left Ventricular Hypertrophy
http://circ.ebm-library.jp/trial/doc/c2001660.html
目的;
左室肥大(LVH)を有する高血圧患者において,LVH退縮効果を選択的アルドステロン拮抗薬eplerenone,ACE阻害薬enalapril,あるいは併用で比較。一次エンドポイントはMRIで評価した9か月後(または試験中止時)の左室重量。
結果;
一次エンドポイントなどの有効性はベースライン/終了時のMRI所見が得られた153例(eplerenone群50例,enalapril群54例,併用群49例)で評価。
一 次エンドポイントである左室重量は平均-14.5g,-19.7g,-27.2gでいずれも有意に減少したが,eplerenone群 vs enalapril群(p=0.258)と,併用群 vs enalapril群(p=0.107)に有意差はみられなかったが,併用群 vs eplerenone単独群では併用群の変化の方が有意に大きかった(p=0.007)。
平均SBP/DBPは3群ともベースライン時に比較して 有意に低下(-23.8/-11.9mmHg,-24.7/-13.4mmHg,-28.7/-14.4mmHg)。併用群でeplerenone群に比 較してSBP低下が有意に大きかった(p=0.048)ことを除いて,治療群間に差はなかった。
有害事象発症率は3群とも同様 (65.6%,70.4%,55.2%)で,重篤であったのは7例,5例,9例であった(ただし試験薬との関連が考えられるのは2例のみ)。
eplerenone群に比較してenalapril群で咳の発症率が有意に高かった[2例 vs 10例(うち2例は投与中止),p=0.033]。eplerenone群ではカリウム値上昇(≧6mEq/L)の頻度が高かった。
結果;
eplerenoneのLVH退縮と降圧効果はenalaprilと同等である。単独投与よりもenalaprilとの併用投与の方が退縮効果がより大きかった。
<関連サイト>
JSH2009から見たエプレレノンの位置付け
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2009/M42230361/(要パスワード)
■JSH2009では,心筋梗塞後と心不全合併高血圧患者においてアルドステロン拮抗薬の追加を推奨しています。
その根拠としては,RALESやEPHESUSの両試験で,心不全患者に対する標準治療にアルドス テロン拮抗薬を併用した結果,有意に生命予後に好影響をもたらせたことが挙げられます。
また,興味深いことにEPHESUS高血圧既往例のサブ解析でも,アルドステロン・ブロックにより心臓突然死の有意な抑制作用が認められています。
■より早期の病態である左室肥大を伴う本態性高血圧患者を対象にした4E-LVHでも,アルドステロン・ブロックによる心肥大退縮が示されています。
■In vitro の検討では,アルドステロンは高食塩存在下で心肥大を進行させ,エプレレノンがその抑制に寄与することが知られており(Yamamuro M, et al: Endocrinology 147: 1314-1321, 2006),食塩摂取が過剰な日本人に対するエプレレノンの有用性が期待されます。
■高齢者高血圧の特徴は血圧変動が激しいことで,それには繊維化が大きく関与することがわかっています。
私たちは平均血圧が高血圧モデルと同等で,繊維化によって血圧変動性を増した血圧変動高血圧モデルを作成して検討を行いました。
このモデルでは心肥大,心筋繊維化の進行が認められましたが,非降圧量の エプレレノンをあらかじめ投与することでそれらが抑制されることがわかりました。
■エプレレノンは,非降圧量で心肥大,心筋繊維化を抑制することが示唆されています。
そのような薬剤は,理想的な拡張不全を伴う高血圧の治療薬になりうる可能性を秘めていると考えます。
(久留米大学・今泉 勉教授)
腎疾患合併高血圧患者におけるアルドステロンのリスクとスピロノラクトンの有用性
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2010/M43470281/ (要パスワード)
■アルドステロンは,腎臓において糸球体硬化症,間質繊維化,蛋白尿にかかわるなど臓器障害を引き起こします。
さらに,このことが左室肥大,心筋繊維化,収縮不全とも関連し,内皮機能障害,炎症,酸化ストレスを介して脳卒中,心不全,腎疾患などを引き起こす要因となります。
■アルドステロンにはゲノム作用と非ゲノム作用がありますが,ここではゲノム作用に焦点を当てます。
アルドステロンはMRに結合し,核内に移行しますが,そこで多くの遺伝子やプロモーターと結合します。
これらの遺伝子の転写によりERKの活性化とNADPHオキシダーゼのアップレギュ レーションが誘発されます。そしてこのERKやNADPHオキシダーゼによってNF-κB,AP-1やスーパーオキサイドが増加し,それに続いて炎症メディエータであるICAM-1,MCP-1,IL-6が誘動されます。
実際,アルドステロンを持続投与した動物モデルの血管周囲には炎症性病変が認められ ますが,副腎の摘出あるいはアルドステロンブロッカーの投与により,こうした炎症性病変が改善することが示されています。
重要なことは,このようなアルドステロンの有害作用が高食塩共存下に見られることです。
■スピロノラクトンには,心不全患者の転帰を改善するという確たるエビデンスがRALES によって示されています。
しかし腎症合併高血圧については,そこまで明確なエビデンスは得られていませんが,RA系の抑制に加えてアルドステ ロンをレセプターで直接ブロックすることで蛋白尿の減少が期待できることが多くの臨床研究によって示されています。
(Department of Internal Medicine, The University of Texas Southwestern Medical Center ・Robert D Toto教授)
セララ®発売1周年記念シンポジウム
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2009/M42060451/■最近,腎臓でNa再吸収を担うと考えられていたMRが全身に存在することが明らかになり,あらためて副腎皮質ホルモンの全身への作用が注目される。さまざまな検討の結果,食塩存在下におけるアルドステロンの有害作用を解くうえで,心筋細胞においてアルドステロンが作用し,細胞内にNa+を流入させるチャネルであるNa+/H+exchager1(NHE1)の重要性が浮き彫りになった。■心筋細胞を培養液の食塩濃度をわずかに上げて2時間静置すると,心筋細胞は脱水を起こして変形するが,あらかじめアルドステロンを添加しておくと脱水が抑制される。すなわちアルドステロンは,細胞外液のNa濃度が上がると細胞内にNa+を流入させて脱水から守るnon-genomicな保護作用(抗細胞脱水作用)を示すことがわかった。この機序にかかわるkey moleculeがNHE1であると考えられる。 ■一方,このような細胞外液のNa濃度が高い状態を72時間継続させると,心筋細胞は著しく肥大化した。すなわち,心筋細胞内にNa+が過剰に流入することによりNHE1が過度に活性化し,Ca2+が上昇して心筋細胞の肥大を招くgenomicな機序が進行することが示唆される。これに対し,あらかじめ培養液にエプレレノンを添加しておくと,心筋細胞の肥大が完全に抑制されることがわかった。 (慈恵医大・吉村 道博教授)

Urabe.A. et al. Hypertens Res 29(8):627,2006出典 日本医事新報 no.4523 2011.1.1
版権 日本医事新報社 
出典 日本医事新報 no.4523 2011.1.1
版権 日本医事新報社<私的コメント>この図では、血圧のコントロール、心筋肥大の抑制、心筋繊維化の抑制のいずれもBNPの抑制(心負荷の改善)となっています。
2年前のセララ発売1周年記念講演(東京)で吉村先生の発表を聴きました。
その際にフロアーから「心筋繊維化は可逆的な変化でしょうか」という質問がありました。
<自遊時間>
某外国企業がいち早く被災者受け入れの行動に出ました。
目・鼻・耳は正しく洗浄
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2011/03/25
(「自遊時間」)
その他「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/(循環器専門医向き)ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy(一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~http://wellfrog4.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15http://wellfrog3.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~http://wellfrog2.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/ があります。