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PARTNER(Placement of Aortic Transcatheter Valves)の記事で勉強しました。
<目的>
症候性の重度大動脈弁狭窄患者のうち,加齢や左室機能障害,合併症のため外科手術のリスクが高い患者では大動脈弁置換術が行われない。このような高リスク 大動脈弁狭窄患者に対する低侵襲性の新治療法として,経カテーテル的大動脈弁留置術(transcatheter aortic valve implantation:TAVI)*がある。
手術不適応,もしくは手術リスクが高いにもかかわらず手術適応と判断された高リスク大動脈弁狭窄患者において,TAVIの有効性を標準治療と比較する。
一次エンドポイントは次の2つ:1年後の全死亡;全死亡+再入院の複合エンドポイント。
本報は手術不適応症例の結果。
* 本邦では2010年に高度医療として承認された。
<デザイン>
無作為割付け,多施設(21施設,うち17施設は米国),intention-to-treat解析。
<期間>
跡期間は1.6年(中央値)。
登録期間は2007年5月11日~2009年3月16日。
<対象患者>
58例。症候性の高リスク*重度大動脈弁狭窄症**で,大動脈弁置換術不適応患者。
* Society of Thoracic Surgeons[STS]スコア≧10%(0~100%で高値ほど手術リスクが高い) ,** 大動脈弁弁口面積<0.8cm2,平均大動脈弁圧較差≧40mmHg,最高大動脈弁通過血流速度≧4.0m/秒
除外基準:二尖または非石灰化大動脈弁,急性心筋梗塞(AMI),血行再建術を要する重度の冠動脈疾患,EF<20%など。
■ 患者背景:平均年齢(TAVI群83.1歳,標準治療群83.2歳),男性(45.8%, 46.9%),STSスコア(11.2, 12.1),NYHA心機能分類III~IV度(92.2%, 93.9%),冠動脈疾患(67.6%, 74.3%),MI既往(18.6%, 26.4%),インターベンション歴(CABG:37.4%, 45.6%;PCI:30.5%, 24.8%;バルーン大動脈弁形成術:16.2%, 24.4%),脳血管疾患(27.4%, 27.5%),末梢血管疾患(30.3%, 25.1%),COPD(41.3%, 52.5%;p=0.04),クレアチニン>2mg/dL(5.6%, 9.6%),心房細動(32.9%, 48.8%;p=0.04),永久ペースメーカー(22.9%, 19.5%),肺高血圧(42.4%, 43.8%),高度石灰化大動脈(19.0%, 11.2%)。
心エコー所見:弁口面積(0.6cm2, 0.6cm2),平均大動脈弁圧較差(44.5mmHg, 43.0mmHg),EF(53.9%, 51.1%),中等症~重症の僧帽弁逆流(22.2%, 23.0%)。
<治療法>
TAVI群(179例)と通常治療群(179例)にランダム化。
TAVI群:ウシ心膜弁とバルーン拡張機能を備えたステンレス製フレームを用いたデバイスを使用。
手技は,全身麻酔下で経食道エコーガイド下にて実施。標準的バルーン大動脈弁形成術により大動脈弁を拡張後,経大腿アプローチにて病変部 に人工弁を留置した。
手技中はheparin,手技後6か月間はaspirinとclopidogrelを投与。
標準治療群:バルーン大動脈弁形成術を中心とする標準治療を実施。
<結果>
中間報告
[手技成績]
TAVI 群:ランダム化からTAVI施行までの時間は6日(中央値)。TAVI非実施は6例で,うち2例は死亡,2 例は経大腿アクセス不成功,2例は弁輪径拡大のため手技断念。手技中~手技後24時間に2例が死亡し,3例が脳卒中を発症したが,緊急心手術を要した症例 はなかった。
標準治療群:実施された手技の内訳は,バルーン大動脈弁形成術63.7%(ランダム化後30日以内);20.1%(30日以降),大動脈弁置換術6.7%,左室心尖部から下行大動脈までの導管+大動脈弁置換術2.8%,試験参加施設外でのTAVI 2.2%。
[一次エンドポイント:全死亡,全死亡+再入院]
全死亡率はTAVI群が標準治療群に比べて有意に低かった(Kaplan-Meier解析:30.7% vs 50.7%:ハザード比0.55;95%信頼区間0.40~0.74, p<0.001)。
全死亡+再入院の複合エンドポイントもTAVI群のほうで有意に抑制された(42.5% vs 71.6%:0.46;0.35~0.59, p<0.001)。
[二次エンドポイント:脳卒中,血管合併症,NYHAクラス,置換弁の機能など]
1年後の生存例におけるNYHA III~IV度の症例は,TAVI群のほうが低かった(25.2% vs 58.0%, p<0.001)。
30日後のmodified Rankinスコア≧2の神経障害を伴う脳卒中(5.0% vs 1.1%, p=0.06),主要血管合併症(16.2% vs 1.1%, p<0.001)はTAVI群の方が多かった。
TAVI実施後の1年間に弁機能の低下(心エコー上の狭窄または逆流)は認められなかった。
<結論>
外科手術不適応の重症大動脈弁狭窄患者において,TAVI群は標準治療群よりも脳卒中および主要血管イベントのリスクが高かったにもかかわらず,全死亡,全死亡+再入院,心症候を有意に抑制した。
<コメント>
成人大動脈弁狭窄症で弁の石灰化が高度な例では,第一選択の治療法は大動脈弁置換術である。
大動脈弁狭窄症での経皮的バルーン大動脈弁形成術は術後早期か ら弁閉鎖不全や再狭窄などを生じ,外科手術より長期予後は不良と考えられている。
PARTNERにおいては,経カテーテル的大動脈弁置換術が検討された。
対象者は平均年齢で83歳と高齢者であったが,生存期間において好成績が得られた。
しかしながら,大動脈弁置換術は80歳台でも十分に行うことができるので,年齢だけが経カテーテル的大動脈弁置換術を選択する理由にはならない。
生存期間のみでなく被験者のQOLや,特に術者のlearning curveは考慮されるべきであろう。 中野 明彦 群馬大学医学部附属病院循環器内科
中村 哲也 群馬大学医学部附属病院臨床試験部
永井 良三 東京大学大学院医学系研究科循環器内科
<出典>
循環器トライアルデーラベース
http://circ.ebm-library.jp/trial/doc/c2003355.html
その他「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/(循環器専門医向き)ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy(一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~http://wellfrog4.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15http://wellfrog3.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~http://wellfrog2.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/ があります。
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