戯れ言たれる侏儒
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< 心血管疾患の臨床試験での女性患者の割合 | メイン | 体外衝撃波と狭心症 >

狭心症 冠動脈造影で狭窄認められない患者多い
さらなる検査で原因究明を

狭心症患者約40万例を対象に実施された米国の研究では,これらの患者のうち冠動脈狭窄を起こしていた患者は3分の1程度で,負荷心電図で虚血の徴候など明らかな異常所見が認められた患者でも,実際に冠動脈狭窄を有していたのは41%にすぎないことが判明した。
ロベルト・ コッホ病院(シュツットガルト)心臓科のAli Yilmaz博士とUdo Sechtem教授は,冠動脈狭窄以外に考えられる狭心症症状の原因についてDeutsche Medizinische Wochenschrift(2010; 135: 1925-1930)で説明した。

 
女性に多いSyndrome X
Yilmaz博士らは,狭心症症状を有しているが,冠動脈造影では狭窄が認められなかった3症例について報告した。
 

最初の症例は,2年前から労作時と安静時に発汗と呼吸困難を伴う左胸部痛を経験していた57歳の女性である。負荷心電図検査ではSTが境界値にまで低下。
補足的にアデノシン負荷心筋パーフュージョンMRIを施行したところ,広範囲に灌流欠損が確認されたが,その後の冠動脈造影では狭窄は認められなかった。
しかし,アセチルコリンを冠動脈内に投与したところ狭心症症状が誘発され,ニトログリセリンの投与により緩徐に寛解した。
 

同博士らは「この症例で最も疑われるのは,微小血管の血流障害である。労作時の症状は冠血流予備能の低下によるもの,安静時の症状は微小血管の攣縮によ るものと説明でき,これらの原因により心筋虚血が誘発されている」と説明。
冠動脈造影で病的所見が認められないからといって,異常がないわけではないと忠 告している。
 

このような症例は,特殊な病態としてSyndrome Xと呼ばれ,女性に多く見られる。
このような病態では誘発負荷試験を行うと症状が誘発される。
危険因子は冠動脈性心疾患(CHD)の場合と類似しており,代表的なものとして高血圧が挙げられる。
<私的コメント>
冠動脈スパスムの有無については書かれていません。
文脈の流れでは正常冠動脈だったのでしょうが。
 
冠攣縮を伴う血流障害
2例目は,安静時に突然,狭心症症状が発現した61歳の女性で,血圧が極めて高かったものの,心筋梗塞は除外された。

エルゴメーターによる検査でST低 下が示されたため冠動脈造影が行われたが,狭窄は認められなかった。
しかし,アセチルコリンの冠動脈内投与後に前壁の血管が不完全閉塞となる攣縮が生じ, ニトログリセリン投与により直ちに消失した。
 

同症例は,冠攣縮を伴う冠動脈の血流障害であった。
このような攣縮は通常,安静時に生じるが,誘発負荷試験でも誘発される。
重要な危険因子は喫煙習慣で ある。Yilmaz博士らは「この症例の場合,アセチルコリンによる誘発負荷試験を実施していなければ,冠攣縮を発見することもなく,エルゴメーター検査 の所見は偽陽性であって心臓には問題がないとされていたかもしれない」と述べ,診断に注意を促している。
ただし,微小血管の機能障害と機能的狭窄を伴う CHDとの判別は必ずしも容易でないことも指摘している。
<私的コメント>
最初の症例を「微小血管の機能障害」と診断したわけですから、「判別は必ずしも容易でない」というコメントもやや不可解です。
機能的狭窄=スパスムなら判別は困難でないような気がします。

パルボウイルスB19感染の場合も
3例目は25歳の男性で,急性の下痢が治まった後に呼吸困難を伴う激しい胸部絞扼感が4時間以上持続していた症例である。

安静時心電図でST上昇が認め られたが,血管造影では冠動脈に異常所見はなかった。
しかし,MRIにより心筋炎が示唆されたため,あらためて心臓カテーテル検査を施行し,アセチルコリンを冠動脈内に投与したところ,冠攣縮が誘発された。
心内膜心筋生検によりパルボウイルスB19感染による心筋炎であることが確認された。
 

Yilmaz博士らは「特に若年男性の心筋炎では心筋酵素値は上昇せず,心筋梗塞に典型的な症候が発現することが多い」と説明。
パルボウイルスB19はとりわけ冠動脈壁に対する親和性が高いようで,感染により攣縮の症状が出現することがあるとしている。
 

同博士らは「以上の症例に見られるように,狭心症症状があり,負荷下で虚血の徴候を示す患者では,冠動脈造影の結果が陰性であっても検査を終了してはならない。多くの場合,アセチルコリンの冠動脈内投与による誘発負荷試験を行うことで原因を突き止めることができる」と強調している。

出典 Medical Tribune 2011.2.3
版権 メディカルトリビューン社


<私的コメント>
パルボウイルスB19感染と冠動脈壁に対する親和性については初耳でした。
しかし最初の2症例は別に目新しい話でもないような気がします。
欧米では、まだまだ冠スパスムという概念が一般的ではないのでしょうか。
以前、 冠スパスムを専門に研究している先生の講演を聴きましたが、その際に「日本での冠スパスムスの研究データはなかなか信じてもらえない。受理して貰うのに苦労する」と話してみえたのが印象的でした。
 

 
 

 
熊谷守一 「夕月」 1962年 SM 
http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2010/10/post_156.html
 
 
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(循環器専門医向き)
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井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
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