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< 急性心不全の臨床試験 | メイン | JCARE-CARD サブ解析 >
兵庫県立尼崎病院循環器内科・佐藤 幸人先生の心不全の治療薬としてのアルドステロン拮抗薬の立ち位置について書かれた記事で勉強しました。
アルドステロン拮抗薬は腎障害がない限り心不全の必須治療薬に
EMPHASIS-HF試験から
研究の背景:比較的重症の心不全での有用性は証明済み,比較的軽症の患者では?
アルドステロン拮抗薬を用いた臨床試験としては,RALES試験(N Engl J Med 1999; 341: 709-717)とEPHESUS試験(N Engl J Med 2003; 348: 1309-1321)が代表的である。
RALES試験では,ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類Ⅲ, Ⅳ度の中等度から重症の心不全患者を対象に,標準治療に対するスピロノラクトンの追加投与が検討され,総死亡と心血管イベントの抑制が認められた。
EPHESUS試験では心筋梗塞後心不全の患者を対象に,エプレレノンが追加投与され,総死亡と心血管イベントの抑制が認められた。
しかし,いずれの試験も比較的重症の患者が含まれており,比較的軽症の心不全患者に対するアルドステロン拮抗薬の追加投与の有用性は明らかでなかった。
EMPHASIS-HF試験では,この点が検討された。
注
同試験は第83回米国心臓協会年次集会(AHA 2010;11月13~17日,シカゴ)でも発表
研究のポイント:「NYHA心機能分類Ⅱ度,LVEF 30%未満」の心不全患者の予後を改善
EMPHASIS-HF試験では55歳以上,NYHA心機能分類Ⅱ度,ただし左室駆出率(LVEF)は30%未満(または30~35%で,心電図QRS幅130msec以上),さらに薬剤はACE阻害薬ARB,β遮断薬を投与している患者が対象とされた。
また,すべての患者は6カ月以内に心血管イベントによる入院歴があるか,入院歴がない患者ではB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)250pg/mL(日本の測定系では150pg/mLくらいに相当)以上か,N末端プロ(NT-pro)BNPが男性500pg/mL,女性750pg/mL以上とした。
除外基準は,急性心筋梗塞患者,NYHA心機能分類ⅢまたはⅣ度の重症患者,血清カリウム(K)値5.0mmol/L以上,推算糸球体濾過量(eGFR)30mL/分/1.73m2未満の腎不全患者であった。
患者はエプレレノン群(1,364例)またはプラセボ群(1,373例)に割り付けられ,エプレレノンはeGRFが30~49mL/分/1.73m2の低腎機能患者では同薬25mg/日隔日投与から4週後に25mg/日へ増量,eGFR 50mL/分/1.73m2以上では25mg/日で開始し,4週後には50mg/日で増量した。
その後4カ月ごとにK値を測定し,5.5~5.9mEq/Lではエプレレノンを減量し,6.0mEq/L以上では中止した。
その結果,観察期間中央値21カ月において,1次エンドポイント(心不全入院+心血管疾患死)発生率はエプレレノン群18.3%,プラセボ群25.9%と,エプレレノン群で37%の有意な減少が認められた〔図;ハザード比0.63,95%信頼区間(CI) 0.54~0.74,P<0.001〕。

総死亡,総入院,心不全入院という2次エンドポイントでも同様にエプレレノン群で有意に抑制された。
副作用として高K血症の発現頻度はエプレレノン群で有意に増加したが,薬剤を中止するほどの高K血症の頻度には両群間で差が認められなかった。
低血圧についても両群間に有意差は認められなかった。
佐藤先生の考察:突然死が少ない傾向も,不整脈抑制作用の現われか
ACE阻害薬,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB),β遮断薬の投与だけでは,血中アルドステロン値が一度は抑制されても,時間経過とともに再上昇するアルドステロンエスケイプ現象またはブレークスルー現象が認められる。
また,アルドステロンは水,ナトリウム貯留を生じ,心臓の線維化や高血圧,心肥大を促進する因子である。
スピロノラクトンやエプレレノンなどの薬剤はミネラロコルチコイド受容体に結合しアルドステロンの作用をブロックして,その作用を発揮する。
エプレレノンの方がミネラロコルチコイド受容体により選択的に結合し,女性化乳房が認められにくい。
今回のEMPHASIS-HF試験により,エプレレノンのACE阻害薬,ARB,β遮断薬への追加投与は中等度の心不全患者の心血管イベントを抑制することが明らかになった。
1イベント/年の1次エンドポイントを抑制するために必要な症例数は19であった。心不全領域ではACE阻害薬,ARB,β遮断薬が必須治療薬という認識だが,今後エプレレノンも腎障害がない限り必須治療薬という認識でよいかもしれない。
なお,EPHESUS試験では心臓突然死の抑制も報告されている。EMPHASIS-HF試験でも有意ではないが,エプレレノン群の方が,突然死が少ない傾向にあった。
従来言われている,抗アルドステロン薬の不整脈抑制作用の現れではないだろうか?
出典 MT pro 2010.11.15
版権 メディカル・トリビューン社
<ある日の講演録「心不全」 その3>
□心エコー法による拡張機能の評価
①左室流入血流速波形(中等度では偽正常化する)
②Valsalva法施行後の左室流入血流速波形
③組織ドプラ法により記録した僧房弁輪の動き
④肺静脈血流速波形
正常→軽度拡張機能障害(弛緩障害型)→中等度拡張機能障害→可逆的拘束型→非可逆的拘束型
(可逆的拘束型、非可逆的拘束型は重度拡張機能障害)
ステージ別の各波形の供覧
(Redfield MM, et al.JAMA 2003;289:194-202)
□弁膜症における心機能は血流と相関する
(YamazakiJ. et al. Cli Nucl Med 21,855,1996)
□ARBによる心肥大の予防と退縮
・マウスの圧負荷モデルでARBが心肥大を抑制
(私的コメント;供覧されたマクロの心筋切片スライドでは心肥大は抑制されず拡大が抑制されたように見えた)
・SHRの左室重量の増加がARBで抑制
Circulation89,1994
Circulation97,1998
Circ Res82,1998
□ARB(ロサルタン)はβ遮断薬(アテノロール)と比較して有意に心肥大を退縮 (LIFE Study)
Cornell Product, Sokolow-Lyon
□心肥大の退縮効果は薬剤により異なる
ARB、ACEI、CCBのいずれもがβ遮断剤にまさる
Am J Med 115; 41,2003
□心疾患を合併する高血圧の治療(JSH2009)
心肥大
持続的かつ十分な降圧
RA系阻害薬/長時間作用型Ca拮抗薬が第一選択
□チアゾリン(PPARγ agonist)はサイトカインを介して多くの細胞に作用する
□PPARγは心肥大の抑制に重要な役割を担っている
<自遊時間>
ジョンレノンの名言
http://www.earth-words.net/human/john-lennon.html
好きに生きたらいいんだよ。
だって、君の人生なんだから。
人生は短い。
だから友だちと争ったり戦ったりする、
暇なんてないんだよ。
ほしいだけの金を儲け、
好きなだけの名声を得て、
それが何の意味も無いことを知ったよ。
希望。
それ自体は幸福の一様態にしか過ぎない。
だけど、ひょっとすると、
現世がもたらし得る、
一番大きな幸福であるかもしれない。
人の言うことなんて気にしちゃだめだよ。
「こうすれば、ああ言われるだろう・・・」
こんなくだらない感情のせいで、
どれだけの人がやりたいこともできずに死んでいくのだろう。
目を開けてるから誤解が生じるんだ。
目を閉じてれば、
生きるなんて楽なことさ。
<きょうの一曲>
Stand By Me / John Lennon
http://www.youtube.com/watch?v=oPL4IIw9M-M&feature=related
他にもブログがあります。
「葦の髄」循環器メモ帖http://yaplog.jp/hurst/
(「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版です)
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
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