戯れ言たれる侏儒
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三重大学放射線科の北川覚也先生による心臓MRI検査のメリットと導入への課題についての解説記事で勉強しました。

 

心臓MRI/形態・機能だけでなく虚血と梗塞も正確に評価
心臓MRIは,心臓の形態や壁運動などの形態学的な情報と,心筋の血流やバイアビリティーといった機能的な情報を一度に得ることができる検査であり,心エコーや核医学,CT検査のすべてを包括できるといっても過言ではない。
診断精度は高く,画像は鮮明,被ばくのリスクもない上,検査費用も割安だ。
だが,その撮像にはある程度の熟練が必要であるため,実施施設は限られている。

他で検出しにくい病変も高精度で検出
心臓MRIは,現段階において心機能と虚血・梗塞を最も正確に評価できる画像診断法である。
その代表的な撮像法は,シネMRIと負荷心筋パーフュージョンMRI,遅延造影MRIの3つだ。

シネMRIとは,その名の通り連続した動画(cine)によって心臓の動きを表示する手法である。
MRI画像は心エコーのように骨や空気の影響を受けないため,細部に至るまで鮮明な画像を得ることができ,壁運動の評価に絶大な効果を発揮する。

一方,負荷心筋パーフュージョンMRIは,薬剤負荷をかけた状態で造影剤をボーラス投与し,その循環の様子を安静時と比較するもので,心筋虚血の有無と虚血範囲の評価に利用される。
これによる冠動脈病変の検出精度は感度約90%,特異度約80%と,心筋SPECTをしのぐ精度が報告されている。
また,冠動脈CTによる表在冠動脈の観察では分からない微小循環異常に起因する虚血についても,パーフュージョンMRIなら検出が可能だ()。

 


なお,投与された造影剤は15分ほどで全身の細胞外液にまんべんなく行き渡るが,正常な心筋組織では細胞内部まで造影剤が浸透することはない。
しかし,梗塞部位では細胞膜が破壊されたことにより心筋細胞内部まで造影剤が入り込むので,単位体積当たりの造影剤量が増加し,この時点でMRIを撮れば,梗塞巣が高信号域として描出される。これが遅延造影である。

また,陳旧性の梗塞部位ではコラーゲンなどの細胞外線維が増殖した状態,すなわち細胞外成分が増加しているため,やはり遅延造影が認められる。
遅延造影MRIでは,CTやSPECTでは検出できない小さな梗塞・線維化病変も明瞭に描出される。

最大の課題は人材の育成
冠動脈疾患の診断において最も重要なことは,その診断に基づく治療が予後の改善につながるかどうかということだ。
この点に関し,冠動脈狭窄の程度は必ずしも実際の虚血の程度と一致せず,虚血の評価なしに血行再建術の要否を計ることは,かえって予後が不良となることが報告されている。
「その不可欠な評価を高いクオリティーで実現できる心臓MRIの価値は高い」と北川氏は言う。

また,優れた診断モダリティの条件は,クオリティーに加えてコスト(経済性)とアクセス(特殊な機器や設備を必要としないこと)の良さを備えていることだが,この点も心臓MRIはクリアしている。

有用な検査であるにもかかわらず,心臓MRIの実施施設は驚くほど少ない。
その理由は,的確な撮像や読影ができる知識と経験を備えた技師や医師の不足にほかならない。
熟練した指導者の下で1カ月も経験を積めば技術は体得できるが,検査件数の少ない施設では人材が育ちにくく,そのため実施施設は限定され,他施設の人が経験を積む機会はますます少なくなるという悪循環に陥っている。

しかし,心臓MRIの有用性が認知されるにつれ,自施設への導入を望む声も増えている。
それに応えるべく,三重大学をはじめとする幾つかの施設では,定期的な講習会を開き,トレーニングの場を提供しているという。「心臓MRIは決してハードルの高い検査ではない。ぜひ臨床の場に取り入れていってほしい」と同氏は訴えた。


MRI(Magnetic resonance image;核磁気共鳴画像検査)について
物質に磁場をかけると,普段はばらばらの方向に回転している原子核の回転軸が一斉に同じ方向を向き(共鳴),磁場を切ると元に戻るが,戻る時間(緩和時間)はその物質を取り巻く環境によって異なる。
例えば,生体組織中の水素原子の緩和時間は,水素を多く含む水や脂肪の分布の違いなどによって異なったものとなる。
この性質を利用し,水素原子の緩和時間の情報から組織の状態を画像化するのがMRIである

出典 Medical Tribune 2010.12.23,30
版権 メディカルトリビューン社

 


<番外編>
心血管疾患の生涯リスクモデル、高リスク者を早期発見、英国調査
一般開業医から収集した非心血管疾患、非スタチン投与患者(30-84歳)のデータに基づき、心血管疾患の生涯リスクモデルを作成・検証する前向きコホート研究を実施。生涯リスクスコアは、10年リスクスコア(QRISK2)で特定されない高リスク者(男性、非白人、若年冠動脈疾患家族歴)の早期発見に有用なことが示された。
原文
Hippisley-Cox J et al. Derivation, validation, and evaluation of a new QRISK model to estimate lifetime risk of cardiovascular disease: cohort study using QResearch database.
BMJ. 2010; 341:c6624
http://www.bmj.com/content/341/bmj.c6624.abstract

出典  m3.com  医療ジャーナルアップデー 2010.12.14


<心臓MRI 関連記事>
~心臓MRI~診断と予後規定因子の把握に有用
(第20回日本心臓核医学会)
出典 MT pro 2010.8.19
■心臓MRIは1回約45分間の検査で,虚血,心機能,心筋性状,さらに冠動脈を評価可能。
■シネMRIは造影剤が不要で,高い空間解像度を有し,再現性に優れる点から心機能評価のゴールドスタンダードとされている。
■心筋血流評価(負荷パーフュージョンMRI)では,造影剤投与後の心筋ファーストパスの動態を,ダイナミックMRを用いて撮影,狭窄部の末梢心筋での造影遅延を解析し虚血領域を同定する。
■ATP負荷パーフュージョンMRIは診断能が高く,虚血の診断後3年間の心血管事故リスクが高い。
心筋性状評価については, T2強調画像や遅延画像を用いる。T2強調画像は心筋浮腫を反映して高信号値を示し,遅延造影やMO(microvascular obstruction)の評価と合わせて心筋障害時期を推定できる。
多枝病変では責任病変の同定に有効とされている。
一方,遅延造影は,SPECTでも描出困難な小梗塞や,出血性梗塞で予後不良とされるMOを描出できることが大きな特徴である。
■遅延造影における梗塞巣の壁内進達度は,慢性期の血行再建術後の左室壁運動改善の規定因子とされている。
■心臓MRAによる冠動脈評価については,冠動脈狭窄に関する陰性的中率が98%と高く,16例MDCTとほぼ同等の診断能を有すると報告されている。
CTで描出困難な高度石灰化病変もMRAでは評価可能という。
■最近では,3テスラMRIや32チャンネルコイルなどの新しい装置が臨床応用された。
3テスラMRI;高磁場のもたらたす高い空間分解能がプラーク評価に期待されている。
32チャンネルコイル;心臓全体の高速撮影を可能にした。現状では,撮影条件に制約があり,ハード面の改良やSAR(RF信号の人体への吸収エネルギー値)低減など課題克服に向けて研究が進められている。

 

~心臓MRIによる冠動脈病変スクリーニング~心臓ドックでの病変発見率0.73%
(第20回日本心血管画像動態学会)
出典 MT pro 2010.2.18
■心臓MRIは,心臓CTに比べ検査時間が長く,画像精度や撮像成功率は劣るが,被曝がなく造影剤が不要な非侵襲的検査であり,石灰化の影響も受けない。
(一方、心臓CTは被曝,造影剤使用,石灰化病変の判読困難など,避けられない問題が存在する)
■被曝がなく造影剤不要の無侵襲検査であるMRIは,健康人の冠動脈病変スクリーニング(心臓ドック)に適した検査である。
■HIP(high intensity plaque)(注)にはCT検査による不安定プラークの特徴(陽性リモデリング,低CT値など)が多く認められること,HIP陽性例でACSの発症が多いことなどが確認されている。
(注)high intensity plaque:プラーク内信号強度/近傍心筋信号強度比(plaque to muscle ratio;PMR)>1.0のプラーク

 

〜心臓MRI/冠動脈MRA〜検査の標準化と教育研修の充実が必要
(第28回日本画像医学会)
出典 MT pro 2009.5.7
■他のモダリティに比べて,虚血性心疾患に対するMRI利用のなじみは薄い。
1.5テスラMR装置による心臓MRI検査数は,推定で200〜300病院3〜4万件程度とSPECT件数の約10分の1にすぎない状況にある。
装置自体の普及率が高いにもかかわらず行われていないのは,検査が複雑なことから,その有用性が十分に知られていないためと言われている。
■32チャネルコイルの登場によりMRAの撮影時間が半減し検査成功率が向上したことで,冠動脈MRAの臨床利用は今後拡大すると考えられる。
■被曝なし・造影剤不要に加えて,高心拍症例でもβ遮断薬の投与なしに診断できる点も大きな魅力である。
■負荷心筋血流MRIも近年の空間解像度の向上により,心内膜下虚血を明瞭に描出可能となっており,最近の欧州の多施設共同研究MR-IMPACT※では負荷心筋SPECTよりも冠動脈多枝病変の診断能が有意に高いという結果が示されている。
■心臓MRIは核医学に比べて2分の1以下の費用のため医療経済的にも好ましい検査と言える。
※Magnetic Resonance Imaging for Myocardial Perfusion Assessment in Coronary Artery Disease Trial


<自遊時間>
今年もきょう1日を残すのみとなりました。
先生方もよい年をお迎え下さい。

 

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機能マーカーとしてのBNP

戯れ言たれる侏儒 / 2010.12.30 00:27 / 推薦数 : 2

自治医科大学さいたま医療センターの百村 伸一副センター長のBNPに関する解説の記事で勉強しました。


心不全診療において脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)測定が急速に普及している。
確かにBNPは心機能の鋭敏なマーカーであり,定量的かつ簡便に測定ができることから,心不全診療における有用性は高い。
しかし,BNP測定を心不全の正確な診断や重症度判定,予後予測に結び付けていくためには,留意すべきことも少なくない。
プライマリケアでBNPを使いこなすために,最低限知っておかなければならない知識とは何か。

##心機能マーカーとしてのBNPをいかに使いこなすか
##診断,重症度判定,予後予測などで幅広い有用性
BNPは1988年にわが国でブタの脳から分離された心臓ホルモン。
ヒトでは心臓(主として心室)から,心負荷による心筋ストレッチ刺激により分泌され,ナトリウム利尿,血管拡張,レニン・アルドステロン(RA)分泌抑制,交感神経抑制,心肥大抑制など心保護に働く。

血漿BNP濃度は,心機能低下に鋭敏に反応し,軽症の心不全のうちから重症度に比例して上昇する。
一方,血漿BNP値に急激な変動を与える要因は少なく,安定性,再現性,定量性,簡便性に優れる。
心機能のバイオマーカーとしてはほかにも種々のものがあるが,「慢性心不全治療ガイドライン」でクラスⅠとされているのはBNPのみである。

血漿BNP濃度は18pg/mLが正常とされ,100pg/mL以上であれば心不全の疑いが出てくる。
では,その間の18~100pg/dLでは,どう判断すればよいのか。
ほかに心不全を疑わせるような症状や検査所見が全くなければ様子を見て,1~3カ月間隔で再検査をし,上昇が認められるなら専門医にコンサルトすることが勧められる。
なお,心不全を疑わせる症状とは労作性息切れやむくみ,最近の体重増などで,検査所見とは胸部X線上の心陰影拡大などである。

以上のようにBNPは極めて安定性の高いバイオマーカーであるが,心房細動があると100pg/mLくらいまで上昇することがある。
弁膜症や心筋症などでもしばしば100pg/mL程度にまで上昇するが,心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患や,頻拍症ではそれほど上昇しない。
また,腎機能低下や加齢でも多少上昇し,肥満では逆に多少低下する傾向のあることも念頭に置いておいた方がよい。

血漿BNP測定は呼吸困難で受診した患者を,心不全によるものか呼吸器疾患によるものかを鑑別する際にも有用である。
最近,血漿BNP値を15分くらいで測定できる迅速キットも導入されたが,これは特に病院の急患室では有用だといえる。
もちろん,プライマリケアの現場でもあれば便利だが,それほど急患が受診することのない実地医家では,従来通りの外注方式でも十分に対応できる。

#BNP値は重症度,予後と相関
血漿BNP値による心不全の重症度判定では,拡張型心筋症,陳旧性心筋梗塞後の心不全においてニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類とBNP値が相関することが報告されている(Mukoyama M, et al. J Clin Invest 1991; 87: 1402-1412)。

また,心不全の予後予測に関しては,入院を要した心不全患者の退院時のBNP値が高いほど予後が不良であるといった多くの報告が行われている。
わが国でも,例えば蔦本らは,無症候性ないし軽症心不全患者290例をBNPの中央値56pg/mLで層別化して経過を追うと,BNP 56pg/mL未満群145例の死亡は2例(1%/3年)であったのに対して,BNP 56pg/mL超群145例の死亡は22例(15%/3年)と,明らかに後者で予後が不良であったと報告している(Tsutamoto T, et al. Eur Heart J 1999; 20: 1799,図1)。


血漿BNP濃度は,心不全の治療効果判定にも有用である。
ただし,利尿薬投与では心負荷が軽減される結果,心不全の改善効果以上にBNP値が低下することがあり,また,逆にβ遮断薬導入直後にはBNP値が上昇することなども報告されている。
したがって,BNP値のみで治療効果を判定するのは慎重であるべきだろう。

STRTS-BNP試験では駆出率(EF)45%未満の慢性心不全患者220例を標準治療群とBNP値ガイド治療群(目標BNP値100pg/mL未満)に分けて効果を検討したところ,BNP値ガイド治療群で心不全死,心不全入院の減少が認められたという(Joudain P, et al. J Am Coll Cardiol 2007; 49: 1733-1739)。
BNP値ガイド治療群では,経過の観察が緻密になった結果,ACE阻害薬,β遮断薬が有意に多く処方されており,これが奏効したものと考えられる。
しかし,最近のTIME-CHF試験では,BNP値ガイド治療群ではACE阻害薬,β遮断薬の処方は有意に多かったが,生存率,非入院期間には両群間で有意差は認められていない(Pfistere M, et al. JAMA 2009; 301: 383-392)。
これらの結果を踏まえると,BNP値ガイド下治療が心不全患者の予後を有意に改善するかどうかについては,さらなる検討が必要といえよう。


#拡張機能低下型心不全の診断にも有用
近年,左室収縮機能正常な左室拡張機能低下型の心不全の存在が指摘され,心不全の30~40%を占めると報告されている。
拡張機能低下型心不全の最大の問題点は予後改善のための治療戦略が確立していないことで,収縮機能低下型では有用なACE阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)も,拡張機能低下型での有用性は明確でない。
β遮断薬やCa拮抗薬,それにアルドステロン拮抗薬で予後改善が得られるかどうか現在,臨床試験が行われている最中であり,その結果が待たれる。

拡張機能低下型心不全は女性,高齢者,高血圧既往者,糖尿病合併者などに多いとされているが,胸部X線や心エコーなどでは診断がつきにくい。
Lubinenらは,拡張機能低下型心不全患者のBNP値を測定し,その受動者動作特性(ROC)分析を行った結果,BNP測定が拡張機能低下型心不全患者の診断にも有用である可能性が示唆されたと報告している(Lubinen E, et al. Circulation 2002; 105: 595,図2)。
今後,さらに詳細な検討を重ねることで臨床応用が広がればと期待される。


心不全は患者数も多く,もはやコモン・ディジーズといえる。
そして,その管理が医療だけでなく社会的にも大きな問題となってきているが,これを克服する道はプライマリケア医と循環器専門医が協力し合って,病診連携を進めていくこと以外にはない。
そのためにもBNP測定の意義がプライマリケア医によく理解され,BNP測定がさらに普及していくことが望まれる。


#NT-proBNPとは?
心室に負荷がかかると,BNPの前駆体であるpro-BNPが産生され,これが蛋白分解酵素により生理活性を持つBNPと持たないNT-proBNPに分解される。
BNPとNT-proBNPの相関性は高いとされ,2007年からはNT-proBNP測定にも保険償還が認められているが,わが国ではBNP測定を行う施設が多いようである。


#SUMMARY
BNPは安定性,再現性の高いバイオマーカーだが,心房細動,弁膜症,心筋症などや腎機能低下,加齢では低下し,肥満では上昇する傾向がある
BNP値測定は呼吸困難を呈している患者を,心不全によるものか呼吸器疾患によるものか鑑別する際にも有用である
BNP値は心不全の重症度,予後と相関することが示されている。また,治療効果判定にも有用との報告もあるが,BNP値だけで判定することは慎重であるべきである
心不全の30~40%を占めるといわれる拡張機能低下型心不全の診断においてもBNP値測定の有用性が示唆されている


<番外編>
##アスピリン常用、癌死亡リスク低下
平均4年以上アスピリンを投与した無作為化試験の患者データを用いて、アスピリン常用と癌死亡リスクの関連を検討。
20年間の癌死亡リスクは対照群に比べアスピリン群で有意に低く(全固形癌でハザード比0.80、消化管癌で同0.65)、投与期間が7.5年以上の場合にベネフィットが増加した(全固形癌で同0.69、消化管癌で同0.41)。
出典  m3.com  医療ジャーナルアップデート 2010.12.9
原文
Effect of daily aspirin on long-term risk of death due to cancer: analysis of individual patient data from randomised trials
Lancet. Early Online Publication, 7 December 2010
Rothwell PM et al.
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(10)62110-1/abstract


 

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心筋トロポニンT

戯れ言たれる侏儒 / 2010.12.29 00:58 / 推薦数 : 0

##心筋トロポニンT高値、左室肥大や慢性腎臓病リスク上昇
30-65歳の一般集団3546人を対象に、高感度アッセイによる心筋トロポニンT(cTnT)測定値と構造的心疾患・死亡の関連をコホート研究で調査。cTnT低値(0.003ng/mL未満)に比べcTnT高値(0.014ng/mL以上)で左室肥大・左室収縮機能障害・慢性腎臓病の有病率および全死亡率の上昇が見られた。
原文
Association of Troponin T Detected With a Highly Sensitive Assay and Cardiac Structure and Mortality Risk in the General Population
JAMA. 2010;304(22):2503-2512
de Lemos JA et al.
http://www.m3.com/news/THESIS/2010/12/10/10907/
出典  m3.com  医療ジャーナルアップデート 2010.12.10
##心筋トロポニンT、50%を超える増加で心血管死リスク上昇
心不全の既往のない高齢者4221人を対象に、高感度アッセイによる心筋トロポニンT(cTnT)測定値と心不全・心血管死リスクの関連を縦断的コホート研究で調査。cTnTのベースラインからの変化が50%以下の場合に比べ、50%を上回る増加で心不全(調整ハザード比1.61)および心血管死(同1.65)のリスクが上昇した。
http://www.m3.com/news/THESIS/2010/12/10/10906/
原文
Association of Serial Measures of Cardiac Troponin T Using a Sensitive Assay With Incident Heart Failure and Cardiovascular Mortality in Older Adults
JAMA. 2010;304(22):2494-2502
deFilippi CR et al.
http://jama.ama-assn.org/content/304/22/2494.abstract
出典  m3.com  医療ジャーナルアップデート 2010.12.10
<心筋トロポニンT 関連サイト>
#~高感度トロポニンT測定~
2型糖尿病患者の心血管疾患スクリーニングに有用
出典 Medical Tribune 2010.10.28
版権 メディカルトリビューン社
■心筋トロポニンTは,心筋特異性が高く,異常値を示す期間も長いため,既存のマーカーでは診断不能な心筋障害を検出できる。
ただし,従来の心筋トロポニンT測定系は検出感度が低いことから,急性冠症候群(ACS)の診療以外ではほとんど用いられていないのが現状である。

■上述のように,検出感度が低いことからその使用は限られていたが,2009年7月,検出感度が5倍以上改善されたトロポニンTの高感度測定系が臨床導入された。
藤田保健衛生大学臨床検査科の石井潤一教授,内分泌・代謝内科の伊藤光泰教授と鈴木敦詞准教授は,同測定法が2型糖尿病患者における心血管疾患のスクリーニングに有用である可能性を示唆した。

■石井教授らは昨年の米国臨床化学会議(AACC)で,住民検診受診者のうち高感度トロポニンT上昇例では心血管疾患リスクが高いことを報告している。

■全症例での高感度トロポニンT値の平均は0.007ng/mL。
同値は,心血管疾患治療歴のない群に比べてある群の方が有意に高かった。

■高感度トロポニンT上昇(0.014ng/mL超)群では非上昇群に比べて,N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP),高感度C反応性蛋白(hsCRP),シスタチンC,尿中アルブミンがいずれも有意に高値を示し,心血管疾患治療歴の割合も有意に高かった。

■ロジスティック多変量解析により高感度トロポニンT上昇の規定因子を検討したところ,NT-proBNP,シスタチンCが独立した有意な規定因子として抽出された。

■結論
高感度トロポニンT上昇例では心血管関連マーカーの有意な上昇が認められ,心血管疾患の治療歴も有意に高率であった。
従って,高感度トロポニンTの測定は2型糖尿病患者の心血管疾患スクリーニングに有用である。


#急性心不全患者のリスク評価に心筋トロポニン値測定が有用
出典 MT pro 2008.5.22
版権 メディカルトリビューン社
■血中心筋トロポニン測定は現在,急性心筋梗塞の標準的な診断法であり,欧米のバイオマーカーガイドラインでもclass I,エビデンスレベルAである(Circulation 2007; 115: e356-e375)。
近年はその感度の高さから心不全患者での微小心筋障害も検出できるとされ(Circulation 2007; 116: e99-e109),慢性心不全患者を対象にしたアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)バルサルタンの多施設試験であるVal-HeFT(Varsartan Heart Failure Trial)では,B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)と独立した予後予測指標であることが報告されていた(Circulation 2007; 116: 1242-1249)。

■ADHERE(急性心不全の大規模レジストリー;Acute Decompensated Heart Failure National Registry)において入院時トロポニンが測定されている8万4,872例のうち,トロポニン値は腎機能にも影響を受けるため(Circulation 2005; 112: 3088-3096),クレアチニン値2.0mg/dL以下であった6万7,924例を対象に,院内予後との相関を検討した。
カットオフ値として,心筋トロポニンI(cTnI) 1.0ng/mL以上,心筋トロポニンT(cTnT) 0.1ng/mL以上を異常と考えた場合,4,240例(6.2%)の患者においてcTnIまたはcTnTが陽性であり,陽性患者では陰性患者よりも入院時収縮期血圧が低く,院内死亡率は有意に高率であった(8.0% vs. 2.7%, P<0.0001)。
また,既知の急性心不全の危険因子である収縮期低血圧,腎機能低下で補正した後も有意な予後予測指標であった。
心筋トロポニン値にカットオフ値を設定せずに連続変数として検討した場合,心筋トロポニン値の上昇の程度と院内死亡率には相関が認められた。

■本試験により,心筋トロポニン値測定は,慢性心不全患者のみならず,急性心不全患者でも強い予後予測指標であることが明らかにされたことになる(ただし院内予後であるが)。
著者であるPeacockらは,急性心不全患者のトリアージのために全員に対してトロポニンを測定することを提唱している。
現在,慢性心不全におけるバイオマーカーガイドラインでのトロポニン測定はclass IIb,エビデンスレベルBであるが(Circulation 2007; 116: e99-e109),本論文と同じ号のN Engl J Med(2008; 358: 2148-2159)にBraunwaldが「総論:心不全におけるバイオマーカー」で述べているように,今後,心不全患者のリスク評価にトロポニン測定が標準検査となる可能性は高いと思われる。


#高感度心筋トロポニンTの実力
http://blog.m3.com/reed/20091204/_T_


 

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##時々大量飲酒する男性の冠イベントリスクは高い
定期的に適度な飲酒をする男性の約2倍
飲酒パターンが違えば、虚血性心疾患のリスクも違ってくるのではないか。
そう考えた仏Toulouse大学のJean-Bernard Ruidavets氏らが前向きコホート研究のデータを分析した結果、時々大量飲酒する男性の冠イベントリスクは、定期的に適度な飲酒を続ける人々の約2倍であることが明らかになった。
非飲酒者の冠イベントリスクも、定期的飲酒者の約2倍だった。
論文は、BMJ誌2010年11月27日号に掲載された。

米CDC(疾病対策センター)は先頃、米国では、毎年7万9000人が過剰な飲酒によって死亡していると報告した。
一方で、適度の飲酒は虚血性心疾患のリスクを下げるという報告が複数ある。
また、アルコール飲料の種類と虚血性心疾患リスクの関係については、いまだ議論があった。

著者らは、これまでほとんど知られていなかった、飲酒パターンが虚血性心疾患に与える影響を明らかにしようと考えた。
分析対象に選んだのは、PRIME(Prospective Epidemiological Study of Myocardial Infarction)試験に参加した、北アイルランドとフランスに住む男性だ。
両国とも世界で最も飲酒量の多い国に分類されるが、飲酒習慣は対照的で、北アイルランドでは週末に大量飲酒する傾向が強く、飲むアルコールは主にビール。
一方、フランス人は、日常的に適度のアルコールを摂取し、選ぶのはワインという傾向を示す。
また、北アイルランドの虚血性心疾患の罹患率はフランスより高く、心筋梗塞は2倍、冠疾患死亡は3倍との報告があった。
著者らは、リスクの差の一部は飲酒パターンの違いに起因するのではないかと考えた。

PRIMEには北アイルランドの1施設(Belfast)とフランスの3施設(Lille、Strasbourg、Toulouse)が参加。
この試験に91〜94年に登録された、50〜59歳で虚血性心疾患のない男性9778人の情報を得た。
これらの男性は、登録時に質問票を用いた調査を受けていた。
職業、学歴や本人と家族の医療歴、喫煙歴、使用している薬剤、身体活動などと共に、1週間の飲酒量(どんなアルコール飲料をどれだけ飲むか)、大量飲酒(週1回以上50g超のアルコールを摂取)の有無、定期的飲酒(週に1回以上飲酒し、飲酒量は1回につき50g未満)の有無や、よく飲むアルコール飲料の種類などについて調査した。
身長、体重、血圧、血中脂質量などの測定も行った。

飲酒パターンに基づいて、登録男性を非飲酒、禁酒(過去に飲酒)、定期的に飲酒、大量飲酒の4群に分けた。

10年間の追跡中に発生したすべての冠イベントを前向きに検出した。
主要アウトカム評価指標は、冠イベント(心筋梗塞と冠疾患死亡)と狭心症に設定し、飲酒の関係は、ベースラインの患者特性で調整し、Cox比例ハザード解析を行って評価した。

北アイルランドの男性2405人とフランスの男性7373人を分析した。

週1回以上飲酒すると回答した男性はそれぞれ1456人(60.5%)と6679人(90.6%)。
これらを大量飲酒者とそれ以外の定期的飲酒者に分けると、北アイルランドではそれぞれ227人(9.4%)と1229人(51.1%)、フランスでは33人(0.5%)と6646人(90.1%)になった。
毎日飲酒する男性は北アイルランドが173人(12%)、フランスが5008人(75%)で、両国の飲酒習慣には大きな違いが見られた。

北アイルランドの男性は金曜日と土曜日に飲酒する割合が高く、主に摂取するアルコール飲料(複数回答)はビール(75.5%)、スピリッツ(61.3%)で、ワインは少数派だった(27.4%)。

一方フランスでは、主に摂取するアルコール飲料はワイン(91.8%)と回答した男性が最も多かった。

大量飲酒者の1週間の平均アルコール摂取量は、北アイルランドが122.7g、フランスは69.8g。
それ以外の定期的飲酒者ではそれぞれ281.7gと254.6gだった。

虚血性心イベントを経験したのは9778人中683人(7.0%)。
内訳は、322人(3.3%)が冠イベント(北アイルランド集団では127人〔5.3%〕、フランス集団では195人〔2.6%〕)、361人(3.7%)が狭心症(北アイルランド集団では120人〔5.0%〕、フランス集団では241人〔3.3%〕)だった。

冠イベントの1000人-年当たりの罹患率は、北アイルランドが5.63(95%信頼区間4.69-6.69)、フランスが2.78(2.41-3.20)、狭心症の罹患率は、5.46(4.53-6.54)と3.49(3.06-3.96)だった。

登録者すべてを対象に、心血管危険因子や施設の違いなどで多変量調整を行い、大量飲酒はしない定期的飲酒者と比較した冠イベントのハザード比を求めたところ、大量飲酒者が1.97(1.21-3.22)、非飲酒者は2.03(1.41-2.94)、禁酒者では1.57(1.11-2.21)と、いずれも有意なリスク上昇を示した。

狭心症と飲酒の間には有意な関係は見られなかった。

フランスの集団と比較した北アイルランドの人々の冠イベントの未調整ハザード比は1.76(1.37-2.67)だったが、飲酒パターンとワイン摂取で調整すると差は有意でなくなった(1.09、0.79-1.50)。

どちらの国でも、ワインの摂取のみが冠イベントリスク低減と有意な関係を示した。
ワインを飲まない人々と比較したハザード比は、北アイルランドが0.39(0.16-0.93)、フランスが0.59(0.37-0.95)。
ビール、その他のアルコールは有意なリスク低減をもたらしていなかった。

定期的な適度の飲酒というのはフランスの中年男性に典型的な飲酒パターンだ。
これが冠イベントリスクを低減すること、反対に、大量飲酒はリスクを高めることが明らかになった。

原文
Patterns of alcohol consumption and ischaemic heart disease in culturally divergent countries: the Prospective Epidemiological Study of Myocardial Infarction (PRIME)
BMJ 2010; 341:c6077
Jean-Bernard Ruidavets, et al.
http://www.bmj.com/content/341/bmj.c6077.full

<私的コメント その1>
「非飲酒者の冠イベントリスクも、定期的飲酒者の約2倍」ということはということはJカーブがみられるということのようです。
コーカソイド(白人)・ネグロイド(黒人)・オーストラロイド(オーストラリア原住民等)は全てGGタイプ(酒に強いタイプ)ということですからAGタイプ(酒に弱いタイプ)・AAタイプ(酒が飲めないタイプ)が多いモンゴロイドの日本人には参考にならない論文かも知れません。

<私的コメント その2>
私事で恐縮です。
私も週3回アルコール解禁。
4日は禁酒です。
しかし飲酒日は我慢した自分へのご褒美、翌日は飲めないという飲み溜め(?)、女房公認ということが重なって毎回飲み過ぎになってしまいます。
まさしくこの論文の飲み方です。
これからは飲み方も考え直さなければなりません。
真偽のほどは分かりませんが、以前読んだ論文にこんなのがありました。
「休肝日を設けるのは却って良くない。何故ならアセトアルデヒド脱水素酵素ALDHの活性が低下してしまう」というものです。
しかし、この論文は今となっては残念ながら見つかりませんでした。

見つかったのはこんな研究発表でした。

#休肝日ないと死亡リスク増 2日以下は1.8倍
http://www.47news.jp/CN/200704/CN2007040601000412.html
■酒を全く飲まない「休肝日」が週に2日以下と少ない男性は、3日以上ある人に比べて死亡リスクが最大で1.8倍高いとの疫学調査結果を、厚労省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)が発表した。  

■日本酒に換算して週に13合以上と酒量が多い人は特にリスクが高かった。
研究班の丸亀知美国立がんセンター研究員は「こうした人はまず休肝日を作り、次に酒量を日に1〜2合程度にまで減らすよう心掛けて」と呼び掛けている。  

<参考>
アセトアルデヒド脱水素酵素
http://ja.wikipedia.org/wiki/アセトアルデヒド脱水素酵素
■ALDHの遺伝子多型は生まれつきの体質であるが人種によってその出現率は異なり、AGタイプ(酒に弱いタイプ)・AAタイプ(酒が飲めないタイプ)はモンゴロイドにのみ、それぞれ約45%、約5%認められる。 これに対しコーカソイド(白人)・ネグロイド(黒人)・オーストラロイド(オーストラリア原住民等)は全てGGタイプ(酒に強いタイプ)である。

■筑波大学の原田勝二らは、ALDHのひとつALDH2を作る遺伝子によって酒の強さが体質的に異なるとされることに注目して、全都道府県の5255人を対象に、酒に強いとされる遺伝子の型NN型を持つ人の割合を調査、順位づけた。
その結果、NN型の人は中部、近畿、北陸で少なく、東西に向かうにつれて増加、九州と東北で多くなる傾向があった。
すなわち、秋田県が最多で77%、鹿児島県と岩手県が71%でこれに続き、最小は三重県の40%、次に少ないのは愛知県の41%であった。


 
<番外編>
#9歳時以降の危険因子評価が成人期の心血管疾患を予測
小児期における心血管リスクファクター(危険因子)評価は、9歳以上の小児において実施しない限り、成人期の心血管疾患に対する予測能を有しないとの研究論文が、「Circulation」オンライン版11月29日号に掲載された。

フィンランド、トゥルクTurku大学のMarkus Juonala氏らは、プロスペクティブ(前向き)4コホートの被験者4,380人から、小児期(3-18歳)の心血管リスクファクターデータおよび成人期(20-45歳)の頸動脈内膜中膜厚(IMT)測定結果を含むデータを収集した。
本研究の目的は、小児期のリスクファクターと成人頸動脈IMTの関係に対する小児期年齢の影響を判定することであった。

その結果、9、12、15、18歳時で評価した総コレステロール、トリグリセリド、血圧、ボディー・マス・インデックス(BMI)などのリスクファクター数の増加は、IMT高値に対する予測因子であった。
3歳時および6歳時におけるリスクファクターの関連は弱く、有意ではなかった。

著者らは「4件の縦断的コホート研究の分析結果から、小児期のリスクファクターと頸動脈IMTの関係の強さは、小児期の年齢に依存することが示された。これらのデータに基づくと、9歳時以降のリスクファクター測定評価結果は、成人期のサブクリニカル(不顕性)なアテローム性動脈硬化症に対する予測因子となる」と結論している。

出典 HealthDay News 2010.11.30
原文
Influence of Age on Associations Between Childhood Risk Factors and Carotid Intima-Media Thickness in Adulthood
http://circ.ahajournals.org/cgi/content/abstract/CIRCULATIONAHA.110.966465v1

 

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東京大学大学院糖尿病・代謝内科の門脇孝教授と産業医科大学第一内科の岡田洋右講師がADDITION試験の厳格治療群における脂質介入基準の妥当性について解説した記事で勉強しました。

 

糖尿病への多因子介入の在り方
ADDITIONの脂質介入基準は妥当か
糖尿病における多因子介入の効果を検討する試験成績の報告が相次いでいる。
欧州糖尿病学会で発表されたADDITIONについては成績にも増して脂質介入基準に関する反響が大きかった。
同試験の厳格治療群における脂質介入基準は「血清総コレステロール(TC)135mg/dL以上でスタチン投与」というものであるが,わが国の脂質異常症の診断基準ではTC 135mg/dLは正常範囲である※1

スタチン=心血管イベント抑制の基本薬
スタチンは脂質低下作用とは独立して抗炎症作用などの多面的効果(pleiotropic effects)を有しており,これが心血管イベント抑制効果につながることが知られている。
欧米では心血管イベント発生リスクの高い患者に対しては,脂質レベルに関係なくスタチンを基本薬として投与されてきている。
門脇教授は「TCが135mg/dL以上でスタチン投与というADDITIONの介入基準は早すぎるということはなく,むしろ今後はわが国でも,より早期のスタチン投与が推奨されるような方向に向かうであろう」と述べた。

相対リスク17%低減の結果も意義深い
糖尿病への多因子介入が心血管イベント抑制に有用なことはSteno-2をはじめ多くの試験成績から示されている。
したがって,「単因子より多因子介入が望ましいことは,もはや糖尿病治療における世界的コンセンサスといえる」と門脇教授はまず,多因子介入の意義を強調した。

ADDITIONの厳格群における脂質への介入基準に関して,試験グループは「スタチンの脂質低下作用に加えて抗炎症作用に期待したもので,冠動脈疾患高リスク例へのスタチン投与により脂質レベルに関係なくリスク低下効果が示されたHPS※2の成績がその根拠になっている」とコメントする。
「欧米ではスタチンの抗炎症作用に期待し,脂質低下作用だけでなく心血管イベント抑制の基本薬としてスタチンを処方するようになってきている」と介入基準を支持した。
また,同教授は「脂質に関しては“the lower the better”で,どこまで低下させれば逆効果といったエビデンスはない」とし,「脂質低下によるさらなる効果を期待するという観点からしても,TCが135mg/dL以上でスタチン投与という基準はことさら奇異に思うには当たらない」と付け加えた。

ADDITIONでの主要評価項目である複合心血管イベント発生率は,有意差はないものの厳格群で少なかった。
これについて同教授は「通常群の治療がかなり強化されていたと考えられるにもかかわらず,厳格群では通常群に比べて17%のリスク低減効果が認められたことは意義深い」とした。

心血管イベント高リスク例が対象のACCORDでは,全死亡率が通常群に比べて厳格群で高かったことが衝撃をもたらしたが,厳格群では重症低血糖を起こした例が多く,「厳格な血糖管理そのものではなく,重症低血糖が死亡率の増加につながったのではないか」という推測もなされていた。
ADDITIONでは,全死亡率も通常群に比べて厳格群で低く「厳格な血糖管理が直接的に死亡率に関係するのではないことが示されたことも評価したい」と同教授。

ADDITIONとわが国で現在進行中のJ-DOIT3()の介入基準を比較すると,血糖と血圧に関してはJ-DOIT3がやや厳格で,脂質についてはADDITIONがやや厳格であるが,おおむね両試験の対象,プロトコルは類似している。
J-DOIT3の責任者でもある同教授は「J-DOIT3の成績により,多因子への積極的介入が心血管イベント抑制に有用であることが,さらに明確になることを期待したい」と結んだ。

 


長期フォローアップで効果の有意差が示される可能性
欧米人に比べて日本人には極端な脂質異常症は少なく,心血管イベント発生の絶対リスクも小さい。
このことから「わが国では医師も患者も脂質をドラスチックに低下させることに抵抗があるようだが,欧米では脂質はできる限り低下させるというのが常識になりつつある」と岡田講師もADDITIONの介入基準を支持。
また,J-DOIT3の展望に触れ,「治療薬の選択順もエビデンスに基づいて決めているので,厳格治療の薬剤選択という面でも明確な指針の確立につながることを期待している」と述べた。

J-DOIT3では薬剤選択指針の確立も
岡田講師は一般開業医と話していて,「患者さんに『コレステロールは高い方がよいと聞きますが』と言われた際に,どのように答えたらよいか」という質問をされることが多いという。
わが国では心血管イベント発生に対する絶対リスクが低いために脂質の危険因子としての意義が十分に理解されていない点や,最近,マスコミなどで,悪性腫瘍などによる低栄養状態でコレステロール低値の人が含まれた疫学調査結果などが,バイアスのかかった形で報道されていることも影響しているのかもしれないとその理由を挙げる。
「コレステロールは基本的には“the lower the better”を目指すべきであり,どこまで下げたら逆効果だという閾値についてのエビデンスはない」とし,TC 135mg/dLの介入基準も十分に納得できるとする。

“the lower the better”は原則,血圧や血糖管理にも当てはまり,脳梗塞や低血糖などを引き起こさない限りは,できるだけ厳格な治療が望まれる。
では,脳梗塞や低血糖などを引き起こさないためには,どのようなことに留意が必要か。
同講師は「最も有害事象を起こす可能性の少ない薬剤を少量から始めて,それで効果がなければ増量し,単独から併用というように進めるのが原則」と言う。
例えばJ-DOIT3では低血糖事故を防ぐために,インスリン抵抗性改善薬などの非インスリン分泌系薬剤から始め,徐々に少量のインスリン分泌促進薬に移行するようになっている。
「J-DOIT3では,これまでのエビデンスに基づき薬剤の選択順まで指示するデザインになっているので,成績がまとまるころには,薬剤選択順についても確立した指針が示せると思う」と同講師。

UKPDSでは,血糖管理だけでも長期フォローアップで有意な心血管イベント抑制効果が認められるという“legacy effect”が示された。
同講師は「多因子介入のADDITIONでは,長期フォローアップで有意な心血管イベント抑制効果が示される可能性は高い」とし,「ADDITIONやJ-DOIT3でも,ぜひ長期追跡を期待したい」とコメントした。

 


※1 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版では,脂質異常症の診断基準値にTCは含まれておらず,LDL-Cが基準となっている。
高LDL-C血症は,直接測定法かFriedewaldの式でLDL-Cが140mg/dLの場合で,これに相当するTC値は220mg/dLとされている。
この場合,HDL-CとTG/5の和が80mg/dLと考えられ,これを当てはめるとTC 135mg/dLに相当するのはLDL-C 55mg/dLということになる

※2 TC 135mg/dL以上の心血管疾患高リスク者約2万人(うち約6,000人が糖尿病)を対象にランダムにスタチン群とプラセボ群に割り付けた。
その結果,糖尿病の有無にかかわらず心血管イベントは有意に低下した。
リスク低下は糖尿病患者で22%,非糖尿病患者で25%だった

出典 MT pro 2010.12.23、30
版権 メディカルトリビューン社

 

<番外編>
小児期からの野菜・果物摂取量が成人期のアテローム性動脈硬化症リスクに影響
生涯にわたるライフスタイル(生活習慣)のリスクファクター(危険因子)、特に果物および野菜の摂取量は、成人の動脈壁硬化度に関連するとの研究論文が、「Circulation」オンライン版11月29日号に掲載された。

フィンランド、タンペレTampere大学のHeikki Aatola氏らは、小児期以降27年間の追跡調査を受けた被験者1,622人を対象とし、ライフスタイル・リスクファクターに関するデータを研究した。
被験者の成人期に、動脈脈波伝播速度(PWV)を測定した。
本研究の目的は、小児期および成人期のライフスタイル・リスクファクター、特に生涯の果物および野菜摂取が成人PWVに関連するか否かを評価することであった。

その結果、小児期の野菜摂取と成人期のPWVには逆の関連が認められ、従来の他のリスクファクター(高比重リポ蛋白[HDL]コレステロール、低比重リポ蛋白[LDL]コレステロール、トリグリセリド[TG]、収縮期血圧[SBP]、ボディー・マス・インデックス[BMI]、喫煙)に関して調整した場合でも、依然として有意であった。
生涯一貫して果物および野菜の摂取量が多い被験者では、一貫して摂取量が低い被験者と比較してPWVが低値であった。
成人期のリスクファクター数に関して調整した場合でも、小児期におけるライフスタイル・リスクファクターの総数は、成人期のPWVと直接かつ有意に関連していた。

著者らは「小児期から成人期にかけて良好な食事習慣を継続すれば、より顕著にPWVが低下すると考えられる。以上の所見は、心血管疾患の一次予防において、小児期からの食事習慣に注意を払うことの重要性を強調するものである」と結論している。

出典 HealthDay News 2010.11.29
原文
Lifetime Fruit and Vegetable Consumption and Arterial Pulse Wave Velocity in Adulthood
http://circ.ahajournals.org/cgi/content/abstract/CIRCULATIONAHA.110.969279v1

 

<自遊時間>
大寒波で閉じ込められロンドンから大学生の子供がやっと土曜日の朝帰って来ました。
入れ替わりに別の大学生の子供が日曜日の朝メキシコに飛び立ちました。
親の脛(すね)は細るばかりです。

 

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琉球大学大学院薬物制御学の植田真一郎教授による,EMPHASIS-HF試験を例にした早期終了試験を読み解く際の注意点についての解説で勉強しました。

#早期終了試験の読み解き方
#EMPHASIS-HF,「21カ月で終了」は妥当か
当初の予定より早期に終了した臨床試験を主要ジャーナルで目にする機会が多くなっている。
先月(2010.11)報告されたEMPHASIS-HFは,標準治療が行われている比較的軽症な心不全にアルドステロン拮抗薬のエプレレノンを上乗せすることで予後が改善するという結果であったが,これも早期終了試験であった。
早期終了試験の前提として,患者・被験者の安全と利益の担保を原則に挙げた1964年の「ヘルシンキ宣言」の存在を忘れてはならない。
有効性が明らかになった場合だけでなく,安全性に問題が生じた場合に早期終了となることがある。
記憶に新しいところでは,抗肥満薬rimonabantの心血管イベント抑制効果を検証した市販後臨床試験(Lancet 2010; 376: 517-523)において,自殺など精神症状をめぐる有害事象が増加して試験は早期終了,薬剤も発売中止となった事例がある。

#イベント数は十分か,Random highは?
以上を踏まえた上で,植田教授に早期終了試験の確認ポイントを聞くと,
(1)中間解析の段階での有意差はRandom highとして偶然得られたものか
(2)試験目的を考慮した上で試験期間が妥当と言えるか—の2点を挙げた。

(1)に関して早期終了試験で懸念されるのは,当初,対照群のイベント発生が早く蓄積されて中間解析では実薬群に良好な結果であったが,試験が進行するにつれて実薬群でもイベント発生が増加し,最終的には両群で有意差がつかない場合である。
このような一時的に起こりうるRandom highを除外するために,中間解析のP値は最終解析よりも厳格な値が設定される。
それでもRandom highのリスクは完全には除外できない。

表のCHARMでは,中間解析において,早期終了を満たすP値が報告されたが,この試験が臨床全体に与える影響の大きさや他の試験との整合性を考慮した上で,試験は続行された。
結果的に心血管死は有意に低下したが,総死亡の低下はCHARM-Addedで11%と有意ではなく,中間解析の結果は再現されなかった。
同試験では試験が続行されたため明らかとなったが,早期終了した試験では検証できないのが実状だ。


Random highでないかどうかを確認する1つの方法として,イベント発生数の検証がある。
少ないイベント数ではリスク低下が過大評価される可能性がある点と,入院や狭心症など医師の判断が反映される評価項目では客観性に劣るからだ。
同試験では総死亡数が実薬群171例,対照群213例と200例前後あり,その可能性は低いと考えられる。
しかし,これだけでは確証が得られない。
#他試験との整合性を確認すべき
そこで重要となってくるのが(2)の検討だ。
表は,確立された心不全治療薬の臨床試験から抜粋したものである。
重症心不全対象の試験では早期に終了していることが分かり,β遮断薬とACE阻害薬が心不全診療で確立された後に行われたVal-HeftではアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)上乗せによる総死亡率の改善はなく,CHARM-Addedでは11%改善したが,治療の進歩でさらなる上乗せ効果の有効性を検証することが難しくなってきた背景が推測できる。

その流れでEMPHASIS-HFを見た場合,植田教授は「比較的軽症を対象にしたこの試験の方が,同じ抗アルドステロン拮抗薬の重症心不全を対象にしたRALESよりも観察期間が短い」と指摘。
さらにACE阻害薬またはARB,β遮断薬が既に投与されていた患者に対してのアルドステロン拮抗薬の上乗せで,短期間に24%もの死亡率低下が認められた点についても他試験との比較では一貫性に疑問を感じるという。

同教授は「心不全診療における3番目の必須薬の検証は最重要テーマ」と試験の意義を評価。
イベント数が確保されており,Random highの可能性は低いとしながらも「同試験患者の平均年齢は約69歳と一般的な心不全患者よりもかなり若い。実臨床で,特に安全性に関して同様の結果が得られるかどうかも疑問で,観察研究での検証が必要ではないか」と感想を述べた。

出典 MT pro 2010.12.23,30
版権 メディカルトリビューン社


<番外編>
#肝機能検査値異常がスタチン系薬剤によって改善
肝機能検査値異常患者の肝機能は、スタチン系薬剤によって実際に改善する可能性があり、肝機能検査値が正常な患者と比較して、実質的に大きな心血管系に対するベネフィット(便益)を受けるとの研究論文が、「The Lancet」オンライン版11月24日号に掲載された。

ギリシャ、アリストテレAristotle大学(テッサロニキ)のVasilios G. Athyros氏らは、GREACE(Greek Atorvastatin and Coronary Heart Disease Evaluation)研究集団の患者1,600人を対象とし、事後(post-hoc)分析を実施した。
被験者はいずれも75歳未満であり、冠動脈心疾患に罹患していた。また、血清低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール濃度が2.6 mmol/L(約100.5mg/dL)を超え、血清トリグリセリド濃度が4.5 mmol/L(約398.6mg/dL)未満であった。
本分析の目的は、肝機能検査値異常患者を対象とし、スタチン療法の安全性および有効性を評価することであった。

その結果、被験者437人において、ベースライン時の肝機能検査値が中等度高値を示した。
スタチン投与を受けた被験者227人では肝機能検査値が有意に改善したのに対し、スタチン投与を受けなかった被験者210人では肝臓酵素値がさらに上昇した。
スタチン投与群では、スタチン非投与群と比較して心血管イベントの相対リスクが68%低下し、肝機能検査値が正常なGREACE被験者集団と比較してベネフィットが有意に大きかった。
トランスアミナーゼ濃度が正常範囲上限の3倍を超えたことによるスタチン投与中止率は1%未満であった。

著者らは「肝機能検査値異常患者へのスタチン投与によって、心血管イベントのリスクが68%低下した(P<0.0001)。
肝機能検査値が正常な患者と比較して、肝機能検査値が異常な患者では、スタチン投与に関連した相対リスク低下が大きかった。
したがって、スタチン(本研究では主にアトルバスタチン)の長期投与によるリスク便益比は、肝機能検査値が中等度異常の患者においてもスタチン投与に有利である」と結論している。

出典 HealthDay News 2010.11.24
原文
Safety and efficacy of long-term statin treatment for cardiovascular events in patients with coronary heart disease and abnormal liver tests in the Greek Atorvastatin and Coronary Heart Disease Evaluation (GREACE) Study: a post-hoc analysis
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(10)61272-X/abstract

 

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慢性完全閉塞(CTO)については

慢性完全閉塞(CTO)
http://blog.m3.com/reed/20070919/1

j-CypherとJ-CTO
http://blog.m3.com/reed/20090320/j-Cypher_J-CTO

日本人におけるPCIの在り方
http://blog.m3.com/reed/20090119/_PCI_

CTOに対する血管内治療
http://blog.m3.com/reed/20090909/CTO_

ですでに勉強しました。

きょうは
● PCIが容易なCTOと難しいCTOを見極めることは可能か
● CTOに対するPCIの長期開存成績は
● PCI以外の選択肢,「開通が難しいCTO」への対処は
についてディスカッションされたMT誌の記事で勉強しました。

■CTOは複雑病変のなかでも最も難易度の高い病変だが,閉塞期間が短ければ病変はそれほど硬くないものと推測される。


■難易度を見極めるよい方法として冠動脈CTが有用である。
病変までの距離および硬さや石灰化の有無も判定できる。

■CTOの開通率はJ-CTOというレジストリーでは87%。

■CTOは冠動脈穿孔などの合併症も発生することが問題である。
血管が詰まっているとはいえ,当面命に別状のない患者さんに対し,安易にPCIを行って患者さんを生命の危機にさらすことは許されない。

■特に症状はないけれども,とりあえず広げておけば,次に別の領域に梗塞が起こったときの側副血行路になるかもしれないといった程度の病変なら,あえてPCIをする意味はあまりない。

出典 Medical Tribune 2009.3.26
版権 メディカルトリビューン社
#retrogradeアプローチ、CART(controlled antegrade and retrograde subintimal tracking )法
今までのCTO病変に対するカテーテル治療では成功率の低さ、手術時間の長さによる放射線被爆量の増大、造影剤の多量使用による腎障害、コストパフォーマンスの低さなどが問題となっていました。しかしここ数年CTO病変に対する手技は格段の進歩がありました。これは豊橋ハートセンターの加藤修先生が開発されたCART法によります。
従来、CTO病変に対するアプローチは順行性アプローチ(antegrade)からワイアーを通過させるものでした。
しかしCTO病変には反対側より側副血行路(collateral flow)といって反対側より血流を補う血管が自然に発達していることが多くあります。
その側副血行路を介して逆行性にワイアーを通過させ(retrograde approach)、血管内膜内にワイアーを迷入させて順行性のワイアーと交通させる方法がとられるようになりました。
また、この順行性と逆行性のワイアーをcrossさせるためにknuckle wire tequniqueや、内膜下内でバルーンを拡張してsubintimal dissectionを形成し、antegradeの偽腔とretrogradeの偽腔を確実に交通させるCART法が開発されるにいたりました。
CART法はまだ開発の段階であり、その手技に安全性や有効性はまだ確立されていませんが、今後CART用のデバイスが開発されることにより手技の安全性や複雑さは大きく改善されるものと考えられています。
http://ihd.main.jp/treatment04.html

<私的コメント>
こんなにすごいことが現実に行われていることにただただ驚くばかりです。
開通後の側副血行路の血流はどうなるのでしょうか。
また、開通部位の再閉塞が起きた場合には側副血行路は瞬時に良好な血流が得られるのでしょうか。
現在、側副血行路についての研究はどこまで進んでいるのでしょうか。
いろんな疑問が湧いて来ます。


(財)倉敷中央病院 心臓病センター 循環器内科
http://www.kchnet.or.jp/hdc/cardiovascular/about/results/index.html


http://www.cct.gr.jp/ctoclub/
http://jblog20090211.blogspot.com/2010/06/cto-club.html

##CTOの再灌流の有効性: 系統レビューとメタ分析
系統的レビューとメタ分析より、選択された患者におけるCTOの再灌流の成功例では、失敗例と比較して、死亡率とCABGの必要性を低下させることが、カナダ、McGill UniversityのDominique Joyal氏らにより、7月号のAmerican Heart Journal誌で報告された。

Joyal氏らは、CTO治療施行後の再灌流の成功例と不成功例を比較した13の観察試験(7,288人、平均6年追跡)のメタ分析を行った。

CTOの再灌流に成功した5,065人では、死亡は14.3%、不成功であった2,232人では17.5%で確認された(OR 0.56 [95%CI 0.43-0.72])。
再灌流の成功は、その後のCABG施行の有意な低下に関連していたが(OR 0.22 [95%CI 0.17-0.27])、MI(OR 0.74 [95%CI 0.44-1.25])、又はMACE(OR 0.81 [95%CI 0.55-1.21])には関連していなかった。
狭心症を報告した6つの試験では、再灌流の成功は狭心症の残存/再発の有意な低下に関連していた(OR 0.45 [95%CI 0.30-0.67])。

Joyal氏らは、「選択された患者のCTOの再灌流の成功において再疎通の成功は失敗と比べて、死亡率の改善とCABGの必要性の低下に関連していたが、この結果を確認するには無作為臨床試験を行う必要がある」と、まとめている。

Joyal D, et al. Am Heart J. 2010; 160: 179-187


https://www.tcross.co.jp/details.php?category=medical&no=763&id=1


以下はいささか古くなりますが、日本循環器学会のFeatured Research Session in English 5「New PCI-1」(2006.3.24 名古屋)で湘南鎌倉総合病院心臓センターの金田秀昭先生らによって発表された演題の記事です

#シロリムス溶出ステントではCTOでも非CTO並みの長期開通率を維持できる
シロリムス溶出ステントを慢性完全閉塞病変(CTO)の開通に使用した場合、長期の開通率は慢性完全閉塞でない病変(non-CTO)と同等に維持できることが示された。
従来のベアメタルステントでは、non-CTOに比べてCTOの開通率が低いことが問題とされていたが、シロリムス溶出ステントを利用すれば同等の開通率を得られることになり、バイパス手術を減らすことにつながる可能性がある。

研究グループはシロリムス溶出ステントを埋め込んだ285人の患者(408領域)について8カ月間のフォローアップを行った。
285人のうち40人がCTOで245人(368領域)がnon-CTOだった。血管造影による8カ月間のフォローアップは全体の74%にあたる212人の患者で行うことができた。

その結果、使用したステントの数、長さについてはCTO群とnon-CTO群で異なっていたにもかかわらず、標的病変部血行再建率(TLR)は、non-CTO群で368領域中10領域の4%で、CTO群は40領域中1例で3%と、ほぼ同等の結果を示した。
標的血管再建術 (TVR)率でも、non-CTO群で368領域中27領域の7%、CTO群では40領域中3例で8%とほぼ同等の結果となった。

出典 NM online 2006.4.2
版権 日経BP社

実は金田秀昭先生らの発表を支持する発表がESC2009でされました(GISSOC II)。

#慢性完全閉塞の治療ではシロリムス溶出ステントがベアメタルステントより優れる
慢性完全閉塞では、血管造影法で観察した再狭窄および標的血管血行再建において、明らかにシロリムス溶出ステント(SES)の方がベアメタルステント(BMS)より優れていた——。
多施設無作為試験であるGISSOC IIの結果、明らかになったもので、イタリアOspedale Villa ScassiのP.Rubartelli氏らがスペイン・バルセロナで開催された欧州心臓学会(ESC2009)で発表した。

GISSOC IIは、2005年5月から2007年10月までの間、イタリアの13施設で行われた。
対象は、1カ月以上経った慢性完全閉塞(CTO)患者で、再開通術が成功した152人について、SES移植(Cypher、74人)あるいはBMS移植(Bx Sonic、78人)のどちらかに無作為に割り付けた。
主要評価項目は、8カ月フォローアップ時でのセグメント内最小内腔径とした。

まず患者背景は、平均年齢は64±9.7歳、83%が男性、23%が糖尿病で、69%が心筋梗塞の既往があり、66%が多枝疾患をかかえ、36%が重い症状(クラスIII-IVあるいは不安定狭心症)のある患者だった。

標的とする慢性完全閉塞病変は、患者の47%が右冠動脈、29%が左前下行枝、24%が左回旋枝にあった。
すべてのベースラインの特性と手技の方法は両グループ間で同等であった。

8カ月のフォローアップ時の結果は、表1の通り。ステント内最小内腔径、セグメント内最小内腔径、ステント内遅発性内腔径減少、セグメント内遅発性内腔径減少などの指標で、SESの方が有意にBMSより優れていた。
合計再閉塞も、BMSが17.0%だったのに対しSESは0%だった。
臨床的イベントでは、急性心筋梗塞はBMSが5.1%、SESが1.4%で有意差がなかったが、標的血管の再血行再建術(TVR)では、BMSが40.0%、SESが13.5%で、また、主要心血管有害事象(MACE)も、BMSが45.0%だったのに対し、SESは13.5%とSESの方が有意に少ないという結果だった。
 
なお死亡、バイパス手術、遅発性血栓症、あるいは大きな出血性合併症は、観察されなかった。また、心筋梗塞の5分の4は病院内で発生した。

これらの結果から演者らは、「さらに長期にわたるフォローアップを続ける必要がある」としつつも、「慢性完全閉塞の治療においては、SESがBMSより優れている」と結論付けた。

出典 NM online 2009.9.16
版権 日経BP社


<自遊時間>
ロンドンに短期留学中の我が子(大学生)が欧州への大寒波襲来のおかげで4日間ヒースロー空港に閉じ込められていました。
クリスマスには間に合いませんでしたが、25日にはなんとか日本の地を踏めそうです。
やっとタイ航空の搭乗券が手に入って帰って来るようですが、ヒースロー空港発バンコック経由ということです。
ロンドンの出発が2時間遅れてバンコック空港で8時間の待機。
12月24日午後11時現在、バンコックのスタバでねばっているとのこと。
親として若干可哀想ではあります。

 

他にもブログがあります。

「葦の髄」循環器メモ帖http://yaplog.jp/hurst/
(「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版です)
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(4)
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井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/
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井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科関係の専門的な内容)

 


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拡張型心筋症に新治療

戯れ言たれる侏儒 / 2010.12.24 00:45 / 推薦数 : 1

拡張型心筋症に新治療…大阪大 有害な抗体 血液から除去
心臓移植以外に根治法がなく、補助人工心臓を装着している重い「拡張型心筋症」の患者に対し、病気を引き起こす体内物質を血液から取り除く治療法の臨床研究が、大阪大の倫理委員会で承認された。
心臓の機能を回復させ、将来的には補助人工心臓を外すことを目指している。

拡張型心筋症は心筋の収縮機能が低下する病気。

原因は不明だが、本来は異物を攻撃して体を守る抗体が心臓の機能を低下させるのが一因と考えられている。

同大学医学系研究科の澤芳樹教授らが取り組むのは、免疫吸着療法と呼ばれる治療法。

血液を患者からいったん取り出し、害があるとされる抗体を吸着剤で除去して体に戻す。
今後3年間で約10人の患者に、1回約5時間の治療を5日間実施して、安全性などを確認する予定。

海外の研究では心臓の機能を改善させ、他の治療法との併用などで、補助人工心臓を外せるまで回復した例も報告されている。

出典  読売新聞 2010.10.13
版権  読売新聞社

 

<番外編>
非糖尿病患者の閉塞性冠動脈疾患、血液の遺伝子検査で診断能向上
冠動脈造影適応の非糖尿病患者526人を対象に、末梢血の23個の遺伝子発現に基づいた閉塞性冠動脈疾患(CAD)診断検査を前向き研究で検証。

ROC分析の結果、人口統計学的特性に基づく診断法と本検査の併用で診断能が向上することが示された。
閉塞性CADの可能性20%を閾値とすると感度85%、特異度43%だった。

出典  m3.com 一般医療ニュース&ジャーナル
http://www.m3.com/news/THESIS/2010/12/15/10919/?portalId=mailmag&mm=EA101222_111
 

原文
Rosenberg S et al. Multicenter Validation of the Diagnostic Accuracy of a Blood-Based Gene Expression Test for Assessing Obstructive Coronary Artery Disease in Nondiabetic Patients.
Ann Intern Med. 2010;153(7):425-434
http://www.annals.org/content/153/7/425.abstract

 

 

その他
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難治性高血圧に腎動脈狭窄
急な血圧上昇や腎機能低下に注意
冠動脈疾患や動脈硬化症の患者の中に、実は多く潜在する腎動脈狭窄症。突然血圧が上昇したり、2〜3剤の降圧薬を使用してもコントロールが悪い場合などは、一度疑ってみる必要がある。
腎動脈狭窄症(RAS)は、左右の腎動脈が1本以上狭窄し、二次性高血圧や腎機能の低下を引き起こす疾患だ。
原因の約9割が粥状動脈硬化性で、米国では、冠動脈疾患と高血圧を合併している患者の約2〜3割、それらに加えて腎不全も合併している患者の場合、約4〜6割がRASを発症しているといわれる。

東北大腎・高血圧・内分泌科教授の伊藤貞嘉氏は、「以前はあまり頻度が高くないといわれていたが、近年では高齢化に伴い、日本でもRASの患者数が増えてきている」と指摘する。

冠動脈疾患の1割に合併
三井記念病院(東京都千代田区)循環器内科の谷脇正哲氏は、狭心症が疑われ、同院に入院しカテーテル検査を受けた患者244人を調べた。
その結果、血管造影検査で冠動脈に狭窄を認めた204例のうち、約3割にRAS、頸動脈狭窄、末梢動脈狭窄のいずれかを認めたという。
RASを合併していた患者も約1割に上り、谷脇氏は「予想以上に高頻度で、全身の血管のスクリーニングが必要だと実感した」と話す。

問題なのは、RASを発症していても自覚症状がほとんどなく、見落とされていることが少なくない点だ。
しかし、RASは進行性の疾患であるため、無治療のまま放置していると、人工透析を導入しなければならないほどに腎機能が低下してしまう。
高度の腎動脈狭窄があると生命予後が悪くなるとの報告もあり(図1)、早期の診断・治療が重要となる。

 


突然発症の高血圧に注意
臨床的にRASを疑うポイントとしては、降圧薬を3剤使用していても血圧のコントロールが悪い、突然高血圧を発症した、心不全を繰り返すなどの特徴が挙げられる(表1)。

 


また、RASを発症している患者はレニン・アンジオテンシン系が亢進しているため、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)やACE阻害薬を投与する際は、家庭血圧に注意を払う必要がある。
投与した翌日に急激に血圧が低下したり、血清クレアチニン値が30%程度上昇するようであれば、RASの可能性が考えられる。

RASの確定診断には血管造影検査で50〜70%の有意な狭窄を認める必要があるが、侵襲性が高いため、すべての患者に施行できるものではない。
そのため、スクリーニングには超音波検査が有用だ。

小倉記念病院(北九州市小倉北区)診療部長で循環器科の横井宏佳氏は、「超音波ドプラで、腎動脈の収縮期最高血流速度が180〜200cm/秒以上であれば、RASの可能性が高い。ただ、検査に習熟していない場合は診断が難しいため、臨床症状からRASを疑う際には、一度専門の医療機関に紹介してほしい」と話す。


ステント留置術で劇的改善も
RASの治療法としては、薬物療法と血行再建術などの外科的治療があるが、近年ではステントを用いた経皮的腎動脈形成術(PTRA)の施行が増えてきている。

2009年6月には、RASを治療するステントが発売された。腎動脈専用のステントとして適応を取得したのは日本が初めて。
ステントを病変部へ運ぶカテーテルが細径化したため、「以前と比べてステントの移送が容易になった」(谷脇氏)という。細径化により、上肢の血管からも挿入可能になったのが大きなメリットだ。

横井氏も「動脈硬化が進行している患者の場合、下肢より上肢の方が血管の状態が良好なことが多いため、術後の合併症のリスクも軽減できる」と評価する。
09年6月以降、小倉記念病院では47例に新しいステントを用いてPTRAを実施したが、全例で高血圧の改善を認めた(症例参照)。腎機能障害についても、約3割の患者が改善し、5割は進行をくい止められているという。

 


しかし、狭窄が認められるすべてのRAS患者にステント治療が有用なわけではない。
09年11月12日号のNew England Journal of Medicine誌に掲載された大規模臨床試験(ASTRAL試験)の結果では、ステント留置術の内科的管理に対する優位性を示せなかった。
ただ、同試験では高血圧などの臨床所見とともに腎動脈の狭窄を認める患者を対象にしているものの、ステント留置術の明らかな適応になると判断された患者は除外されている。

横井氏は「適応の判断は非常に重要。高血圧や心不全、慢性腎臓病(CKD)のない患者などにとってはメリットは少ない。術前に腎臓内科医と協議することが望ましい」とする。
伊藤氏は、「適応については、ステント留置術により血圧が長期的にコントロールされるかを検討する必要がある。症例を増やし、インタベーション医とも議論していきたい」との意見だ。

出典 NM online 2010.2.18
版権 日経BP社


<腎動脈狭窄 関連サイト>
動脈硬化性腎動脈狭窄の見落とし
http://blog.m3.com/reed/20090627/1
■RASの予測因子
高齢(55歳以上)での発症
血圧高値(特に拡張期血圧)
降圧薬服用していても急に血圧が上昇すること
冠動脈疾患または末梢動脈疾患を合併する慢性腎臓病(CKD)
腹部血管雑音
片側腎萎縮
RA系抑制薬による腎機能の悪化
動揺性の尿異常と腎機能および血圧の変化
■心カテを受ける冠動脈疾患疑い患者の15〜18%。
冠動脈疾患患者のうち、1枝病変患者の10%、2枝患者の20%、3枝患者の30%に合併していると報告されている。
■70歳以上の高齢者のうっ血性心不全患者では34%、動脈瘤や閉塞性末梢動脈疾患患者の28%に合併している。
■RASを見落としていることで、本態性高血圧として治療されてしまっていることが多く、そのため透析導入になってしまっている可能性もあり、高齢者の腎疾患診療ではこの点に注意すべきである。


腎動脈狭窄症の現況
http://blog.m3.com/reed/20100619/1
■腎動脈狭窄症は難治性高血圧や末期腎動脈狭窄の一因と考えられるほか,腎動脈ステントが心不全に対して効果を示す報告も出てきている。
■末期腎疾患の1割程度に腎動脈狭窄があるという報告もある。
Am J Kid Dis 1994; 24: 622-629 
■ACC/AHAガイドラインでは,高血圧や腎機能障害に対する腎動脈ステント留置術の適応はクラスⅡa(有益であるという意見が多いもの)であり,クラスⅠ(有益であるという根拠があり,適応であることが一般に同意されている)の適応はうっ血性心不全や不安定狭心症となっている。

 

腎血管エコーによる腎動脈狭窄症診断の実際
http://yaplog.jp/hurst/archive/77

 

高血圧に潜む腎疾患を見逃さない
http://blog.m3.com/reed/20100912/1
■腎動脈狭窄症の90%近くは動脈硬化,残りの10%は線維筋性異形成症(FMD)などが原因である。
■動脈硬化を原因とする症例は50歳以上で多く,放置すると末期腎不全に移行する。
FMDを原因とする症例は35~45歳の比較的若年者で多く,末梢腎不全に移行することはまれである。
■腎予備能と良好な相関を示すのは狭窄部の狭窄度よりも狭窄部の前後での圧較差であるが,血管造影では圧較差は判断できない。
(腎血管エコーでは,腎動脈の狭窄度に加えて圧較差,すなわち機能面での評価も可能である。)

 

 

<番外編>
侵襲的歯科治療、血管イベントリスクが一過性に上昇
退院時診断が虚血性脳卒中(650人)もしくは心筋梗塞(525人)の患者を対象に、侵襲的歯科治療の影響を自己対照症例集積研究で検討。血管イベント発現率が歯科治療後4週間以内に有意に上昇したが(罹患比1.50)、6カ月以内にベースライン値に戻ったことから、著者らは歯科治療の有益性が優っていると結論している。
出典 m3.com 一般医療ニュース&ジャーナル
http://www.m3.com/news/THESIS/2010/12/15/10920/?portalId=mailmag&mm=EA101222_111

原文
Minassian C et al. Invasive Dental Treatment and Risk for Vascular Events: A Self-Controlled Case Series. Ann Intern Med. 2010;153(8):499-506
http://www.annals.org/content/153/8/499.abstract

 

 

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日本脂質栄養学会が日本動脈硬化学会に公開質問書
2年後のガイドライン改訂で大幅な修正求める
日本脂質栄養学会は日本動脈硬化学会公に対して20項目から成る公開質問書を作成し,2010年12月21日同学会の公式サイトに発表した。

内容は同学会が今年(2010年)9月以来展開している日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」に対する批判に沿ったもので,同ガイドラインが2年後をめどに改訂予定であることを踏まえ,大幅な修正を求めている。

 

共同でのガイドライン作成を呼びかける
今回の“コレステロール論争”は日本脂質栄養学会が9月に“コレステロールは高めが長生き”との主張を骨子とする「長寿のためのコレステロールガイドライン2010年版」(J Lipid Nutr2010; 19: 225-232に要旨が掲載)を発表,日本動脈硬化学会のガイドラインを批判したことで口火が切られた。

その後,批判,反論,再批判が続けられていることは既報の通り()。
ただし,日本医学会や日本医師会は日本動脈硬化学会の見解を支持しており,日本脂質栄養学会の主張は日本の医学界の中では“異端”となっている。

 


 

今回の公開質問書は,10月に出された日本動脈硬化学会の「反論」,および日本医学会と日本医師会の記者会見を受けて作成された。
これらの動きに対して,日本脂質栄養学会は11月に既に「再反論」を行っているが,公開質問書もその主旨に沿った論旨の展開となっている。

質問内容は,
(1)血清脂質値と動脈硬化性疾患の発症や死亡との関係,
(2)企業と研究者の関係,
(3)診断基準値を総コレステロール(TC)値からLDLコレステロール(LDL-C)値に転換したこと
―などに関する20項目で,日本動脈硬化学会ガイドラインの大幅な修正を求めるもの。
最後の質問では,2年後に同ガイドラインが改訂予定であることを踏まえ,「信頼できるエビデンスに基づく日本独自のガイドラインを,共同で作りませんか?」と呼びかけている。
                (平田 直樹)
出典 Medical Tribune 2010.11.30
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