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当院へ随分前から狭心症で通院中の60代後半の女性。
H16にRCA,LADにPCI(ステントあり)
安静時・労作時に頻回に狭心痛が出現するようになったとのことで、某病院へCTCAを依頼。
昨日、前日に行った検査の結果を持参して来院されました。
本人が持参したCDには3枝びっしりと瀰漫性に高度の冠動脈石灰化が描出されていました。
レポートには「血管内腔の評価が出来ないためCAGを」とコメントが書かれていました。
早速検査の予約手続きをしようとしたのですが、本人からCAGにかかる費用を尋ねられました。
即答出来ない自分に恥じ入ったのですが、先方の事務に予約のついでに聞くと5〜6万という答えが返って来ました。
実は、この患者さんは7月にも吐気・冷汗を伴う心窩部痛で別の病院に救急車で受診。
大動脈解離の否定のために大動脈造影CT。
後日、負荷心筋シンチ。
いずれも異常なし。
(後日の経過はどうやら食中毒だったようです)
昨日の患者さんの言葉。
「心筋シンチの時の支払いは26000円で狭心症の診断をつけてもらえなかった。今回のCTは16100円でかなりの診断をつけてもらえた」
検査を勧める限り、コスト意識を医療側もしっかり持つべきと大いに反省させられました。
それにしても、負荷心筋シンチのコストパフォーマンスについては一考が要りそうです。
##CTによる冠動脈石灰化検査 胸痛の重症度別に役割を考察
#AHAとACCが新ガイドライン
米国心臓協会(AHA)と米国心臓病学会(ACC)は,Philip Greenland博士を筆頭著者として包括的心血管リスク評価におけるCTを用いた冠動脈石灰化(CAC)スコアリングのガイドラインをJournal of the American College of Cardiology(2007; 49: 378-402)に発表した。
新ガイドラインは,胸痛患者の評価におけるCTを用いたCACスコアリングのほか糖尿病患者などのサブグループについての考察も示している。
#中等度リスクで要再分類例も
今回のガイドラインは,具体的な臨床例に焦点を当てるべく,冠動脈性心疾患(CHD)リスクの重症度別にCAC測定の役割について考察している。
(1)CHDリスクが中等度の無症候性患者を対象とした冠動脈CT検査における中等度リスクとは,推定冠動脈イベントの10年リスクが10〜20%と定義される。
ここで選択した中等度リスク患者群については,増分リスクの予測を示すエビデンスに基づいて,同患者群にCAC測定を検討することは妥当と考えられる。
この結論は,CHD中等度リスク患者でCACスコアが高い場合,より高リスク状態のグループに再分類されるという可能性に基づくもので,その後の患者管理も修正されることになる可能性がある
(2)推定CHDイベントの10年リスクが10%未満と定義されるCHD低リスク患者群では,CAC測定は推奨されない。
またCAC測定を用いた一般人口のスクリーニングも推奨されない
(3)「推定冠動脈イベントの10年リスクが20%超」または「冠動脈疾患が認められる」または「他の高リスクと診断された」と定義されるCHD高リスクの無症候性患者を対象とした高速CT検査によるCAC測定の役割に関しては,全米コレステロール教育プログラム(NCEP)の現行のガイドラインに基づいて,集中的リスク低減療法の候補者と既に判断されていることから,CAC測定の実施を助言しない
#高リスク患者は薬剤療法の候補
(4)CACスコア測定前に中等度リスクとみなされている患者で同スコアが 0 であった場合,医師は治療強度を低減できるとするエビデンスが存在するか。
「この問題について委員会が一致した見解を示せるだけのエビデンスは得られていない。したがって,このような場合は,中等度リスク患者に対し現在標準的に推奨されている治療を適用すべきという感触を得た」
(5)心血管疾患リスクの推定を変更するに当たり,CAC測定が中等度リスク患者を対象とした他の潜在的に競合する検査法より優れているというエビデンスがあるか否かに関しては「一般にCAC測定とリスク評価を目的とした他の検査法を直接比較した研究はこれまで行われていない。
入手可能なデータから,この問題に適切な答を出すことは不可能である」
(6)CACスコアが高い患者(CAC>400など)に関して,心臓検査の追加は適切か。
「現行の診療ガイドラインでは,高危険因子負荷または糖尿病など既知の高リスク疾患の存在に基づき高リスクと分類された患者は集中予防療法(薬剤療法)の候補とみなされるとしている。この患者グループに対して追加的な非侵襲性検査を行うことが,より適切な治療の選択肢となりうるという明確なエビデンスは存在しない」
(7)非定型的な心臓臨床症状を示す患者におけるCAC検査の役割は何か。
「エビデンスから,臨床症状が非定型的という理由で冠動脈疾患(CAD)リスクが低いとみなされる患者では,閉塞性CADが存在しないことの確認を助けるCAC検査法から利益が得られることが示されている。その他の競合的検査法も利用可能であるが,これら競合法のほとんどはCACと直接比較されたことはない」
#高齢女性で全原因死亡率に関連
(8)CAC測定から得られるエビデンスを広範囲の患者母集団にどの程度一般化できるか。
「CACデータは,非ヒスパニック系白人男性に関するものが最も多い。委員会は,白人男性を対象とした研究から得られたCACデータを女性と欧州や北米の少数のその他の母集団に外挿する場合には注意するよう推奨している」。
女性に関しては「CHDアウトカムとCACとの関係について,広範囲かつ女性に特異的なデータは限られている。現在のデータから,高齢女性においてCACスコアと全原因死亡率やCHDイベント間に関連が認められることが確認されている」
(9)高速冠動脈CT検査で肺など心臓以外の組織内に偶発的所見が認められた場合,適切なフォローアップは何か。「高速冠動脈CT検査で認められた偶発的所見のフォローアップの必要性を判断する際には,現行の放射線学ガイドラインを考慮すべきである」。
例えば,シカゴ大学(シカゴ)放射線科のHeber MacMahon氏らがRadiology(2005; 237: 395-400)に発表した小規模肺結節のフォローアップの誘導を目的としたガイドラインが参考になる
#糖尿病の短期リスク分類にも
今回のガイドラインは,糖尿病患者との関連で「多数の横断的研究から,糖尿病患者は非糖尿病患者と比べてCACの有病率が高く,その程度も大きいことが示された」と指摘している。
さらに以前の研究から,既知のCADが認められない無症候性糖尿病患者は,閉塞性CADを有する非糖尿病患者とCAC有病率が同等であることが立証された。
しかし,十分なエビデンスがあるわけではない。
現在入手可能なエビデンスから,今回のガイドラインは「CACに基づいて糖尿病患者における短期リスクをさらに詳細に分類できる可能性が示唆されている。しかし,致死性と非致死性の心血管事象を組み入れた非委託母集団を対象としたさらに長期のフォローアップ研究が終了するまでは,糖尿病患者における治療目標の変更にCACスコアを使用すべきではない」としている。
ガイドラインは,アテローム性動脈硬化症の病態の進行,または退行の評価を目的とした冠動脈CTの使用についても言及している。「CACの病態の進行は標準的なリスク抑制療法により大きく変わるものではない。また,CAC測定には費用と放射線曝露の両方が関与することから,連続高速CT検査によるCAC進行の臨床モニタリングは現時点では推奨されない」
#閉塞性CADに高感度
さらに,ガイドラインは症候性患者に対する他のCAC測定使用例にも触れている。
「症候性患者については,測定可能なCACの排除が,侵襲性の診断的処置や入院前の有効なフィルターとして作用すると考えられる。CACスコア100未満では,一般的に核負荷試験における異常血流の可能性は低く( 2 %未満),心臓カテーテル法における有意の閉塞(50%を超える狭窄)の可能性も 3 %未満にとどまる」
高速CTで見られるCACの存在は,閉塞性(50%を超える管腔狭窄)CADについてきわめて感度が高い(95〜99%)が,特異度は限定的である。
7,600例を超える症候性患者を対象としたCAC研究から,陰性的中率96〜100%が立証され,CACが認められない(同スコア 0 )患者では閉塞性の血管造影性疾患が認められないとする仮説の信頼性が高いことが明らかにされた。
直接比較試験による症候性患者におけるCAC検出は,閉塞性CADの検出におけるタリウムなどを用いた運動負荷試験に匹敵することが明らかにされた。
しかし,運動能力に潜在的に含まれる予後情報を考慮すると,運動が可能な症候性患者では,画像法と組み合わせたとしても高速CTは既存の検査法と比べて最初から不利であると言える。
したがって,CT血管造影法の形態で造影剤を用いた場合でも,またはCAC評価などの非造影法の場合でも心臓CTのような解剖学的検査法は第二選択肢とするか,または機能検査法が不可能または確定的でない場合にのみ考慮すべきである。
なお,今回のガイドラインは「CACの精度は同時投与の薬剤,患者の運動能,試験前壁運動,心電図異常により制限されることはない」としている。
出典 Medical Tribune 2007.7.5
版権 メディカルトリビューン社
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
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井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
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があります。
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