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< 心臓周囲の脂肪と心房細動 | メイン | ZEST無作為化試験 >
半年前に感冒症状から数日後に重度呼吸困難に陥った症例(50歳 男性)を経験しました。
再来院時はパルスオキメーターで計測不能な状態で近くの大学病院に搬送しました。
その時は急性ウイルス性心筋炎という暫定診断を私なりにしていました。
昨日やっと経過報告書が届き「左室緻密化障害」という診断名が「慢性心不全の急性増悪」とともに併記されていました。
経過から何となく違和感のある診断名です。
一度当方でも心エコーをしてみたいのですが、叶いません。
投薬内容はアルダクトンA、ルプラック、ザイロリック、リバロ、アーチスト、アカルディ、ラニラピッド、ワーファリンです。
血圧が低いのかACE-IやARBは投与されていません。
<関連サイト>
左室緻密化障害 LV noncompaction!
http://teefan.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/lv-noncompactio.html
(TEE Fan 心エコー特にTEE に関するマニアックなサイトです)
■名称は, honeycombed myocardium, spongy myocardium, persisting myocardial sinusoids, LV noncompaction, isolated LV abnormal trabeculation, LV hypertrabeculation などと呼ばれており,論議があるところらしい.
■剖検例では、1932年に報告,生体でも1969年に報告されているが、最近画像診断法の向上とechographerに次第に知られるようになり、報告例が増加している.
■左室心尖部に最も多い.
■形態的には,心筋のスポンジ様変化、粗い肉柱と深い陥凹,菲薄化した心筋などの特徴がある.
■病理組織は、正常か,心内膜下のfibrosis/fibroelastosis等の非特異的所見.
■診断基準は、「多数の、過剰に突出した肉柱と深い肉柱間の陥凹」 (Jenni R),「乳頭筋付着部より心尖部よりの,一断面中の3個を超える肉柱の存在」(Stöllberger C) 等があるが,確定していない.
■Noncompaction は,肥大型心筋症,心内膜線維弾性症,拡張型心筋症,拘束型心筋症,心内膜心筋線維症などと誤診されてきた.
■男女比は,2:1で男性に多く,年齢分布は,報告により出産前から、壮年・老年までさまざま.
■他の心疾患の合併がある:冠動脈異常,心筋虚血,心不全,心電図異常,左室収縮障害,不整脈など.
■神経筋疾患の合併が多い(29%. しかし神経専門医が調査すると81-100%!):代謝性ミオパチーが最多.
■塞栓症とも関係する.
■家族性発症があり,遺伝子の異常も指摘されている.
■病理学的概念はいくつか提唱されているが,まだ確証はない.
a. 心筋の緻密化の停止による胎生期の類洞の遺残
b. 障害された心筋が成長あるいは,先天的な異常を克服しようとする過程で生じる
c. 特異的な血行動態への適応として起きる
など
■予後は、初期の報告では不良とされたが、良好とする報告も多い.
■特異的な治療法はなく、対象治療.
<左室緻密化障害 論文>
Left Ventricular Hypertrabeculatioin/Noncompaction Stöllberger C, Finsterer J J Am Soc Echocardiogr 2004; 17: 91-100
http://www.onlinejase.com/article/S0894-7317(03)00514-5/abstract
A Case of Left Ventricular Noncompaction
Weitzel et al. Anesth Analg.2009; 108: 1105-1106
Noncompaction Cardiomyopathy: Case Report and Echocardiographic Findings
Gregory W. et al.
Journal of Cardiothoracic and Vascular Anesthesia
April 2009 (Vol. 23, Issue 2, Pages 200-202)
The Diagnosis of Left Ventricular Hypertrabeculation/Noncompaction by Intraoperative Transesophageal Echocardiography
Kent H. et al.
Journal of Cardiothoracic and Vascular Anesthesia
December 2008 (Vol. 22, Issue 6, Pages 858-860)
Isolated noncompaction of the myocardium: Multiplane transesophageal echocardiography diagnosis in an adult
A. Maltagliati et al.
J Am Soc Echocardiogr 2000;13:1047-9.
http://www.onlinejase.com/article/S0894-7317(00)23074-5/abstract
<左室緻密化障害 関連サイト>
左室緻密化障害
http://www.masashikomeda.com/web/2009/03/8-0717.html
孤立性左室心筋緻密化障害と考えられた無症状の1症例
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjmu/34/6/34_587/_article/-char/ja
高齢で発見された孤立性左室心筋緻密化障害の1 例
http://www.jcc.gr.jp/blue/jc-pdf/441-3(H).pdf
■左室心筋緻密化障害は,胎生期に粗な心内膜心筋が緻密な心筋構造になっていく過程が中断され,心内膜で覆われた肉柱が遺残したものであり,顔貌異常や他の合併心奇形がないものは,孤立性左室心筋緻密化障害(isolated left ventricular noncompaction)と称されている。
■孤立性左室心筋緻密化障害は世界保健機関の心筋症分類でunclassified型とされているが,最近,疾患としての独立性が主張されつつある。
■本症の形態的特徴は左室側壁から後壁および心尖部にかけて認められる著明な肉柱と深い陥凹であり,左室壁は高い肉柱と薄い緻密筋層との二層構造となっている.
本症の診断は,これらの異常な肉柱の検出と評価によってなされる.
■心エコー図法による診断指針3)として,収縮期における肉柱の高さ(N)と緻密筋層(C)とのN/C 比>- 2 であること,およびカラードップラーで肉柱間への血流が認められることが挙げられる。
■ほかにも診断の補助として,造影コンピューター断層撮影検査や磁気共鳴画像検査でこれらの深い肉柱の描出が可能である。
鑑別診断上,健常者や拡張型心筋症例でも肉柱が目立つ場合があるが,その場合,数は3 本以内であり,前壁中隔にも及ぶ。
心尖部肥大型心筋症では左室内腔と交通する深い陥凹が認められない。
■孤立性左室心筋緻密化障害は拡張型心筋症様のび漫性壁運動障害と左室拡大を呈して進行性の心不全に陥るため,予後不良とされている。
■肉柱部分における心内膜下の線維化が特徴であり,虚血性変化とされている。
■緻密化障害のみでび漫性壁運動低下は説明しにくいとされる。
壁運動異常部位における冠動脈血流予備能の低下も示されており,冠微小循環障害と左室収縮障害との関連が考えられている。
<番外編>
#増加する弁膜症手術,年間約1万7,000件に
#日本胸部外科学会が公表,2008年胸部外科手術全国調査
日本胸部外科学会は,胸部外科手術(心臓外科,呼吸器外科,食道外科)に関する最新の全国調査結果を同学会の公式サイトに公表した。心臓外科領域で弁膜症手術が毎年増加し,年間約1万7,000件に達したことなどが注目される。
#虚血性心疾患手術も6年ぶりに増加
日本胸部外科学会は,1986年から学会員の施設を対象に,心臓外科(胸部大動脈手術を含む),呼吸器外科,食道外科の年間手術件数を調査している。
最近では3領域とも94〜98%の回収率で,わが国の胸部外科手術をほぼ網羅しているという。
今回まとめられたのは2008年の調査結果で,今年(2010)年7月,学会誌に英文論文として掲載済みだが(Gen Thorac Cardiovasc Surg2010; 58: 356-383),社会に向けて情報公開を進めるため,要旨を日本語で公表した。
まず心臓外科については,2008年における手術件数は約5万9,000例。
このうち,年々増加の傾向にある弁膜症手術は約1万7,000件に達した。
高齢者の大動脈弁狭窄症や僧帽弁変性疾患の増加,術後のQOLを考慮して早期に手術が行われるようになったことなどが増加の要因だと同学会では分析している。
弁膜症手術の在院死亡率は全体では3.3%だが,再手術例の在院死亡率は7.1%と高い。
人工弁感染性心内膜炎などによる状態の悪い患者に対する再手術例が,成績を不良にしている可能性があるという。
冠動脈バイパス術(CABG)など虚血性心疾患手術は2003年以降,減少傾向にあったが,2008年は前年比2.8%増の1万9,237例。
今後の推移が注目される。
単独CABGにおける手術後30日以内の死亡率を見ると,初回・待機手術では0.7%で,わが国の手術水準の高さを示している(欧米では3~4%)。
ただし,初回手術でも緊急手術の場合は5.7%と高い。早期の手術介入が成績向上の鍵となる。
出典 MT pro 2010.10.29
版権 メディカルトリビューン社

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その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
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井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
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井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
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(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖
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があります。