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HDL-C値では予測できない
低LDL-C値達成患者の心血管リスク
一般人口ではHDLコレステロール(HDL-C)値が高いほど心血管イベントリスクは下がるが,Brigham and Women's病院(ボストン)心血管疾患予防センターのPaul M. Ridker教授らの研究によると,高用量スタチン療法でLDLコレステロール(LDL-C)値を大幅に低下させると,HDL-C値を上げても心血管リスクは変わらないという。
この結果はJUPITER試験に基づくもので,Lancet(2010; 376: 333-339)に発表された。
ロスバスタチンで試験
JUPITER試験では,LDL-C値が正常域の患者に強力なスタチン系薬ロスバスタチンを1日20mg投与し,西洋人にはまれなレベルまでLDL-C値を低下させた。中央値1.9年(最大5年)の追跡期間後,プラセボ群と比べてロスバスタチン群では心筋梗塞リスクが54%,脳卒中リスクが48%,血行再建施行率が46%,静脈血栓塞栓症リスクが43%,全死亡率が20%低かった。
Ridker教授らは今回の研究で,高用量スタチン療法開始後の残存心血管リスクが,ベースラインまたは治療期間中のHDL-C値と関連しているか否かについて分析した。
その結果,プラセボ群では,HDL-C値は依然,心血管リスクの予測因子で,HDL-C値が最高四分位の者では,心血管イベントのリスクが最低四分位の者の2分の1だった。
反対にロスバスタチン群では,HDL-C値と残存心血管リスクの間に有意な相関は認められなかった。
臨床試験での検討が必要
Ridker教授らは「HDL-C値は,心血管リスクの最初の評価指標として有用ではあるが,強力なスタチン療法を受けて非常に低い値のLDL-C値を達成した患者では,残存心血管リスクの予測因子とはならない」と結論付けている。
しかし,同教授らは「スタチン療法によりLDL-C値を低下させた後にHDL-C値を上昇させることにより,心臓アウトカムに改善が得られるか否かを確認することはきわめて重要な課題で,これは強力かつ有効なHDL-C上昇薬のランダム化比較試験によってのみ確認できる」と指摘している。
このような試験では,HDL-C値を大幅に上昇させることで,心血管系に対してスタチン療法の有益性を高めることができるか否かを検討することになるとしている。
ロンドン大学ハッター心血管研究所のDerek Hausenloy博士らは,同誌の付随論評(2010; 376: 305-306)で「強力なHDL-C上昇薬の登場により,LDL-C値が非常に低値の患者で“善玉コレステロール”値の上昇が心血管リスクを低下させるか否かについて,臨床試験で検討する必要がある」と述べている。
出典 Medical Tribune 2010.9.123
版権 メディカルトリビューン社
<私的コメント>
最近、
「体内で善玉コレステロール(HDL)の量が調整されるメカニズムの一端を、京都大、神戸市立医療センターなどのチームが解明した」
という見出しの新聞記事がありました。
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2010/09/27
<番外編 その1>
冠動脈形成の仕組み解明…京産大など、再生医療に期待
心臓の筋肉細胞に血液を供給する冠動脈が、受精卵で正常に形成される仕組みを、京都産業大の石井泰雄助教などが動物実験で突き止め、米科学誌に発表した。
心疾患患者の冠動脈を再生させる医療につながると期待される。
ニワトリの受精卵は、産み落とされてから2日目に、筋肉や血管などに成長する「中胚葉」の一部から心臓に向かって突起が伸びて特定の部分にくっつき、心臓表面を包み込む膜を作ってから冠動脈ができることがわかっているが、正確な場所に形成される仕組みは謎だった。
石井助教らは、心臓と突起の断片をシャーレの中で培養して、詳しく分析。心臓の一部から「BMP2」という骨形成たんぱく質が分泌され、突起を決まった場所へ導いていることがわかった。
石井助教は「人間も同様の仕組みがあると考えられる。iPS細胞(新型万能細胞)などから突起の細胞を作り、BMP2で正しい位置に血管を再生させる治療につながる」と話す。
出典 読売新聞 2010.9.26
版権 読売新聞社
<番外編 その2>
Excelステントの3年成績: CREATE試験
CREATE試験の3年追跡より、生体吸収性ポリマーを使用したシロリムス溶出ステントが実臨床で持続した安全性と有効性を示したことが、中国、Shenyang Northern HospitalのYaling Han氏によりTCT 2010 Poster Abstractセッションで発表された。
CREATE試験は、実臨床における生体吸収性ポリマーベースのシロリムス溶出ステント(Excelステント)を評価する市販後レジストリーであり、4ヶ国の59施設からExcelステントで治療を受けた2,077人が登録された。
クロピドグレルは6ヶ月、アスピリンは長期にわたる処方が推奨された。
MACEの発症率は、1年で2.7%、3年で4.5%、ARCの定義によるステント血栓症の発症率は1年で0.83%、3年で1.53%が記録された。
6ヶ月を超えるクロピドグレルによる治療は、6ヶ月から3年のMACE(5.2% vs 4.6%: p=0.629)とステント血栓症(1.5% vs 0.6%: p=0.052)のリスクを低下させなかった。
https://www.tcross.co.jp/details.php?category=tct100922&no=857&id= =
<きょうの一曲> Misty
Julie London-Misty
http://www.youtube.com/watch?v=oPnh2sa4Fek&feature=related
Ella Martin Grey - Misty (Erroll Garner)
http://www.youtube.com/watch?v=vSBC3Ucw51w&feature=PlayList&p=2167AFE0CFE182A0&index=0
MISTY ERROLL GARNER
http://www.youtube.com/watch?v=nAaZzQWk8V4
Johnny Mathis Misty
http://www.youtube.com/watch?v=Cd3pDM2f6Y8&feature=fvw
エロール・ガーナー/ミスティ
http://dellton.com/culture/jazz_piano_2/post_126.html

熊谷守一 『バラ』 版画
http://www.seikougarou.co.jp/sell/kumagaimorikazu/1008.html
その他 「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~ http://wellfrog4.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15 http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~ http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/ があります。