戯れ言たれる侏儒
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< 心血管保護作用からみたARB | メイン | VALISHと高齢者高血圧の治療方針 >

#心血管疾患リスク判定は内臓脂肪CT測定が最良
内臓脂肪蓄積が心血管疾患リスクである点は論を待たないが,正確な内臓脂肪量の測定は困難で,ウエスト周囲径(以下,腹囲)を代用せざるをえないのが現状だ。
日本ではCT測定による内臓脂肪面積と危険因子の関係が検討され,腹囲のカットオフ値が設定されたが,大規模な疫学研究は行われていなかった。
今回,6,000例規模のCT測定に基づく解析が行われ,内臓脂肪面積が心血管疾患のリスクファクター重複を予測する最良な指標であることが示された。
国立国際医療研究センター国際保健医療研究部の松下由実室長らの検討で,Diabetes Care(2010; 33: 2117-2119)に掲載された。
#国際的に不統一な腹囲測定法
メタボリックシンドロームの診断基準では,内臓脂肪蓄積の簡易指標として腹囲が用いられている。
しかし,腹囲は測定方法によって誤差が出やすい問題があり,また,その測定部位は国際的にも統一されていない。
腹囲について,松下室長らはHitachi Health Studyの前に行った研究で,世界で使用されている代表的な腹囲の4部位
(1)最も細い部位
(2)肋骨弓下線と前腸骨稜上線の中点
(3)臍位
(4)前腸骨稜上線
で測定し,血圧・脂質・血糖値のリスクの重複を予測する最適な部位を検討し,Obesityオンライン版に発表した。

この結果,最大値〔(4)〕と最小値〔(1)〕の差の平均は男性では3.9cmだったが,女性では12.6cmに及んだ。
しかし,リスク重複を予測する能力に測定部位による差は認められなかった。
日本のメタボリックシンドロームの診断基準では,基本的に(3)の臍位での測定を推奨しており,内臓脂肪面積100cm2に相当する腹囲が男性85cm,女性90cmとして,この値以上の場合を内臓脂肪型肥満と設定している。
メタボリックシンドロームを国際的に比較検討していくためにも,測定部位の国際的な統一が望まれる。


#リスク重複は内臓脂肪面積で最大
Hitachi Health Studyは,厚生労働省研究班として2008年に松下室長と茨城県日立市の日立製作所日立健康管理センタ放射線診断科の中川徹主任医長らが開始した共同研究である。
今回の解析対象は,2007~08年に同センタで人間ドックを受けた同社の社員とその配偶者のうち,
(1)26~75歳
(2)CT施行者
(3)生活様式と健康に関する質問票に回答
(4)重篤な既往歴(がん,脳血管疾患,心筋梗塞)なし
−を満たす受診者6,292例(うち男性5,606例)。職域コホートとして,今後74歳までの追跡が可能である理想的なスタディと言える。

CTで測定した内臓脂肪面積と皮下脂肪面積,腹囲,BMIの4つの体格指標について,中性脂肪高値,HDLコレステロール低値,血圧高値,高血糖のリスクが重複するオッズ比(OR)を算出した。
算出に当たっては,受診者を各体格指標の5分位に分け,対象背景を調整した。

その結果,リスクが2つ以上重複するORは,皮下脂肪面積,腹囲,BMIと比較して,内臓脂肪面積で最大となった(図)。
各体格指標の最小値群のORを1とした場合の最大値群のORは,内臓脂肪面積で男女とも9を超え,他の指標の1.5~2倍となったほか,最小値群から最大値群への移行に伴いリスクの重複に対するORが顕著に上昇することが示された。
一方,腹囲は径増大に伴うOR上昇が見られるものの,上昇曲線は緩徐で,最大値群でも皮下脂肪面積やBMIとの差はほとんど認められなかった。
さらに,腹囲のみでは内臓脂肪蓄積型であるのか皮下脂肪蓄積型かの判定が困難であることも,あらためて示された(図)。

同試験は,20~30年間に及ぶ長期追跡が予定されている。経年的な内臓脂肪面積の変化と,心血管疾患リスクの関係も検証される予定だ。


#国立国際医療研究センター 国際保健医療研究部 松下 由実室長のコメント
今回の解析から,CTで測定した内臓脂肪面積は,心血管疾患のリスクファクター重複を予測する指標として優れていることがあらためて実証された。
日本は,健康診断と保健指導の制度が整備された世界的にもまれな国であり,メタボリックシンドローム診断における腹囲の基準設定が与える影響は大きい。
このため,本試験の今後の一連の解析においても,医学的な視点に加えて医療経済的な視点なども考慮しなければならない。

現在,内臓脂肪蓄積の簡易指標として用いられている腹囲が,心血管疾患のリスクを正確に反映しきれていないことは本研究でも明らかになった。
今後,心血管疾患のリスクをより反映できる指標を模索していきたいと考えている。

出典 Medical Tribune 2010.9.23
版権 メディカルトリビューン社

<番外編 その1>
#ZES vs SES vs PES: ZEST試験2年追跡
ZEST試験の2年追跡より、Endeavorゾタロリムス溶出ステント(ZES)とCypherシロリムス溶出ステント(SES)のMACEの発症率は同等であり、Taxusパクリタクセル溶出ステント(PES)よりも低いことが、韓国、Asan Medical CenterのSeung-Jung Park氏によりTCT 2010 Twilightセッションで発表された。

ZEST試験では、韓国の19施設より実臨床においてPCIを受ける2,645人を登録し、ZES、SES、又はPESでの治療群に1:1:1に無作為に割り付けた。

2年追跡が96.5%で完了し、主要評価項目の心臓死/MI/虚血由来のTVRはZES群で11.3%、SES群で9.9%、SES群で15.2%であり、ZES群とSES群は同等(p=0.43)、PES群ではZES群(p=0.014)、SES群(p=0.001)と比較し有意に高かった。虚血由来のTVRはZES群6.0%で、SES群で3.1%、PES群で8.6%であり、SES群ではZES群(p=0.014)、PES群(p<0.001)と比較し有意に低く、ZES群ではPES群よりも有意に低かった(p=0.03)。死亡、MI、ステント血栓症の発症率は3群で類似していた。

https://www.tcross.co.jp/details.php?category=tct100922&no=856&id=


<番外編 その2>
#糖尿病患者におけるEES vs SES: ESSENCE-DIABETES試験
ESSENCE-DIABETES試験より、糖尿病患者においてXience Vステント(EES)による治療はCypherステント(SES)と比較して、8ヶ月のセグメント内late lossを有意に抑制したことが、韓国、Asan Medical CenterのYoung-Hak Kim氏によりTCT 2010 Twilightセッションで発表された。

ESSENCE-DIABETES試験では、韓国の15施設よりデノボ冠動脈病変を有する糖尿病患者300人を登録し、EES、又はSESでの治療群に無作為に割り付けた。
本試験では約80%の患者でIVUSが使用された。

主要評価項目である8ヶ月のセグメント内late lossはEES群で0.23mm、SES群で0.37mmであり、EES群で有意に低いことが示された(p=0.020)。
ステント内late loss(0.11mm vs 0.20mm)、12ヶ月の臨床追跡での死亡(1.3% vs 3.3%)、MI(0 vs 1.3%)、ステント血栓症(0.7% vs 0.7%)、虚血由来のTVR(0.7% vs 4.0%)、虚血由来のTLR(0.7% vs 2.6%)はいずれもEES群で低い傾向が見られたが、統計学的な有意差は示されなかった。

https://www.tcross.co.jp/details.php?category=tct100922&no=855&id=

 

その他
「葦の髄」循環器メモ帖
http://yaplog.jp/hurst/
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖 
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/  
があります。      

 


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