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< ESC心房細動診療新ガイドラインその1(... | メイン | 主要臓器を護る降圧薬併用療法 >
昨日に引き続き同ガイドラインの解説です。
きょうはmanagement部分です。
##ESC心房細動診療新ガイドライン(後編)
##明確な薬物選択の基準が示される
#(2)レートコントロール:lenient(緩めの)コントロールの推奨が加わる オランダで行われたRACEⅡ試験(N Engl J Med2010; 362: 1363-73)の結果がレートコントロールの指針に強く影響している。
Lenient versus strict rate control in patients with atrial fibrillation. N Engl J Med. 2010 Apr 15;362(15):1363-73. Epub 2010 Mar 15. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/20231232
症状がない限り,lenientコントロール(心拍数110拍/分未満)が推奨され,これまでのような厳格な心拍数管理は,症状のある場合に薦められるという記載に変化した。
同時に,厳格なレートコントロールを行う場合には,24時間心電図で安全性を評価することが必要とされている。
選択する薬物としては,β遮断薬,Ca拮抗薬,ジギタリス製剤(ジゴキシン)が挙げられ,薬物に関する大きな変更点はなく,これらの指針は日本の医療にそのまま応用可能と考えられる(図1)。
#(3)リズムコントロール:抗不整脈薬の選択はより単純化の方向へ
今回のガイドラインで抗不整脈薬の位置付けがこれまでになく明確化された。
抗不整脈薬治療の原則として記載されたものを下に示す。
1. 抗不整脈薬治療は症状を軽減する目的で行うものである
2. 抗不整脈薬で洞調律を維持する効果は”modest”である
3. 抗不整脈薬治療は心房細動の再発をなくすものではなく,減
らすことで臨床的には成功と考えるべきである
4. 1つの抗不整脈薬に効果がない場合,他の抗不整脈薬が効果を
示す場合があるかもしれない
5. 抗不整脈薬による新たな不整脈の出現,心外性副作用はしば しば生じる
6. 抗不整脈薬の選択は効果よりもまず安全性を指針とすべきで
ある
以上の記載は,抗不整脈治療における抗不整脈薬の位置付けを,これまで以上に明確にしたと考えられる。
その結果,抗不整脈薬の選択は簡潔なものとなった。上記の原理原則に基づけば,細かな選択基準が無用なものとなるためだろう。
基礎心疾患のない場合は,Ⅰ群薬,もしくはdronedarone/ソタロールを用い,無効な場合にアミオダロンが選択される。
基礎心疾患のある場合には,重症心不全を除いて第一選択薬はdronedarone,無効な場合にアミオダロン,重症心不全ではアミオダロンが第一選択薬となっている(図2)。
大ざっぱにとらえると,第一選択薬dronedarone,第二選択薬アミオダロンと暗記するだけですむ程度にまで簡略化されたと言えるかもしれない。
このような選択方法の基本には,心電図指標でなく患者アウトカムをエンドポイントにおいた臨床試験の成績が強く影響していると思われる。
一方で,日本ではまだdronedaroneの治験が行われておらず,当分の間このガイドラインを用いることはできないだろう。
ただし,近々アミオダロンが心不全合併心房細動に対して保険適用がなされる予定とされており,このガイドラインからdronedarone,そして基礎心疾患のない場合におけるアミオダロンを除けば,そのまま日本の医療に適応可能ではないかと思われる。
いずれにせよ,日本では抗不整脈薬の種類が多すぎること,同時にこれまで安全性が軽視されて用いられてきた傾向があることは否めない。
このESCガイドラインに見られる明確なコンセプトと抗不整脈薬選択の単純化は,今後日本にも取り入れていくべき課題だろう。
#(4)カテーテルアブレーション:より重要な位置付けに カテーテルアブレーションに関する臨床試験の成績が蓄積され,心房細動治療における位置付けがこれまで以上に明確化されている(図3)。
これまでに良好な成績を示した臨床試験の多くは,有症候性で器質的心疾患のない発作性心房細動を対象としていることから,有症候性発作性心房細動(器質的心疾患なし)あるいは持続1年未満の持続性心房細動に対してClassⅡaと位置付けられ,アミオダロンより上位の選択肢として位置付けられた。
一方で,器質的心疾患を伴う場合にはClassⅡbの位置付けで,アミオダロンと並列あるいは下位の選択肢となっている(図2)。
このガイドラインは,現在日本で行われているカテーテルアブレーションの現況を追認するものかもしれない。
器質的心疾患のない発作性心房細動,あるいは持続1年未満の患者で症状があり,Ⅰ群薬の投薬で患者が満足できない場合にはⅢ群薬を選択するよりむしろカテーテルアブレーションを選択することが日本でも主流になりつつあり,欧州と日本の考え方が近いことを表しているのかもしれない。
#(5)アップストリーム治療:冷静な評価の時代に
これまで大きな期待を寄せられてきたアップストリーム治療であるが,今回のガイドラインでは一歩退いた位置付けとなった。「動物実験で示された可能性は,臨床試験では追試できていない」と書かれ,現時点で心不全例における1次(発症)予防としてのレニン・アンジオテンシン(RA)系の抑制,外科手術時のスタチンを除いてエビデンスは十分でないとされている。
なお,本文中には日本で行われたJ-RHYTHMⅡ試験の結果も引用された。
リコメンデーションとしては,心房細動の一次予防と二次(再発)予防が明確に区別され,一次予防の非心房細動例では心不全・高血圧に対するRA系抑制,心臓手術時のスタチン投与がClassⅡa,危険因子を持たない例に対するRA系抑制がClassⅢという位置付けだ。
二次予防では心房細動例での心房細動再発目的のRA系抑制はすべてClassⅡbとランクが低く置かれることになった。
#ここ数年のエビデンスや考え方の進歩を反映したガイドライン
リコメンデーションは200を超えるが,すべての文章で主語・述語が整えられ,推奨のレベルが明快だ。
日本の循環器ガイドラインの多くが文章ではなく,名詞で終わる箇条書きとなっており,推奨レベルが不明瞭となりやすいことと好対照かもしれない。
今回のESCガイドラインは,ここ数年に生じた心房細動診療,あるいは考え方の進歩が広く取り入れられ,かつ実臨床での実践を強く意識したものになっていると言えるだろう。
出典 MT pro 2010.9.10
版権 メディカルトリビューン社
<きょうの一曲> So What
So What - Jonh Coltrane and Miles Davis
http://www.youtube.com/watch?v=RjwVwASlVn4&feature=related

ピエール・ボンコンパン 「中国製の鉢とメロン」 油彩 8号
http://www.seikougarou.co.jp/sell/PierreBoncompain/1532.html
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
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井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
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井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
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(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/ があります。