| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | 4 | |||
| 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
| 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
| 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
| 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
##ステント血栓症発生時期で異なる患者背景
薬剤溶出ステント(DES)留置後1か月以降に起こるステント血栓症(ST)は,頻度こそ少ないものの,その原因がいまだに明らかにされておらず,対策をどう講じるかが課題となっている。
今回,京都大学病院循環器内科の木村剛教授らは,ST発生例の全国レジストリー調査としてRESTART※研究を実施し,発生時期別に患者背景を解析した。
※Registry of Stent Thrombosis for Review and Reevaluation
その結果,発生時期が異なるSTにおいては病態生理学的な発生機序も異なる可能性を見出した。STを対象とした試験としては国際的にも珍しいハイボリュームの解析である同研究は,Circulation(2010; 122: 52-61)に掲載された。
#STに焦点を当てた全国レジストリー
遅発性ST(LST),超遅発性ST(VLST)は発生率が低く,その発生原因や長期転帰について多数症例で検討した研究は少なかった。
そこで木村教授らは,医師主導観察研究としてRESTART研究を計画した。
本来は,ST未発生例との比較ができるコホート研究が方法論としては望ましいが,非現実的な大規模コホートが必要となるため,まずST発生例のみに対象を絞り,その特性を解明する第一歩として後ろ向きの観察研究が実施された。
日本で最初に導入されたDESであるシロリムス溶出ステント(SES)は,ST関連報告が厳密になされており,このデータベースも同研究で活用された。
SESを導入していた全国1,335施設のうち543施設が参加し,対象となった血行再建術は2004年5月~08年6月の29万4,212件だった。
このうち,Academic Research Consortium(ARC)定義を満たすSTを発生し,2008年6月末までに報告された611例が解析対象となった。
同定義に基づき,SES留置後30日以内に発生した早期ST(EST),31日~1年に発生したLST,1年以降に発生したVLSTの3群に分類された。
同教授らは,治験担当医師から報告された急性冠症候群の血管造影所見,徴候,症状に基づき,同科のデータマネジメントセンターでSTを判定。
さらに,315例については血管造影と血管内超音波検査(IVUS)の画像を解析するサブスタディも実施しており,今後詳細が報告される予定だ。
#発生機序を示唆するLST特有の患者背景因子
STの内訳は,ESTが322例,LSTが105例,VLSTが184例で,留置後4週間以内に多く発生し,特に最初の1週間に多かった。
ベースラインの患者背景は,ESTとLST/VLST間で有意差が認められた。
ESTと比べたLST/VLSTに特徴的な因子として,血液透析,血液透析を行っていない末期腎疾患,左回旋枝病変がない,慢性完全閉塞病変,血管内治療既往,65歳未満が多変量解析で抽出された。さらに,LSTとVLST間にも患者背景に有意差があった。
LSTは,血液透析,心不全既往,インスリン依存性糖尿病,BMI低値が特徴で,これらの因子のVLSTに対するオッズ比は2.08~3.85だった(表)。
特に,血液透析とインスリン依存性糖尿病のオッズ比が高かった。
血管造影に基づくサブスタディでは,LST/VLSTと比べてESTで残存解離が多く,石灰化はLSTと比べてVLSTで少なかった。
ST発生時のThrombolysis in Myocardial Infarction(TIMI)フローグレードが2または3であった割合は,ESTの13%,VSLTの16.8%に比べてLSTで36.1%と有意に高かった。
病態生理学的な発生機序の点から,LSTで血液透析とインスリン依存性糖尿病が多かったことは注目される。
いずれもSESの再狭窄に関し,非常に強い危険因子であることが報告されている。
また,LSTでST発生時のTIMIフローグレードが2または3であった割合が高かったことから,再狭窄が急速に進む患者がSTと判定されている可能性がある。
その一方で,VLSTの発生機序はほとんど解明されていない。
これまではDES留置後の動脈治癒の遅延がおもな原因と見られていたが,時間の経過とともに動脈が治癒しても,VLSTは一定の割合で発生することが報告されている。
したがって,慢性炎症の影響など別の発生機序を考慮する必要があると考えられる。
以上の結果から,STの発生機序は,発生時期のなかでも特にLSTとVLSTで異なる可能性が示された。
<京都大学病院循環器内科木村 剛 教授のコメント>
DESは2004年に国内で承認され,それまで使用されてきたベアメタルステント(BMS)で問題となっていた再血行再建率の頻度が激減した。
われわれは,j-Cypherレジストリー調査でその実態を明らかにしてきたが,今後,BMSとDESの比較で真に患者のアウトカムの改善につながっているか検証し,また新世代のDESが臨床成績のさらなる改善につながるのかも検証していきたいと考えている。
ステントをはじめとしてデバイスを用いる医療は,個々の医師の手技に依存する部分が大きく,かつては大規模なデータが得られにくいという側面があったが,治療の進化が臨床成績の改善につながっているかを検証していくことは,それらを導入した医師の役目と考えている。
RESTARTは対照群を設けない観察研究であり,研究方法には課題が残るが,これまで特性が明らかにされていなかったSTの発生時期別の背景にある違いがわかったのは初めの第一歩と言える。
血管造影とIVUSのサブスタディでは発生機序に迫るような知見が得られる可能性もあると考えている。
現段階で明らかにしうるSTの発生機序の解明につなげていきたい。
出典 Medical Tribune 2010.8.26
版権 メディカルトリビューン社
<番外編>
#経皮的冠動脈インターベンション施行患者における、クロピドグレルのルーチンの前投与に対する検査室での高用量投与の有効性
ARMYDA-5 PRELOAD無作為化試験(Antiplatelet therapy for Reduction of MYocardial Damage during Angioplasty)の結果
Effectiveness of In-Laboratory High-Dose Clopidogrel Loading Versus Routine Pre-Load in Patients Undergoing Percutaneous Coronary Intervention
Results of the ARMYDA-5 PRELOAD (Antiplatelet therapy for Reduction of MYocardial Damage during Angioplasty) Randomized Trial
Germano Di Sciascio, et al. on behalf of the ARMYDA-5 PRELOAD Investigators
J Am Coll Cardiol, 2010; 56:550-557
目的
本研究は、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行前に、検査室でクロピドグレル600 mgを投与する場合の安全性と有効性を、ルーチンの6時間前投与と比較評価することを目的とした。
背景
クロピドグレルの前投与は、PCI施行患者の転帰を有意に改善する。
しかし、冠動脈造影後のPCI施行前に検査室で行う投与方法の効果は、ルーチンの前投与と比較して十分に明らかにされていない。
方法
患者計409例(39%が急性冠症候群症例)を、PCI施行4~8時間前に600 mgの初回投与量のクロピドグレルを投与する群(前投与群、n=204)、または冠動脈造影後PCI施行前にカテーテル検査室で600 mg初回投与量を投与する群(検査室群、n=205)に無作為に割り付けた。
主要評価項目は、主要有害心イベント(心原性死亡、心筋梗塞(MI)、または予定外の標的血管血行再建術)の30日発生率とした。
結果
これらの2つの無作為化群の間に、主要評価項目における有意差は認められず(検査室群8.8% 対 前投与群10.3%、p=0.72)、その差は主に周術期MIによるものであった(8.8% 対 9.3%、p=0.99)。
前投与群における出血または血管合併症のリスクの増加は認められなかった(5.4% 対 7.8%、p=0.42)。
VerifyNow測定システム(Accumetrics社、カリフォルニア州サンディエゴ)による測定では、検査室群の患者は、前投与群の患者と比較して、PCI中および術後2時間での血小板反応性が高かった(p≦0.043)。
結論
ARMYDA-5 PRELOAD (Antiplatelet therapy for Reduction of MYocardial Damage during Angioplasty)試験から、PCI施行前に検査室でクロピドグレル600 mgを投与する方法は、4~8時間前に行うルーチンの前投与と同様の臨床転帰を有することが示唆される。
したがって、適応があれば、検査室でのクロピドグレル投与は、患者の冠動脈の解剖学的構造を把握する前に投与するルーチンの前処置の安全な代替法となる可能性がある。
http://ds-pharma.jp/medical/gakujutsu/jacc/archive/jacc1008_0550.html
<きょうの一曲> Corcovado
Nara Leão - Corcovado
http://www.youtube.com/watch?v=VH_DCT5DsdU&feature=related
Stan Getz / Astrud Gilberto - Corcovado
http://www.youtube.com/watch?v=DMX6E68qJAg&NR=1&feature=fvwp
アストラッド・ジルベルトの謎
http://b3shibuya.sblo.jp/article/31816391.html
夏はASTRUD GILBERTOのボサノヴァやね。
http://rollingbeat.blog.so-net.ne.jp/2010-08-15

2010.8.14 蓼科・イングリッシュガーデン
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/ があります。