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心不全診断 家庭医に役立つバイオマーカー検査
呼吸困難,下肢浮腫,体力低下など,心不全を示唆する症状を訴える患者が家庭医にかかった場合,既往歴や臨床所見だけで鑑別診断を行い,心不全と確定するのは困難である。
そこで,ユリウスマクシミリアンス大学(ビュルツブルク)病院内科のCaroline Morbach博士らは,診療所での心不全診断と予後予測に有効なバイオマーカーを探索し,その結果をドイツ心臓病学会の第76回年次集会で報告した。
併用で高リスク患者を特定
今回の研究では,ビュルツブルクの家庭医にかかった,心不全が疑われる患者433例について血液を採取し,研究センターで,血中のN末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP),高感度C反応性蛋白(hsCRP),腫瘍壊死因子(TNF)-αの値を測定した。境界値は,NT-proBNP 250pg/mL,hsCRP 3mg/L,TNF-α 12pg/mLと設定,この境界値よりも高値を示したバイオマーカーの数(0~3)により,被験者を4群に分けて,各群の死亡率と延命率を割り出した。
その結果,高値を示すバイオマーカーの数が多いほど予後が悪くなり,すべてのバイオマーカーが高値を示す患者群で,予後が最も不良であった。
つまり,1つのバイオマーカーのみの測定よりも,これら3つを併用するほうがリスクを正確に予測できることがわかった。
以上の結果を踏まえて,Morbach博士は「NT-proBNP,hsCRP,TNF- αの3つのバイオマーカーの併用は,心リスク,非心リスクにかかわらず,高リスクの患者を発見するには有用であることがわかった。患者は心不全の疑われる症状を呈していても,実際には心不全以外の疾患によることも多い。家庭医は,心臓の精密検査を受けさせる患者を見分けるために,これらのバイオマーカーを利用するとよい」と結論付けた。
出典 Medical Tribune 2010.8.26
版権 メディカルトリビューン社
<外来管理におけるポイント>
■ⅡPは通常、胸骨左縁第3肋間で聴取しますが、心尖部でも明確に聴取するようになった場合はⅡPの亢進であり、右室圧上昇を示唆します。
■BNP値に影響を与える心外要因
①腎機能障害(上昇)
②貧血(上昇)
③肥満(低下)
■外来治療を受けている慢性心不全患者を対象とした疫学研究によると、75歳以上の高齢者が56%を占めていることが報告されています。
(外来通院する慢性心不全患者の年齢〜JCARE-GENERAL研究〜)
Tsutui H,et al. Circ J 71:449-454,2007
■開業医に通院する患者では、75歳以上の高齢者の割合はさらに高まり64%にも達します。
■高齢者における心不全治療の問題点
(慢性心不全治療ガイドライン 2005年改訂版)
慢性心不全の外来管理では、複数の疾患を合併していること、治療薬による副作用や腎機能障害が生じやすいこと、心不全増悪による再入院をおこしやすいことなどの高齢者の特徴を十分考慮した診療が必要といえます。
1.病歴の聴取がむずかしい
2.心不全徴候が非典型的である
3.他疾患の症状と紛らわしい
4.複数の疾患が関与していることが多い
5.多臓器不全を生じやすい
6.拡張障害による心不全が多い
7.種々の増悪因子の関与が大きい
8.侵襲的検査が行いづらい
9.deconditioninngやADLの低下がおこりやすい
10.治療に不従順な例が多い(服薬、塩分制限など)
11.治療薬の安全域が狭い
12.心不全増悪による再入院例が多い
13.高齢者を対象とした心不全治療のエビデンスが乏しい
■慢性心不全患者における合併疾患(海外データ ANCHOR研究)
慢性心不全患者に合併する疾患としては、高血圧、冠動脈疾患、心房細動といった心血管系のほか、多くの場合で貧血、慢性腎臓病、糖尿病、慢性肺疾患などが認められます。
高血圧 61.0%
貧血 42.6%(男性Hb<13g/dl、女性Hb<12g/dl)
腎機能低下 39.2%(eGFR<60)
冠動脈疾患 36.1%
糖尿病 32.4%
陳旧性心筋梗塞 26.4%
慢性肺疾患 26.2%
狭心症の既往 21.8%
心房細動 17.2%
■Cardio-renal-anemia症候群の概念
心不全、慢性腎臓病、貧血
この3つの病態は、それぞれの進展が密接に関与し合い、Cardio-renal-anemia症候群と呼ばれる悪循環を形成します。
このことから、慢性心不の管理においては、増悪因子である貧血や慢性腎臓病の改善を目指した積極的な治療もかかせません。
Silverberg DS, et al. Clin Nephrol 60:S93-S102, 2003
■貧血の合併患者では、循環血漿量の増加に伴う希釈性の貧血のほかに、栄養性貧血、慢性炎症や腎機能低下を原因とした貧血が認められます。
腎性貧血に対してはエリスロポエチン製剤が適応となります。
またACE阻害薬などによる薬剤性貧血も起こりうるために注意が必要です。
慢性心不全に合併した貧血の治療
・鉄剤、ビタミンB12、葉酸
・エリスロポエチン製剤
・輸血療法(重症、緊急時)
*薬剤性貧血(たとえばACEI)に留意する。
■慢性心不全に合併した慢性腎臓病の治療
・ACEI、ARB
・利尿薬
*RAA系治療薬による高カリウム血症や腎機能悪化に留意する。
*過剰な利尿は腎機能を悪化させうる。
*腎排泄型の治療薬は腎機能障害の程度により減量する。
■腎排泄型のジギタリス製剤やβ遮断剤などは、腎機能障害の程度により作用が増強するため、減量が必要となります。
ただし、β遮断剤でもカルベジロール(アーチスト)は肝代謝型であり、またα1遮断作用による血管拡張作用も有し、腎機能に悪影響を及ぼさないことが報告されています。
■慢性心不全の外来管理においては、心不全増悪の兆しをいち早く察知することも重要です。
そのためには、日常臨床において簡便かつ非侵襲的に行える問診や身体所見によってうっ血や低心拍出状態の変化をいち早く捉え、胸部X線検査や心電図検査、血液検査などと組み合わせることで心不全増悪の早期把握につなげることが大切です。
■うっ血による右心不全、左心不全による症状と所見
周知の事項のため省略
■左心不全による低心拍出状態の<症状>
全身倦怠感
尿量減少・夜間多尿
傾眠・意識障害
食欲不振
■左心不全による低心拍出状態の<所見>
四肢冷感・チアノーゼ
低血圧・脈圧低下
頻脈・交互脈
■BNP値の解釈において注意すべき要因
BNP値は大変有用なバイオマーカーですが、慢性心不全の外来 管理に利用する際は、BNP値に影響を及ぼす要因を十分に考慮 に入れ、他の臨床所見に加えて包括的な解釈を行うことが重要 といえます。
高値になりやすい要因
・加齢
・女性
・腎機能障害
・貧血
・心房細動
・心肥大
低値になりやすい要因
・僧房弁狭窄
・収縮性心膜炎
・肥満
■BNPとNT-proBNPの測定系としての比較
BNP値には血漿BNP濃度のほか、血清での測定が可能なNT-
proBNP濃度があるため混同しないよう注意が必要です。
いずれも心室負荷や心筋障害を反映して上昇する値ですが、基 準値や腎機能の影響などが大きく異なる測定系であり、両者の 特徴を十分理解して利用するころが大切です。
BNP (NT-proBNP)
分子量(kD) 3.5 (8.5)
ホルモン活性 + ( - )
半減期 数分〜約20分 (約120分)
代謝機構
中性エンドペプチターゼ(NEP),NPR-C,腎排泄 (腎排泄)
腎機能の影響 ++ (++++)
加齢による増加 + (+++)
迅速診断法 + (+)
測定可能な採血法
EDTA加血漿 ( 血清/ヘパリン加/EDTA加血漿)
BNP製剤との交叉性 + ( -)
添付文書記載基準値(日本) ≤18.4pg/mL
(≤55pg/mL)
猪又孝元 Heart View 12(7):23-29、2008改変
監修:大阪府立成人病センター 堀 正二 総長
http://www.artist-dsc.info/shinfuzen/HFQ/01/index.html
<きょうの一曲> How High the Moon
Lola Albright - How High the Moon
http://www.youtube.com/watch?v=S4jFd0XYYb0&feature=related
Natalie Gauci - How high the moon
http://www.youtube.com/watch?v=UcJ5aL4rzyQ&NR=1
Toni Tennille - How High The Moon
http://www.youtube.com/watch?v=4mDMVyKjMbw&feature=related
Manhattan Transfer How High The Moon
http://www.youtube.com/watch?v=ebxSOrqC1GM&feature=related
<関連サイト>
How High The Moon|ジャズ&洋楽訳詞ow High The Moon
http://ameblo.jp/higashiemi/entry-10475230046.html
HOW HIGH THE MOON - W&R : Jazzと読書の日々
http://d.hatena.ne.jp/wineroses/20060822
Lola Albright
http://www.filmbug.com/db/75826
Natalie Gauci Official Site
http://www.nataliegaucimusic.com/musicbox/home.do
Natalie Gauci - Wikipedia, the free encyclopedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Natalie_Gauci
Toni Tennille
http://en.wikipedia.org/wiki/Toni_Tennille

2010.8.14 撮影 蓼科・イングリッシュガーデン
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