<2010.12.10追加> たこつぼ型心筋症(Apical ballooning syndrome) 患者では精神的ストレスに対して内皮機能と心血管反応が低下する 目的 本研究は、たこつぼ型心筋症(ABS)の患者では、急性の精神的ストレスに対する血管および内皮の機能的反応が異常であるとの仮説について検討することを目的とした。 背景 ABSは、閉経後女性での発症例が圧倒的に多い一過性の心筋症であり、急性の精神的ストレスによって引き起こされる可能性がある。ABSの機序は、明らかになっていない。 方法 ABSの女性患者(n=12、ABSのため入院、またはABSの診断を受けてから6カ月以上経過した者)、対照群の閉経後女性(n=12)、および心筋梗塞(MI)の女性患者(n=4)を対象に、ベースラインと続いて行われる3種類の急性精神的ストレス負荷試験施行後に、急性の精神的ストレスに対する内皮機能および心血管反応のパラメータとして、反応性充血を末梢動脈トノメトリー(PAT)によって測定した。 血漿中カテコラミン濃度は、ベースラインと3種類の精神的ストレス負荷試験施行後に測定した。 結果 精神的ストレス負荷後のPATスコア(反応性充血)は、ABS患者群のほうが閉経後対照群より有意に低かった(p<0.05)。 精神的ストレス負荷時のPATスコアは、ABS患者群のほうがMI患者群や閉経後対照群より有意に低かった(p<0.05)。 MI群における急性精神的ストレス負荷時のPATスコアには、閉経後対照群との差はみられなかった。 また、ABS群における急性精神的ストレス負荷試験施行後のカテコラミン濃度は、閉経後対照群と比較して有意に上昇していた(p<0.05)。 結論 ABS既往歴を有する患者では、急性の精神的ストレスに対して血管反応性は上昇し、内皮機能は低下する。 この結果は、血管運動機能不全がこのまれな心筋症の病因に関わる一機序である可能性を示している。 原文 Endothelial Function and Vascular Response to Mental Stress Are Impaired in Patients With Apical Ballooning Syndrome Elizabeth A. Martin, et al J Am Coll Cardiol, 2010; 56:1840-1846 http://ds-pharma.jp/medical/gakujutsu/jacc/archive/jacc1012_1840.html