| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
| 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
| 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 |
| 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
| 29 | 30 | 31 |
血管内皮細胞で産生される一酸化窒素(NO)は,血小板活性や白血球接着の調節を通じた抗動脈硬化作用,血管拡張作用に必須の因子です。
NO産生状態は血管内皮機能の直接的指標となりうるが,血中に放出されたNOはすぐに失活するため測定は困難とされてきました。
きょうは、ヒト冠血流中NO濃度のリアルタイム測定に関する記事で勉強しました。
特殊なカテーテル開発によりこの壁を越えたのが川崎医療福祉大学の後藤真己客員教授(循環器内科・医用工学)らで,このほど,ヒト冠血流中NO濃度のリアルタイム測定に成功した。
血流中のNO濃度直接計測で血管内皮機能を評価
後藤客員教授は,1988年からカリフォルニア大学心臓血管研究所でドプラガイドワイヤの開発研究に携わるなど,長年,冠循環の研究を行ってきた。
1992年にMalinskiとTahaのグループが,摘出血管でNOを独自のセンサーにより捉えたとNatureで報告したのを契機にNOに注目。血流中のNOを生体内で捉えたいと模索を続けてきた。
内皮細胞で産生されるNOは,血中の酸化ヘモグロビンや溶存酸素などによってごく短時間(約400秒)で酸化・失活するため,生体内の計測は困難とされてきた。
ところが近年,ビーカー内の血液中と血流中ではNO動態は異なっており,血流中ではNOの半減期が静止血液中よりはるかに長いことが明らかになってきた。
2002年には,米国のグループがヒト上腕動脈にNOを投与する実験で用量依存性に血流が増加することを示した。
これらの結果から生体内でNOが測定可能と確信した同客員教授らは,Ziad Tahaが開発したNOセンサーを組み込んだカテーテルを試作,動物実験に乗り出した。TahaのNOセンサーは,酸化作用の強い多孔性ファイバーを作用電極とし,その周囲をガス透過性の高い素材でコーティング,NOが作用電極に到達して酸化される際の電流値を計測するというもの。
このセンサーをカテーテルに装着し,イヌでの実験を行った。
ヒト生体内初のNO計測DCM患者で内皮機能低下を確認
NO研究でノーベル生理学賞を受賞したIgnarro博士の助言も得て,2005年にイヌ冠静脈洞に留置したカテーテルでNO測定に成功。ドプラガイドワイヤで血流を同時測定したところ,アセチルコリン(ACh)用量依存性にNO濃度が上昇するのに対して,血流速度はほとんど変化が認められず,血流と血管内皮の調節機構が異なることが示唆された。
この成果をベースに,和歌山県立医科大学の赤坂隆史教授らとの共同研究で,今回,世界で初めてヒトの生体内のNO測定に成功した(European Heart Journalオンライン版)。
対象は冠動脈疾患を合併していない拡張型心筋症(DCM)患者10例と対照10例。
カテーテル型NOセンサーを大腿静脈経由で冠静脈内に留置し,ドプラガイドワイヤは左前下行枝に留置して,血流と血漿NO濃度を同時測定した(図)。

血漿NO濃度は,両群とも左前下行枝のカテーテル経由で投与したACh濃度依存性に上昇が認められたが,冠動脈径の拡張変化,血流速度,NO濃度の変化のいずれもDCM群で有意な低下が認められ,DCM群の内皮機能低下が示唆された。
ACh注入直後にNO合成酵素阻害薬L- NMMAを投与すると,両群ともに血漿NO濃度の増加はほぼ完全に阻害された。
また,NO濃度が血流速度の上昇にやや遅れて上昇することも初めて示された。
後藤客員教授は「グループの久米輝善助教はメタボリックシンドロームのイヌモデルで,冠血流は正常に保たれている状態でもNO濃度が既に低下していることを報告した。冠血流動態からのアプローチには限界があり,NO動態も同時に見ることで,冠血流調節の未知の側面に迫ることができるのではないか」と述べている。
出典 Medical Tribune 2010.8.26
版権 メディカルトリビューン社
<NO濃度計測 関連サイト>
[PDF] カテーテル型NOセンサ ~生体機能調節分子一酸化窒素のリアルタイム計測システム〜
http://www.ciicz.jp/bio/guidebook/077.pdf
(NOセンサーの写真と構造図が出ています)
■一酸化窒素(nitric oxide: NO)の生理作用:
生体内でNO は、NO 合成酵素(NOS)によってアルギニンから合成されます。
NO は細胞内サイクリックGMP(cGMP)の合成を促し、シグナ
ル伝達に関与します。
血管内皮細胞はNO を産生して周囲の平滑筋を弛緩させ、血管を拡張させて血流量を増やします。
狭心症に使う亜硝酸誘導体はNO に変化して作用します。
発毛剤ミノキシジル(リアップ®)はcGMP 分解を抑制して毛細
血管の血流量を増やし、シルデナフィル(バイアグラ®)もcGMP 分解を抑制して作用します。
NO は神経伝達物質としても重要で、記憶に関与します。NO のシグナル機能の発見により1998 年のノーベル生理学・医学賞はF・ムラド、R・F・ファーチゴットとL・イグナロに授与されました。
■血管内皮機能:
血管の内側で血液に接する血管内皮細胞は、血流でこすられることによってNO を産生し、産生されたNO は動脈硬化を防ぐが、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙など酸化ストレスが亢進すると、NO の産生能が低下して、内皮細胞自身が最も早く障害を受けることになります。
最近では、生活習慣の悪化に伴って、青少年でも内皮機能障害が発生・進展していることが知られるようになり、内皮機能の正常化の取り組みが求められています。
血管内皮細胞のNO産生能を調べる方法としては、腕の動脈などを一時的に圧迫して血流を途絶させた後に再開させ、急激な血流増加によってこすられた内皮細胞から出たNO が血管を拡張させる程度を調べるFlow-Mediated Dilation (FMD)が用いられますが、FMD は必ずしもNO 産生能を反映せず、内皮機能評価法としては問題があります。
<きょうの一曲> この素晴らしき世界
What A Wonderful World- Louis Armstrong - Binaca (Breath Spray) Music Videos
http://www.youtube.com/watch?v=ZQckLuSOwnM&feature=related
What A Wonderful World(歌詞)
http://htrjazz.hp.infoseek.co.jp/lyrics/8.htm
その他
きょうはアルコールと心疾患について勉強しました。
酒(アルコール)は「百薬の長」
タバコ(喫煙)は「百害あって一利なし」
とは、よく言われる言葉です。
愛飲家にとっては気になる記事ですが、何事も「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。
結論は論文を読む前から想像がつくところです。
はたして「百薬の長」とは言えなくても少しはいいことが書いてあるでしょうか。
興味のあるところです。
話はそれてしまいますが、ポリフェノールといえば「赤ワイン」ということになっています。
しかし、理屈からいうと「赤ぶどうジュース」にも当然ポリフェノールは多く含まれている筈です。
このあたりのコメントは、ほとんど論文や成書には出ていません。
まさか、アルコールが良いといっているわけではないでしょうが。
同じ類いのことに「グレープフルーツジュースとCCB」があります。
論文には必ずグレープフルーツジュース(GFJ)と書かれておりグレープフルーツ(GF)とは書かれていません。
以前CCBを発売している製薬メーカーの学術に問い合わせましたが、明解な回答は得られませんでした。
フルーツジュースが特定薬剤の吸収に影響
http://blog.m3.com/reed/20081114/1
循環器官用薬と飲食物・サプリメント 1(1/3)
http://blog.m3.com/reed/20080922/1
男性で心疾患リスクが大幅に低下
アルコール摂取に効果
スペイン・バスク自治州ギプスコア公衆衛生省(サン・セバスティアン)のLarraitz Arriola氏らは,食事と飲酒に関する質問票調査を実施した結果,「男性ではアルコールの種類を問わず,飲酒習慣が重度の心疾患リスクを著明に低下させることがわかった」とHeart(2009; オンライン版)に発表した。
大量飲酒者でも50%減少
スペインはビールとワインの生産で世界第3位を誇り,国民1人当たりの飲酒量は世界第6位であるが,冠動脈性心疾患(CHD)による死亡率が世界で最も低い国の1つでもある。
Arriola氏らは,スペインの成人4万1,438人(男性1万5,630人,女性2万5,808人,29~69歳)に対して食事と飲酒に関する質問票調査を実施した。
質問票では,前年における特定の食品や飲料の消費量について回答してもらった。
アルコール総摂取量は,1日または1週間に消費したアルコール飲料の標準飲酒量をもとに算出した。1標準飲酒量には約14gのアルコールが含まれる。
また,運動,喫煙,肥満,高コレステロールなど他の心疾患危険因子などライフスタイルに関する情報も収集した。
今回の研究では,西欧10か国の成人約50万人を対象とするEuropean Prospective Investigation into Cancer and Nutrition(EPIC)試験のスペインの参加者について,その後10年間(中央値)の健康状態を追跡調査した。その期間中に609件(男性481件,女性128件)の冠動脈イベントが発生した。
男性の飲酒者では,中等量,多量,大量に摂取した全例でCHDリスクの低下が見られた。非飲酒者と比べたCHDリスクの低下率は,元飲酒者に分類された者で10%,少量(0~5g/日)の飲酒者で35%,中等量(5~30g/日)では51%,多量(30~90g/日)では54%,大量(90g/日以上)で50%であった。
女性では有意な効果が得られず
飲酒の恩恵は女性にも見られたものの,統計学的に有意ではなかった。
Arriola氏らは「女性の場合,男性より冠動脈イベントの発生数が少ないためではないか」と考えており,
(1)女性のアルコール分解プロセスは男性とは異なる
(2)若年女性では女性ホルモンが心疾患を予防する
―ことを指摘している。
今回の調査は,概して摂取アルコールの種類と予防の程度は無関係だが,ワインだけでなく他のアルコール飲料においても中等量~多量の飲酒者のほうがCHDによる死亡に対する予防効果が高かったことを示している。
ただし,同氏らは「世界保健機関(WHO)の見積りによると,世界ではおよそ20億人が飲酒し,そのうち7,600万人超が健康を害している」と警告している。
出典 Medical Tribune 2010.1.14
版権 メディカルトリビューン社
中高年男女の多量飲酒はCVD死亡に関連
多量飲酒は中高年男女の心血管疾患(CVD)死亡を増加させ,特に女性は1日平均2合(日本酒換算,1合は約180mL,以下同)以上の飲酒で冠動脈疾患(CHD)死亡リスクが4倍にもなることが,Strokeのオンライン版に報告された。
日本人女性で飲酒とCVD死亡との関連を検討したコホート研究は今回が初めてで,CVD予防の観点から適度な飲酒量は,1日平均で男性2合以下,女性1合以下であることが示唆された。
■今回の知見は,JACC study(文部科学省科学研究費がん特定領域大規模コホート研究)の成果の1つ。
■Cox比例ハザードモデルによる多変量解析の結果,1日のエタノール摂取量46g以上(2合以上)の多量飲酒は,男性では全脳卒中死亡と有意に関連し,CHD死亡リスクは2合以上3合未満でむしろ抑制される傾向だった。
一方,女性の全脳卒中死亡は,男性同様に1日2合以上で飲酒しない場合の1.92倍のリスクだった。
しかし,CHDについては男性と異なり,死亡リスクは1合以上2合未満で上昇傾向,2合以上で4.1倍と著明に上昇した。
■全CVD死亡リスクは,飲酒しない場合に比べて,男性は3合以上で1.28倍,女性は2合以上で1.73倍であった。
飲酒と関連の深い血圧を調整したことでリスクがやや低めに推定される可能性を考慮すると,CVD死亡リスクに影響を与えない飲酒量は,女性の場合1日1合までと考えたほうがよさそうだ。
■しかし,2005年度の国民健康・栄養調査報告では,30〜40歳代の女性の約15%が週3回1合以上飲酒しており,若い世代で飲酒習慣が浸透しつつあることがうかがわれた。
■男女ともに1日平均飲酒量が多いほど,高血圧の頻度や喫煙率が高く,魚の摂取量が多く,野菜と果物の摂取量が少ない傾向があった。
■男性の飲酒と脳卒中死亡との関連を見ると,飲酒しない場合に比べて,1日2合以上の多量飲酒で全脳卒中死亡リスクが有意に上昇し,特に出血性脳卒中死亡リスクは2合以上で1.47倍,3合以上で2.16倍。
一方,CHD死亡リスクは,多量飲酒でむしろ抑制傾向だった。全CVD死亡リスクはU型を示し,飲酒しない場合に比べて飲酒群は1〜2合未満で有意に低下し,2合以上でわずかに上昇,3合以上で1.28倍と有意に上昇した。
■男性では,多量飲酒による脳卒中,特に出血性脳卒中死亡の上昇は過去に報告されており,機序としてはアルコールが血圧を上昇させること,また血管内皮細胞からのプラスミノーゲン活性化因子のセクレチン産生亢進を介して血小板凝集低下とフィブリン溶解亢進を惹起することが考えられている。
■男性の飲酒とCVD発症リスクを検討した国内の研究では,1日2合以上で脳卒中発症リスクが有意に上昇し,CHD発症リスクは逆に有意に抑制されたと報告されている。
また,厚生労働省研究班による多目的コホート研究では,男性の飲酒関連がんの発症リスクは,時々飲酒(月1〜3回)に比べて,1日1合未満2.3倍,1〜2合未満3.0倍,2〜3合未満4.0倍,3合以上6.2倍に上昇すると報告されている。
CVD予防の観点から男性の1日2〜3合未満の飲酒の有害性は一概には言えないが,3合以上の飲酒はがんやCVDリスクを明らかに増大させる。
■女性が対象の米国Nurses' Health Study(NHS)では,エタノール1日1.5g以上飲酒者でCHD死亡リスクが低下している。
しかし,NHSでは日本酒換算で1日2合以上の多量飲酒者に分けた分析は行っていない。
今回の研究では,女性の場合で2合以上飲酒することによりCHD死亡リスクが著明に上昇していた。
出典 Medical Tribune 2008.9.25
版権 メディカルトリビューン社
グレード3高血圧で飲みすぎによるCHD死リスク12.7倍
韓国・Eulji大学のJae Woong Sull氏らは,酒宴で飲んで騒いだときの高血圧患者の心血管死亡リスクは12.7倍であることを,8月19日のSTROKEオンライン版に報告した。
今回の調査成績は,約21年間追跡したKangwha群コホート研究のなかで明らかになった。
■男性の飲酒習慣は68.5%
これまで,血圧レベルと冠動脈疾患(CHD)死との強い関連性については,さまざま指摘されてきた。
しかし,酒宴での飲み騒ぎ(binge)と高血圧との複合リスクによるCHD死への影響はいまだ十分に検討されていない。
そこで,Sull氏らは,Kangwha郡コホート研究参加者のうち,1985年調査への参加同意が得られた6,372例中6,100例(男性2,600例,女性3,500例,平均年齢66.3歳)を対象に,酒宴で飲んで騒いだときの血圧レベルの違いによるCHD死リスクを解析した。
出典 MT pro 2010.8.25
版権 メディカルトリビューン社
適量でも飲酒後1時間以内の虚血性脳卒中発症リスクは2.3倍
The Stroke Onset試験から
飲酒習慣と脳卒中との関連研究といえば,「大量摂取は虚血性脳卒中を増加させるが,適量であれば発症リスクを減少させる」というのが,従来,示唆するところであった。
しかし,グラス1杯のアルコールであっても,飲酒後1時間以内の虚血性脳卒中の発症リスクは2.3倍になるという,これまでの論を覆すようなThe Stroke Onset試験がStroke 7月15日オンライン版に掲載された。
摂取から発症時間までの関連性を検討
The Stroke Onset試験では,アルコールに曝露された状態は急性虚血性脳卒中を引き起こすとの仮説のもと,アルコール摂取と摂取から急性虚血性脳卒中を発症するまでの時間との関連性,アルコールの種類による発症リスクの差を検討した。
24時間以内ではリスクが30%低下
摂取頻度は,1日最低1杯が47例,週1回38例,月1回は163例で,これらを週に換算すると平均2回の頻度で摂取していた。
アルコールの種類は,ワイン(45例),ビール(29例),ウイスキーなどの蒸留酒(32例),いずれを2種類以上(142例)だが,1回の平均飲酒量は1杯で,3杯以上はわずか13例だった。
169例が脳卒中を発症した1週間以内に,104例は24時間以内に,それぞれアルコールを摂取していた。
発症1時間以内のアルコール摂取は14例存在したが,これらの症例では前年のアルコール摂取頻度に基づいた期待度数に比べて発症リスクが2.3倍,有意に高いことが明らかになった。
摂取から2時間後の相対リスク(RR)は1.6だが,24時間以内だと30%リスクが有意に低下することも示された。
上記14例が摂取したアルコールの種類(蒸留酒,ビール,ワイン)と脳卒中発症との関連性を発症時間別(アルコール摂取後1時間以内,2時間以内,24時間以内)に見た。
摂取後1時間以内では相関が強かったのは蒸留酒で,弱かったのはワインであったが,いずれも有意差は認められなかった(P=0.28)。
たとえアルコール1杯でも,摂取から2時間以内は一時的に脳卒中の発症リスクが有意に上昇すると結論されたThe Stroke Onset試験。
出典 MT pro 2010.7.20
版権 メディカルトリビューン社
<番外編>
ST上昇型MI患者における多枝疾患と非梗塞関連動脈の血行再建:
EUROTRANSFERレジストリー
EUROTRANSFERレジストリーより、ST上昇型MI患者において、1枝疾患と比較し多枝疾患は再灌流の成功率の低下と予後の不良に関連し、また、多枝疾患患者での非梗塞関連動脈の同時治療により1年の死亡率が増加したことが、ポーランド、Jagiellonian UniversityのArtur Dziewierz氏らにより、8月1日号のThe American Journal of Cardiology誌で報告された。
Dziewierz氏らは、EUROTRANSFERレジストリーに登録されたCABG歴がなく、心外膜動脈に有意狭窄を有するST上昇型MI患者1,598人において、多枝疾患と非梗塞関連動脈の血行再建の影響を評価した。
1枝、2枝、3枝疾患を有する患者は、それぞれ48.5%、32.0%、19.5%を占め、多枝疾患を有する患者ではTIMI 3フロー(1枝93.6% vs 2枝89.3% vs 3枝87.9%: p=0.003)とPCI後60分以内の>50%のST上昇の解消(80.9% vs 77.5% vs 69.3%: p<0.001)の割合が低かった。1年の死亡率は多枝疾患患者において高く(4.9% vs 7.4% vs 13.5%: p<0.001)、多枝疾患が1年の死亡率の独立予測因子であった。
PCI時に非梗塞関連動脈に対するPCIが9%に行われ、その他の患者と比較して30日と1年の死亡率が高かったが、共変量を補整後に有意差はなくなった。
Dziewierz氏らは、「1枝のみに病変を有する患者と比較して、多枝疾患を有する患者では心外膜と心筋の再灌流成功率が低下し、ST上昇型MIのプライマリーPCI後の予後が悪いことが示された。また、本レジストリーでは、PCI時に非梗塞関連動脈のPCIは9%の患者で行われており、1年の死亡率増加に関連していた」と、まとめている。
Dziewierz A, et al. Am J Cardiol. 2010; 106: 342-347
https://www.tcross.co.jp/details.php?category=medical&no=774&id=1
<きょうの一曲> It Could Happen To You
ヨーロピアン・ジャズ・トリオ/It Could Happen To You
http://www.youtube.com/watch?v=5PcRDSztNJg
IT COULD HAPPEN TO YOU - W&R : Jazzと読書の日々
http://d.hatena.ne.jp/wineroses/20080326
Chet Baker —It Could Happen To You
http://lampnoakari.jugem.cc/?eid=679
<自遊時間>
毎日暑い日が続きます。
昨日は涼を求めて蓼科山の山麓にある「蓼仙(りょうせん)の滝 」に行って来ました。
こういった滝をすべてそうですが、汗をかきかきやっと辿り着いた時の涼感は何ともいえません。
蓼仙の滝
http://asp.nihon-kankou.or.jp/31364/bnr/ctrl?evt=ShowBukken&ID=20324ab2040169998
蓼仙の滝
http://www.ja-sakuasama.iijan.or.jp/welcomenews/play/2007/07/post_32.php
doratya no blog: 蓼仙の滝
http://naturedrive.web.fc2.com/nagano/tateshina_tatesen.html
オコジョの散歩道 | 白樺高原 3 蓼仙の滝 (リョウセンノタキ)
http://shinshu.fm/MHz/90.97/archives/0000293459.html
蓼仙の滝
(こんなの滝といっていいのというコメントが傑作です)
http://ameblo.jp/love-cosme-100/entry-10620114994.html
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/ があります。
2010年5月12日より4日間にわたって,第31回Heart Rhythm Society(HRS)2010が米コロラド州デンバーで開催されました。
この学会に参加された東京女子医科大学循環器内科の江島 浩一郎先生が学会印象記を投稿されてみえます。
この学会は不整脈の関連学会としては世界で最も権威があり,その演題採択率は約30%ということです。
最近では,心不全に対するペーシング治療(心室再同期療法)が行われるようになっているため,学会の内容には不整脈のみならず,心不全治療をも含むようになっています。
きょうは、その記事で勉強しました。
アブレーションの進化とデバイス倫理巡るガイドラインの整備,新しいステージを実感
注目集める心房細動,冷凍凝固のバルーンカテーテルが話題に
HRSは米国の3都市(ボストン,サンフランシスコ,デンバー)間で交代に開催されている。
発表演題を抄録のkey word検索から種類別に分析してみたところ,心房細動389,心房頻拍11,心房粗動17,心室頻拍76,心室細動31と心房細動に関する演題の数がひときわ多かった。
患者数が多く臨床研究の裾野が広いこと,また治療が発展途上であることを反映しているのだろう。
そのなかでも,根治術と位置付けられるカテーテルアブレーションの分野は最も進歩が著しい分野であり,注目度も高い。世界中の著名な施設が治療成績を向上させるためしのぎを削っており,有効性が確立された発作性心房細動のみならず,持続性心房細動や永続性心房細動に対してもその可能性を模索するため日々臨床研究がなされている。
学会では,より簡便にアブレーション治療を行う新デバイスの報告が目立っていた。
心房細動のアブレーション治療に関する144演題のうち,新デバイスに関する報告は24演題だ。
そのうちの17演題はバルーンカテーテルに関連したもので,なかでもクライオバルーン(冷凍凝固)に関する報告が10演題にのぼった。
心房細動の多くは,肺から左房へ流入する血液の通り道である肺静脈の期外収縮がきっかけとなって発生するものと考えられている。
このため,治療の基本は,期外収縮のおもな発生源である肺静脈と左房との境界部に対して高周波エネルギーを用いたカテーテル治療により焼灼し,肺静脈を左房から電気的に隔離する治療(肺静脈電気的隔離術)である。
バルーンカテーテルとは,この肺静脈電気的隔離術を肺静脈が左房に流入する入り口にバルーンを当てることにより,バルーンに接した部分を一気に焼灼することを目的としたものだ。
日本では,葉山ハートセンター(神奈川県)で開発された高周波ホットバルーンカテーテルが知られており,今後臨床治験が行われるようであるが,認可・保険償還されたバルーンカテーテルはいまだない。
また,肺静脈電位を記録するために用いられてきた円周状電極カテーテルを用いたアブレーションも可能となることを示す報告も散見された。
これらの新デバイスがわが国でも使用可能となれば,心房細動に対するカテーテルアブレーションの裾野が広がることになるかもしれない。
これに関してはよい面もあるが,基礎的な知識なしに新しいデバイスを用いて,安易にアブレーション治療が行われるようになるのではとの危惧がある。これらのデバイスの健全な普及が望まれる。
デバイス機能停止がガイドラインに
今年のトピックスの1つに,ペースメーカ,植え込み型除細動器や心臓再同期療法といった植え込み型心臓デバイスの機能を止めることについてのガイドライン(表)ができたことも挙げられる。デバイスの進歩とともに植え込み症例数が増大しており,終末期の患者においてデバイス機能を停止することの是非が問題となっていた。
特に,除細動器は患者の安らかな終末期を妨害しかねない。
ガイドラインでは,デバイス機能停止の倫理的また法的な原則を明らかにし,患者とのコミュニケーションについても言及している。
わが国でも早急に作成される必要があると思われる。
心房細動診療を方向付ける3試験
今回の学会では,多施設共同大規模臨床研究が報告されるセッションも設けられた。
5演題は植え込み型心臓デバイスに関してで,6演題は心房細動治療に関連するものだったが,印象的だったのは心房細動に関連する3試験だった。
まず,STOP-AFは前向きランダム化比較試験(RCT)で,発作性心房細動の治療法として確立されたカテーテルアブレーション・肺静脈電気的隔離術と従来通りの抗不整脈薬による薬物治療が比較された。
肺静脈隔離術にはクライオバルーンカテーテルが用いられた。自覚症状の強い,薬物治療抵抗性の発作性心房細動患者245例を対象として,心房細動発作の再発やQOLを表すスコアを比較したところ,いずれにおいてもクライオアブレーションを受けた群で有意に良好な結果が得られた。
クライオアブレーションの問題点は横隔神経麻痺の合併症であるが,多くは遠隔期に改善すること,適切にバルーンサイズを選択すれば回避できる可能性が示された。
2つ目のSAAB試験は,発作性・持続性心房細動へのカテーテルアブレーション後にステロイド静注を行うことの有用性を検討した前向き二重盲検RCTで,アブレーション後のステロイド静注は術後早期の症候性心房細動や胸痛を減少させ,除細動の必要性が著しく減少することが示された。
同様の前向き試験が,日本循環器学会で筑波大学循環器内科からも報告されており,ステロイド使用の標準化が進んでいく可能性があると思われた。
3つ目は日本のJ-RHYTHM Ⅱ試験で,心臓血管研究所の山下武志先生より報告された。同試験は既に日本循環器学会でも発表され,発作性心房細動を有する高血圧症例に対する降圧薬として,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)とカルシウム(Ca)拮抗薬では心房細動発作回数,慢性化および電気的除細動の必要性などに有意差がないことが明らかにされた。
心房の障害変化などを抑制することによって予後を改善するというアップストリーム治療の概念が提唱され,レニン・アンジオテンシン系阻害薬が有効である可能性が示唆されてきたが,その期待を裏切るもので,今後の臨床に影響を及ぼす大事な結果と考えられる。
出典 Medical Tribune 2010.8.26
版権 メディカルトリビューン社
<関連サイト>
Heart Rhythm Society
http://www.hrsonline.org/sessions/
http://www.hrsonline.org/
その他
心不全診断 家庭医に役立つバイオマーカー検査
呼吸困難,下肢浮腫,体力低下など,心不全を示唆する症状を訴える患者が家庭医にかかった場合,既往歴や臨床所見だけで鑑別診断を行い,心不全と確定するのは困難である。
そこで,ユリウスマクシミリアンス大学(ビュルツブルク)病院内科のCaroline Morbach博士らは,診療所での心不全診断と予後予測に有効なバイオマーカーを探索し,その結果をドイツ心臓病学会の第76回年次集会で報告した。
併用で高リスク患者を特定
今回の研究では,ビュルツブルクの家庭医にかかった,心不全が疑われる患者433例について血液を採取し,研究センターで,血中のN末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP),高感度C反応性蛋白(hsCRP),腫瘍壊死因子(TNF)-αの値を測定した。境界値は,NT-proBNP 250pg/mL,hsCRP 3mg/L,TNF-α 12pg/mLと設定,この境界値よりも高値を示したバイオマーカーの数(0~3)により,被験者を4群に分けて,各群の死亡率と延命率を割り出した。
その結果,高値を示すバイオマーカーの数が多いほど予後が悪くなり,すべてのバイオマーカーが高値を示す患者群で,予後が最も不良であった。
つまり,1つのバイオマーカーのみの測定よりも,これら3つを併用するほうがリスクを正確に予測できることがわかった。
以上の結果を踏まえて,Morbach博士は「NT-proBNP,hsCRP,TNF- αの3つのバイオマーカーの併用は,心リスク,非心リスクにかかわらず,高リスクの患者を発見するには有用であることがわかった。患者は心不全の疑われる症状を呈していても,実際には心不全以外の疾患によることも多い。家庭医は,心臓の精密検査を受けさせる患者を見分けるために,これらのバイオマーカーを利用するとよい」と結論付けた。
出典 Medical Tribune 2010.8.26
版権 メディカルトリビューン社
<外来管理におけるポイント>
■ⅡPは通常、胸骨左縁第3肋間で聴取しますが、心尖部でも明確に聴取するようになった場合はⅡPの亢進であり、右室圧上昇を示唆します。
■BNP値に影響を与える心外要因
①腎機能障害(上昇)
②貧血(上昇)
③肥満(低下)
■外来治療を受けている慢性心不全患者を対象とした疫学研究によると、75歳以上の高齢者が56%を占めていることが報告されています。
(外来通院する慢性心不全患者の年齢〜JCARE-GENERAL研究〜)
Tsutui H,et al. Circ J 71:449-454,2007
■開業医に通院する患者では、75歳以上の高齢者の割合はさらに高まり64%にも達します。
■高齢者における心不全治療の問題点
(慢性心不全治療ガイドライン 2005年改訂版)
慢性心不全の外来管理では、複数の疾患を合併していること、治療薬による副作用や腎機能障害が生じやすいこと、心不全増悪による再入院をおこしやすいことなどの高齢者の特徴を十分考慮した診療が必要といえます。
1.病歴の聴取がむずかしい
2.心不全徴候が非典型的である
3.他疾患の症状と紛らわしい
4.複数の疾患が関与していることが多い
5.多臓器不全を生じやすい
6.拡張障害による心不全が多い
7.種々の増悪因子の関与が大きい
8.侵襲的検査が行いづらい
9.deconditioninngやADLの低下がおこりやすい
10.治療に不従順な例が多い(服薬、塩分制限など)
11.治療薬の安全域が狭い
12.心不全増悪による再入院例が多い
13.高齢者を対象とした心不全治療のエビデンスが乏しい
■慢性心不全患者における合併疾患(海外データ ANCHOR研究)
慢性心不全患者に合併する疾患としては、高血圧、冠動脈疾患、心房細動といった心血管系のほか、多くの場合で貧血、慢性腎臓病、糖尿病、慢性肺疾患などが認められます。
高血圧 61.0%
貧血 42.6%(男性Hb<13g/dl、女性Hb<12g/dl)
腎機能低下 39.2%(eGFR<60)
冠動脈疾患 36.1%
糖尿病 32.4%
陳旧性心筋梗塞 26.4%
慢性肺疾患 26.2%
狭心症の既往 21.8%
心房細動 17.2%
■Cardio-renal-anemia症候群の概念
心不全、慢性腎臓病、貧血
この3つの病態は、それぞれの進展が密接に関与し合い、Cardio-renal-anemia症候群と呼ばれる悪循環を形成します。
このことから、慢性心不の管理においては、増悪因子である貧血や慢性腎臓病の改善を目指した積極的な治療もかかせません。
Silverberg DS, et al. Clin Nephrol 60:S93-S102, 2003
■貧血の合併患者では、循環血漿量の増加に伴う希釈性の貧血のほかに、栄養性貧血、慢性炎症や腎機能低下を原因とした貧血が認められます。
腎性貧血に対してはエリスロポエチン製剤が適応となります。
またACE阻害薬などによる薬剤性貧血も起こりうるために注意が必要です。
慢性心不全に合併した貧血の治療
・鉄剤、ビタミンB12、葉酸
・エリスロポエチン製剤
・輸血療法(重症、緊急時)
*薬剤性貧血(たとえばACEI)に留意する。
■慢性心不全に合併した慢性腎臓病の治療
・ACEI、ARB
・利尿薬
*RAA系治療薬による高カリウム血症や腎機能悪化に留意する。
*過剰な利尿は腎機能を悪化させうる。
*腎排泄型の治療薬は腎機能障害の程度により減量する。
■腎排泄型のジギタリス製剤やβ遮断剤などは、腎機能障害の程度により作用が増強するため、減量が必要となります。
ただし、β遮断剤でもカルベジロール(アーチスト)は肝代謝型であり、またα1遮断作用による血管拡張作用も有し、腎機能に悪影響を及ぼさないことが報告されています。
■慢性心不全の外来管理においては、心不全増悪の兆しをいち早く察知することも重要です。
そのためには、日常臨床において簡便かつ非侵襲的に行える問診や身体所見によってうっ血や低心拍出状態の変化をいち早く捉え、胸部X線検査や心電図検査、血液検査などと組み合わせることで心不全増悪の早期把握につなげることが大切です。
■うっ血による右心不全、左心不全による症状と所見
周知の事項のため省略
■左心不全による低心拍出状態の<症状>
全身倦怠感
尿量減少・夜間多尿
傾眠・意識障害
食欲不振
■左心不全による低心拍出状態の<所見>
四肢冷感・チアノーゼ
低血圧・脈圧低下
頻脈・交互脈
■BNP値の解釈において注意すべき要因
BNP値は大変有用なバイオマーカーですが、慢性心不全の外来 管理に利用する際は、BNP値に影響を及ぼす要因を十分に考慮 に入れ、他の臨床所見に加えて包括的な解釈を行うことが重要 といえます。
高値になりやすい要因
・加齢
・女性
・腎機能障害
・貧血
・心房細動
・心肥大
低値になりやすい要因
・僧房弁狭窄
・収縮性心膜炎
・肥満
■BNPとNT-proBNPの測定系としての比較
BNP値には血漿BNP濃度のほか、血清での測定が可能なNT-
proBNP濃度があるため混同しないよう注意が必要です。
いずれも心室負荷や心筋障害を反映して上昇する値ですが、基 準値や腎機能の影響などが大きく異なる測定系であり、両者の 特徴を十分理解して利用するころが大切です。
BNP (NT-proBNP)
分子量(kD) 3.5 (8.5)
ホルモン活性 + ( - )
半減期 数分〜約20分 (約120分)
代謝機構
中性エンドペプチターゼ(NEP),NPR-C,腎排泄 (腎排泄)
腎機能の影響 ++ (++++)
加齢による増加 + (+++)
迅速診断法 + (+)
測定可能な採血法
EDTA加血漿 ( 血清/ヘパリン加/EDTA加血漿)
BNP製剤との交叉性 + ( -)
添付文書記載基準値(日本) ≤18.4pg/mL
(≤55pg/mL)
猪又孝元 Heart View 12(7):23-29、2008改変
監修:大阪府立成人病センター 堀 正二 総長
http://www.artist-dsc.info/shinfuzen/HFQ/01/index.html
<きょうの一曲> How High the Moon
Lola Albright - How High the Moon
http://www.youtube.com/watch?v=S4jFd0XYYb0&feature=related
Natalie Gauci - How high the moon
http://www.youtube.com/watch?v=UcJ5aL4rzyQ&NR=1
Toni Tennille - How High The Moon
http://www.youtube.com/watch?v=4mDMVyKjMbw&feature=related
Manhattan Transfer How High The Moon
http://www.youtube.com/watch?v=ebxSOrqC1GM&feature=related
<関連サイト>
How High The Moon|ジャズ&洋楽訳詞ow High The Moon
http://ameblo.jp/higashiemi/entry-10475230046.html
HOW HIGH THE MOON - W&R : Jazzと読書の日々
http://d.hatena.ne.jp/wineroses/20060822
Lola Albright
http://www.filmbug.com/db/75826
Natalie Gauci Official Site
http://www.nataliegaucimusic.com/musicbox/home.do
Natalie Gauci - Wikipedia, the free encyclopedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Natalie_Gauci
Toni Tennille
http://en.wikipedia.org/wiki/Toni_Tennille

2010.8.14 撮影 蓼科・イングリッシュガーデン
その他
FMD検査についてちょっと「おさらい」をしてみました。
血流依存性血管拡張反応Flow-mediated Dilation (FMD))
血流量の増加により刺激された血管内皮から血管拡張物質亜鉛化窒素が放出され、血管が拡張する反応である。
上記の反応を動脈硬化度の測定に用いる検査方法。
被験者の腕部にカフで5分間完全駆血し、駆血解除後の血流をエコー検査で診断。
血管の拡張率を数値化する。
拡張率が低いほど動脈硬化の危険度は高いと考えられている。
##FMD/見た目にはわからない血管内皮の「機能」を診る
動脈硬化から脳・心血管イベントへと連なる“Cardiovascular Continuum(心血管イベントの連続性)”における最初の異常は,血管内皮機能の低下として現れる。
見た目にはわからない「機能」の障害を捉えることができる血流依存性血管拡張反応検査(FMD)は,動脈硬化の存在をいち早く発見し,早期からの介入へと導く有用な指標として期待されている。
北海道大学循環器病態内科学の古本智夫氏は,このFMDに早くから注目し,日々の臨床に積極的に取り入れているという。
#将来の心血管リスクの予測にも有用
血管内皮機能の評価法としては,カテーテルを前腕動脈などに挿入して計測するプレチスモグラフィが以前から利用されてきた。この方法は精度が高く,薬効評価などに非常に有効な方法であるが,患者の負担が大きく一般臨床の場で用いることには向かない。
これに対し, FMDは上腕動脈を5分駆血し,血管の拡張反応を無侵襲のエコーで観察するだけであり,患者への負担はほとんどない。
また,最近実用化された半自動測定機器なら操作も容易であり,短期間の練習で専門家でなくても測定が可能だ。

古本氏らの検討では,動脈硬化のスクリーニング検査として既に広く用いられている頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT)は,冠動脈造影で90%以上の狭窄がある患者群において有意な変化を示すが, FMDは50%以上の狭窄がある患者群で既に,狭窄のない患者群に比べて有意に低値であることを見出している。
つまり,FMDは血管病変をより早期から検出できる検査と言える。
また,最近では,米国の大規模疫学研究であるMESA(Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis)の一環として, FMDが中央値以下のコホートと中央値以上のコホートの心血管イベントの累積発症率には,5年間で約10%もの差(P<0.0001)が生じていたことが報告されている(Circulation 2009; 120: 502)。
このように, FMDは現在の血管の状態を反映するだけでなく,将来の心血管リスクの予測因子としても期待されている。
#心電図や血液検査同様,検査項目の1つに
ただし, FMDにも弱点はある。
1つは,NOという生理的な物質を介した反応を測定する方法であるがゆえ,睡眠や食事,体調,それに温度や時間といった測定条件によって,測定値に多少の変動が生じることだ。
また,従来は専門家が目視で測定していたため,その再現性や異なる施設間での測定値の比較には限界があった。
しかし,測定装置の開発などにより,わが国でも標準化が進行している。
一方,現在でも同一患者のFMDを経時的に追跡し,「FMDの変化」を治療経過の指標の1つとして利用することは十分可能である。
なお,古本氏らの施設ではVascular Lab※を開設し, FMDだけでなく中心動脈血圧や脈波速度測定など血管機能を徹底的に検査し,そのデータを集積している。
ここでは,健診でメタボリックシンドロームを指摘された人や,高血圧や脂質異常症患者など,血管に不安を持つ人々を予約制で受け入れている。
また,初診あるいは他院からの紹介で受診した高血圧患者には,積極的にFMD検査を勧めているという。
大学病院という性格上,患者は比較的短いサイクルでかかりつけ医に逆紹介することが多いが,その際にはFMDをはじめとした血管機能データを添付し,一見問題がないように見えても水面下で血管障害が進行している患者への対処について注意を促すようにしている。
一般開業医におけるFMDの認知度はまだ十分とは言えないが,「心電図や血液検査と同様に,危険因子のある人には,一度は血管機能検査を受けて欲しい」と同氏は述べている。
出典 Medical Tribune 2010.2.25
版権 メディカルトリビューン社
血流依存性血管拡張反応がLDL-C/HDL-C比と負相関
おかべふじこ内科・循環器クリニック(東京都)の岡部富士子院長(東京逓信病院循環器科兼務)は,侵襲なく簡単に測定できる血流依存性血管拡張反応(FMD)が,動脈硬化の進展や心血管イベントの予知因子となる可能性が示唆されているLDLコレステロール(LDL-C)/HDLコレステロール(HDL-C)比と負相関するデータが得られたと報告した。
Hb値,尿酸値とも負相関
血管内皮機能の低下は,動脈硬化の第1段階で発生する。
その指標の1つであるFMD値は,可逆的な動脈硬化早期の検出に有用と考えられている。
測定に用いる高解像度2Dイメージカラードプラ超音波診断装置は広く普及しており,侵襲なく簡単に短時間で測定できるのが利点だ。
高血圧症,糖尿病,脂質異常症,肥満などで低下することがわかっている。
正常下限は報告により5〜15%と幅があるが,4%以下で動脈硬化のリスクが高まるとの見方もある。
岡部院長らは今回,FMD検査を行った99例(男性54例,女性45例,平均年齢64.5歳)で,FMD値と血清脂質などとの関係を検討した。99例の疾患内訳は,脂質異常症72%,高血圧52%,虚血性心疾患39%など。喫煙者は7%。BMIは平均24.1。FMD値は平均4.4%,LDL-C/HDL-C比は2.4であった。同比については,2.0以上でプラークが進展すると報告されている。
FMD値と各因子・検査値との関連を検討した結果,FMD値は年齢,BMI,糸球体濾過量(GFR)とは相関しなかったが,ヘモグロビン(Hb)値,尿酸値との間には有意の負相関が認められた。
また,FMD値とLDL-C値,non HDL-C値との関係は有意ではなかったが,LDL-C値あるいはnon HDL-C値が高い症例ではFMD値が低い傾向を示した。
さらに,FMD値は,LDL-C/HDL-C比と有意の負相関を示した(図)。FMD値4%未満の危険因子を調べると,BMI 25以上,ASOなどが有意な因子であった。

同院長は「FMDは動脈硬化早期の確認が可能であることから,脂質異常における心血管イベント抑制の有用な指標になると考えられた」と述べた。
出典 Medical Tribune 2009.11.12
版権 メディカルトリビューン社
*内皮機能を悪化させる動脈硬化因子(危険因子)
加齢
性別(男性)
閉経(同年齢でも閉経を迎えた女性)
遺伝(家族内に動脈硬化性疾患を比較的若い年齢で発症した人)
高血圧症
糖尿病
高脂血症
肥満(特にMetSのような内臓脂肪型肥満)
高尿酸血症
喫煙
*内皮機能を改善する因子(予防因子)
L−アルギニン
Nナセチルシステイン
スタチン
低脂肪食
有酸素運動
体重減少(減量)
抗酸化物質
ビタミンC
ポリフェノールを含む各種フラボノイド(赤ワインなど)
アスピリン
エストロゲン
SERM(selective estrogen receptor modulator)
フィストエストロゲン
テストステロン
エンドセリン受容体遮断薬
タウリン
1日15~30分のサウナ
出典
第58回 日本心臓病学会学術集会抄録集
J.Cardiol.Jpn.Ed.Vol2 Supplement Ⅰ、2010 P132
<FMD 関連サイト>
FMD検査
http://www.fmd-kensa.jp/pg7.html
FMD Measurement
http://www.bmpe.t.u-tokyo.ac.jp/research/vessel/vessel.html
FMD検査 血流依存性血管拡張反応とは何でしょうか
http://www.unex.co.jp/terms/tm_fmd.html
FMD検査 | 小松病院
http://www.komatsu.or.jp/fmd.htm
動脈硬化、腕の血管で診断
http://www.47news.jp/feature/medical/news/1226domyaku.html
血管内皮機能評価 その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20080217
血管内皮機能評価 その2(2/2)
http://blog.m3.com/reed/20080218
最新の動脈硬化検査・FMD検査(血管内皮機能検査)
http://www.youtube.com/watch?v=dGDesUzh7OI&feature=related
FMD検査(血管内皮機能検査)とは
http://www.youtube.com/watch?v=L4hbwt5Ttbc&feature=related
<番外編>
HDL-Cが極端に高い時どのように対処するか?
http://kowa.m3.com/ck9a5dea28902e60ca067529e6fe909bb3261/contents/gimon_LH/vlsl04/index.htm?cid=201007FOAM
回答者 帝京大学 寺本民生教授
■日常臨床でHDL-Cが100mg/dlを超えるような患者さんを見かけますが、ごくまれに特定の病態によってHDL-Cが高くなる症例があるので、注意が必要です。
■日本人は外国人に比べてHDL-Cが高く、男性より女性が高いことが知られています。
(HDL-C80mg/dlを超える方は全人口の約10%)
■HDL-Cが100mg/dl以上の場合は、CETP欠損症などの遺伝子異常の可能性があります。
可能であれば頸動脈エコーなどで動脈硬化の進み具合を確認します。
また、リポ蛋白電気泳動(保険適応)を行い、ブロードβの存在の有無(IDL、レムナントの有無)などを確認できればより望ましいです。
■ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)によりmidbandが確認できる場合、IDL、レムナッbト等が存在します。
■遺伝子異常や二次性の高HDL-C血症の例
○ CETP欠損症
CETPはHDL中のコレステロールエステルをVLDL、IDL、LDLなどに転送する蛋白です。
CETP欠損症による高HDL-Cが動脈硬化にどのような影響をおよぼすかは、議論の分かれるところで、一定の見解は出ていません。
(私的コメント:っこのところが一番われわれが知りたいところです。前向き研究も決して難しくない分野と思うのですが、臨床研究をする人が出て来ないところが不思議です。)
○ HTGL欠損症
肝臓でのリポ蛋白リパーぜの欠損症で非常に危険な状態です。
高HDL-Cで、リポ蛋白電気泳動の結果IDLの存在が確認できた場合はこの疾患を疑います。
○ 原発性胆汁性肝硬変(primary billiary cirrhosis: PBC)
二次性の高HDL-C血症を呈する疾患で注意が必要です。
肝機能検査を実施し、ALP、γーGTPが上昇すている場合はこの疾患を疑います。
■コレステロール逆転送系とHDL-C増加機序
高HDL-C血症の場合、HDL-Cの総量は同じでも以下の2つの機序を考慮する必要がある。
①逆転送系の活性化によるHDL-C増加
逆転送系が十分機能して、抗動脈硬化作用が期待できる
②逆転送系が滞ることによるHDL-C増加
逆転送系が滞り、HDLがコレステロールを肝臓に戻しにくくな
る。
<自遊時間>
昨夜、生まれて初めて「鱧(ハモ)しゃぶ」を食べました。
骨切りがまことに上手にされていて、鍋に鱧を入れると花が咲いたような見事な「鱧(ハモ)しゃぶ」の出来上がりです。
ひょっとして「ふぐ鍋」より美味かも知れません。
2010.8.25 撮影
(見た目は河豚のような華やかさはありません。実力で勝負です。)
鱧(ハモ)料理のレシピ -鱧しゃぶ編-
http://www.123lifestyle.net/hamo/2007/06/post_12.html
夏が旬の鱧 絶品のしゃぶしゃぶ 鱧のしゃぶしゃぶ
http://allabout.co.jp/gm/gc/75219/
鱧(はも)しゃぶ
http://hamo.onmybeat1980.com/2007/07/hamoshabu.html
本場京都の鱧しゃぶ(鱧鍋)通販【京都の魚屋 本田鮮魚店】宅配・通販
http://www.hondasengyoten.com/hamo/hamoshabu.html
その他
若年成人期のLDL-C値が中年期の冠動脈硬化症と特に強く関係
20歳代~30歳代の血清脂質,特にLDLコレステロール(LDL-C)値が理想的な数値より少し高いだけでも中年期の冠動脈硬化症との関係は明らかであると,米カリフォルニア大学サンフランシスコ校を中心とするグループがAnnals of Internal Medicineの8月3日号に発表した。
中年~高齢者の脂質異常症は冠動脈性心疾患の主要原因だが,若年成人期の血清脂質値が中年期の冠動脈硬化症に及ぼす影響は十分には明らかにされていない。
同グループは,1985~86年に18~30歳で心疾患リスク評価試験に参加した被験者の約64%に当たる3,258例を対象に,20年間にわたって血清脂質値を測定。
20~35歳の間の平均LDL-C値およびHDLコレステロール(HDL-C)値,トリグリセライド(TG)値と,中央値で45歳時点の冠動脈石灰化との関係を検討した。
参加者のうち2,824例(87%)がLDL-C値100mg/dL以上,HDL-C値60mg/dL未満,TG値150mg/dL以上のいずれかに該当し,米国コレステロール教育プログラムが推奨する若年成人期の至適血清脂質値の範囲外であった。
解析の結果,20年後の冠動脈硬化症(冠動脈石灰化)の有病率は至適LDL-C値(70mg/dL未満)群の8%に対し,160mg/dL以上の群では44%と5倍以上高かった(P<0.001)。
この関係は人種および男女を通じて一貫していた。
さらに,35歳以降の血清脂質値と脂質以外の冠危険因子を調整後も若年成人期のLDL-C値が高いほど冠動脈硬化症のリスクが高く,至適群と比較したオッズ比は70~99mg/dL群が1.5倍,100~129mg/dL群が2.4倍,130~159mg/dL群が3.3倍,160mg/dL以上群が5.6倍であった。
また,若年期のLDL-C値およびHDL-C値は,脂質降下薬による治療を受けている患者または臨床的に明らかな脂質異常がある患者を除外後も,中年期の冠動脈硬化症と独立して関係していることが確認された。
Pletcher MJ. Ann Intern Med 2010; 153: 137-146.
出典 Medical Tribune 2010.8.19
版権 メディカルトリビューン社
<番外編>
高齢メディケア患者におけるRosiglitazone vs ピオグリタゾン
65歳以上の患者において、Rosiglitazoneはピオグリタゾンと比較して、脳卒中、心不全、総死亡、AMI/脳卒中/心不全/総死亡のリスクを増加させることが、アメリカ、US Food and Drug AdministrationのDavid J. Graham氏らにより、7月28日号のThe Journal of the American Medical Association誌で報告された。
Graham氏らは、2006年7月から2009年6月までにメディケアのパートD給付により、Rosiglitazone、又はピオグリタゾンでの治療を受け、3年の追跡が行われた65歳以上の227,571人(平均年齢74.4歳)を対象に、心血管有害リスクを後ろ向きに評価した。
試験期間中、8,667のイベントが観察され、Rosiglitazoneの補整HRはピオグリタゾンと比較し、AMIで1.06(95%CI 0.96-1.18)、脳卒中で1.27(95%CI 1.12-1.45)、心不全で1.25(95%CI 1.16-1.34)、死亡で1.14(95%CI 1.05-1.24)、そしてAMI/脳卒中/心不全/死亡で1.18(95%CI 1.12-1.23)を記録した。
ロシグリタゾンによる複合評価項目の発症リスクは100人年あたり1.68(95%CI 1.27-2.08)であり、有害必要数(NNH)は1年で60(95%CI 48-79)であった。
Graham氏らは、「65歳以上の患者において、ピオグリタゾンと比べてRosiglitazoneは、脳卒中、心不全、及び総死亡及び、AMI/脳卒中/心不全/総死亡の複合リスクの増加に関連していた」と、まとめている。
Graham D, et al. JAMA. 2010; 304: 411-418
https://www.tcross.co.jp/details.php?category=medical&no=781&id=1
<きょうの一曲>
ピアノ協奏曲第23番イ長調K488~第2楽章アダージョ
http://www.youtube.com/watch?v=lhbXOY4YU1k&feature=fvw
東山魁夷画伯はモーツアルトの音楽をこよなく愛されたそうです。
この画伯の有名な18点の風景画による<白い馬の見える風景>の連作。
「緑響く」はモーツアルトのピアノ協奏曲イ長調の旋律から想を得て生まれました。
私も昨年、この画のモデルとなった御鹿射池を訪れました。
(ちなみにブログの写真は「御鹿射池」です)
御射鹿池(みしゃかいけ)
http://blog.goo.ne.jp/crystal_may/e/db552297fd5a12db2ee4a1545b30f34a
秋の御射鹿池
http://norihana2.web.fc2.com/shinsyuu/misyaka.htm
奥蓼科「御射鹿池」
http://blogs.yahoo.co.jp/hearty4h/49434036.html
昨日、分厚い郵便物が届きました。
開封してみると、「第58回 日本心臓病学会学術集会 抄録集」でした。
学会に出席する場合には、少なくとも往来の車内で抄録集に目を通す先生が多いのではないでしょうか。
しかし、出席しない場合には、そのまま「ゴミ箱行き」といった、さっぱりとした性格の先生もおみえになるでしょう。
粘着質の私は、少なくともパラパラと一応抄録集に空気を通します。
第58回 日本心臓病学会学術集会 学術プログラム
http://www2.convention.co.jp/58jcc/program/index.html
(PDFでみることが出来ます)
ちょっと長く循環器を専攻してみえる先生は、会誌『臨床心音図(Cardiovascular Sound Bulletin)』や『臨床心臓図学会』という名前を懐かしく感じるのではないでしょうか。
日本心臓病学会 学会案内
http://www.jcc.gr.jp/pink/index.html
には1970年10月に臨床心音図研究会として発足。
設立者は古田昭一,町井 潔,坂本二哉(先生)と書かれています。
会員数は約9,000名
<本学会の目的>
心臓病の臨床を中心テーマとして、心臓病の成因,診断,治療を総合的に取り上げ,臨床心臓病学に関する諸問題を広く討議研究し,また臨床心臓病の診療と研究を目指す若手医師の教育にも重点をおいて活動して,日本における心臓病学の臨床ならびに研究のレベルを向上させ,もって人類の健康の増進と福祉の向上に貢献することを目的としている。
日本循環器学会は研究志向、つまり若い研究者にとっては医学博士論文の登竜門的性格を持つ「学問的」な学会です。
心エコーや心音図の研究を行って来た、上記の三人の先生が設立者となって「臨床志向」の学会を立ち上げられたのです。
今回のプログラムを見ても、症例報告やコメディカルセッションにこの学会の性格が現れています。
私のような開業医は日本循環器学会より日本心臓病学会の方が勉強になります。
ところで、「演者索引」を見てみると各大学の循環器学教室(講座)のスタンス、つまり臨床志向かどうかを知ることが出来ます。
中には全く演題を出していない教室(講座)があります。
おそらく、教授が臨床志向ではないのでしょう。
こういった教室から輩出される循環器医は、将来がちょっと気の毒になります。
何よりも、その大学周辺の患者さんが不幸ではないでしょうか。
そういった見方も出来る「抄録集」です。
さて、先生方もよくご存知のように、この学会は恐らく坂本先生の情熱によって現在の隆盛を迎えたといっても過言ではないと思います。
坂本先生の編集後記を何よりも楽しみにしておられた先生も多かったことでしょう。
もちろん、吉川純一先生をはじめ歴代の学会誌の校正を担当された血の滲む努力があったのは言うに及びません。
以前にもこのブログで書いたことがありますが、坂本先生といえば私にとって忘れられない思い出があります。
それは、ある海外の循環器学会のセレモニーに坂本先生の臨席に座るという光栄に浴したことがあったのです。
帰国後、写真を送らせていただいたら、達筆な字で書かれたご丁寧な御礼の手紙をいただき却って恐縮してしまいました。
先生は帰途に向かう前に、どうされたのかはわかりませんが骨折されて帰国が遅れたようなことが書かれていました。
大先生にとっては無名な私のような人間に対しても、分け隔てなく近しく接していただき、先生の人間性を再確認することが出来ました。
<坂本二哉先生 関連サイト>
現役内科医師が提唱する「五感医療」の理論と実践
http://ameblo.jp/yumeyobi/entry-10346489794.html
半蔵門病院 外来診療 | 循環器内科
http://www.hanzomon.com/gairai/junkanki.html
Coffee Break
http://www.kenkoigaku.or.jp/html/info/coffee/coffee.html
海霧の町から
http://www.amazon.co.jp/海霧の町から-坂本-二哉/dp/4750002755
日本心臓病学会学術集会 開催一覧
http://www.jcc.gr.jp/yellow/index.html
(私にとって懐かしい、ビッグな先生が名を連ねておられます)
<番外編>
会員名簿・循環器専門医名簿
http://www.j-circ.or.jp/information/senmoni/kensaku/senmoni_kensaku.htm
(日本循環器学会にこんなコーナーがあります。自分のところをクリックしたらgoogle earthで診療所まで丸裸にされていました。)
<きょうの一曲>
八代亜紀 / 舟歌(ズレてた)
http://www.youtube.com/watch?v=C-RB2ua2GF0
八代亜紀 舟唄 (HQ版)
http://www.youtube.com/watch?v=GkmVHcpxcmc&feature=related
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/
があります。
第32回日本高血圧学会レビュー その1
http://blog.m3.com/reed/20100821/_32_1
第32回日本高血圧学会レビュー その2
http://blog.m3.com/reed/20100822/_32_21
の続きです。(最終回)
⑨「ニットの上から血圧測定」は高めに出る
(高知大学医学部検査部 山崎文靖氏)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jsh2009/200910/512575.html
出典 NM online 2009.10.5
版権 日経BP社
■すぐに血圧を測りたいのに患者の服は長袖——。
そんなとき、袖の上からカフを巻いて測定するケースは、日常診療にありがちだ。
では、どのくらいの厚さの服までなら、正確な血圧が測れるのか。
■対象は、健常ボランティア31人(男性20人、女性11人、平均38±8歳)。
ゆったりした安静臥位で両上腕にカフを着けて同時に圧をかけ、約3mmHg/秒で減圧、上腕動脈音は膜型聴診器と小型マイクで記録した。
■
右腕に着けたカフの内側には、以下の厚みの布を巻き込んで測定し、左腕の測定値をコントロール値として、布(衣服)の影響をみた。血圧の左右差は、布を巻き込まずに測定した値で補正した。
0.2mm厚のシャツ
1mm厚のトレーナー
2mm厚のニット+0.2mm厚のシャツ(ニット薄)
4mm厚のニット+0.2mm厚のシャツ(ニット中)
7mm厚のニット0.2mm厚のシャツ(ニット厚)
なお、ニットは地肌に直接身につけるケースが少ないことから、シャツと組み合わせた。
■膜型聴診器を皮膚に密着させて測定した場合、左右の測定値の差(mmHg)は上記5パターンの順に、収縮期血圧で0.9±3.2、0.2±2.9、0.8±3.0、3.4±3.8、4.9±2.7で、ニット中とニット厚はコントロール値に対して有意に高い血圧値となった。
膜型聴診器を布の上から当てた場合は、ニット薄とニット厚で有意差が出た。
ニット中で有意差がなかったのは「布の厚みでコロトコフ音が聞き取りにくかった影響が出た可能性がある」と山崎氏は分析する。
拡張期血圧については、膜型聴診器の位置にかかわらず、ニット薄、ニット中、ニット厚で有意差があった。
■以上のように、上腕でカフを用いた血圧測定を行う場合、ニット生地以上の厚みの服の上からでは、有意に測定値が高く出ることが分かった。
⑩Ca拮抗薬シルニジピンはN型Caチャネル阻害を介して骨粗鬆症を抑制する
(大阪大学大学院老年・腎臓内科 志水秀郎氏)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jsh2009/200910/512574.html
出典 NM online 2009.10.5
版権 日経BP社
■高齢者では種々の疾患が相互に絡み合い、病態が複雑化する傾向があるが、複数の疾患に共通の病因や背景が認められることも少なくない。
その一例として高血圧と骨粗鬆症の関係が注目されており、一部の降圧薬には骨量や骨密度を改善する作用のあることが報告されている。
■演者らは、昇圧因子である交感神経活性の上昇が骨吸収を促進するとの報告や、交感神経を抑制するβ遮断薬により骨折頻度が低下することを示した成績に着目。
L型Caチャネルに加えてN型Caチャネルを阻害し交感神経終末からのノルエピネフリン放出を抑制する、Ca拮抗薬シルニジピンの骨代謝に及ぼす影響を動物実験により検討した。
■本実験では高血圧自然発症ラット(SHR)に卵巣摘出術を施して作成した高血圧・骨粗鬆症誘発ラットを対象に、シルニジピン3mg/kg/日および対照薬としてアムロジピン3mg/kg/日を28日間経口投与し、骨代謝マーカーと骨塩量を測定した。
■シルニジピンとアムロジピンは高血圧・骨粗鬆症誘発ラットの血圧を同程度に低下させたが、心拍数はシルニジピン投与群でのみ有意に低下した。
■血清中のカルシウム濃度、リン濃度に対しては、シルニジピンもアムロジピンもほとんど影響を及ぼさなかった。
シルニジピン群では骨形成マーカーであるアルカリフォスファターゼ(ALP)活性が上昇、骨吸収マーカーの酒石酸耐性酸性フォスファターゼ(TRAP)活性が低下した。
これらの変化はいずれも有意ではなかったが、ALP/TRAP比は薬剤非投与の高血圧・骨粗鬆症ラット群に比べ有意に高値であった。
■一方、アムロジピン投与群ではALP活性、TRAP活性、ALP/TRAP比に明らかな変化はみられなかった。
また脛骨近位部のTRAPを染色し染色面積を定量したところ、シルニジピン群では薬剤非投与群に比べて染色面積が有意に減少し、骨吸収が低下したことを示したのに対し、アムロジピン群では有意な変化は認められなかった。DEXA(Dual Energy X-ray Absorptiometry)法により測定した脛骨近位部の骨塩量は、シルニジピンにより有意に増加したが、アムロジピンは骨塩量を変化させなかった。
■演者らは以上の成績から、Ca拮抗薬シルニジピンはN型Caチャネル阻害作用を介して骨吸収・形成のバランスを改善する可能性があると指摘し、閉経後骨粗鬆症を合併した高血圧患者への有用性が期待できるとの見解を示した。
⑪ACE阻害薬やARBは長期間、脈波伝搬速度の増加を抑制する
(公立学校共済組合九州中央病院 冨永光裕氏)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jsh2009/200910/512569.html
出典 NM online 2009.10.5
版権 日経BP社
■演者らは、自院で高血圧症治療中の外来患者のうち、3〜6年間の追跡期間中、baPWVを3回測定し得た107例(男性50例、女性57例)を対象とした。患者の平均年齢は63±11歳、平均外来血圧は132±12/73±8mmHgだった。脈波伝搬速度の測定にはForm PWV/ABI(オムロン コーリン製)を用いた。
■患者は開始時のACE阻害薬またはARB服用の有無で、服用群(n=34)と未服用群(n=73)の2群に分けた。
両群で、男女比、年齢、BMI、糖尿病・脂質異常症の比率などに有意な差はなかった。
中略
■脈波伝搬速度に対するレニンアンジオテンシン系抑制薬の短期的な影響については、有効性が得られたとする報告は多いが、今回、長期的にも有効との結果が得られ、長期にわたって動脈硬化の進展を抑制できる可能性が示唆された」とした。
⑫高血圧は「仮面」も「白衣」も臓器障害のリスク——大迫町研究、久山町研究から
(東北大学大学院臨床薬学分野 菅野厚博氏)
(九州大学大学院環境医学分野 福原正代氏)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jsh2009/200910/512569.html
出典 NM online 2009.10.5
版権 日経BP社
■大迫町、久山町の両研究から、仮面高血圧だけでなく、白衣高血圧も臓器障害合併のリスク要因になることが分かった。
⑬RAS抑制薬+L/N型Ca拮抗薬併用は早朝高血圧と尿蛋白を改善する
(高知大学医学部検査部 山崎文靖氏)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jsh2009/200910/512592.html
出典 NM online 2009.10.6
版権 日経BP社
■CKDを合併した高血圧に対しては、レニン・アンジオテンシン系(RAS)抑制薬を第一選択薬とする厳格な血圧管理が推奨されている。
しかし、RAS抑制薬だけでCKD患者の降圧目標を達成するのは困難で、利尿薬やCa拮抗薬の併用を必要とすることが多い。
また、腎機能障害は血圧の上昇を伴うだけでなく、その日内変動にも夜間降圧障害や早朝高血圧などの異常をきたすことが知られており、降圧薬の選択においては、血圧日内変動を是正するか否かも問題になる。
■演者らは、このような観点から、RAS抑制薬とL/N型Ca拮抗薬シルニジピンによる併用療法の降圧効果と血圧日内変動に及ぼす影響を検討し、同療法が早朝高血圧および尿蛋白/クレアチニン比を有意に改善したことを明らかにした。
⑭高血圧患者のアディポネクチンがシルニジピンにより増加する
(福岡大学心臓・血管内科学 杉原充氏)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jsh2009/200910/512594.html
出典 NM online 2009.10.6
版権 日経BP社
■高血圧患者では、酸化ストレスを介した交感神経活性の亢進が心血管系の臓器障害に関与することが報告されているまた、高血圧は、脂肪細胞由来のサイトカインであり抗動脈硬化作用や抗糖尿病作用などを有するアディポネクチンの減少を伴うとされるが、これも臓器障害を促進する要因と考えられる。
■演者らは、このような知見を背景に、高血圧患者において交感神経抑制作用をもつCa拮抗薬シルニジピンのアディポネクチンに及ぼす影響を検討、本剤が血漿アディポネクチン濃度を有意に上昇させたことを明らかにした。
■演者らは、アディポネクチン濃度の上昇が降圧度に依存しないこと、他のCa拮抗薬からの切り替え例でも著明な上昇が認められたことから、この作用が本剤に固有なものである可能性が高く、その機序としてN型Caチャネル阻害によるシルニジピンの交感神経抑制作用が関与している可能性があることを示唆した。
⑮無症候性脳梗塞はCKDの独立したリスク因子
(横浜市立大学附属市民総合医療センター腎臓内科 小林麻裕美氏)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jsh2009/200910/512595.html
出典 NM online 2009.10.6
版権 日経BP社
■CKDは脳血管障害のリスク因子として知られるが、逆に脳血管障害もCKDの予後増悪因子になる。
心臓と腎臓の疾患リスクの関連については多数の報告があるが、「心腎連関」だけでなく、「脳腎連関」にも注意が必要といえそうだ。
中略
■無症候性脳梗塞は、脳梗塞や脳出血といった脳病変の危険因子としてだけではなく、腎臓の予後予測因子の1つであることが示された。
演者らは、「脳と腎臓は、細動脈レベルまで高い圧のまま血流が保たれ、しかも自動調節能を持つという他臓器にない類似性を持つ。無症候性脳梗塞を有する患者では、脳の穿通枝動脈と同様、腎臓の糸球体輸入細動脈においても広範な細動脈障害を来している可能性が高い」と考察し、「脳、腎臓、心臓といった臓器障害は、臓器ごとではなく全身の血管病ととらえ、血管をターゲットとした積極的な治療が必要」とまとめた。
<きょうの一曲>
Katie Melua - The Flood (Live in Norway)
http://www.dailymotion.com/video/xeeng1_katie-melua-the-flood-live-in-norwa_music
昨日の
第32回日本高血圧学会レビュー その1
http://blog.m3.com/reed/20100821/_32_1
の続きです。
⑤シルニジピンは交感神経系と腎RAA系を抑制して腎障害を抑制する
(京都薬科大学臨床薬理学 東條千里氏)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jsh2009/200910/512557.html
出典 NM online 2009.10.4
版権 日経BP社
■L/N型Ca拮抗薬シルニジピンは、顕性蛋白尿を合併した高血圧患者の尿蛋白を、L型Ca拮抗薬に比べて有意に低下させることが報告されている。
L/N型Ca拮抗薬はL型Caチャネル阻害による血管拡張作用に加え、交感神経終末のN型Caチャネルを遮断してノルエピネフリン分泌を抑制し、交感神経活性の亢進をきたすことなく降圧作用を発揮するとされるが、臨床研究で示されたシルニジピンの腎保護作用の機序はまだ明らかでない。
■東條氏らは、片腎摘出の1週後からDOCA(40mg/kg/週、皮下注)と1%食塩水を4週間投与して高血圧ラットを作成した。
そのDOCA食塩負荷高血圧ラットを同期間中に、シルニジピン投与(1mg/kg/日)、アムロジピン投与(1mg/kg/日)、薬剤非投与の3群に分け、血圧、尿中蛋白排泄量、尿中ノルエピネフリン排泄量、CCr、血清クレアチニン、血中尿素窒素、腎組織におけるアンジオテンシン転換酵素(ACE)の活性および発現量、アルドステロン濃度などの変化を比較した。
■DOCA食塩負荷は片腎摘出ラットの血圧を経時的に上昇させたが、シルニジピンとアムロジピンは共に血圧上昇を有意に抑制した。
両薬剤の降圧効果は同等だった。
尿中蛋白排泄量はDOCA食塩負荷により著明に上昇したが、シルニジピンはこれを有意に抑制した。
一方、アムロジピンは尿蛋白をほとんど減少させなかった。
■CCr、血清クレアチニン、血中尿素窒素もDOCA食塩負荷により著明に悪化したが、シルニジピンがこれらすべてを有意に改善したのに対し、アムロジピンが有意な抑制効果を示したのは血清クレアチニンの上昇だけだった。
■また、DOCA食塩負荷により尿中ノルエピネフリン排泄量は著明に上昇したが、シルニジピンのみがこれを有意に抑制した。
DOCA食塩負荷は腎組織内におけるACEの活性と発現量、アルドステロン濃度を著明に上昇させたが、これらの変化もシルニジピンにより有意に抑制されたが、アムロジピンによる変化は認められなかった。
■L/N型Ca拮抗薬シルニジピンは交感神経系と腎レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系を抑制し、DOCA食塩負荷高血圧ラットの腎障害を抑制するとの見解を示した。
⑥血管平滑筋細胞の老化が血管石灰化を引き起こす
予防・治療にスタチンとRhoキナーゼ阻害薬が有効な可能性
(京都府立医科大学循環器内科 栗本律子氏)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jsh2009/200910/512560.html
出典 NM online 2009.10.5
版権 日経BP社
■血管の石灰化は、血中カルシウムやリンが血管壁に付着して起きると考えられてきたが、血管平滑筋細胞(VSMC:vascular smooth muscle cells)が老化して骨芽細胞様に変化し、石灰化を引き起こしている可能性が新たに示唆された。
■石灰化が起きている血管壁付近では骨特有の遺伝子群や細胞群が多く、これらが石灰化に関連している可能性が既に指摘されている。
栗本氏らはヒトVSMCを長期間培養して老化VSMCを作り、若いVSMCと比較した。
すると老化VSMCでは、石灰化領域が占める比率とカルシウムの質量比が顕著かつ有意に増強していた。
■骨関連遺伝子の発現を調べたところ、老化VSMCでは若いVSMCに比べ、骨芽細胞に特有なアルカリフォスファターゼ(ALP)と1型コラーゲンの発現が有意かつ大幅に増加しており、骨芽細胞の分化に必要な転写因子であるRUNX-2の発現も有意に増加していた。
一方で、石灰化抑制因子であるMatrix Gla Protein(MGP)の発現は有意かつ著明に減少していた。
■次に、老化VSMCのALPと1型コラーゲンをノックダウンしたところ、いずれの場合も、石灰化は有意に抑制された。
RUNX-2をノックダウンするとALP発現は有意に抑制されたが、1型コラーゲンの発現は有意な減少がみられず、老化VSMCの骨芽細胞様変化には、RUNX-2を経由する系と経由しない系の2つが関与していることが示唆された。
■また、老化VSMCと若いVSMCにスタチンとRhoキナーゼ阻害薬を作用させたところ、どちらの薬剤も老化VSMCのアポトーシスを阻害し、MGP発現を有意に増加させて石灰化を抑制することが確かめられた。
■これらの結果から、加齢による血管石灰化に血管平滑筋細胞の老化が関与していること、予防や治療にスタチンとRhoキナーゼ阻害薬が有効である可能性が示唆されたとした。
⑦シルニジピンは心臓の自律神経バランスに好影響を及ぼす
(京都大学人間健康科学系 猪飼亜希子氏)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jsh2009/200910/512565.html
出典 NM online 2009.10.5
版権 日経BP社
■心臓交感神経活性の上昇は高血圧患者の予後を悪化させることが知られている。
従来の短時間作用型Ca拮抗薬は降圧に伴い交感神経活性の反射性亢進をきたすことが知られているが、この副作用は降圧作用が緩やかに発現する長時間作用型Ca拮抗薬が登場したことによりかなり軽減された。
しかしそれに関する懸念はまだ完全に払拭されたわけではない。
■近年、Ca拮抗薬の中には、血管の収縮に関係するL型Caチャネルとともに交感神経終末に存在するN型Caチャネルを阻害するものが使用されるようになり、交感神経活性を抑制する作用が期待されている。
京都大学人間健康科学系の猪飼亜希子氏らは、高血圧患者を対象にL/N型Ca拮抗薬シルニジピンの心臓交感神経活性に及ぼす影響を検討し、その効果はL型Ca拮抗薬より好ましい影響を及ぼすことを明らかにした。
■対象は、L型Ca拮抗薬アムロジピンを6カ月以上、単独で服用している高血圧患者18例である。
被験者を2群に分け、1群(8例)にはアムロジピン(平均4.4mg/日)を継続投与し、他の1群(10例)についてはアムロジピンからシルニジピン(平均9.0mg/日)に変更して治療を続けた。
■試験期間は6カ月であった。アムロジピン継続投与群では6カ月間隔で2回、シルニジピン投与群では治療薬変更前と変更6カ月後に血圧、脈拍数を測定するとともに、心拍変動のスペクトル解析を行った。
スペクトル解析では、中間周波数成分と高周波数成分の比(LF/HF)を心臓交感神経活性の指標、高周波数成分のトータルパワーに対する比(HF/TP)を心臓副交感神経活性の指標として検討した。
■両群の収縮期血圧と拡張期血圧は試験開始前から有意に変化することなく、前治療で達成された降圧レベルが試験期間を通じて維持された。脈拍数も治療前後で有意な変化を示さなかった。
■しかし、心臓交感神経活性の指標であるLF/HFは、アムロジピン継続投与群ではほとんど変化しなかったが、シルニジピン投与群では有意に低下した。
また心臓副交感神経活性の指標であるHF/TPはアムロジピン継続投与群では治療前後で変化を示さなかったが、シルニジピン投与群のそれは有意ではないものの上昇する傾向を示した。
■L/N型Ca拮抗薬シルニジピンが高血圧患者の心臓交感神経活性を有意に低下させ、心臓副交感神経活性を軽度ながら上昇させたことから、猪飼氏は、L/N型Ca拮抗薬は心臓自律神経活性に好影響を与える可能性があると述べた。
⑧糖尿病合併高血圧患者の糖・脂質代謝、腎機能をシルニジピンが改善
(北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科 増田卓氏)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jsh2009/200910/512568.html
出典 NM online 2009.10.5
版権 日経BP社
■糖尿病を合併した高血圧に対しては厳格な降圧治療が必要とされる。
糖尿病合併高血圧患者の降圧治療ではレニン・アンジオテンシン系抑制薬が第一選択薬として用いられるが、単剤での降圧目標達成は容易でなく、降圧効果の優れたCa拮抗薬が併用されることが多い。
その場合、どのCa拮抗薬を選択するかが問題となるが、L型とN型Caチャネルを阻害するCa拮抗薬は優れた降圧効果とともに交感神経の過剰な興奮を抑制し、糖尿病患者のアルブミン尿を改善する作用を示すことが報告されており、糖尿病合併高血圧の治療に適したCa拮抗薬として期待を集めている。
■外来通院中の本態性高血圧患者77例を、糖尿病合併の有無により2群に分け、L/N型Ca拮抗薬としてシルニジピン10-20mg/日を、L型Ca拮抗薬としてアムロジピン2.5-7.5mg/日をそれぞれ8カ月間投与し、クロスオーバー法で比較した。
■それぞれの投与期間の終了時に、脂質代謝の指標として血清総コレステロール、LDL-コレステロール、HDL-コレステロール、中性脂肪、糖代謝の指標としてHbA1c、空腹時血糖、HOMA-R、腎機能の指標として推算糸球体濾過量(eGFR)、尿中アルブミン/クレアチニン比、レニン活性、アルドステロンを測定した。
■試験期間中は降圧目標(130/85mmHg未満)を達成するため、Ca拮抗薬以外の降圧薬も併用されたが、使用頻度が最も高かったのはアンジオテンシン2受容体拮抗薬(ARB、39.0%)で、以下、β遮断薬(33.8%)、利尿薬(27.3%)、ACE阻害薬(16.9%)の順だった。
これらのうちβ遮断薬の使用頻度は糖尿病合併群が非合併群に比べて低かったが、他の薬剤の使用頻度には糖尿病合併の有無で明らかな差はみられなかった。
試験期間中、個々の患者における併用薬の種類や投与量の変更は行っていない。
■全被験者でみた血圧と心拍数は、シルニジピン投与時130±10/77±8mmHg、64±7拍/分、アムロジピン投与時130±9/78±8mmHg、65±8拍/分と同等であった。
糖尿病非合併群(42例)において、シルニジピン投与時にはアムロジピン投与時に比べインスリン抵抗性の指標であるHOMA-Rが有意に低下した。
糖尿病合併群(35例)において、シルニジピン投与時にはアムロジピン投与時に比べ血清中性脂肪が有意に低下した。
また、シルニジピンはアムロジピンに比べ、腎機能指標のeGFRを有意に上昇させ、レニン活性と尿中アルブミン/クレアチニン比を有意に低下させた。
■本研究の特徴は、高血圧患者を糖尿病合併の有無により2群に分けてL/N型Ca拮抗薬の有効性を検討したことだが、増田氏は、シルニジピンが糖尿病を合併した高血圧患者において脂質代謝と腎機能を改善し、糖尿病を合併していない高血圧患者において糖代謝を改善したことから、本剤が糖尿病合併高血圧の治療だけでなく、糖尿病を合併しない高血圧患者における糖代謝改善の観点からも有用性が期待できると述べた。
ちょっと古いかも知れませんが第32回日本高血圧学会(2009.10.1〜10.3 滋賀県大津市)で発表された演題の紹介記事で勉強しました。
会長(滋賀医科大学上島弘嗣特任教授)講演が「疫学的エビデンスをどう作りどう理解するか」、特別講演の1つが、Framingham研究に基づくリスクチャートを構築した米Emory大学のPeter W. E. Wilson氏による「心血管疾患予測の最新動向」、特別企画1が「日本のエビデンスをつくる:JALS(The Japan Arteriosclerosis Longitudinal Study)」など、疫学的な演題が目立った学会だったようです。
①高血圧患者の酸化ストレス防御能をシルニジピンが改善
(日本薬科大学統合医療教育センター 永田勝太郎氏)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jsh2009/200910/512543.html
出典 NM online 2009.10.2
版権 日経BP社
■酸化ストレス防御系は自律神経系、免疫系、内分泌代謝系とともに生体のホメオスタシス(恒常性)維持機能を担っており、その障害は動脈硬化性疾患や癌などの発症に関与するとされる。
■永田氏らは、FRAS 4(イタリアWismerll社)という装置を用いて酸化ストレス関連指標を測定した。
この装置は、活性酸素やフリーラジカルによって血中に生じたヒドロペルオキシド(ROOH)を光度計で測定するd-ROM(reactive oxygen metabolites)検査と、血中抗酸化物質の鉄イオン還元に伴う色の変化を測定するBAP(biological antioxidant potential)検査が可能。
前者で酸化ストレス度、後者で抗酸化力を評価でき、さらに両者の比(BAP/d-ROM比)を、潜在的な抗酸化力の指標として用いることができるという。
■ アムロジピンとシルニジピンの降圧効果はほぼ同等だが、酸化ストレス防御系に対する作用が異なり、シルニジピンには酸化ストレス防御能を高める作用があることを示唆した。
■ 永田氏は、「シルニジピンの酸化ストレス抑制作用の詳細な機序は明らかでないが、心拍数低下をもたらすN型Caチャネル阻害作用が、酸化ストレス防御系にも好ましい影響を及ぼしている可能性があり、降圧治療のエンドポイントが梗塞性疾患の予防にあることを考えると、シルニジピンはその付加的作用から合目的的な薬剤である」と述べた。
②脈波速度でみる動脈の硬さはCKDの予測因子
(東京医科大学第二内科 冨山博史氏)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jsh2009/200910/512551.html
出典 NM online 2009.10.2
版権 日経BP社
■動脈の硬さの亢進は心血管疾患発症の危険因子とされるが、慢性腎臓病(CKD)発症についても有意な予測因子になり得るようだ。
■腎機能障害は、血圧の上昇や交感神経系の亢進、炎症、酸化ストレス、脂質代謝異常などを介して血管障害を進める。
一方、血管が硬くなると内膜へのストレスが高まるために血管障害が進む。
さらに、血流の多い臓器では左室からの圧脈波が直接伝播し、血流量の多い腎臓などの臓器障害につながる。
「血管が硬くなることが腎機能障害を起こす要因となり、腎機能障害も様々な因子を介して血管を硬くする方向に進む」と冨山氏は述べた。
③N/L型Ca拮抗薬で2型糖尿病性腎症マウスの尿蛋白が減少
(京都大学内分泌代謝内科 横井秀基氏)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jsh2009/200910/512546.html
出典 NM online 2009.10.2
版権 日経BP社
■Ca拮抗薬はL型Caチャネルの阻害により血管拡張作用を発揮するが、一部のCa拮抗薬は交感神経終末に局在するN型Caチャネルも併せて阻害し、交感神経活性を抑制する作用がある。
腎臓では糸球体輸出細動脈にN型Caチャネルが存在し、慢性腎臓病患者においては、N/L型Ca拮抗薬が尿蛋白を減少させることが明らかになっている。
■横井らは、N/L型Ca拮抗薬シルニジピンが2型糖尿病性腎症モデルマウスの尿中アルブミン排泄量を低下させることを報告、その機序として糸球体内の細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)のリン酸化が関与している可能性を示唆した。
④実地医はもっと原発性アルドステロン症を疑って!
地域連携で、2年で300超の原発性アルドステロン症を診断
(東北大学病院腎高血圧内分泌科 佐藤文俊氏)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jsh2009/200910/512550.html
出典 NM online 2009.10.2
版権 日経BP社
■高血圧症は全国で4000万人、そのうち少なくとも5%(200万人)は原発性アルドステロン症(PA)とされる。
臓器障害の合併が多く予後不良な疾患だけに、早期発見・早期治療が重要。
しかし1000人に1人程度の患者しか見つかっていないとされる。佐藤氏は、「間違いでもいいから(患者を)送ってほしい」と実地医に呼びかけ、2007年から2008年の2年間で328人ものPA患者を確定診断した。
■同氏が説明する原発性アルドステロン症の特徴は、高血圧患者のうち、比較的若年者、治療抵抗性、重症高血圧、急な血圧コントロール不良、低カリウム血症などと、初診時の血漿アルドステロン濃度(PAC)と血漿レニン活性(PRA)の比が、PAC(ng/dL)/PRA>20、PAC(ng/dL)>12かつPRA<1となる症例だ。
■紹介された患者に対しては、30分間の安静臥床後、負荷試験(カプトリル50mg負荷後もPAC/PRA>20、またはPRA<1で、ACTH負荷後のPAC(ng/dL)>20)で確定診断を行う。
■この結果、紹介されたPA疑いの724人の45%に当たる326人がPAと確定診断された。
このうち204人(62%)は入院となったが、残りの124人(38%)は、地域連携による薬物治療で、4〜6カ月ごとの経過観察を行った。
■佐藤氏は、「薬を出してもなかなか血圧が下がらない、30代、40代で家族歴もないのに血圧が高い、アンジオテンシン2受容体拮抗薬(ARB)を出しているのに低カリウム血症などといった症例に遭遇したら、ぜひアルドステロン症を疑っていただきたい。PAを見逃した患者が腎不全、心不全を発症して病院に送られるのは、医療経済上も大きなマイナス」と強調した。
<番外編>
収縮期高血圧を有する高齢患者における血圧の厳格管理 vs 適度な管理: VALISH試験
VALISH試験より、収縮期高血圧を有する高齢患者において、適度な降圧と比較し、厳格な血圧管理によるイベント抑制効果は確認されなかったものの、高齢者での血圧目標<140mmHgは安全に達成可能であることが、Osaka University Graduate School of MedicineのToshio Ogihara氏らにより、8月1日号のHypertension誌で報告された。
Ogihara氏らは、収縮期血圧(座位血圧160-199mmHg)を有する70-84歳の3,260人を、厳格管理群(<140mmHg: 1,545人)、又は適度な管理群(≧140-<150mmHg: 1,534人)に無作為に割り付けた。患者背景は両群で類似しており、平均年齢は76.1歳、平均血圧は169.5/81.5mmHgであった。
3.07年(中央値)の追跡を行い、3年の血圧は厳格管理群で136.6/74.8mmHg、適度な管理群で142.0/76.5mmHgを記録し、両群の差は5.4/1.7mmHgであった。
主要複合評価項目である心血管イベントの全体の割合は、厳格管理群で10.6/1,000人年、適度な管理群で12.0/1,000人年であった(HR 0.89 [95%CI 0.60-1.34] p=0.38)。
Ogihara氏らは、「本試験は厳格な血圧管理が適度な管理と比べ、優れていることを証明するにはパワー不足であったが、収縮期高血圧を有する比較的健康な70歳以上の患者における目標血圧<140mmHgは安全に達成可能であることが示された」と、まとめている。
原文
Ogihara T, et al. Hypertension. 2010; 56: 196-202
https://www.tcross.co.jp/details.php?category=medical&no=765&id=1

2010.8.14撮影 蓼科イングリッシュガーデン
<きょうの一曲>
栄冠は君に輝く ~全国高等学校野球選手権大会の歌~
http://www.youtube.com/watch?v=A3pd2U_6Fxk&feature=related
沖縄興南高校の優勝で全国高等学校野球選手権大会も幕を閉じました。
我喜屋監督と島袋投手の冷静な姿が印象的でした。
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/ があります。