戯れ言たれる侏儒
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人工弁機能不全に経カテーテルでの弁置換術の選択肢
聖パウロ病院(カナダ・バンクーバー)インターベンショナルカーディオロジー(介入的心臓病学)とインターベンショナルリサーチ(介入研究)の医療ディレクターJohn G. Webb博士らは,機能不全に陥った人工弁(生体弁)にカテーテルで新たな人工弁を埋め込む研究を行い「この方法は,高リスク患者に対する効果的な選択肢の1つだ」とCirculation(2010; 121: 1848-1857)に発表した。

4つの心臓弁すべてに使用
Webb博士らは今回の研究で,ブタまたはウシの組織を用いた生体弁が機能不全に陥った高リスク患者24例に対し,古い人工弁をバルーンで拡張し,新しい人工弁を経カテーテル的に挿入・留置した。

新しい弁は,カテーテルを用いて肋骨間に開けた小さな切開部または脚の血管に穿刺して挿入された。
古い弁の内部に留置後,バルーンを膨らませて拡張することにより,新しい弁は古い弁を押し出す。

同博士は「いったん拡張し開口すると,新しい弁は患者自身の弁のように機能する。この手技の利点は,開胸手術をせずに機能不全に陥った弁を置換できることだ」と説明している。
同博士は多くの人工弁はこの方法で置換可能だとし,「回復もより早い可能性があるうえ,大手術に伴う不安も軽減される」と述べている。

この手技は,人工弁が機能不全になり,再手術が難しい患者のみが対象となる。今回の研究において外科手術が危険あるいは不適格と判断された要因としては,2回以上の開胸手術歴,重度肺高血圧,心臓などの合併症がある。

この手技が初めて行われたのは5年前であるが,これまでのところ単独例のみしか報告されていない。
今回の研究は,相当数の患者データを提示しているとともに,置換部位には4つの心臓弁すべてが含まれている。
10例は大動脈弁,7例は僧帽弁,6例は肺動脈弁,1例は三尖弁がそれぞれ機能不全に陥っていた。

経カテーテル弁置換術中に死亡した患者はいなかった。
しかし,僧房弁置換例のうち1例は,途中から置換術を従来の開胸手術に変更したが,多臓器障害を発症して翌日死亡した。もう1例は術後45日目に死亡した。

普遍的な機能評価は困難
Webb博士らによると,再手術は劣化した人工弁に対する標準治療であるが,開胸手術の再施行には重大なリスクを伴う。
同博士らは米国胸部外科医学会(STS)の数値を引用して,ほかに健康上の問題がない80歳の男性では,大動脈弁に対する再手術による死亡リスクは5%,僧房弁再手術では10%で,合併症がある場合のリスクはさらに高いとしている。

僧房弁あるいは大動脈弁置換術を受けた患者のほぼ全員が,70~80歳代だった。
肺動脈弁あるいは三尖弁を留置されていた患者は,他の患者よりもかなり若かった。
このような患者は通常,先天性心疾患で,過去に手術を複数回経験していることが多い。
同博士は「それでも,1回でも手術を回避することは望ましい。患者の大半は男性であったが,女性でも同じ結果が得られるだろう」と述べている。

また同博士は,これまでさまざまな形状やサイズの弁が製造されているため,今回の経カテーテル的に置換された弁の機能を普遍的に評価するのは難しいと指摘。
「この手技は最初に外科手術で留置した人工弁のサイズが,新しい経カテーテル弁を挿入できる大きさがある場合にのみ機能する。大半の人工弁のサイズは十分だが,なかには小さいものもある。最初の人工弁が小さい場合でも,新しい弁は古い弁より大きく開くかもしれないが,期待されるほどうまくは開かないかもしれない」と述べている。

それでも,同博士は「総合的に判断した場合,経カテーテル弁留置術は,漏れが生じて機能しなくなった人工弁に対する治療法として非常に効果的だ」としている。

ベイラー医科大学と退役軍人局医療センター(ともにテキサス州ヒューストン)内科のBlase A. Carabello教授は同誌の付随論評(2010; 121: 1798-1799)で,今回の研究は心臓弁疾患(VHD)治療における次の段階に焦点を合わせたものだと指摘している。

さらに「VHDに対する経皮的デバイスを用いた治療法の登場は,過去50年間の心臓病学における最も刺激的な出来事の1つである。Webb博士らの研究結果は,この技術の進歩の速さを実証するものである」とコメントしている。

出典 Medical Tribune 2010.7.22
版権 メディカルトリビューン社


<2010.12.3追加>
#経カテーテル大動脈弁留置術 開心術が不適応な患者に有効
スタンフォード大学心血管外科のD. Craig Miller教授らは「外科的大動脈弁置換術の適応とならない重度大動脈弁狭窄症患者への経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)は,これらの患者の死亡率低下とQOL向上に有効である」との研究結果をNew England Journal of Medicine(2010; 363: 1597-1607)に発表した。

#手術不適応の358例で検討
同大学医療センターはPARTNER試験と呼ばれる今回の試験に参加した21施設の1つである。
この試験は,新しい経皮的手技であるTAVI(人工弁を鼠径部の大腿動脈から挿入したカテーテルを介して直接動いている心臓に留置する手技)の有効性をルーチンの標準療法(バルーン大動脈弁形成術など)と比較した最初のランダム化試験である。

大動脈弁狭窄症の治療では,重症患者と合併症を有する患者の多くが外科的大動脈弁置換術の適応とはならない。
PARTNER試験には,重度の大動脈弁狭窄症患者358例が組み入れられた。大動脈弁狭窄症は石灰組織の沈着などにより心臓の大動脈弁の開きが悪くなる疾患で,息切れ,疲労,うっ血性心不全などを引き起こす。

#QOLが劇的に改善
治療開始から1年後の時点で,全死亡率はTAVI群の30.7%に対し,標準治療群では50.7%だった。

今回の試験に参加した医師の1人である同大学心血管内科のWilliam Fearon准教授は「今回の試験で最も印象的だったのは,TAVI群で死亡率が20%低かったということである。これは非常に素晴らしい結果で,実際,5人治療すれば1人多く救命できるほど効果が高いことを意味している。しかし,このような生存における便益以上に劇的だったのは,患者のQOL向上と運動能力回復だ」と述べている。

同大学はこの試験に80例超を組み入れたが,そのうち14例は重症患者だった。


#新たな試験も計画中
同大学心血管内科長で今回の試験の参加医師でもあるAlan Yeung教授によると,同大学病院には重度大動脈弁狭窄症の多くの患者が車いすで来院する。

同教授は「これらの患者は,誰も歩いて退院できるとは思っていない。今やこうした患者は(治療を受ければ)買い物を楽しみ,家族と一緒に過ごし,質の高い生活を手に入れることができる」と述べている。

しかし,今回の試験は,このTAVIが代償を伴うことも明らかにしている。
実際,TAVI群の脳卒中発症率は標準治療群より高かった(5%対1%)。
また主要な血管合併症の発症率もTAVI群で高く(16%対1%),出血も多かった。

現在,TAVIで用いられた生体弁の耐久性を判定するための試験と,開心術に耐えうるような低リスク患者や若年患者でもTAVIが有効か否かを検討する試験が計画されている。

TAVI法は約2時間を要し,カテーテルを鼠径部の大腿動脈から挿入する。
このカテーテルは動脈を上行して心臓に至り,病的大動脈弁の弁口部に新たな弁を配置する。
患者を選定することから始まるこの手技の全体像は,大規模な共同作業である。

インターベンショナル心疾患専門医と心血管外科医は手技の最中,心臓麻酔科医と心エコー検査を行う心疾患専門医と共同でX線透視と経食道心エコーを行い,開胸することなく動脈弁の位置と配置を決める。

人工心臓弁は,カテーテルに取り付けられたバルーン上に折り畳まれた形で装着されている。
バルーンを拡張させて人工弁を病的大動脈弁の弁口部に正確に留置する。
これにより罹患した大動脈弁はつぶされ,心臓は血液を効率良く体中に送ることができるようになる。

出典 MT pro 2010.11.18
版権 メディカルトリビューン社

 

<番外編>
非ST上昇型心筋梗塞における入院時と退院時の中間部プロアドレノメジュリン値の予後因子としての価値
LAMP (Leicester Acute Myocardial Infarction Peptide) II研究
目的
本研究は、非ST上昇型心筋梗塞(MI)患者における入院時と退院時の中間部プロアドレノメジュリン(sAM)値の予後因子としての価値を評価し、臨床的意思決定の一助となる数値を特定することを目的とした。
N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(N-terminal pro–B-type natriuretic peptide)とGRACE(Global Registry of Acute Coronary Events)スコアを、対照として使用した。

方法

結果

結論
sAM値は、死亡や心不全の予測因子である。
入院時の値は早期死亡の強力な予測因子であり、特に1.11 nmol/Lを超える場合はGRACEスコアを補完し、リスクの層別化を向上させる。

原文
Prognostic Value of Mid-Regional Pro-Adrenomedullin Levels Taken on Admission and Discharge in Non–ST-Elevation Myocardial Infarction
The LAMP (Leicester Acute Myocardial Infarction Peptide) II Study(Abstract)
http://content.onlinejacc.org/cgi/content/abstract/56/2/125

http://ds-pharma.jp/medical/gakujutsu/jacc/archive/jacc1007_0125.html

 

2010.7.18撮影 三菱一号館美術館
開館記念展 「マネとモダン・パリ」は昨日の2010.7.25で終了しました。

三菱一号館美術館
http://ja.wikipedia.org/wiki/三菱一号館美術館

 


手彩色絵葉書東京丸の内馬場先門通り明治期
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/2/28/Babasakidori.jpg

 


<きょうの一曲>
Sonny Rollins Quartet - Moritat
http://www.youtube.com/watch?v=ox5MUXvhzK8&feature=related

 


その他
「葦の髄」循環器メモ帖
http://yaplog.jp/hurst/
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
井蛙」内科メモ帖 
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/  
があります。    

 

 

 

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