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冠動脈石灰化スコアの追加で心疾患リスク分類精度が向上
ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部(シカゴ)のTamar S. Polonsky博士らは「従来の危険因子に冠動脈のカルシウム(Ca)量を評価するスコアを追加することで,冠動脈疾患(CHD)イベント予測のためのリスク分類の精度が向上し,これまでよりも多くの患者が最高リスク群に分類されることになる」との研究結果をJAMA(2010; 303: 1610-1616)に発表した。
ハザードモデルを用いて検討
冠動脈石灰化スコア(CACS;CTで測定される冠動脈プラーク内のCa蓄積量)が将来の冠動脈イベントリスクと関連することは,これまでにも大規模な前向き試験で証明されてきた。
しかし,従来のCHD危険因子にCACSを追加することで,リスク分類の精度がどの程度改善するかについては不明であった。
Polonsky博士らは,CACSを従来の危険因子に基づく予測モデルに追加することで,リスク分類が改善されるか否かを検討する研究を実施した。
対象は,心血管疾患既往歴のない患者を対象とした集団ベースのコホート研究であるMulti-Ethnic Study of Atherosuclerosis
(MESA)に参加した6,814例で,CTを用いてCACSを測定した。
参加者の登録は2000年7月に開始され,2008年5月まで追跡された。
同博士らは,2つのハザードモデルを用いて,新規CHDの5年発症リスクを0~3%,3~10%,10%以上に分類。モデル1には年齢,人種/民族,性,喫煙,降圧薬の使用,拡張期血圧,総コレステロール値,HDLコレステロール値などの因子を含め,モデル2にはモデル1での因子にCACSを加えた。
同博士らは,モデル2を用いた場合のモデル1に対する再分類の精度を計算した。
最低リスク群も増加
最終解析対象となった5,878例のうち,フォローアップ中央値5.8年で209例にCHDイベントが発生し,そのうち122例は主要イベント(心筋梗塞,CHD死,蘇生された心肺停止)だった。
解析の結果,モデル2のリスク予測能は,モデル1の予測能よりも有意に優れることが判明した。
モデル1では,コホートの69%が最高リスクまたは最低リスクに分類されたが,モデル2では77%がいずれかに分類された。
イベント経験者の23%がCACS追加で高リスクへ再分類され,イベント未経験患者の13%が追加で低リスクと再分類された。
モデル1で中間リスクに分類された患者のうち,16%がモデル2の高リスクに,39%が低リスクに再分類された。
Polonsky博士らは「今回の結果は,臨床アウトカムに対するCACSの有用性を評価する次の段階への足がかりとなる」と述べている。
イオアニア大学(ギリシャ・イオアニア)のJohn P. A. Ioannidis博士らは同誌の付随論評(2010; 303: 1646-1647)で,Polonsky博士らの結果を評価する一方,CACSをルーチンの検査として使用すべきか否かについては,ランダム化比較試験による検証が必要だとしている。
出典 Medical Tribune 2010.7.15
版権 メディカルトリビューン社
<冠動脈石灰化 関連サイト>
冠動脈石灰化は治療効果の判断基準としては不十分
http://blog.m3.com/reed/20100203/1
血管石灰化
http://blog.m3.com/reed/20080123/1
MDCT,電子ビームCTによる石灰化スコア
http://blog.m3.com/reed/20080426/MDCT_CT_
動脈石灰化のCT検診の被曝リスク
http://blog.m3.com/reed/20090910/_CT_
エストロゲン療法と冠動脈石灰化
http://blog.m3.com/reed/20070923/1
<番外編>
OMEGA-PCI
目的
オメガ-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)は血小板凝集抑制作用をもつとされているが,一貫した研究結果は示されていない。
PCI施行予定の安定冠動脈疾患患者において,2種類の抗血小板療法(aspirin+clopidogrel)へのオメガ-3 PUFAの追加により,抗血小板作用が増強されるかを検証した。
一次エンドポイントは,30日後のP2Y12 reactivity index(PRI*)
* P2Y12の下流にcyclic AMP(c-AMP)の産生を 調節するadenylate cyclase (AC) の機能を阻害するGiタンパクが存在することから,P2Y12が阻害されればGiによるACの阻害が損なわれc-AMPが上昇するとの基本原理に基づいている。
VASPはc-AMP依存性キナーゼによりリン酸化される。
c-AMPが増加すればリン酸化されたVASP,すなわちVASP-Pが増えるのでこのVASP-Pを抗体により検出しようという方法である。
コメント
細胞内のリン酸化タンパクを検出する技術としてVASP-Pの検出は,科学的には意味が大きい。
しかし,元々細胞膜を通過しない抗体を用いてVASP-Pの検出を試みる本法は感度,特異度ともに十分に高いとはいえない。
オメガ-3脂肪酸の効果には興味があるが,脂肪酸は細胞膜の性質にも影響を与えるので,本薬の作用メカニズムの詳細が不明の段階で本研究成果を評価することは困難である。
http://circ.ebm-library.jp/trial/doc/c2003254.html
<自遊時間>
私はしがない開業医です。
循環器専門の先生方は内科の中でも英語論文に接する機会が多く語学に堪能な先生も多いのではないでしょうか。
私のような立場になると、日本語の論文だけを読んでいればいいのですが、勤務医時代の英文の論文を読む魅力は捨て切れません。
「日本人は読み書きはできるのだが・・・」という話があります。
アクセントひとつで全く外人には通じません。
恥ずかしい話ですが、昔カテコラミンの研究で博士号をとった時に口頭試問の教授でアクセントを訂正されました。
しばらくこちらの話を聴いていた教授が、何回も私が「エンドジーナス」「エクソジーナス」と繰り返していうのを我慢出来なくなって言いました。
「きみきみ、それはエンドジナス、エクソジナス」だよ。
その時は落とされたと思いました。(汗)
いずれにしろ、最近日本語で循環器を勉強していることに抵抗を感じています。
実際は、「ガラパゴス日本」にいる限り何も不自由しないのですが。
他にもブログがあります。
「葦の髄」循環器メモ帖http://yaplog.jp/hurst/
(「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版です)
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(4)http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科関係の専門的な内容)