| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | ||||
| 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
| 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
| 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
| 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
高齢化社会になるのつれ高齢者の動脈硬化性大動脈弁狭窄症(硬化性AS)は増加傾向にあります。
きょうは硬化性ASの治療における心エコーの役割についての3つの報告の記事で勉強しました。
ソースは第21回日本心エコー図学会(会長=北海道大学大学院保健科学研究院・三神大世教授、札幌)のシンポジウム「大動脈弁狭窄症の治療における心エコーの役割」(座長=東京大学病院検査部・竹中克講師,北海道大学循環病態内科学・山田聡講師)です。
高齢ASに対する低侵襲治療が必要
手稲渓仁会病院(北海道)心臓血管センター循環器内科の村上弘則部長は,日本人と欧米人の硬化性ASの背景や予後の違いについて検討。
「自験例の新規発見時平均年齢は欧米よりも10歳以上高齢で,80歳以上が半数を占める。AVRができない高齢患者に対する低侵襲な治療法の確立が待たれる」と述べた。
欧米よりも10歳以上高齢で発見
わが国でも,硬化性ASは増加しているが,欧米とは背景因子や予後が異なる。
同院で2000~06年に新規に発見されたAS患者399例を検討したところ,診断時の平均年齢は男性79歳,
女性81歳と,欧米よりも10歳以上高齢であった。
また,欧米では男性が6割前後を占めるのに対し,同院では女性が63%と多かった。
新規発見時の手術リスク評価では,重症群,軽・中等症群ともに,予測手術死亡率(ユーロスコア)5%未満は約3割にすぎなかった。
AVRを施行した患者の平均スコアは5%台で,良好な長期成績が得られていたが,AVRを施行できなかった高リスク患者の経過は不良で,5年で約半数が心事故に至った。
米国心臓病学会/米国心臓協会(ACC/AHA)のガイドラインではAVRの適応を,有症候性重症もしくは左室駆出率(LVEF)<50%の重症〔大動脈弁口面積(AVA)≦1.0㎠〕としている。
しかし日本人の硬化性ASに対し,同様の基準を適応すべきかは疑問という。
村上部長らの検討によると,硬化性AS新規発見時に,患者の85%が2つ以上の合併症を有していた。
AVR施行率は,初診時80歳未満ではAVA≦1.0㎠が56.4%,AVA>1.0㎠が8.7%だが,80歳以上ではそれぞれ8.7%,0%。AVA≦1.0㎠でAVRを施行しない理由は,超高齢や手術拒否,脳血管障害,認知症,重症感染症などであった。
また,AVA<1.1~1.5㎠の中等症ASで6か月以上空けて2回以上エコー評価を行った124例を,65~80歳未満群(70例),80歳以上群(54例)に分けて経過を観察したところ,両群ともに約30%がAVA≦1.0㎠へと重症化した。
しかし,80歳未満群でAVRが施行できたのは6例のみで,80歳以上群では1例もなかった。
このように高齢でAVR非適応の多い日本人症例の場合,中等症の段階からAVRの適応とすることの妥当性を検討し,AVRの代替手段として有効な低侵襲の治療法を確立する必要がある。
一方,硬化性ASに対する薬物治療として,スタチンとアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の有効性が検討されてきたが,両薬とも明らかな予後改善効果は認められていない。
同部長らの検討では,ACE阻害薬が数年程度心不全発症を抑制する可能性が示されており,今後さらに検討を進めたいと述べた。
自己心膜用いた新・大動脈形成術で良好な成績
東邦大学医療センター大橋病院臨床検査医学の鈴木真事部長らは,ASに対し自己心膜を用いた新たな大動脈弁形成術を試み,良好な中期成績を得た。
また,この術式に必要な心エコー所見の知識について述べた。
弁尖の大きさは均等とは限らない
同院心臓血管外科の尾崎重之教授らが行っている新たな大動脈弁形成術では,切除した自己心膜を0.6グルタールアルデハイド処理し,石灰化大動脈弁尖を切除後,弁輪部の石灰化を吸引・除去,弁尖の各交連部間の距離を計測。
テンプレートを使用し,3枚それぞれ計測値に応じた大きさの弁尖を自己心膜で作製して弁輪部に縫着する。
同院では,2007年4月~09年8月に,上述の大動脈弁形成術をAS患者65例(男性27例,女性38例;二尖弁16例を含む)に施行。平均年齢は72.8±8.8歳,外科的弁輪径は20.0±2.5mm。大動脈弁形成術単独手術は36例で,残り29例は上行置換術や冠動脈バイパス術などとの同時手術であった。
術後観察期間は最長18か月で,病院死亡を1例経験した。晩期死亡はなく,血栓塞栓症の合併,再手術を要するような弁逆流や弁狭窄などの合併症は認めらなかった。
左室と大動脈の残存最大圧較差の平均値は,術後1か月で20mmHgに改善し,その後16mmHg前後で推移している。
3枚の弁尖をそれぞれの大きさに合わせて形成するため,従来のAVRに比べて手術時間は約15分延長するが,圧較差の改善効果に優れており,特に狭小弁輪に対して有効だという。
術前の心エコー所見では,二尖弁の場合,縫線の有無と左右の冠動脈の位置の評価が重要になる。
縫線を伴わない二尖弁では,冠動脈の位置によって3弁尖化の手技が異なる。
形成術後は,将来の弁形状の変化に備えた処置として接合部を長くしてあり,また3枚の弁尖の大きさを考慮しながら長期間経過を観察する。
心エコー所見では,新たに作製した弁の動きや圧較差測定などのほか,交連部からのごくわずかな逆流を見逃さないことが重要になるという。
~経カテーテル大動脈バルーン形成術~
順行性アプローチで有益性が向上
硬化性ASに対する経カテーテル大動脈バルーン形成術(PTAV)は,逆行性アプローチによる従来の治療では効果が不十分で適応にも制限があった。
池上総合病院(東京都)ハートセンターの坂田芳人センター長は, PTAVと心エコーについて発表。
「順行性アプローチによるPTAVは症候を確実に改善する。また,再発例を含めて安全に施行することが可能」と述べた。
弁形成用バルーンでより確実に
PTAVでは,硬化した三尖弁付着部の三間隙を複数回バルーン拡張し,弁膜を圧折して可動性を回復させる。
また,PTAV前後の経弁圧較差と症候との関連を調べることで,診断的治療ができる利点も大きい。
坂田センター長らは,PTAVの成績向上を目指し,経静脈・心房中隔による順行性アプローチを導入。
血流方向に手技を進めるこの方法は,弁膜,大動脈へのストレスが少なく,末梢動脈塞栓,脳血管系合併症を回避できる。
弁膜形成用のイノウエバルーンが使用可能で,安定した弁形成効果が得られる。二尖弁には適応できないが,左心構築全般のインターベンションが可能だ。
PTAVの評価において,心エコー法は,弁の開口や可動性を視覚的に捉えることが可能で,経過観察に欠かせない。
しかし,速度と瞬間の最大AVAを捉えており,時間の要素は考慮されない。ドプラ法圧較差,AVAは,PTAVに伴う弁形状と血流パターンによる影響を受けやすい。
心カテーテル法による圧血行動態との相関に留意し,慎重に評価することが重要になる。
一方,心カテーテル法による圧較差,AVA測定は,ASの影響を把握するために,適切な圧サンプリング位置と負荷条件下で行う必要がある。
同センターでは,PTAVを102例に施行。
死亡例や緊急手術症例はなく,重症大動脈弁逆流が2例(2%)発生。
塞栓性合併症などはなかったが,経皮的心肺補助装置(PCPS)を必要とした急性循環不全が2例(2%)発生しており,その指標として圧血行動態が最も信頼性が高いという。
心カテーテル法によるAVA,圧較差の平均値は,PTAV前後でそれぞれ0.6cm2から1.1cm2,60mmHgから18mmHgへと改善。全体の8割を占める待機的手術の平均在院日数は約4日,症例の10~15%で1年後以降に再PTAVが必要になるが,安全に施行可能で,初回と同等の治療効果が期待できるとした。
出典 Medical Tribune 2010.7.8
版権 メディカル・トリビューン
<関連サイト>
ASとオルメサルタン その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20080313/AS___
ASとオルメサルタン その2(2/2)
http://blog.m3.com/reed/20080314/AS___
<番外編>
SES再狭窄に対する再SES留置 vs バルーン形成術: j-Cypherレジストリー
SES留置後の再狭窄に対するSESの再留置は、バルーン形成術(BA)による治療と比較して、再度のTLR予防効果が高いことが、National Cardiovascular CenterのMitsuru Abe氏らにより、7月6日号のCirculation誌で報告された。
Abe氏らは、j-Cypherレジストリーに登録された12,824人の3年追跡中、ステント血栓症によるものと、SES、又はBA以外で治療を行った病変を除外した990人のSES関連再狭窄1,094病変において、SES(537病変)、又はBA(557病変)での治療後の再TLR、及びステント血栓症を分析した。
SESとBAの両方で治療を受けた24人は除外した。
初回TLRから2年の追跡で、SESで治療後の再TLRの割合はBAでの治療後と比較し、有意に低かった(23.8% vs 37.7%: p<0.0001)。
ベースラインで評価された33因子の中で、血液透析のみが多変量ロジスティック回帰分析で再TLRの独立予測因子として確認された。
補整後、再度のSES留置はBAと比べて、再TLRの予防に強力に関連していた(OR 0.44 [95%CI 0.32-0.61] p<0.0001)。2年の死亡率はSES群で10.4%、BA群で10.8% (p=0.4)であり、2年のステント血栓症率は両群とも0.6%であった。
Abe氏らは、「SES関連の再狭窄に対するSESの再留置は、安全性の問題は確認されず、BAによる治療と比べて、再度のTLRの抑制により効果的である」と、まとめている。
Abe M, et al. Circulation. 2010; 122: 42-51
https://www.tcross.co.jp/details.php?category=medical&no=751&id=1
<追加>2010.7.14
歯磨きの頻度と心血管リスク
http://blog.m3.com/reed/20100714/1
の記事の中の<追加>に「大動脈弁VALVLOPLASTY」をとりあげました。
<きょうの一曲> FLY ME TO THE MOON
FLY ME TO THE MOON(訳詩付)/ナット・キング・コール
http://www.youtube.com/watch?v=2z2CmrVsc2E
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。