戯れ言たれる侏儒
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高血圧と蛋白尿

戯れ言たれる侏儒 / 2010.07.09 00:07 / 推薦数 : 0

高血圧患者でも蛋白質の尿中排泄は有害
ジェノバ大学(伊ジェノバ)のRoberto Pontremoli博士らは「糖尿病がなく高血圧のみを発症している場合でも,尿中への蛋白質排出が認められると,腎・心臓系合併症の発症リスクが上昇する」との研究結果をClinical Journal of the American Society Nephrology(CJASN,2010; 5: 1099-1106)に発表した。

 

腎機能障害の前兆を見逃さない
高血圧患者は腎機能障害を伴うことが多く,これにより心臓障害や腎不全の発症リスクが高まる可能性がある。
そのため,医師は高血圧患者の腎・心臓系の健康を維持するために,腎機能障害のさまざまな前兆を同定し,対処するように努力すべきである。
糖尿病患者では,微量アルブミン尿の排出がわずかに増加しており,心臓や腎臓障害の発症リスクが上昇していることが,以前の研究からわかっている。
これまで複数の研究者が,微量アルブミン尿が糖尿病のない高血圧患者に対しても,同様の影響を与える可能性があると考えてきた。

Pontremoli博士らは,1993~97年にMAGIC(Microalbuminuria: A Genoa Investigation on Complications)試験に組み入れられた糖尿病を合併していない高血圧症患者917例の健康状態を約12年追跡調査した。

今回の研究では,試験開始時点で微量アルブミン尿を呈する患者は,そうでない患者と比べて慢性腎機能障害を発症するリスクが7.6倍,心血管系合併症の発症リスクが2.1倍,腎・心疾患の両方を発症するリスクも3.2倍高いことが明らかになった。

同博士らによると,年齢,BMI,血圧,コレステロール値,腎機能などの健康状態の差に影響すると見られるさまざまな患者背景を考慮・調整した後も,試験開始時点で微量アルブミン尿を呈する患者では,そうでない患者と比べて腎・心疾患の両方を発症するリスクが依然として2.6倍高かった。

今回の試験結果から,微量アルブミン尿が糖尿病を合併していない高血圧患者の長期の健康に著明に影響を与えることが明らかになった。

同博士は「高血圧管理の指導を目的として,幅広く微量アルブミン尿について評価することが重要だ」と述べている。

今後,微量アルブミン尿を呈する糖尿病患者の健康改善のための治療法が,非糖尿病患者でも有用か調べる必要があるとしている。

出典 MT pro 2010.7.1
版権 メディカルトリビューン社

<私的コメント>
先生方もそうでしょうが、私もこの論文の主旨がよくわかりません。
記事中にも
「これまで複数の研究者が,微量アルブミン尿が糖尿病のない高血圧患者に対しても,同様の影響(微量アルブミン尿の排出がわずかに増加しており,心臓や腎臓障害の発症リスクが上昇を与える可能性)があると考えてきた。」
とすでに概念は確立しているような書き方がされています。
どこに「新しい」研究結果を求めればいいのでしょうか。
タイトルの「蛋白質の尿中排泄」の「蛋白質」は「微量アルブミン」を指しているようです。

ご存知のように、糖尿病の診断名がない方への「微量アルブミン尿」検査の保険適応はありません。
これは、厚労省が高血圧患者への「微量アルブミン尿」には意味がないと考えているからなのでしょう。
厚労省」は具体的には誰が、どういうプロセスでこういったことを決めていくのでしょうか。

高血圧学会は、微量アルブミン尿検査の適応ながないことに対して何らかの具体的な行動をとっているのでしょうか。

 

<関連サイト>
高血圧と微量アルブミン尿  レニン・アンジオテンシン系と微量アルブミン尿,蛋白尿—治療の観点から—
http://jglobal.jst.go.jp/public/20090422/200902263692838419
(内容は紹介されていません)

高血圧性腎硬化症
http://mymed.jp/di/jd7.html

微量アルブミン尿の危険因子は年齢,高血圧,糖尿病
http://www.epi-c.jp/entry/e019_0_0001.html

心血管系イベント予防のためのトータルリスクマネジメント -福島の心臓を護る-
http://www.cvd.jp/area_em/02fukusima/p3.html
(よくまとまった討論形式のサイトです。strain vesselの概念も興味深いところです。)
■蛋白尿が心血管死亡のリスクになる理由に関しては、東北大学の伊藤教授がstrain vesselの重要性を提唱されています。
普通の毛細血管は、1本の血管が枝分かれして分岐していき、末梢へいくのにしたがって血圧はスムーズに下がっていきます。
ところが、strain vesselといわれる構造では、分岐の途中に太くて血圧の高い血管があり、そこから細い血管が垂直に分岐しています。典型的なのは腎臓で、弓状動脈という比較的高い圧の太い血管から小葉間動脈という細い動脈が直に分岐しています。
血圧140/90mmHgぐらいでは、弓状動脈の圧はだいたい90mmHgですが、糸球体内圧を50mmHgに保つためには、圧は約40mmHg下げられなければなりません。
弓状動脈から表層ネフロンまでは、かなりの距離がありますが、傍髄質ネフロンまでの距離は短く、非常に高い負荷がかかります。
■高血圧で、例えば収縮期血圧が160mmHgぐらいになると、弓状動脈は130mmHgぐらいの圧になり、深いところにある傍髄質ネフロンにはさらに大きな負荷がかかって糸球体高血圧が起こります。
そのために、腎障害が起こり、最初にこの傍髄質ネフロンから蛋白が漏れてきます。
それが微量アルブミンといわれる段階です。ですから、微量アルブミンが尿中に出ていることは、傍髄質ネフロンの障害を示しています。
この障害が表層ネフロンまで及ぶと、顕性蛋白になります。
ですから、微量アルブミンの段階での対策が必要であるといえます。
■微量アルブミンの段階であれば、血圧をコントロールし、ARBなどで糸球体内圧を下げる、あるいは組織のレニン・アンジオテンシン(RA)系を抑制することで、7割の人を正常に戻すことができます。
また、顕性蛋白が出ても、適切な治療で、5割の人を微量アルブミンに戻すことが可能である事を念頭に治療することが大切です。


「高血圧と臓器障害−その対策と予防」
https://www.iyaku-j.com/iyakuj/system/dc8/index.php?trgid=11990
■高血圧性臓器障害の指標として,左室肥大,微量アルブミン尿あるいは動脈の内膜・中膜肥厚などが広く研究されている。
■左室肥大も微量アルブミン尿も高血圧性臓器障害の指標として,独立した危険因子であると認められている。
左室肥大を伴った高血圧患者では,脳血管にもまた腎臓にも高血圧が持続した結果,すでに一定の障害が及んでいることを示しているといえる。
■LIFE試験において,ECG上の左室肥大を伴った高血圧患者の23%に微量アルブミン尿,4%に蛋白尿が認められた。
この数字だけをみれば,ECGによる左室肥大の診断基準は微量アルブミン尿の検出基準よりもすぐれているといえる。
ただし,HARVEST研究によれば,いわゆる未治療軽症高血圧患者では,24時間収縮期血圧と尿中アルブミン排泄量の間には関連があるが,左室肥大係数の間には関連がないことを示している。
上記のLIFE試験でも左室肥大の進行例と微量アルブミン尿との間には関連が認められているので,高血圧患者の初期臓器変化として左室リモデリングと微量アルブミン尿以下の尿中アルブミン排泄量との関係について詳細な検討が必要である。
■高血圧患者の微量アルブミ尿あるいは蛋白尿の排泄抑制にRA系抑制薬が最も有効である。
左室肥大の退縮あるいは微量アルブミン尿の改善による心血管疾患の発症が,そうでない患者よりも有意に抑制されているというデータは一部報告されているが,最終的にはデータ不足である。
■高血圧性臓器障害の指標である左室肥大と微量アルブミン尿の抑制あるいは左室肥大や微量アルブミン尿の予防に,基礎降圧薬としてRA系抑制薬が最も適した降圧薬であるといえる。


<番外編>
HDL-C低値はがん発症の独立危険因子
HDLコレステロール(HDL-C)値とがん発症リスクとの間に有意な負の相関関係が認められると,米タフツ大学のグループがJournal of the American College of Cardiologyの6月22日号に発表した。

同グループは,スタチン療法の大規模ランダム化比較試験(RCT)のメタ解析から,LDLコレステロール(LDL-C)低値はがん発症の危険因子であると報告している。
今回は,追跡1,000人年以上の脂質介入RCTを対象にメタ解析を行い,HDL-C値とがん発症率との関係を検討した。

解析には24件のRCTが含まれ,計62万5,477人年の追跡で8,185例のがん発症が確認された。
解析の結果,登録時のHDL-C値とがん発症率との間に有意な負の相関関係が認められた(P=0.018)。
この関係は登録時のLDL-C値,年齢,性,BMI,糖尿病,喫煙を調整後も維持され,HDL-C値10mg/dL上昇ごとにがん発症相対リスクは36%低下した(P<0.001)。

Jafri H, et al. J Am Coll Cardiol 2010; 55: 2864-2854.
出典 MT pro 2010.7.1
版権 メディカルトリビューン社

 

<自遊時間>

W杯、“神託タコ”でおわび声明 敗北ドイツの水族館
「予言が的中したのは誠に遺憾」。
ドイツ西部オーバーハウゼン水族館は8日、タコの「パウル君」が7日に行われたサッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会準決勝で、ドイツがスペインに敗北するとした予言が当たったことに対して“おわび”の声明を発表した。
水族館は、9日にドイツ―ウルグアイの3位決定戦と、オランダ―スペインの決勝の予言をする計画。
http://www.excite.co.jp/News/soccer/20100708/Kyodo_SP_CO2010070801001008.html
共同ニュース  2010.7.8
<私的コメント>
これからのW杯は勝敗の結果はもちろんですが、タコの「パウル君」の予想が当たるかどうかに興味が移って来ました。

 

その他

ふくろう医者の診察室 
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)

があります。  

 

 

 

 

 

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