戯れ言たれる侏儒
Profile

ブログ内検索

カレンダー

<< 2010/07 >>
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

新着コメント

新着トラックバック

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

< 前のページ

カルシウムで心筋梗塞リスク31%上昇,骨粗鬆症治療に影響も
15試験が対象のメタ解析

わが国でも骨粗鬆症患者に広く使われているカルシウム製剤だが,心筋梗塞リスクを上昇させることを指摘する論文が報告された。Mark J. Bolland氏らがBMJ7月30日オンライン版に発表した15試験対象のメタ解析によると,カルシウムサプリメント使用者でプラセボ使用者よりも心筋梗塞リスクが31%上昇していたという。
同氏らは「カルシウムサプリメントが広く使われていることを考えると,全体への負担は大きくなるだろう」とコメント。骨粗鬆症治療の現場へ影響を及ぼす可能性もありそうだ。

 

血管石灰化の促進が原因か
Bolland氏らはMedline,Embase,Cochrane Central Register of Controlled Trialsから,1966~2010年発表で平均年齢40歳以上の男女100人以上が参加し,カルシウムサプリメント(投与量500mg/日以上)を対象とした追跡期間1年以上のプラセボ対照二重盲検ランダム化比較試験(RCT)を検索。心血管イベントに関する患者レベル分析(5試験)および試験レベル分析(11試験)が条件に合致した。

患者レベル分析は,カルシウム投与群4,097例,対照群4,054例(ベースライン時平均年齢73歳,女性78%)。
5試験中4試験で骨密度もしくは骨折を1次評価項目としていた。平均4.1年の追跡期間中に心筋梗塞を発症したのはそれぞれ143例,111例で,個々の試験では有意差が出なかったものの,メタ解析ではカルシウム群で有意(P=0.035)に心筋梗塞発症率が高かった(ハザード比1.31,95%CI 1.02~1.67)。
脳卒中や死亡などについては,カルシウム群で多い傾向にあったものの有意差は認められなかった。
なお,カルシウムで1例の心筋梗塞を発症させるために必要な症例数(number needed to treat;NNT)は,5年間で69となっている。

一方,試験レベル分析は,カルシウム群6,116例,対照群5,805例(ベースライン時平均年齢72歳,女性83%)で,平均4.0年の追跡期間中にそれぞれ166例,130例が心筋梗塞を発症。
患者レベル分析と同様,カルシウム群で有意(P=0.038)に発症率が高かった(相対リスク1.27,95%CI 1.01~1.59)。

同氏らは,カルシウムとビタミンDを同時投与したプラセボ対照試験を除外したことを限界点として挙げつつ,「個々の試験では心筋梗塞リスクの有意上昇が報告されなかったが,1つ以上のイベントが発生した7試験中6試験で相対リスクが上昇していた。
今回の結果は,腎不全患者でカルシウムと死亡率増加との関連を示した研究結果(N Engl J Med2000; 342: 1478-1483ほか)と一致している」と述べ,「リスクの上昇は控えめだが,カルシウムが広く使われていることを考えると全体への負担は大きくなるだろう」と結論した。
カルシウムによる血管石灰化の促進を,心筋梗塞リスク上昇の原因と予想している。

2002年に実施した調査では,骨粗鬆症に対するカルシウム製剤の採用率は46.6%(内科47.3%,産婦人科35.4%,整形外科57.5%,外科38.2%)。活性型ビタミンD3(88.1%),カルシトニン(67.8%),ビスホスホネート(60.5%)に次いで多かった。

出典 MT pro 2010.7.30
版権 メディカルトリビューン社

 


<番外篇>
収縮期高血圧を有する高齢患者における血圧の厳格管理 vs 適度な管理: VALISH試験
VALISH試験より、収縮期高血圧を有する高齢患者において、適度な降圧と比較し、厳格な血圧管理によるイベント抑制効果は確認されなかったものの、高齢者での血圧目標<140mmHgは安全に達成可能であることが、Osaka University Graduate School of MedicineのToshio Ogihara氏らにより、8月1日号のHypertension誌で報告された。

Ogihara氏らは、収縮期血圧(座位血圧160-199mmHg)を有する70-84歳の3,260人を、厳格管理群(<140mmHg: 1,545人)、又は適度な管理群(≧140-<150mmHg: 1,534人)に無作為に割り付けた。患者背景は両群で類似しており、平均年齢は76.1歳、平均血圧は169.5/81.5mmHgであった。

3.07年(中央値)の追跡を行い、3年の血圧は厳格管理群で136.6/74.8mmHg、適度な管理群で142.0/76.5mmHgを記録し、両群の差は5.4/1.7mmHgであった。主要複合評価項目である心血管イベントの全体の割合は、厳格管理群で10.6/1,000人年、適度な管理群で12.0/1,000人年であった(HR 0.89 [95%CI 0.60-1.34] p=0.38)。

Ogihara氏らは、「本試験は厳格な血圧管理が適度な管理と比べ、優れていることを証明するにはパワー不足であったが、収縮期高血圧を有する比較的健康な70歳以上の患者における目標血圧<140mmHgは安全に達成可能であることが示された」と、まとめている。

Ogihara T, et al. Hypertension. 2010; 56: 196-202
https://www.tcross.co.jp/details.php?category=medical&no=765&id=1

 

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
井蛙内科/開業医診療録(3)http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2) http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科関係の専門的な内容)

 

 

固定リンク

多くの製薬メーカー主催の講演会は大なり小なり「販売拡大」 の性質を帯びています。

最近聴いたこの講演は、珍しくこういった性質を帯びていない「箸休め」的な内容で、それだけに新鮮でした。
以下はその講演メモです。

 

 

■"Sudden death is more common in those who are naturally fat than in the lean." Hippocrates

■ヒトは進化により何を得たのか?
人類の進化 数百万年 肥満は最近50年の出来事

最近の50年が現代日本にもたらしたもの
テレビ、洗濯機、冷蔵庫、自動車、エレベーター、交通網の発達、TVゲーム、ファーストフード、インターネットなど

運動不足、脂質過剰摂取

肥満
MetSの増加(高血圧、高血糖、脂質代謝異常)

心血管障害

■50年の食生活の変化(昭和35年 → 平成12年)
ごはん:(1日お茶碗約5杯 → 1日約3杯)
牛肉:ステーキ150gに換算すると
(ほぼ2カ月に一度 → 1週間に1度)
サラダ油:1.5L換算で
(4カ月で1本 → 4カ月で3本)

■米国では135kgの人が400万人いる

■平成14年:国民栄養調査
肥満者の割合
男性 30〜69歳で約3割(20年前に比べて1.5倍)
女性 60歳以上で約3割
*男性は年齢に関係なく肥満者が増加
*女性は高齢者で肥満者が増加

■褐色脂肪細胞は16度前後で活性化しやすい。
2時間の寒冷刺激の後、PETにより組織へのフルオロデオキシグルコース(FDG)集積を検討した。
寒冷条件で撮像すると肩部と傍脊柱にFDG集積がみられたが、温暖条件での撮像では集積は認められなかった。

■肥満の現状
•肥満児の頻度は、30年間で約3倍に増加
•7歳の肥満は40%、思春期肥満では70〜80%は成人肥満に移行
•40歳時に「過体重」であれば生命予後は3年短く、「肥満」なら6-7年は短くなる。

■メタボリックメモリー:
初期の段階に血糖コントロールを改善する事が10−20年後の心筋梗塞を予防する。
DCCT/EDICスタディの戦略
1型糖尿病患者をインスリン強化療法群と従来療法群にわけ、より厳格な血糖管理が血管合併症抑制に有効かをみたランドマーク試験

DCCT/EDIC:心血管イベント抑制効果
(従来療法群 vs 強化療法群)
心血管イベント 42%抑制
MACE   57%抑制
出典
DCCT/EDIC Study Research Group N Engl J Med 2005,353,2643-2653

■40〜74歳の男性2人に1人、女性5人に1人がメタボリックシンドロームの疑いまたは予備軍

■ウエストサイズは内臓脂肪の指標である。
   ↓
「肥満」というより「脂肪」がキーワード

■心疾患を発症する可能性
危険因子の数(心疾患の発症危険度)  
0個 (1.0)
1  (5.1)
2  (5.8)
3〜4(35.8)

出典
資料 労働省作業関連疾患総合対策研究班の調査 
Nakamura et al/ Jpn Circ J 65:11,2001

■脂肪細胞からは、様々な「アディポサイトカイン」が分泌!
脂肪細胞からは「アディポサイトカイン」が分泌されており、「善玉」と「悪玉」のものがあります。

善玉ディポサイトカイン
 動脈硬化に関与  アディポネクチン

悪玉アディポサイトカイン
 高脂血症に関与 遊離脂肪酸
 糖尿病に関与 TNF-α、遊離脂肪酸、レプチン
 高血圧に関与 アンジオテンシノーゲン
 動脈硬化に関与 PAI-Ⅰ、HB-EGF

■脂肪機能不全が起こると、「アディポネクチン」はどうなるの?
内臓脂肪の蓄積は、善玉の「アディポネクチン」の分泌を減らし、悪玉のアディポネクチンの分泌を増やす。
その結果動脈硬化が加速する。


<関連サイト>
アディポネクチンと心筋梗塞
http://blog.m3.com/reed/20100729/1

[PDF] 2.肥満とメタボリックシンドローム ―アディポサイトカインから―
http://jams.med.or.jp/symposium/full/124017.pdf

<番外編 その1>
サイトカイン
http://ja.wikipedia.org/wiki/サイトカイン
■ホルモンと似ているが、ホルモンは分泌する臓器があり、比較的低分子のペプチドが多い(しかし、サイトカインとホルモンは、はっきりとした区別があるものではなく、エリスロポエチン (erythropoietin) やレプチン (leptin) など両方に分類されることがある)。


<番外編 その2>
#糖尿病改善するたんぱく質発見 名大と米大など
米ボストン大学と名古屋大学などの国際研究チームは、糖尿病の症状を改善するたんぱく質を発見した。
マウスの実験で効果を確認しており、ヒトでも糖尿病患者はこのたんぱく質が少ないことがわかった。
糖尿病の新しい治療法の開発につながるという。
研究成果は米科学誌サイエンスに掲載された。

ボストン大医学部の大内乗有助教らの成果。
発見したのは脂肪組織で作られる「Sfrp5」というたんぱく質。
正常なマウスと太って糖尿病を起こしたマウスを比べると、糖尿病のマウスでは脂肪組織の中のSfrp5が少ないことがわかった。

糖尿病のマウスにこのたんぱく質を投与すると、血糖値が下がり脂肪肝などの症状が改善した。
このたんぱく質を作れなくした
マウスに、カロリーの高いエサを与えると、血糖値の上昇や肝臓に脂肪がたまるといった糖尿病の症状が出た。

健康なマウスでは、このたんぱく質が糖尿病の発症を予防しているとみられる。
ヒトの脂肪組織でも、糖尿病患者では健康な人に
比べてSfrp5が少ないことがわかった。

Sfrpは血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効きを良くしていると考えられるという。
大内助教は「ヒトでのSfrpの働きが詳しくわかれば、肥満による糖尿病を改善する新しい薬剤につながる可能性がある」と説明している。

出典 日経新聞・朝刊 2010.6.30
版権 日経新聞社

SFRP5
Secreted frizzled-related protein 5 is a protein that in humans is encoded by the SFRP5 gene.


 

 


クロード・モネ 睡蓮の池・緑のハーモニー
http://www.kutibue.com/meiga/midori.html
(オルセー美術館展2010.「ポスト印象派」)

 

その他
「葦の髄」循環器メモ帖
http://yaplog.jp/hurst/
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖 
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/  
があります。    

 

 

固定リンク

心筋梗塞、アディポネクチンで縮小 名大研究チームがミニブタで効果確認
急性心筋梗塞になったミニブタの血管に脂肪組織から分泌されるホルモンを注射すると、梗塞した病巣が縮小することを名古屋大大学院医学系研究科の柴田玲講師、室原豊明教授らの研究チームが突き止め、米医学誌の電子版に発表した。
チームは現在、実際の治療への応用に向けて準備を進めている。
柴田講師によると、アディポネクチンというホルモン。
ミニブタ(7匹)の心臓の血管に静脈注射すると、注射しないミニブタ(9匹)と比べ、病巣が平均で42%縮小した。
チームはマウスを使った実験で、アディポネクチンを増やすと心臓の保護に効果があることを確認していた。
今回、より人間に近い大動物でも縮小したことで、治療への応用に一歩近づいた。
アディポネクチンは糖尿病や動脈硬化に抵抗する作用を持ち、肥満症や糖尿病、動脈硬化症など生活習慣病の患者では、その血中濃度が低下していることが分かっている。
http://hakuraidou.wordpress.com/2010/03/16/心筋梗塞、アディポネクチンで縮小-名大/
出典 中日新聞 2010.3.16
版権 中日新聞社

<私的コメント>
最近、柴田特任講師の講演を聴く機会がありました。
懇親会で、「『心臓の血管に静脈注射』というのはどういうことか」と訊きました。
返って来た言葉は「あれは新聞社のミスで静脈注射ではありません。バルーンカテーテルで梗塞を作りカテーテル先端のルーメンから冠注したものです」というものです。
これから、あちこちで間違って引用され続けることと思います。
私なら耐えられません。
ミニブタは一匹20万円くらい。
犬の実験モデルと違って側副血行路が少なくて、「トン死」しやすいようです。
一匹20万円はもったいないですよね。
アディポネクチン蛋白の冠動脈内投与法による心筋梗塞治療の開発
http://jstore.jst.go.jp/cgi-bin/seeds/advanced/detail.cgi?data_id=8072
■急性心筋梗塞の経皮的冠動脈形成術後におけるアディポネクチンを用いた補助療法を提供する。
■虚血再灌流障害からの心臓保護作用による予後改善を可能とする。
■ミニブタを用いた検討において、著明な心筋梗塞サイズの縮小効果が得られ、また、不整脈(心室細動)の出現率の減少や心機能の改善も認められた。

 

アディポネクチンと心血管系疾患
http://www.cvd.jp/topics/semminer_aha08/s1_print.html

 

以下はちょっと古い記事からです。

血漿アディポネクチン濃度の高さが心筋梗塞発症のリスク低下と関連
血中アディポネクチンは、動物実験の結果などから、インスリン抵抗性や動脈硬化の改善に関与することが知られている。
今回、医療関係者を対象とした大規模コホートスタディの結果から、血漿アディポネクチン濃度が男性の心筋梗塞発症リスク低下と関連があることが明らかになった。
11月11日のポスターセッション「Cardiovascular Calcification / Lipid Metabolism」で、米Harvard大学公衆衛生校のTobias Pischon氏が報告した。

Pischon氏らの研究グループは、米国の医療関係者を対象に実施されたHealth Professionals Follow-up Studyの参加者のうち、1994年に血液サンプルを供出した1万8130人を6年間追跡し、心筋梗塞を発症した生存者と冠動脈性疾患の死亡者計266人に対してネスト症例対照研究を実施した。
対照群は年齢、血液採取の日、喫煙状況を一致させ、症例群の2倍の人数を選択した。

両群を比較したところ、症例群では血漿アディポネクチン濃度が平均15.6mg/Lだったの対し、対照群では17.9 mg/Lと症例群では有意に低かった。
症例群では、このほか、糖尿病、高血圧、血中総コレステロール、LDL-C、HDL-C、血清総脂質、HbA1cが有意に高かった。

血漿アディポネクチン濃度で症例群と対照群を5群に分け、アディポネクチン濃度が最も低い群を1とした相対危険度を求めると、次に濃度が低い第2群の相対危険度が0.7だった。
以下、3群が0.6、4群が0.6、最もアディポネクチン濃度が高い5群の相対危険度は0.4で、いずれも有意に相対危険度が低く、濃度が高いほどリスクが低い傾向が見られた。
アディポネクチン濃度が2倍になった時には相対危険度は0.67とほぼ3分の2に有意に下がることが分かった。
BMI、心筋梗塞の家族歴、糖尿病、血液検査データなどで修正しても有意差があり、アディポネクチンの血漿中濃度が、ほかのパラメータとは独立した心筋梗塞の予測因子になり得ることが判明した。

国内では、動物実験ではあるが、in vivoでアデノウイルスベクターによって血漿アディポネクチン濃度が大幅に高める研究も進められている。
今回の研究は今後、心血管疾患治療へのアディポネクチン導入に期待を持たせる研究成果と言えそうだ。(中沢真也)

http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/276413.html
出典 NM online 2003.11.13
版権 日経BP社

 

<関連サイト>
NHKご推奨の超善玉物質 アディポネクチン 食欲増進!
http://intmed.exblog.jp/5854731/
■「アディポネクチン」というこのホルモンは、筋肉や肝臓の中で脂肪を燃焼させるとともに血糖値を下げ、メタボリックシンドロームの改善に役立つとして注目されています。
東京大学の門脇孝教授らのグループは、このホルモンが脳にも存在することに注目し、マウスを使った実験でその役割を調べました。
その結果、マウスに餌を与えないと、脳の視床下部でアディポネクチンと結びつくたんぱく質の量が増えることがわかりました。そして、このマウスにアディポネクチンを注射すると、食べる餌の量が増える一方で、運動量は減ったということです。
研究グループは「アディポネクチンは脳の中で食欲を増進するとともに、エネルギーの消費を低下させ、体内にエネルギーを蓄える重要な働きをしていると考えられる」としています。
研究グループは今後、アディポネクチンが筋肉や肝臓で体内脂肪を燃焼させる働きと、脳の中で食欲を増進する働きがどのように関連しているか、さらに調べることにしています。
原著
Adiponectin Stimulates AMP-Activated Protein Kinase in the Hypothalamus and Increases Food Intake
http://www.cell.com/cell-metabolism/abstract/S1550-4131(07)00159-3
アディポネクチンと糖尿病・心血管病の分子メカニズム
http://jams.med.or.jp/symposium/full/128034.pdf

 


<番外編>
冠動脈疾患患者における食事由来のフラバノールによる内皮機能の改善は循環血液中の血管新生細胞の動員に関連している
目的
現行のガイドラインに沿った内科的治療を受けている冠動脈疾患(CAD)患者を対象とし、フラバノール含有ココアを用いた1カ月間の食事介入により内皮機能不全が改善するかどうか、およびこの効果が循環血液中の血管新生細胞(CAC)数の増加や機能の増強に関連しているかどうかを検討した。

背景
食事由来のフラバノールが内皮機能不全を改善する可能性が示されている。
内皮前駆細胞とも呼ばれるCACは、血管修復と内皮機能の維持において重要な役割を果たしている。

方法

結果

結論
フラバノールの定期的な食事摂取による内皮機能の持続的な改善は、機能性CACの動員と関連している(Effect of Cocoa Flavanols on Vascular Function in Optimally Treated Coronary Artery Disease Patients:Interaction Between Endothelial Progenitor Cells, Reactivity of Micro- and Macrocirculation:NCT00553774)。

http://ds-pharma.jp/medical/gakujutsu/jacc/archive/jacc1007_0218.html
原文
J Am Coll Cardiol, 2010; 56:218-224
原文アブストラクト
Improvement of Endothelial Function With Dietary Flavanols Is Associated With Mobilization of Circulating Angiogenic Cells in Patients With Coronary Artery Disease
http://content.onlinejacc.org/cgi/content/abstract/56/3/218


<関連サイト>
メタボリックシンドローム対策、予防教室
http://metabolic.kenkouigakubu.com/keywords.html

 


その他
「葦の髄」循環器メモ帖
http://yaplog.jp/hurst/
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖 
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/  
があります。    

 

 

固定リンク

「ARBとがんリスク」というショッキングな話題については、すでに
ARB使用で肺がんリスク25%上昇?
http://blog.m3.com/reed/20100618/ARB_25_1

でもとりあげました。
糖尿病専門医は、この報告をどのように捉えているか。
北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟先生が書かれた興味深い記事で勉強しました。


糖尿病医として考えるARB発がん問題
Lancet Oncology論文とFDA7月15日コメントを踏まえて

研究の背景:ARB,お前もか
ARBが発がんに関与するという驚がくの報告がLancet Oncol(2010; 11: 627-636)になされた。

Lancet Oncol 2010; 11: 627-636
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/20542468

FDA Drug Safety Communication: Ongoing safety review of the angiotensin receptor blockers and cancer
米食品医薬品局(FDA)のコメント(7月15日発表)
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/PostmarketDrugSafetyInformationforPatientsandProviders/ucm218845.htm

 
研究のポイント1:CHARM試験の結果からARBでのメタ解析を着想
CHARM試験は全体で7,601例の慢性心不全患者を対象にしたARBカンデサルタンの心血管イベント抑制効果を示した試験である(Lancet 2003; 362: 759-766)。
しかし,この試験でがんによる死亡に群間差があった(カンデサルタン群86例,プラセボ群59例,P=0.038)ことが,今回の論文著者(I. Sipahi氏)らにARBとがんとの関連に興味を抱かせたらしい。

同氏らは,その後のONTARGET試験(N Engl J Med 2008; 358: 1547-1559),TRANSCEND試験(Lancet 2008; 372: 1174-1183)においてテルミサルタン群での発がんがコントロール群より多かったことを確認すると〔CHARM試験の全体解析(CHARM-OVERALL)でがんを含む非致死的新生物の報告は群間に有意差はなかったのではあるが〕,ARBにより発がんリスクが高まるという仮説を立てた。
この仮説を検証するために行われたのが今回のメタ解析である。

同氏らは,まずMedline,Scopus,Cochraneのデータベースを利用して2009年11月の時点でARBを用いて英語で報告された無作為臨床試験の抽出を行った。
2,057件の報告がヒットしたが,試験期間が1年未満であったり,ARB同士が比較されていたり,症例数が100例未満であったりした報告は除外され,60件の報告が残った。
このなかで発がんデータが確認できる試験は5件であった。
また,そこにFDA公式サイトからの検索もなされ,臓器特異的な発がんやがん死のデータが抽出可能な4件の試験が追加された。
こうして9件の試験が選択された(LIFE,ONTARGET,TRANSCEND,PROFESS,CHARM-OVERALL,TROPHY,VAL-HEFT,OPTIMAAL,VALIANTの各試験)。

 
研究のポイント2:ARB群で発がんが有意に増加していた
9件の試験のうち,全身での発がんについてデータを解析できたのは,LIFE(ロサルタン,N=9,193),TROPHY(カンデサルタン,N=787),TRANSCEND(テルミサルタン,N=5,926),ONTARGET(テルミサルタン,N=2万5,620),PROFESS(テルミサルタン,N=2万64)の5試験であった。
これらの5試験をフォレストプロットに示したのが図1Aであり,リスク比1.08(95%CI 1.01~1.15,P=0.016)とARBで発がんのリスクが有意に高まっていた(ARB 7.2%,コントロール6.0%)。

これを,発がんをエンドポイントとして定めていた3試験(LIFE,ONTARGET,TRANSCENDの各試験)に絞っても同様の結果であった(図1B)。
この結果は,ACE阻害薬と併用しているか否かによる影響は受けていなかった。
また,臓器特異的な発がんで検討すると肺がんが有意に増加しており(リスク比1.25,P=0.01),前立腺がんや乳がんでは有意な増加は認められなかった。

 

また,がん死についてフォレストプロットを作成したところ,Sipahi氏らが注目したCHARM-OVERALL試験が有意ながん死の増加を示すだけで,ARBによる有意な増加は認められなかった(図2)。
 


研究のポイント3:FDAが試験の限界指摘するコメント
この論文を受けて7月15日付けで発表されたFDAのコメントでは,以下のようなことが述べられた。

■このメタ解析にはいくつかの限界があり,さらなる調査なしに今回の知見の妥当性を判断することは困難である
■限界点としては,
(1)解析された試験における発がんが真に新たな発がんか不明である,
(2)ARBを用いた適切な臨床試験をすべて含んでいるわけではない可能性がある,
(3)データが患者個人レベルのものではない,
(4)発がんについて解析されたデータの約85%がテルミサルタンのものであり,すべてのARBに対して当てはめてよいかどうか不明である,
(5)仮説を立てる際に用いられた3試験のうち2試験(ONTARGET試験とTRANSCEND試験)がそのまま仮説検証のためのデータ解析に用いられており,独立した仮説検証研究になっていない
―ことが挙げられる

■FDAはARBが発がんのリスクを増加させるとは結論付けておらず,今後安全性情報を更新していく
■FDAは(現時点では)ARBの発がんに対する潜在的リスクよりも,ARBの降圧・心疾患予防に対するベネフィットのほうが勝っていると考える
■医療従事者はARBを既存の勧告に従って使用し続けることを推奨する

山田先生の考察:ARBの使用を手控えなくてよいが,がんが日本人糖尿病の最大死因であることは強く意識すべき
どうも毎年5月から7月はハラハラドキドキさせられることが多い。
○2007年
rosiglitazoneによる心血管イベント増加(N Engl J Med 2007; 356: 2457-2471,5月にオンライン版)
○2008年
ACCORD試験における厳格血糖管理群での死亡率の増加(N Engl J Med 2008; 358: 2545-2559,6月に学会発表)
○2009年
インスリングラルギンによる発がんの増加(Diabetologia 2009; 52: 1732-1744,6月にオンライン版)
であった。

今年はARBでの発がんであり,思わず「ARB,お前もか」と口にした先生方もおられたのではなかろうか。
中略
生物学的に発がんの機序が説明できず,また,マウスやラットを用いた実験データでARBによる発がん性は確認されておらず,さらに,テルミサルタンを用いた試験でもPROFESS(N Engl J Med 2008; 359: 1225-1237)では発がんが少ない(有意ではない),といったことを考えても,今の時点ではテルミサルタンを含めARBの使用を手控える必要はなさそうである。
しかし,ARBを使用することの多い糖尿病医は,日本人糖尿病患者の死因の第1位が悪性新生物である(糖尿病 2007; 50: 47-61)ことを強く意識すべきであろう。
年齢,性別に応じて適切にがんのスクリーニング検査を受けるよう糖尿病患者に勧めるべきであるというADAとACSのコンセンサスリポート(Diabetes Care 2010; 33: 1674-1685)の勧告は,日本においてこそ強調されるべきである。

Diabetes and cancer: a consensus report.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/20587728

 
<番外編>
着用型除細動器の使用に関する全国的な累積情報
事象発生率、コンプライアンスおよび生存

Aggregate National Experience With the Wearable Cardioverter-Defibrillator
Event Rates, Compliance, and Survival
目的
本研究は、着用型除細動器(WCD)による不整脈治療における患者コンプライアンスや有効性を検討することを目的とした。

背景
突然死を予防するためのWCDの有効性は、イベントの種類、患者コンプライアンスおよび心室頻拍/心室細動(VT/VF)に対する適切な処置の有無によって左右される。

方法

結果

結論
50%超の患者でWCDの装着時間は1日の90%を超えており、コンプライアンスは良好であった。
使用中の突然死の発生率は低かった。生存率はICD患者と同等であったが、突然の心停止における重要な死因は心静止であった。

http://ds-pharma.jp/medical/gakujutsu/jacc/archive/jacc1007_0194.html

<一部追筆>
CKD患者におけるARBとCCB  講演会メモ(未完)
http://blog.m3.com/reed/20100725

 
<今日の一曲>
アマポーラ  ロス・インディオス・タバハラス
http://www.youtube.com/watch?v=d_nRCxbzuPU&feature=fvw



2010.7.18撮影 東京・丸の内
歩道と車道が同じ色調となっており開放感と広がりを演出しています。
さすがに日本の首都の街並に相応しい風格が感じられます。
横浜の伊勢佐木町も、随分前にアーケードが撤去されモール化さたようです

 
その他
「葦の髄」循環器メモ帖
http://yaplog.jp/hurst/
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖 
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/  

があります。    
 
 
 

固定リンク

治療抵抗性高血圧に「アルドステロン拮抗薬」
RA系抑制薬やCa拮抗薬を使用してもコントロールできない例では、降圧利尿薬の少量追加が先決だ。
それでも治療抵抗性を示す場合、4剤目としてアルドステロン拮抗薬が海外では推奨されている。

まずは少量利尿薬の併用
2000年に発表された米国の大規模試験ALLHATの結果を受けて、高血圧治療ガイドライン2009では3剤以上の併用療法では少量の利尿薬を含めることを原則としている。
ところが、わが国での利尿薬の使用頻度は依然として低く、各種調査によれば使用頻度は10%未満にとどまっている。
その主な理由は耐糖能低下、高尿酸血症などの代謝への影響だ。

しかし、「少量であれば利尿薬の代謝系への影響は非常に少ない。食塩を取りすぎている日本人には利尿薬が効果的だ」と桑島氏は話す。

ARBと少量のヒドロクロロチアジドの合剤を使う、あるいは降圧利尿薬のインダパミド(1mg)やトリクロルメチアジド(1〜2mg)を追加する方法がある。

第4次薬はスピロノラクトン
それでは、利尿薬を追加しても、まだ降圧できない治療抵抗性の場合にはどうするか。
ガイドライン2009には、4剤目の選択薬を明示していないが、治療抵抗性の場合の主な対応がまとめられている(表1)。
ここで注目すべきは、「アルドステロン拮抗薬の追加」だ。


アルドステロン拮抗薬は、アルドステロンが、その受容体であるミネラルコルチコイド受容体(MR)と結合するのをブロックし、降圧効果を発揮する。
英国の高血圧治療ガイドラインでは、治療抵抗性高血圧の第4次薬としてアルドステロン拮抗薬であるスピロノラクトンを推奨している。

こうした背景には、原発性アルドステロン症(PA)だけでなく、本態性高血圧の患者においても、アルドステロン拮抗薬(スピロノラクトン)で降圧効果がみられたとする論文が報告されるようになったことがある。

図1はASCOT-BPLA(anglo-scandinavian cardiac outcomes trial-blood pressure lowering arm)の試験結果だ(Chapman N et al. Hypertension 2007; 49: 839-45.)。
コントロール不良の高血圧患者1411人を対象に、スピロノラクトンを第4次薬として追加投与(平均25mg)したところ、平均1.3年後には収縮期血圧21.9mmHg、拡張期血圧9.5mmHg(いずれもp<0.001)の降圧が得られた。

さらに、利尿薬を含む3剤以上を使用している治療抵抗性高血圧患者175人を対象に、スピロノラクトンを追加(平均50mg)したところ、平均7カ月後に収縮期血圧16mmHg拡張期血圧9mmHgの降圧がみられたとの報告もある(Souza F et al. Hypertension 2010; 55: 147-152.)。


図1 ASCOT-BPLAにおける治療抵抗性高血圧におけるスピロノラクトンの効果


肥満でアルドステロン過剰に
PAでなくてもアルドステロンの分泌が過剰傾向にあり、アルドステロン拮抗薬が奏効する高血圧は、肥満の関与が濃厚だとされる。

「海外の疫学調査などで、メタボリックシンドローム患者の血漿アルドステロン濃度が高値であることが明らかになるなど、肥満とアルドステロン分泌過剰との関与が注目されている」と話すのは福井大第三内科教授の宮森勇氏だ。

アルドステロンはRA系の最終産物だが、この系とは別に、アルドステロン産生の刺激因子が脂肪細胞から直接放出されていて、アルドステロンの分泌が過剰になっているとの説(Krug AW et al. Hypertension 2008; 51:1252-8.)もある。

しかし、治療抵抗性患者のアルドステロン濃度を測定しても、必ずしも高値ではないことから、慶応大内科教授の伊藤裕氏は、「アルドステロン濃度が正常でも、受容体であるMR側の活性化が惹起されていて、高血圧を呈している可能性もあるわれわれはこうした病態をMR関連高血圧と呼んでいる」と話す(図2)。

図2 「MR関連高血圧」とは
血漿アルドステロン濃度が高くなく、正常な場合でも、肥満や食塩過剰摂取、高コルチゾール血症などによってMRが活性化されると、結果的にアルドステロンの作用が増強されて高血圧になる可能性がある。
これを伊藤氏らは、「MR関連高血圧」と呼んでいる。

 

伊藤氏によれば、「高コルチゾール血症や肥満などの要因によってMRの数が増える、あるいはMRの感受性が亢進し(MRの活性化)、その結果、アルドステロンの作用が増強されるのではないか」という。

ARBやサイアザイド系利尿薬を処方している場合にはレニン活性が上昇するため、PAが見逃される可能性がある。スピロノラクトン追加投与で著効の場合は、再度PAの鑑別が必要かもしれない」と宮森氏は話す。


高カリウム血症に注意
「アルドステロン拮抗薬が治療抵抗性高血圧に対する切り札」(伊藤氏)という意見は、日本の高血圧専門医の間ではコンセンサスとなりつつある。

現在、日本において高血圧で使用できるアルドステロン拮抗薬は、スピロノラクトン(商品名アルダクトンAほか)と、2007年に承認されたエプレレノン(セララ)がある。

エプレレノンは、MRだけを選択的にブロックする。
このため、スピロノラクトン投与で見られる性ホルモン作用の抑制に伴う女性化乳房などの副作用頻度が非常に少ない。

ただし、どちらもカリウム保持性利尿薬で、投与の際は高カリウム血症に注意が必要だ。

特にRA系抑制薬との併用ではカリウムが上がりやすい。
伊藤氏は、「利尿薬を併用していれば高カリウム血症の相殺も期待できるが、RA系抑制薬で降圧効果が明らかでない症例ではRA系抑制薬を中止し、アルドステロン拮抗薬に切り替えるようにしている」と話す。

 

エプレレノンの早期投与も
エプレレノンは、血清カリウム値が5.0mEq/L以上、微量アルブミン尿または蛋白尿を伴う糖尿病患者、中等度以上の腎機能障害(クレアチニンクリアランス50mL/分未満)の患者では禁忌となっている。

そこで、国際医療福祉大三田病院内科部長の佐藤敦久氏らは、「代謝異常や合併症などを起こして治療抵抗性になる前の、早めの段階から使用すべき」との考えから、同病院の高血圧患者に対し、第2次薬としてエプレレノンを使用している。

図3は、同氏らが報告した臨床成績だ。
本態性高血圧患者でACE阻害薬またはCa拮抗薬で降圧が不十分だった68人を対象に、第2次薬としてエプレレノン50mgを投与し、有意な降圧効果が見られた。

佐藤氏は、「高カリウム血症は1例も認めなかった。エプレレノンの降圧作用は複雑で、利尿効果以外の作用が主体である可能性も考えられるが、使用の際には腎機能に注意することが大切だ」と話す。

なお、エプレレノンについては、大規模試験などのエビデンスがまだ十分に集積されていない。
東京都健康長寿医療センターの桑島氏は、「まずは日本人についてのエビデンスの集積が急がれるが、最終的には高血圧治療の真の目的である心血管イベント抑制効果についてのエビデンスが重要だ」と話している。

出典 NM online 2010.7.19(統計数値など一部省略)
版権 日経BP社

 

 

<番外編>
ONSET/OFFSET研究でticagrelor、クロピドグレル、またはプラセボの投与を受けた安定冠動脈疾患患者における呼吸困難の発症率と心肺機能の評価
目的

本研究は、ONSET/OFFSET研究(A Multi-Centre Randomised, Double-Blind, Double-Dummy Parallel Group Study of the Onset and Offset of Antiplatelet Effects of AZD6140 Compared With Clopidogrel and Placebo With Aspirin as Background Therapy in Patients With Stable Coronary Artery Disease)でticagrelor、クロピドグレル、またはプラセボの投与を受けた安定冠動脈疾患(CAD)患者の心肺機能を前向きに評価した。

背景
Ticagrelorはクロピドグレルに比べて急性冠症候群患者の心血管イベントを効果的に減少させる。Ticagrelorの投与を受けた患者の一部は呼吸困難を発症するが、この事象が心肺機能の悪化と関連しているのかどうかは明らかではない。

方法

結果

結論
Ticagrelorによる治療には呼吸困難が高頻度に伴うが、本研究では呼吸困難と心肺機能の悪化との関連は認められなかった。
原文(抄録)
Incidence of Dyspnea and Assessment of Cardiac and Pulmonary Function in Patients With Stable Coronary Artery Disease Receiving Ticagrelor, Clopidogrel, or Placebo in the ONSET/OFFSET Study
J Am Coll Cardiol, 2010; 56:185-193
http://content.onlinejacc.org/cgi/content/abstract/56/3/185

http://ds-pharma.jp/medical/gakujutsu/jacc/archive/jacc1007_0185.html


<きょうの一曲>
Unchained Melody [SaX]
http://www.youtube.com/watch?v=evdrIC6_NpY&feature=related

 

その他
「葦の髄」循環器メモ帖
http://yaplog.jp/hurst/
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
井蛙」内科メモ帖 
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/  

があります。    

 

固定リンク

人工弁機能不全に経カテーテルでの弁置換術の選択肢
聖パウロ病院(カナダ・バンクーバー)インターベンショナルカーディオロジー(介入的心臓病学)とインターベンショナルリサーチ(介入研究)の医療ディレクターJohn G. Webb博士らは,機能不全に陥った人工弁(生体弁)にカテーテルで新たな人工弁を埋め込む研究を行い「この方法は,高リスク患者に対する効果的な選択肢の1つだ」とCirculation(2010; 121: 1848-1857)に発表した。

4つの心臓弁すべてに使用
Webb博士らは今回の研究で,ブタまたはウシの組織を用いた生体弁が機能不全に陥った高リスク患者24例に対し,古い人工弁をバルーンで拡張し,新しい人工弁を経カテーテル的に挿入・留置した。

新しい弁は,カテーテルを用いて肋骨間に開けた小さな切開部または脚の血管に穿刺して挿入された。
古い弁の内部に留置後,バルーンを膨らませて拡張することにより,新しい弁は古い弁を押し出す。

同博士は「いったん拡張し開口すると,新しい弁は患者自身の弁のように機能する。この手技の利点は,開胸手術をせずに機能不全に陥った弁を置換できることだ」と説明している。
同博士は多くの人工弁はこの方法で置換可能だとし,「回復もより早い可能性があるうえ,大手術に伴う不安も軽減される」と述べている。

この手技は,人工弁が機能不全になり,再手術が難しい患者のみが対象となる。今回の研究において外科手術が危険あるいは不適格と判断された要因としては,2回以上の開胸手術歴,重度肺高血圧,心臓などの合併症がある。

この手技が初めて行われたのは5年前であるが,これまでのところ単独例のみしか報告されていない。
今回の研究は,相当数の患者データを提示しているとともに,置換部位には4つの心臓弁すべてが含まれている。
10例は大動脈弁,7例は僧帽弁,6例は肺動脈弁,1例は三尖弁がそれぞれ機能不全に陥っていた。

経カテーテル弁置換術中に死亡した患者はいなかった。
しかし,僧房弁置換例のうち1例は,途中から置換術を従来の開胸手術に変更したが,多臓器障害を発症して翌日死亡した。もう1例は術後45日目に死亡した。

普遍的な機能評価は困難
Webb博士らによると,再手術は劣化した人工弁に対する標準治療であるが,開胸手術の再施行には重大なリスクを伴う。
同博士らは米国胸部外科医学会(STS)の数値を引用して,ほかに健康上の問題がない80歳の男性では,大動脈弁に対する再手術による死亡リスクは5%,僧房弁再手術では10%で,合併症がある場合のリスクはさらに高いとしている。

僧房弁あるいは大動脈弁置換術を受けた患者のほぼ全員が,70~80歳代だった。
肺動脈弁あるいは三尖弁を留置されていた患者は,他の患者よりもかなり若かった。
このような患者は通常,先天性心疾患で,過去に手術を複数回経験していることが多い。
同博士は「それでも,1回でも手術を回避することは望ましい。患者の大半は男性であったが,女性でも同じ結果が得られるだろう」と述べている。

また同博士は,これまでさまざまな形状やサイズの弁が製造されているため,今回の経カテーテル的に置換された弁の機能を普遍的に評価するのは難しいと指摘。
「この手技は最初に外科手術で留置した人工弁のサイズが,新しい経カテーテル弁を挿入できる大きさがある場合にのみ機能する。大半の人工弁のサイズは十分だが,なかには小さいものもある。最初の人工弁が小さい場合でも,新しい弁は古い弁より大きく開くかもしれないが,期待されるほどうまくは開かないかもしれない」と述べている。

それでも,同博士は「総合的に判断した場合,経カテーテル弁留置術は,漏れが生じて機能しなくなった人工弁に対する治療法として非常に効果的だ」としている。

ベイラー医科大学と退役軍人局医療センター(ともにテキサス州ヒューストン)内科のBlase A. Carabello教授は同誌の付随論評(2010; 121: 1798-1799)で,今回の研究は心臓弁疾患(VHD)治療における次の段階に焦点を合わせたものだと指摘している。

さらに「VHDに対する経皮的デバイスを用いた治療法の登場は,過去50年間の心臓病学における最も刺激的な出来事の1つである。Webb博士らの研究結果は,この技術の進歩の速さを実証するものである」とコメントしている。

出典 Medical Tribune 2010.7.22
版権 メディカルトリビューン社


<2010.12.3追加>
#経カテーテル大動脈弁留置術 開心術が不適応な患者に有効
スタンフォード大学心血管外科のD. Craig Miller教授らは「外科的大動脈弁置換術の適応とならない重度大動脈弁狭窄症患者への経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)は,これらの患者の死亡率低下とQOL向上に有効である」との研究結果をNew England Journal of Medicine(2010; 363: 1597-1607)に発表した。

#手術不適応の358例で検討
同大学医療センターはPARTNER試験と呼ばれる今回の試験に参加した21施設の1つである。
この試験は,新しい経皮的手技であるTAVI(人工弁を鼠径部の大腿動脈から挿入したカテーテルを介して直接動いている心臓に留置する手技)の有効性をルーチンの標準療法(バルーン大動脈弁形成術など)と比較した最初のランダム化試験である。

大動脈弁狭窄症の治療では,重症患者と合併症を有する患者の多くが外科的大動脈弁置換術の適応とはならない。
PARTNER試験には,重度の大動脈弁狭窄症患者358例が組み入れられた。大動脈弁狭窄症は石灰組織の沈着などにより心臓の大動脈弁の開きが悪くなる疾患で,息切れ,疲労,うっ血性心不全などを引き起こす。

#QOLが劇的に改善
治療開始から1年後の時点で,全死亡率はTAVI群の30.7%に対し,標準治療群では50.7%だった。

今回の試験に参加した医師の1人である同大学心血管内科のWilliam Fearon准教授は「今回の試験で最も印象的だったのは,TAVI群で死亡率が20%低かったということである。これは非常に素晴らしい結果で,実際,5人治療すれば1人多く救命できるほど効果が高いことを意味している。しかし,このような生存における便益以上に劇的だったのは,患者のQOL向上と運動能力回復だ」と述べている。

同大学はこの試験に80例超を組み入れたが,そのうち14例は重症患者だった。


#新たな試験も計画中
同大学心血管内科長で今回の試験の参加医師でもあるAlan Yeung教授によると,同大学病院には重度大動脈弁狭窄症の多くの患者が車いすで来院する。

同教授は「これらの患者は,誰も歩いて退院できるとは思っていない。今やこうした患者は(治療を受ければ)買い物を楽しみ,家族と一緒に過ごし,質の高い生活を手に入れることができる」と述べている。

しかし,今回の試験は,このTAVIが代償を伴うことも明らかにしている。
実際,TAVI群の脳卒中発症率は標準治療群より高かった(5%対1%)。
また主要な血管合併症の発症率もTAVI群で高く(16%対1%),出血も多かった。

現在,TAVIで用いられた生体弁の耐久性を判定するための試験と,開心術に耐えうるような低リスク患者や若年患者でもTAVIが有効か否かを検討する試験が計画されている。

TAVI法は約2時間を要し,カテーテルを鼠径部の大腿動脈から挿入する。
このカテーテルは動脈を上行して心臓に至り,病的大動脈弁の弁口部に新たな弁を配置する。
患者を選定することから始まるこの手技の全体像は,大規模な共同作業である。

インターベンショナル心疾患専門医と心血管外科医は手技の最中,心臓麻酔科医と心エコー検査を行う心疾患専門医と共同でX線透視と経食道心エコーを行い,開胸することなく動脈弁の位置と配置を決める。

人工心臓弁は,カテーテルに取り付けられたバルーン上に折り畳まれた形で装着されている。
バルーンを拡張させて人工弁を病的大動脈弁の弁口部に正確に留置する。
これにより罹患した大動脈弁はつぶされ,心臓は血液を効率良く体中に送ることができるようになる。

出典 MT pro 2010.11.18
版権 メディカルトリビューン社

 

<番外編>
非ST上昇型心筋梗塞における入院時と退院時の中間部プロアドレノメジュリン値の予後因子としての価値
LAMP (Leicester Acute Myocardial Infarction Peptide) II研究
目的
本研究は、非ST上昇型心筋梗塞(MI)患者における入院時と退院時の中間部プロアドレノメジュリン(sAM)値の予後因子としての価値を評価し、臨床的意思決定の一助となる数値を特定することを目的とした。
N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(N-terminal pro–B-type natriuretic peptide)とGRACE(Global Registry of Acute Coronary Events)スコアを、対照として使用した。

方法

結果

結論
sAM値は、死亡や心不全の予測因子である。
入院時の値は早期死亡の強力な予測因子であり、特に1.11 nmol/Lを超える場合はGRACEスコアを補完し、リスクの層別化を向上させる。

原文
Prognostic Value of Mid-Regional Pro-Adrenomedullin Levels Taken on Admission and Discharge in Non–ST-Elevation Myocardial Infarction
The LAMP (Leicester Acute Myocardial Infarction Peptide) II Study(Abstract)
http://content.onlinejacc.org/cgi/content/abstract/56/2/125

http://ds-pharma.jp/medical/gakujutsu/jacc/archive/jacc1007_0125.html

 

2010.7.18撮影 三菱一号館美術館
開館記念展 「マネとモダン・パリ」は昨日の2010.7.25で終了しました。

三菱一号館美術館
http://ja.wikipedia.org/wiki/三菱一号館美術館

 


手彩色絵葉書東京丸の内馬場先門通り明治期
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/2/28/Babasakidori.jpg

 


<きょうの一曲>
Sonny Rollins Quartet - Moritat
http://www.youtube.com/watch?v=ox5MUXvhzK8&feature=related

 


その他
「葦の髄」循環器メモ帖
http://yaplog.jp/hurst/
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
井蛙」内科メモ帖 
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/  
があります。    

 

 

 

固定リンク

ある日の講演会のメモです。

①心腎連関を振り返る〜微量アルブミン尿出現のメカニズム〜
■CKDの有無と心血管疾患の相対危険度(久山町研究)
CKD(-)を1.0とした場合CKD(+)では
心血管病    1.4倍(有意)
虚血性心疾患  1.9倍(有意)
脳梗塞     1.2倍
出血性脳卒中  0.7倍
出典
CKD診療ガイド2009.Ninomiya T et al Kidney Int 2005;68:228-236
<私的コメント>
心血管病と虚血性心疾患の区別がよくわからない。
いずれにしろこの2群はCKDにより増加。
脳梗塞、出血性脳卒中は有意差がないのは興味深い。
ひょっとしたら出血性脳卒中については、もう少しで有意差をもってCKD(+)の場合少ないという結果が出たかもしれない。
CKD(-)CKD(+)の両群で血圧値に差がなかったも知りたいところ。

■尿蛋白と腎機能の低下は心血管疾患による死亡の危険因子である。
茨城県で行われた疫学研究の結果
一般住民を対象とした心血管疾患による死亡の相対危険度

男性                   相対危険度
A群  尿蛋白(ー) GFR≥60        1.00
B群  尿蛋白(ー) GFR<60        1.53
C群  尿蛋白(+) GFR≥60        1.39
D群  尿蛋白(+) GFR<60        2.15

女性
A群  尿蛋白(ー) GFR≥60        1.00
B群  尿蛋白(ー) GFR<60        1.58
C群  尿蛋白(+) GFR≥60        2.02
D群  尿蛋白(+) GFR<60        4.00

男女ともにA群に比較してB群、C群、D群で心血管疾患の相対危険度は増加。
出典
kidney Int 2006;69:1264-1271

<私的コメント>
B群とC群についての群間比較も知りたいところ。
要するに、尿蛋白陽性とGFR値低下のいずれが心血管死に関与しているかは万人の興味のあるところです。
女性はA群からD群にかけて相対危険度がリニアに増加しています。
そして女性に限れば一見GFR値低下より尿蛋白(+)の方が心血管疾患リスクが高いようです。(B群とC群の比較)
一方、男性では女性のようにリニアに増加するということではなさそうです。
つまり男女間に差がみられます。
その理由は何なんでしょうか。

■Gubbio Population Study
尿中アルブミンおよびGFRと心血管イベント(45-64歳のイタリア人1665名)
A 群 腎機能正常
B 群 腎機能低下
C 群 尿中アルブミン排泄量(UAE)増加
D 群 BかつCの条件を満たす群

検定の記載はありませんがA 群に比較してB 群とある日の講演会のメモです。

①心腎連関を振り返る〜微量アルブミン尿出現のメカニズム〜
■CKDの有無と心血管疾患の相対危険度(久山町研究)
CKD(-)を1.0とした場合CKD(+)では
心血管病    1.4倍(有意)
虚血性心疾患  1.9倍(有意)
脳梗塞     1.2倍
出血性脳卒中  0.7倍
出典
CKD診療ガイド2009.Ninomiya T et al Kidney Int 2005;68:228-236
<私的コメント>
心血管病と虚血性心疾患の区別がよくわからない。
いずれにしろこの2群はCKDにより増加。
脳梗塞、出血性脳卒中は有意差がないのは興味深い。
ひょっとしたら出血性脳卒中については、もう少しで有意差をもってCKD(+)の場合少ないという結果が出たかもしれない。
CKD(-)CKD(+)の両群で血圧値に差がなかったも知りたいところ。

■尿蛋白と腎機能の低下は心血管疾患による死亡の危険因子である。
茨城県で行われた疫学研究の結果
一般住民を対象とした心血管疾患による死亡の相対危険度

男性                   相対危険度
A群  尿蛋白(ー) GFR≥60        1.00
B群  尿蛋白(ー) GFR<60        1.53
C群  尿蛋白(+) GFR≥60        1.39
D群  尿蛋白(+) GFR<60        2.15

女性
A群  尿蛋白(ー) GFR≥60        1.00
B群  尿蛋白(ー) GFR<60        1.58
C群  尿蛋白(+) GFR≥60        2.02
D群  尿蛋白(+) GFR<60        4.00

男女ともにA群に比較してB群、C群、D群で心血管疾患の相対危険度は増加。
出典
kidney Int 2006;69:1264-1271

<私的コメント>
B群とC群についての群間比較も知りたいところ。
要するに、尿蛋白陽性とGFR値低下のいずれが心血管死に関与しているかは万人の興味のあるところです。
女性はA群からD群にかけて相対危険度がリニアに増加しています。
そして女性に限れば一見GFR値低下より尿蛋白(+)の方が心血管疾患リスクが高いようです。(B群とC群の比較)
一方、男性では女性のようにリニアに増加するということではなさそうです。
つまり男女間に差がみられます。
その理由は何なんでしょうか。

■Gubbio Population Study
尿中アルブミンおよびGFRと心血管イベント(45-64歳のイタリア人1665名)
A 群 腎機能正常
B 群 腎機能低下
C 群 尿中アルブミン排泄量(UAE)増加
D群  B 群とC 群の両方の条件を満足

A 群に比較してB 群、C 群で12年の追跡で心血管イベントは増加傾向(?)

D群(ただしn=23)で明らかに(?)生存率低下
(示されたスライドには検定結果の記載なし)
出典
Arch Inten Med. 2008;168(6):617-624

<私的コメント>
ほぼ kidney Int 2006;69:1264-1271 の研究と結果は同じです。
ここでは男女では分けて検討されていないようです。
ただし腎機能低下とUAE増加の診断基準に男女差をつけていますが、その根拠は不明です。(eGFRの概念ではないようです)
B 群とC 群にはあまり差はなさそうです。
いずれにしろ、腎機能低下とUAE増加の重複は良くないという結果と解釈出来ます。
■糖尿病性腎症の進展(UKPDS64)
❶糖尿病(正常アルブミン尿)  年間死亡率 1.4%
❷微量アルブミン尿期      年間死亡率 3.0%
  (50〜299mg/dl)
❸顕性腎症期          年間死亡率 4.6%
  (300mg/dl以上)
❹腎不全、透析         年間死亡率 19.2%

進展率
❶ → ❷ 2.0%
❷ → ❸ 2.8%
❸ → ❹ 2.3% 

❶,❷,❸は可逆的
出典
Adker AL et al Kidney Unt 2003;63:225-232


■微量アルブミン尿を有する高血圧患者はそれを有しない患者と比較して心血管系の事故が多い


② CKDにおける糸球体高血圧の悪循環
 〜腎輸入細動脈と輸出細動脈の関係〜

③Cardio-Renal-Anemia症候群(心腎貧血症候群)

④腎細動脈におけるcaチャンネルの分布

⑤T型CCBのBenefit


<番外編> 非保護左冠動脈主幹部病変に対するステント留置術と冠動脈バイパス術の長期的安全性・有効性の比較
MAIN-COMPARE(Revascularization for Unprotected Left Main Coronary Artery Stenosis: Comparison of Percutaneous Coronary Angioplasty Versus Surgical Revascularization)レジストリにより得られた5年間の結果
Long-Term Safety and Efficacy of Stenting Versus Coronary Artery Bypass Grafting for Unprotected Left Main Coronary Artery Disease
5-Year Results From the MAIN-COMPARE (Revascularization for Unprotected Left Main Coronary Artery Stenosis: Comparison of Percutaneous Coronary Angioplasty Versus Surgical Revascularization) Registry
目的
左冠動脈主幹部(LMCA)の血行再建術を受けた患者から成る大規模コホートを対象にした多施設共同研究において、長期間の追跡調査を行った。

背景
非保護LMCA病変に対して、冠動脈ステント留置術または冠動脈バイパス術(CABG)を受けた患者の長期転帰に関する情報は限られている。

方法

結果
被験者が治療を受ける確率の逆数で重みづけし、ベースラインのリスク因子の差を調整したところ、ステント留置術を受けた患者における5年後の死亡リスク(と死亡、Q波を伴うMIないし脳卒中の複合リスクは、CABGを受けた患者と比べて有意差は認められなかった。
TVRが施行されるリスクは、ステント留置群のほうがCABG群より有意に高かった。
同様の結果は、ベアメタルステント留置と同時期のCABG、および薬剤溶出性ステント留置と同時期のCABGとの比較でもみられた。傾向スコアをマッチさせてさらに解析したところ、すべての結果に一貫性がみられた。

結論
5年間の追跡調査では、非保護LMCA病変に対するステント留置術による死亡率、および死亡、Q波を伴うMIないし脳卒中の複合転帰の発生率はCABGと同等であったが、TVR施行率がより高いことが示された。

原文アブストラクト
J Am Coll Cardiol, 2010; 56:117-124
http://content.onlinejacc.org/cgi/content/abstract/56/2/117

http://ds-pharma.jp/medical/gakujutsu/jacc/archive/jacc1007_0117.html


固定リンク

RAA系の研究が進むなか,AngⅡと臓器障害との関連性が明らかにされ,AT1受容体拮抗薬(ARB)による臓器保護作用に注目が集まっている。
そして,ARBのなかでも,オルメサルタン メドキソミル(オルメテック®)〔以下,オルメサルタン〕は,その多彩な作用機序により,多面的な臓器保護作用を発揮することが期待されている。

また,近年,高血圧が骨粗鬆症やアルツハイマー病といった加齢に伴って発症する疾患の病態に関与していることが明らかになり,高血圧治療と抗加齢医学との関連性に注目が集まっている。

 

オルメサルタンの多面的臓器保護作用
RAA系抑制作用が血管・骨・認知機能に及ぼす影響
司会 
愛媛大学大学院 分子心血管生物・薬理学  堀内 正嗣 教授
カナダ・マギル大学内科  Ernest L. Schiffrin 教授
大阪大学大学院循環器内科学 小室 一成 教授
熊本大学大学院生命科学研究部 生体機能薬理学 光山 勝慶 教授
大阪大学大学院 臨床遺伝子治療学 森下 竜一 教授


血管内皮機能障害を惹起するAngⅡとアルドステロンのクロストーク
堀内 

RA系には,血管収縮,高血圧,臓器障害を惹起するACE/AngⅡ/AT1受容体軸(Devil)と,血管保護,血圧低下,臓器保護に働くACE2/Ang-(1-7)/Mas受容体軸(Angel)という,相反する2つの調節系が存在することが明らかになっています。
ARBオルメサルタンは,優れた降圧効果を示すとともに(図1,略),ACE/AngⅡ/AT1受容体軸を抑制して降圧効果,抗酸化作用,抗炎症作用などをもたらし,ACE2/Ang-(1-7)/Mas受容体軸を活性化することで多面的な臓器保護作用を発揮するものと考えられています(図2)。


Schiffrin (RAA系と血管障害の関係について)
私たちは約25年前に,AngⅡとミネラルコルチコイドであるアルドステロンに相互作用があることを報告しています。
AngⅡは,血管内皮依存性血管拡張機能を低下させて血管壁厚の増大と血管内皮機能障害を引き起こすほか,アルドステロンの分泌を促進します。
アルドステロンは,ミネラルコルチコイド受容体を介して血液中のナトリウムやカリウムの調節を行うホルモンですが,一方で酸化ストレスや炎症を惹起して心臓や血管の肥大・線維化を促進し,血管内皮機能にも影響を与えることもわかっています。

最近の研究では,AngⅡによる血管内皮依存性血管拡張機能の低下がミネラルコルチコイド受容体拮抗薬で改善すること,アルドステロンによる血管壁の活性酸素産生の亢進をARBで抑制できることなどが明らかになりました。
また私たちは,ラットの血管平滑筋細胞に対して薬物活性用量に満たない低用量のAngⅡとアルドステロンを同時に投与したところ,細胞増殖や血管新生に影響を及ぼす非受容体型チロシンキナーゼであるc-Srcが活性化し,これによってNADPHオキシダーゼが活性化して,活性酸素産生の亢進が認められたことを報告しています。
これらの結果から,AngⅡとアルドステロンは相互に協調(クロストーク)しながら,血管障害や血管リモデリングを引き起こすと考えられます。

問題は,AngⅡとアルドステロンの相互作用を抑制することで血管リモデリングや血管内皮機能障害を改善できるかどうかということです。
私たちが高血圧患者を対象に行った臨床試験VIOSでは,オルメサルタンの52週投与により,高血圧患者の血管壁厚(中膜)/内腔径比が正常血圧者と同等のレベルにまで改善しました(図3)。
β遮断薬では血管壁厚の改善がみられなかったことから,私たちは,オルメサルタンがAT1受容体を強力に遮断するとともに,AngⅡ依存性のアルドステロン産生を抑制して血中アルドステロン濃度を減少させたことで,このような結果が得られたのではないかと考えています。

 


 

オルメサルタンによるeNOSアンカップリング阻害の重要性
光山
 (抗酸化作用の観点から見た心臓リモデリングへのARBの影響)
近年の研究から,血管内皮機能障害や心臓リモデリングには,血管内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の「アンカップリング」と呼ばれる現象が関連することがわかってきました。
eNOSは一酸化窒素(NO)を産生し,血管拡張など血管保護的に作用する二量体の酵素ですが,補酵素であるテトラヒドロビオプテリン(BH4)が高血圧や糖尿病などの危険因子によって低下すると,アンカップリングが起きて一量体となります。
これによって活性酸素が産生され,酸化ストレスが増加し,血管内皮機能障害が引き起こされます。
私たちの実験では,eNOSアンカップリングを認める食塩感受性高血圧ラット心不全モデルにBH4を投与したところ,血管のeNOSアンカップリングの指標である二量体/一量体比が改善したうえ,血管内皮機能改善だけでなく,心機能の改善も得られています。このことから,eNOSアンカップリングは血管内皮機能障害のみならず,心不全の進展にも重要な役割を果たしていると考えています。

また,eNOSアンカップリングを認める食塩感受性高血圧モデルラットにオルメサルタンを投与すると,eNOSの二量体/一量体比が改善し(図4A),酸化ストレスの低下(図4B)と血管内皮機能の改善も得られました。
これらの結果から,オルメサルタンにはeNOSのアンカップリングを阻害して酸化ストレスを低下させ,血管保護はもちろん心保護にも寄与する作用があると思われます。

 


堀内 
このような基礎研究の結果を考慮すると,ARBを用いた高血圧治療の意義は大きいと考えられます。
しかし,実地診療ではARBの単剤投与で十分な降圧効果が得られないことも想定されます。
そうした場合には,ARBの増量とCa拮抗薬など他の降圧薬との併用のどちらが好ましいのでしょうか。

光山 
現在,日本でその問題を検証する無作為化比較試験であるOSCAR試験が進行中です。
対象は心血管危険因子を1つ以上有する65歳以上の高齢高血圧患者で,オルメサルタン20mg/日投与で降圧目標の140/90mmHgに達しなかった患者を,高用量ARB(オルメサルタン40mg/日)群とARB(オルメサルタン20mg/日)+Ca拮抗薬(アゼルニジピンまたはアムロジピン)併用群に無作為に割り付け,心血管系イベント抑制作用を比較検討しています。
フォローアップ期間は終了しており,2011年には最終解析結果が報告される予定です。

Schiffrin 
私は,ACCOMPLISH試験の結果から,RA系抑制薬で降圧目標に達しない際の併用薬はCa拮抗薬が有望と考えています。
ただし,OSCAR試験では基礎薬となるARBに多面的な作用を有するオルメサルタンが用いられていることから,興味深い結果が得られることが期待されます。


AngⅡは老化細胞を増加させ血管の老化を促進している
堀内 
抗酸化は抗加齢医学の中心的な概念でもあります。
小室先生は,血管細胞の老化に関する研究を行っておられますね。

小室 
私たちの研究は,RA系と血管細胞の老化との関連を調べたものです。
in vitroにおいて,ヒト培養平滑筋細胞にAngⅡを作用させたところ,老化シグナル分子であるp53と,その下流のp21の発現が亢進し,細胞老化のマーカーであるSAβ-gal陽性細胞数が増加しました。
また,in vivoでの検討として,コレステロール代謝に深くかかわるアポリポ蛋白Eを欠損させた動脈硬化モデルマウス(アポEノックアウトマウス)にAngⅡを投与したところ,偽薬群と比較してp21の発現の亢進と血管壁におけるSAβ-gal陽性細胞数の増加が認められました。
また,アポEノックアウトマウスとp21ノックアウトマウスをかけあわせたp21/アポEダブルノックアウトマウスでは,AngⅡを投与してもアポEノックアウトマウスと比較してSAβ- gal陽性細胞数の増加が抑えられ(図5),大動脈の内膜肥厚および大動脈瘤の形成も抑制されていました。
これらの結果から,AngⅡは細胞老化を早めて動脈硬化を促進していると考えられます。
そのAngⅡをAT1受容体で遮断するARBは,血管の老化を遅延させ,動脈硬化を防ぐ可能性があると思います。

 


Schiffrin 
興味深い知見ですね。
血管の老化についてはTNF-α,インターフェロンγなどのサイトカインによる炎症反応も関連していると考えられており,研究の進展が期待されます。


破骨細胞に対するAngⅡの作用と骨粗鬆症の発症
堀内 

RA系の抑制が細胞の老化を遅延させるとの研究結果を小室先生にお示しいただきましたが,これは加齢に伴って発症する他の疾患もRA系と関連があるということでしょうか。
森下先生は,動物モデルを用いて骨粗鬆症とアルツハイマー病に対するARBの影響について報告されていますが,ご紹介いただけますか。

森下 
まず,骨粗鬆症とRA系の関連についてご説明します。高血圧が骨粗鬆症の発症因子であることは複数の疫学研究からも周知ですが,その機序は,高血圧により尿中カルシウム排泄が促進されて血中カルシウムが減少するためと考えられていました。
しかし最近,AngⅡが破骨細胞に作用して,骨密度を低下させるという新たな機序の存在が判明しました。

私たちは高血圧と骨密度との関連を調べるため,雌Wistarラットの卵巣を摘出して閉経後骨粗鬆症モデルラットを作成しました。この卵巣摘出ラットを観察したところ,非卵巣摘出ラットと比較しても破骨細胞の活性化を示す酒石酸抵抗性産生フォスファターゼ(TRAP)の活性に変化はなく,骨密度の低下もわずかにとどまっていました。
しかし,AngⅡを投与すると,非卵巣摘出ラットと比較して卵巣摘出ラットではTRAP活性が亢進するとともに骨密度も低下し,骨粗鬆症の進展と同様の経過を示しました。

また,高血圧自然発症ラット(SHR)を使用した検討では,卵巣を摘出するだけでTRAP活性の亢進と骨密度の減少が示されました。
この卵巣摘出SHRにオルメサルタンを投与したところ,TRAP活性を非卵巣摘出SHRと同程度にまで抑制し,骨密度の低下も用量依存的に抑制しました(図6)。
血管拡張薬ではそのような結果が得られなかったことから,高血圧による骨粗鬆症誘発の予防にはAT1受容体の遮断が有望と考えられました。

 

 

血管機能の改善を介した認知機能への影響
森下 (アルツハイマー病について)
現在,アルツハイマー病は,高血圧,糖尿病,高コレステロール,動脈硬化,肥満や喫煙などの危険因子によって誘発される血管性疾患と認識されています。
これらの因子を検討した結果,多様な作用を有するARBにはアルツハイマー病の病態を改善する可能性があるのではないかとの仮説を立て,アルツハイマー病の脳に出現する老人班に蓄積するβアミロイド蛋白(Aβ)1-40を脳内に注入したモデルマウスを用いて実験を行いました。
Aβ1-40注入マウスの認知機能をMorris水迷路法で評価したところ,対照群としてペプチドを逆順のシークエンスにしたAβ40-1を注入したマウスと比較して逃避潜時が延長し,認知機能の低下を認めました(図7)。

 


しかし,Aβ1-40注入の28日前よりオルメサルタンを投与していたマウスでは逃避潜時が有意に短縮し,対照群と同程度まで認知機能が改善したことが明らかになりました。
なお,他の降圧薬で同程度に降圧した際には,Aβ1-40マウスの認知機能に改善がみられませんでした。
このことから,オルメサルタンの認知機能保護作用は,降圧効果とは異なる独立した機序によるものと考えられました。

また,異なるアルツハイマー病モデルである,アミロイド前駆蛋白(APP)23トランスジェニックマウス(APP23マウス)にオルメサルタンを投与して,Aβの沈着を観察したところ,影響はみられませんでした。
一方で,APP23マウスは対照群の野生型マウスと比較すると,ひげ刺激時の脳血流量が著明に減少していましたが,オルメサルタンを投与したAPP23マウスでは脳血流量が保たれていました。
これらの結果から,オルメサルタンが示した認知機能保護作用には,血管機能改善作用が関係していると考えられます。

Schiffrin 
AngⅡが脳内のアストロサイトなどの非神経系細胞に直接作用して代謝を促進し,Aβの沈着を増加させている可能性はあるのでしょうか。

森下 
大いにあると考えます。AβはeNOSを阻害して血管内皮に影響を与えることがわかっていますから,アルツハイマー病の病態とRA系の間には何らかの関連性があると思います。

Schiffrin 
強力にAngⅡを遮断するオルメサルタンのようなARBを用いて,活性酸素産生を抑制し,炎症性メディエータを持続的に抑えることは,細胞の老化の進行に対しても好ましい影響を与え,加齢に伴って発症する疾患に対しても有効な可能性があると思います。

小室 
一般的に,ヒトの寿命は心血管病と癌に大きく影響されます。ARBは,癌に対する影響はまだ明らかではないですが,血管細胞の老化を遅延して動脈硬化を防止する可能性がありますから,抗加齢医学の観点からも研究を続けたいと考えています。

出典 Medical Tribune 2010.6.25
版権 メディカルトリビューン社

 


<番外編 その1>
男性の長身は静脈血栓塞栓症の危険因子
男性の長身は静脈血栓塞栓症(VTE)の危険因子の1つであると,ノルウェーのグループがAmerican Journal of Epidemiologyの5月15日号に発表した。

同グループは,1994~95年に地域の25~96歳の男女2万6,727例を登録。
2007年9月まで追跡して身長とVTEリスクとの関係を検討した。追跡期間の中央値は12.5年で,462件のVTEイベントが確認された。

解析の結果,身長は男性ではVTEの危険因子だったが,女性ではその関係は認められなかった。
年齢,BMI,糖尿病,喫煙,ホルモン療法(女性)を調整後の身長10cm当たりのVTEの多変量ハザード比は男性が1.34(95%信頼区間1.09~1.64),女性が1.13(同0.91~1.40)であった。
男性における身長の最高四分位(181cm超)は,最低四分位(173cm未満)と比べVTEのリスクが2倍高かった。

Brækkan SK, et al. Am J Epidemiol 2010; 171: 1109-1115.

出典 Medical Tribune 2010.6.10
版権 メディカルトリビューン社

 

<番外編 その2>
今月、「脳卒中死亡率、コレステロール値高い方が低い!? 」という内容の記事で注目(?)された東海大の大櫛陽一教授(医療統計学)の論文は、以下のサイトで閲覧することが出来ます。

 

脳卒中患者での高脂血症による臨床指標への影響
大櫛 陽一 その他
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/32/3/242/_pdf/-char/ja/


■調査対象は
”薬物治療の影響を排除するために、高脂血症・高血圧・糖尿病での薬物治療をしていない脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血の16,850 症例”
■薬物療法をしていないということは、高脂血症は軽症であった可能性が考えられます。
■高脂血症群、非高脂血症群の総コレステロール値・LDL-コレステロール値・HDL-コレステロール値・中性脂肪値についての記載がありません。
■要旨には”日本人では特に高齢者における低栄養が脳卒中の発症や予後に影響しているものと思われる”と書かれており、ちょっと腰砕けです。
■同じく要旨に書かれている”日本の脂質異常症診断基準が低すぎる”という内容も、この論文からは導き出されません。
■方法の項目に”高脂血症の判断は主治医に依存しているが,登録された期間における日本動脈硬化学会の診断基準が使われているものと思われる”と書かれており、実際の数値に当っていないことがわかります。
最も重要な、2群のグループ分けとなる対象者が”いるものと思われる”といったように仮定にもとづいて分類さt¥れています。
■”TC ≧ 220 mg/dl,LDL-C ≧ 140 mg/dl, 中性脂肪
(TG) ≧ 150 mg/dl のいずれかに該当する”と推定していますが、論理の展開がコレステロール値に終始しています。


その他
「葦の髄」循環器メモ帖
http://yaplog.jp/hurst/
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
井蛙」内科メモ帖 
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/  
があります。      

 

 

固定リンク

「CKD診療ガイド(2009)」に,CKDでは脂質異常症の治療により蛋白尿の減少と腎機能低下抑制が期待され,LDLコレステロール(LDL-C)は120mg/dL未満(可能であれば100mg/dL未満)にコントロールすることが重要であるという記載があります。
しかし,実地臨床ではCKD患者への脂質異常症の治療は十分されていないのが現状のようです。
一方、脂質異常は,CKDそのものの進行にも関係することが知られています。

きょうは「スタチンによるCKDの脂質管理」についての座談会の記事で勉強しました。

 
慢性腎臓病の脂質管理におけるスタチンの役割
―早期からの脂質管理の重要性を―
司会:
福島県立医科大学腎臓高血圧・糖尿病内分泌代謝内科学講座 渡辺 毅 教授

出席者(発言順):
東邦大学医療センター大橋病院腎臓内科 常喜 信彦 講師
Head of Nephrology Department of Medicine, Division of Nephrology, University Hospital Wurzburg Christoph Wanner 教授
大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学 庄司 哲勇 講師
東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科 川村 哲也 准教授
CKDに対するスタチン処方の現状

渡辺 
高コレステロール血症の治療薬として世界的に繁用されているスタチンですが,脂質異常症を伴うCKDに対する使用率はそれほど高くないのが現状です。

常喜(スタチンの使用率に関してのデータのご紹介)
われわれがCKD患者を治療する際には,腎障害進展抑制と冠動脈疾患(CAD)などの動脈硬化性疾患の発症抑制という2つをターゲットに治療を行っています。
最近,脂質異常症はこの2つのどちらにも関与していることがわかってきました。
そのため私は,CKD患者ではスタチンを用いた脂質異常症の治療は重要だと考えます。

ところが,私たちの施設で新規に透析を導入した311例について,導入前すなわち保存期腎不全の治療について調査したところ,スタチン使用例はわずか52例,16%にすぎないという結果でした。ちなみに,使用例が最も多かったのはCa拮抗薬の218例で70%,次いでエリスロポエチン製剤(ESA)の130例で42%,ARB/ACE阻害薬の123例で40%などとなっています()。


渡辺 
他の薬剤と比べ,スタチンの使用率は低いということですね。

常喜 (CKD患者さんの心血管系リスク)
透析導入前の患者さんのCAD合併率についての報告は多くないのですが,これらの報告からわかることは,CKDのステージが上がるほどCAD合併率は高くなるということです1)。
ステージ1での合併率は5~12%2),ステージ5ないし5Dでの合併率は50%程度3,4)と報告されていますから,私はCKDのステージの数に10を乗じたものが,だいたいのCAD合併率と考えています。

Wanner 
実際に,Goらが一般人口100万人以上を対象に調査した結果でも,推定糸球体濾過率(eGFR:単位はmL/min/1.73m2)が60未満になると心血管イベント発症率が上昇し始め,45未満になると急上昇することが示されています(図1)。


#介入時期により異なるスタチンの有用性
渡辺 
CKDでスタチン投与の影響を検討した試験はそれほど多くないうえに,結果にばらつきがある印象を受けますね。

Wanner 
eGFRが45以上,CKDのステージで言えば2~3の患者さんにスタチンを投与した試験の成績はきわめて良好です。
例えば,TNT(The Treating to New Targets)試験のサブ解析では, アトルバスタチンのCKD症例および腎機能正常例のeGFRに対する影響を見ています5)。

常喜 
さらに,ステージ2のCKD患者さんを対象にアトルバスタチンを投与したGREACE(Greek Atorvastatin and Coronary Heart Disease Evaluation)試験6),eGFRが45以上で,ステージ3でも早期の患者さんを中心的対象としてアトルバスタチンを投与したALLIANCE(The Aggressive Lipid-Lowering Initiation Abates New Cardiac Events)試験7)の報告もあります。

渡辺 
そうしますと,eGFRが45以上であれば,スタチンによる脂質介入の結果はポジティブであるということですね。
では,eGFRが45未満に低下したステージ4~5もしくは5DのCKD患者さんにスタチンを投与したときの効果についてはいかがでしょうか。

Wanner 
透析導入後の患者さんでの臨床試験の結果はネガティブです。
アトルバスタチンのデータとして,透析導入後の糖尿病患者さんを対象に脳心血管イベントを見た4D(Deutche Diabetes and Dialyse Studie)試験8)が報告されています。
これは,原因の特定できない突然死などが増加するので,統計上はその効果がはっきりしないものになってくることが原因と考えられます。
このように,早期介入と晩期介入で成績の異なることが,CKDに対するスタチンの効果にばらつきがある印象を生んでいるのだと思います。

渡辺 
透析導入にまで病態が進行すると,脂質異常という1つのリスク因子を是正しただけでは,なかなか転帰改善までには至らないということですね。
それまでに介入する必要性が示唆されますね。

庄司 
同じく糖尿病患者を対象にアトルバスタチンを投与したCARDS(The Collaborative Atorvastatin Diabetes Study)試験9)のサブ解析が示されています。
この試験は2型糖尿病でLDL-Cが160mg/dL未満の患者を対象にアトルバスタチン10mgとプラセボを比較した試験で,大血管障害抑制に対するアトルバスタチンの作用,特にeGFRが60未満の患者での脳卒中リスク低下に対する作用を見た解析です。
これらの結果から,糖尿病患者であっても,早期介入ということがきわめて重要と言えると思います。
#CKDのステージ3で動脈硬化の進展が最も速い
渡辺 
それではなぜ,CKD患者さんでは早期のスタチン治療でメリットが得られるのでしょうか?

庄司 
Rigattoらは,CKD患者さんの頸動脈エコーを経年的に測定し,プラークの成長速度を腎機能別に検討しています。
その結果,プラークの成長速度が速いのはクレアチニン・クリアランス(CCr:単位はmL/min)が29~35の層までで,腎機能がそれ以下になると,むしろプラークの成長速度が鈍るということです(図2)。
したがって,CKDステージの早期からスタチンを投与すると,それによるプラークの成長抑制作用も最も大きいと言えます。


Wanner (スタチンによる脂質低下の程度と,心血管イベント抑制作用の関連)
スタチンの使用例9万例以上の成績のメタアナリシスであるCTT(The Cholesterol Treatment Trialists)の結果では,LDL-Cが1mmoL/L(約40mg/dL)低下するごとに,心血管イベントは19%減少すると報告されています10)。

スタチンの腎機能に及ぼす影響
川村 (スタチンが腎臓そのものに及ぼす影響)
脂質異常が腎臓にとって悪影響を及ぼすことはよく知られていて,そのメカニズムもかなり詳細に解明されています。
また,スタチンがその悪影響を解除することで,腎機能によい影響を及ぼすであろうことも,以前から指摘されています。
一方,スタチンの最も重篤な副作用と言ってよい横紋筋融解症が,腎機能が低下した患者さんで多く報告されていることも事実です。
そこで私たちは,自施設における高脂血症合併腎疾患患者84例を対象に,アトルバスタチン投与の腎機能へ及ぼす影響ならびに安全性について,後ろ向きの解析を行いました。

対象は,血清クレアチニン(Cr:単位はmg/dL)で評価した腎機能により,
(1)正常群(Cr≦1.0),
(2)中等度障害群(1.0<Cr<3.0),
(3)高度障害群(3.0≦Cr)
―の3群に分け,アトルバスタチン投与12か月後までモニタリングしました。
そうしますと,総コレステロール(TC),LDL-Cは,3群ともアトルバスタチン投与後は有意に低下していました(図3)。
また,クレアチン・キナーゼ(CK)やCrの推移については,3群ともアトルバスタチン投与後もおおむね変化は認めませんでした。さらに,3群ともアトルバスタチン投与前における高脂血症未治療群では,蛋白尿の有意な減少も観察されました。


渡辺 
アトルバスタチンは腎機能には関係なくCKやCrの推移への影響が少なく,蛋白尿の減少を示すことを示唆する成績と言えますね。では,こうしたスタチンの効果は,スタチンのクラス・エフェクトと言ってよいものでしょうか。

常喜 (スタチンの種類による違い)
例えばスタチンの副作用に関してですが,これまでのスタチン使用例を集計した解析では,蛋白尿の発現率が,スタチンの種類により大きく異なることが示されています11)。
したがって,前述の川村先生の検討で示されたアトルバスタチンによる蛋白尿の減少は,あくまでもアトルバスタチンに特異的なもので,スタチンのクラスエフェクトによるものではないと考えたほうがよいようです。
#より積極的なCKDステージ早期からのスタチンの使用を
渡辺 
最初の疑問に戻りますが,スタチンがこれほどCKDで有用でありながら,これまで,特にわが国では使用されてこなかったのは,どのような理由によるのでしょうか。

常喜 
1つはCKDと脂質の関係にあまり関心がなかったことが挙げられます。
そして2つ目には,有効性に関するエビデンスが不十分で,よく知られてこなかったこと。
さらに3つ目に,副作用に対する過剰な懸念が挙げられると思います。

渡辺 
しかし,今挙げられた3つのもののうち,1つ目を除く2つの問題については,本日の座談会の内容から,かなり払拭されたのではないかと考えます。
ですから今後,より多くの先生方が脂質異常を伴うCKD患者に対してスタチンを使用していくことを期待します。
ただし,安全性の面ではスタチンの種類による差もありますので,使用中はこまめに腎機能をチェックしていただくことが肝要でしょう。

文献
1)J Am Soc Nephrol 2003; 14: 2373-2380.
2)Brenner&Rector's The Kidney-seventh edition- Section Ⅳ, Chapter 50 Cardiovascular Aspects of Chronic Kidney Disease.
3)Nephrol Dial Transplant 1997; 12: 718-723.
4)USRDS, Dialysis Morbidity and Mortality (Wave 2) 1997 Annual Data Report Web site: www.usrds.org.
5)J Am Coll Cardiol 2008; 51: 1448-1454.
6)J Clin Pathol 2004; 57: 728-734.
7)Am J Kidney Dis 2009; 53: 741-750.
8)N Engl J Med 2005; 353: 238-248.
9)Am J Kidney Dis 2009; 54: 810-819.
10)Lancet 2005; 366: 1267-1278.
11)Circulation 2005; 111: 3051-3057.

出典 Medical Tribune 2010.6.10
版権 メディカルトリビューン社

<番外編>
#米国民の高血圧コントロール率が50%を達成
米国民の高血圧コントロール率は1999~2008年の10年間に大幅に改善され50%に達したと,サウスカロライナ医科大学のグループがJAMAの5月26日号に発表した。

米国のHealthy People 2010は,高血圧のコントロール率50%達成を目標に掲げている。
同グループは,1988~94年と99~2008年の国民健康栄養調査に参加した18歳以上の成人における高血圧の有病率やコントロール率の動向を調べた。

その結果,高血圧の有病率は1988~94年の23.9%から99~2000年には28.5%に上昇していた(P<0.001)。
しかし,それ以降は大きな変化はなく,2007~08年の有病率は29.0%であった。

高血圧のコントロール率は1988~94年の27.3%に対し,2007~08年には50.1%と大幅に改善(P=0.006)。
この間の高血圧患者の平均血圧は,143.0/80.4mmHgから135.2/74.1 mmHgへと低下した(収縮期血圧P=0.02,拡張期血圧P<0.001)。
高血圧のコントロール改善率は1988~94年から99~2000年の間の4.1%に対し,99~2000年から2007~08年にかけては18.6%と有意に大きかった(P<0.001)。
原文
US trends in prevalence, awareness, treatment, and control of hypertension, 1988-2008.(Abstract)
Egan BM, et al. JAMA 2010; 303: 2043-2050.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/20501926
出典 Medical Tribune 2010.6.10
版権 メディカルトリビューン社

<自遊時間>
最近、ある新聞の「読書・著者に会いたい」というコーナーに小山登美夫氏が紹介されていました。
ちょっと興味を持ったので紹介させて下さい。

見た、訊(き)いた、買った古美術 小山登美夫さん
現代美術の旗手らしく豪快に
メディアで必ず「奈良美智(よしとも)、村上隆を世に出した」と紹介されることを、本書冒頭で自ら「おおげさ」と謙遜(けんそん)するものの、現代アート業界を牽引(けんいん)してきたことは間違いない。
東京・清澄を拠点とする「小山登美夫ギャラリー」には、国内外のセレブがお忍びで作品を買いにやって来る。

そんな有名ギャラリストが古美術の世界に足を踏み入れた。
奈良時代(8世紀)の古写経や中国・北魏時代(4〜6世紀)の陶俑(とうよう)など、12店で買った作品は13作品395万円超。雑誌の企画とはいえ自腹、現代アートではなく古美術を買うという思い切った“異業種間交流”はなかなかに興味深い。
特に古美術を買ってみたいが勇気がなくて、という人は必見。
何しろ、この人らしさ全開の突っ込んだ質問や豪快なコメントに、「よおし行ってみよう」と思えてくる。
「古美術の値段は(略)クリアーになりつつあるんですか?」「このヒゲオヤジは何時代?」「コムデギャルソンのモデルさんみたい、よく知らないけど(笑)」などなど。

そもそもなぜ古美術だったのかといえば、「連載を依頼されて、現代アートについては、本を3冊出して書き尽くした感があって。
じゃあ僕たちの業界とは違うセカンダリーマーケット(2次市場)の業界をのぞいてみたいと思って」。
作家の新作を扱う「プライマリー(1次)マーケット」の現代アートと異なり、古美術は時代を経て複数の人の手を渡っている。
「作り手を知らない、時には作品の使われ方も分からないものを集めて市場を作ってきた、ぼくらの想像を絶する世界」というが、業界人から色々な話を引き出しながら、相互の世界の“共通項”も見いだした。「美術史のまん中を生き残ってきた作品には、作り手たちの熱い思いがこもっている。それは今も昔も同じ。僕たちにつながる部分がちゃんとある」



http://book.asahi.com/author/TKY201007210305.html
出典  朝日新聞 2010.7.18
版権  朝日新聞社

 

<小山登美夫 関連サイト>
Tomio Koyama Gallery 小山登美夫ギャラリー
http://www.tomiokoyamagallery.com/ja/

「小山登美夫ギャラリー 京都」 に行ってきました。
http://blog.process5.com/?eid=832067

Culture Power - 小山登美夫ギャラリー
http://apm.musabi.ac.jp/imsc/cp/menu/gallery/koyama_tomio_gallery/interview.html

小山登美夫ギャラリー
http://ja.wikipedia.org/wiki/小山登美夫ギャラリー

TOMIO KOYAMA GALLERY:小山登美夫ギャラリー/東京・京都|TKG Editions/銀座・京都
http://tkgallery.exblog.jp/

小山登美夫ギャラリー
http://www.art-index.net/tomiokoyama.html


奈良美智
http://4ki4.cocolog-nifty.com/modern/2009/03/post-41ab.html


<きょうの一曲> エスターテ
エスターテ~仮面の夜 @ 風の記憶 - ビーア
http://www.youtube.com/watch?v=1S4EtjLbPGo

 

その他
「葦の髄」循環器メモ帖
http://yaplog.jp/hurst/
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
井蛙」内科メモ帖 
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/  
があります。        

 

 

固定リンク

CKD患者の透析開始時期

戯れ言たれる侏儒 / 2010.07.22 00:25 / 推薦数 : 0

CKD患者の透析開始は遅めでも問題なし
ステージ5の慢性腎臓病(CKD)の患者が透析を開始するタイミングは、転帰に影響を与えるのだろうか。
オーストラリアSydney大学医学部のBruce A. Cooper氏らがこのほど行った無作為化試験で、推定糸球体濾過量(eGFR)値が7.0mL/分/1.73m2以下になるまで、または透析の必要性を示す症状が現れるまで開始を待っても、死亡または転帰悪化のリスクは上昇しないことが明らかになった。
論文は、NEJM誌電子版に2010年6月27日に掲載された。

長期にわたって透析を続ける患者が増え続けている。
理由の1つは、以前より早い段階で透析が開始されるようになったことにある。
これは、いくつかの観察コホート研究やケースコントロール研究の結果、早期開始が患者の生存、QOLに利益をもたらすことが示唆されたことがきっかけだ。
しかし、それらの研究の質は十分ではなかった。
また、
透析を早期に開始した患者と遅れて開始した患者を比較した無作為化試験はこれまで行われていなかった。

そこで著者らは、オーストラリアとニュージーランドの32カ所の医療施設で、透析開始時期の生存への影響と、心血管イベント、感染、透析の合併症に対する影響を調べる無作為化試験を行った。


中略


追跡期間中の死亡は、早期開始群152人(37.6%)、遅れて開始群155人(36.6%)で、ハザード比は1.04(0.83-1.30、P=0.75)。

サブグループ解析も行ったが、早期開始群の死亡リスクが有意に低かったグループはなかった。

心血管複合イベント、感染複合イベント、透析の合併症のそれぞれの発生率に差はなく、追跡期間中の両群間のQOLにも有意な差は見られなかった。

今回の無作為化試験の結果は、管理が注意深く行われている患者では、eGFR値が7.0mL/分/1.73m2以下になるまで、または、透析の必要性を示す明らかな症状が出るまで、透析開始を待てることを示した。

この研究について、ベルギーGhent大学のNorbert Lameire氏とWim Van Biesen氏は、同号で「The Initiation of Renal-Replacement Therapy — Just-in-Time Delivery」と題されたエディトリアルを発表した。

両氏は、「この研究において注目すべきは、遅れて開始群に割り付けられた患者の透析開始が、eGFR値のみならず、透析の必要性を示す症状の発現に基づいて判断されおり、実際には症状が現れたために透析を開始していた患者が4分の3を占めていたことだ」と言う。「この事実は、eGFR値よりも尿毒症を示唆する臨床症状の方が、透析を行うかどうかの意志決定において重要であることを示している。また、その段階で透析を開始しても、患者に危険は及ばないことが明らかになった。したがって、症状が現れる前に特定の測定値を指標として透析を開始するよりも、症状発現に基づいた開始が望ましいことが確認された」と両氏は述べている。

原題
A Randomized, Controlled Trial of Early versus Late Initiation of Dialysis
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/NEJMoa1000552v1
(Abstract)

エディトリアル
The Initiation of Renal-Replacement Therapy — Just-in-Time Delivery
http://content.nejm.org/cgi/content/full/NEJMe1006669
(全文)

(医学ジャーナリスト 大西 淳子氏)
出典  NM online 2010.7.21
版権 日経BP社

 

<番外編 その1>
ICSS  
International Carotid Stenting Study
目的
症候性頸動脈狭窄において,頸動脈ステントと頸動脈内膜切除術の安全性および長期の有効性を比較する。
一次解析は3年間の致死的・障害の残る脳卒中発生率の両群間差(未解析)。
二次解析は頸動脈治療後120日(intention-to-treat解析)・30日(per-protocol解析)の死亡率および合併症発生率の両群間差(一次エンドポイント:全脳卒中,死亡,手技による心筋梗塞[MI])。
http://circ.ebm-library.jp/trial/doc/c2003241.html
 

コメント
本試験は,症候性の頸動脈狭窄を有する患者で頸動脈ステント留置(carotid stenting)と頸動脈内膜摘除術(carotid endarterectomy)の両方の治療に適した患者をいずれかの治療に無作為に割り付けて臨床イベントの発生頻度を比較した試験である。
carotid stenting群でnon-disabling strokeの発生率が有意に高く,結果的に安全性の中間解析の評価項目である割り付け後120日のstroke/death/procedural myocardial infarctionの発生率はcarotid endarterectomy群に比しcarotid stenting群で有意に高いという結果であった。
SPACEやEVA-3Sなどの先行研究からのメッセージと一致する結果であり,これらの結果を俯瞰的に見ると症候性の頸動脈狭窄を有する患者におけるcarotid stentingの役割は極めて限定的なものとなる。
本試験の問題点としては試験登録期間が2001年から2008年の7年間と極めて長いことが挙げられる。
この間のcarotid stentingおよびcarotid endarterectomyの技術や手技の進歩と試験結果の関連をどのように考えるかは難しい問題である。
また参加施設数は50施設であるが,1713例の登録に7年間を要したということは,1施設あたりの登録症例数は年間4-5例と極めて少数例となる。
この間に各施設において診断された症候性頸動脈狭窄患者が無作為化試験の外側でどのような治療を受けたかは,試験結果を解釈する上で極めて重要である。
論文中にはスクリーニングされて登録されなかった患者の記録はないと記載されている。
スクリーニングされた患者の全体像を把握することは困難な仕事ではあるが,試験結果の外的妥当性を考える上で重要であり,それを達成することが試験の信頼性を大きく高めると考える。
carotid stentingは日本において広く行われている治療である。
欧米と比較すると,頸動脈狭窄患者に対する治療の中でcarotid stentingの占める比率は,日本において著しく高いとも言われている。
自分が正しいと信じていた治療法が科学的にチャレンジを受けた時に,carotid stentingに関わる医師がこの種の情報を患者にどのように伝え,また自身の治療法選択にどのような修飾を加えるのか注目すべきところである。
 

解釈
重度の症候性頸動脈狭窄を有した手術適応患者における治療法は,ステントではなくやはり頸動脈内膜切除術を選択すべきである。
内膜切除術と比較した頸動脈ステントの有効性を確立するには長期追跡の終了を待たねばならない。
(京都大学大学院医学研究科内科系専攻内科学講座循環器内科学木村 剛 教授)

 

<番外編 その2>
今日のフレーズは"It might be"です「Tanatril English Academy」
http://tanabe.m3.com/ck9a588bc6f4b5eb9107342d8e4f8100d7fd1/contents/EnglishAcademy/08/index.html?cid=201006VS5Q

 

その他
「葦の髄」循環器メモ帖
http://yaplog.jp/hurst/
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
井蛙」内科メモ帖 
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/  

があります。    

 

 

固定リンク