戯れ言たれる侏儒
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Rhoキナーゼ

戯れ言たれる侏儒 / 2010.06.25 00:44 / 推薦数 : 1

RhoキナーゼはRho/Rhoキナーゼ系の中核を担う酵素であり、細胞増殖や遊走、接着、アポトーシス、収縮など細胞の多彩な機能を媒介することがわかっています。
また、このRho/Rhoキナーゼ系は、細胞のCa2+感受性を亢進させることによって血管平滑筋の収縮を促進し、高血圧の継続や進展に関連することが推測されている重要な系です。
##Rhoキナーゼ
Rhoキナーゼは,低分子量グアノシン三リン酸(GTP)結合蛋白質Rhoの標的蛋白質として同定された細胞内セリンスレオニンリン酸化酵素である。
分子量は約160kDで,Rhoキナーゼには,Rhoキナーゼα(Rho-kinase2;ROCK2)ROCK2とRhoキナーゼβ(Rho-kinase1;ROCK1)ROCK1の2つのアイソフォームがある。
 
Rhoキナーゼは細胞の収縮,増殖,遊走,活性酸素産生などさまざまな生理機能に深く関与していることがわかっている。
なかでも,平滑筋細胞の収縮・弛緩作用に関する研究が最も進んでおり,血管平滑筋の収縮能の亢進が原因の1つである異型狭心症が選択的Rhoキナーゼ阻害薬で抑制されることが証明された。
 
これらは既に臨床試験が進行中で,異型狭心症患者の冠動脈内に選択的Rhoキナーゼ阻害薬を投与すると,アセチルコリン負荷による冠動脈攣縮,虚血性心電図変化が抑制されることが示されている。
 
当研究室では,肝細胞にDominant negative Rhoキナーゼを導入することにより,肝臓移植後の冷虚血再灌流障害を抑制できることを明らかにした。
肝再灌流直後の炎症反応の最初のスイッチとなる活性酸素はおもに肝細胞のRhoキナーゼを介した経路で産生されており,遺伝子導入による障害耐性グラフト作製の可能性を示した。
 
また,最近になってがん細胞におけるRhoキナーゼの役割も重要であることがわかってきた。
Rhoキナーゼは,細胞遊走におけるアクチン-ミオシンによる収縮,微小管を介した細胞骨格蛋白質の輸送などをコントロールしており,がん細胞の浸潤・転移に必要な蛋白質として働いている。
 
当研究室は,ヒト乳がん組織の浸潤部に活性化したRhoキナーゼが強発現しており,臨床病理学的にリンパ節転移やリンパ管浸潤と非常に強く相関することを示した。
強発現群で予後不良であることもわかっており,今後,乳がん薬物療法における新たな分子標的薬の1つとなる可能性も秘めている。

文献
田原俊介,下川宏明. Rhoキナーゼ研究の進展と阻害剤の将来展望. YAKU GAKU ZASSHI 2007; 127(3): 501-514.
Shiotani S, et al. Rho-kinase as a novel gene therapeutic target in treatment of cold ischemia/reperfusion-induced acute lethal liver injury: effect on hepatocellular NADPH oxidase system. Gene Therapy 2007; 14: 1425-1433.
(九州大学大学院消化器・総合外科・塩谷聡子)

出典 Medical Tribune 2008.8.28
版権 メディカル・トリビューン

<関連サイト その1>
#アムロジピンは本態性高血圧患者のRhoキナーゼ活性を阻害
出典 NM online 2010.3.8
版権 日経BP社
■広島大学循環器内科の端孝樹氏らは、カルシウム拮抗薬(CCB)にはRhoキナーゼ活性を抑制する作用があり、それがCCBの血管拡張、降圧機序の一端を担っている可能性があることを、第74回日本循環器学会総会・学術集会(2010.3.5~3.7、京都)にて報告した。
■端氏らは、降圧薬治療中の本態性高血圧患者コホートにおける横断調査と、未治療の本態性高血圧患者を対象としたCCBアムロジピン対ARBロサルタンの前向き比較試験という2つのアプローチにより、Rhoキナーゼ活性に及ぼすCCBの影響を検討した。
■降圧薬にて治療中の本態性高血圧患者571例の末梢血白血球を採取し、ミオシン脱リン酸化酵素のミオシン結合サブユニット(MBS;Rhoキナーゼによるリン酸化の標的)の総量と、リン酸化を受けたMBS量を定量し、両者の比(pMBS/MBS比)を求めることによってRhoキナーゼ活性を評価した。
■CCB投与を受けていない患者のpMBS/MBS比に対し、CCB投与を受けている患者のpMBS/MBS比は有意に低く(p<0.05)、Rhoキナーゼ活性の低下が示唆された。
一方、レニンアンジオテンシン系(RAS)阻害薬や利尿薬、β遮断薬の投与とRhoキナーゼ活性の間には有意な相関は認められなかった。
■さらに未治療の本態性高血圧患者24例を無作為に2群に分け、一方にはアムロジピン5mgを、もう一方にはロサルタン100mgを12週間にわたって投与し、治療に伴う両群のRhoキナーゼ活性の変化を比較した。
■その結果、アムロジピン群のpMBS/MBS比は、ベースライン時に比較して有意に低下した(4週間後・12週間後ともにp<0.05 vs ベースライン時)。
これに対し、ロサルタン群のpMBS/MBS比には有意な変化は認められなかった。
■血圧は両群ともに有意に低下し、4週、12週とも両群の降圧効果に有意差は認められなかった。
■(結論)本態性高血圧患者のRhoキナーゼ活性は、CCBアムロジピンの投与によって抑制される可能性が示唆された。

<関連サイト その2>
#血管平滑筋細胞の老化が血管石灰化を引き起こす
予防・治療にスタチンとRhoキナーゼ阻害薬が有効な可能性
出典 NM online 2009.10.4
版権 日経BP社
■血管の石灰化は、血中カルシウムやリンが血管壁に付着して起きると考えられてきたが、血管平滑筋細胞(VSMC:vascular smooth muscle cells)が老化して骨芽細胞様に変化し、石灰化を引き起こしている可能性が新たに示唆された。
■ヒトVSMCを用いたin vitroの研究成果として、京都府立医科大学循環器内科の栗本律子氏らが、第32回日本高血圧学会総会(2009.10.1~10.3、大津)で報告した。
■石灰化が起きている血管壁付近では骨特有の遺伝子群や細胞群が多く、これらが石灰化に関連している可能性が既に指摘されている。
栗本氏らはヒトVSMCを長期間培養して老化VSMCを作り、若いVSMCと比較した。
すると老化VSMCでは、石灰化領域が占める比率とカルシウムの質量比が顕著かつ有意に増強していた。
■骨関連遺伝子の発現を調べたところ、老化VSMCでは若いVSMCに比べ、骨芽細胞に特有なアルカリフォスファターゼ(ALP)と1型コラーゲンの発現が有意かつ大幅に増加しており、骨芽細胞の分化に必要な転写因子であるRUNX-2の発現も有意に増加していた。
一方で、石灰化抑制因子であるMatrix Gla Protein(MGP)の発現は有意かつ著明に減少していた。
■次に、老化VSMCのALPと1型コラーゲンをノックダウンしたところ、いずれの場合も、石灰化は有意に抑制された。
RUNX-2をノックダウンするとALP発現は有意に抑制されたが、1型コラーゲンの発現は有意な減少がみられず、老化VSMCの骨芽細胞様変化には、RUNX-2を経由する系と経由しない系の2つが関与していることが示唆された。
■また、老化VSMCと若いVSMCにスタチンとRhoキナーゼ阻害薬を作用させたところ、どちらの薬剤も老化VSMCのアポトーシスを阻害し、MGP発現を有意に増加させて石灰化を抑制することが確かめられた。
■(結論)加齢による血管石灰化に血管平滑筋細胞の老化が関与していること、予防や治療にスタチンとRhoキナーゼ阻害薬が有効である可能性が示唆された。

<参考>
[PDF] Rho/Rho-キナーゼと血管収縮機構
http://www.jc-angiology.org/journal/pdf/2007/337.pdf

Rho-Rho-kinase
http://www.med.nagoya-u.ac.jp/Yakuri/group/rho-kinase-group-folder/rho-kinase-group.html

[PDF] 創薬の標的としての Rho/Rho キナーゼ経路の重要性
http://nenkai.pharm.or.jp/126/program/pdf/11.pdf


<自遊時間>
世界一難しいらしいゲームstage10
http://www.youtube.com/watch?v=rDnhG0MX_bY&feature=related


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