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##専用ステント導入1年,腎動脈狭窄症の現況
##難治性高血圧や末期腎動脈狭窄の一因,心不全に有効との報告も
血管内治療のなかでも難易度の高い腎動脈狭窄症に対する専用ステントが発売されて1年が経過した。
エコー診断や適応の判断が難しい治療であるため,発売後に実施された腎動脈ステント治療は2,500件程度にとどまっている。
一方で,腎動脈狭窄症は難治性高血圧や末期腎動脈狭窄の一因と考えられるほか,腎動脈ステントが心不全に対して効果を示す報告も出てきていることから,今後の適切な普及が望まれている。
6月14日,東京都内で開催されたプレスセミナー(主催:ジョンソン・エンド・ジョンソン)で,東邦大学医療センター大橋病院循環器内科教授の中村正人氏は腎動脈狭窄症への正しい理解を呼びかけた。
#疑い症例を見つけた場合は専門施設との連携が重要
腎動脈は腹部大動脈から鋭角に分岐しており,専用ステントが発売される前は,狭窄が見つかっても血管拡張に難渋する例が多かった。
1年前から柔軟性と強度が備わった専用ステント(パルマッツ ジェネシス)が登場し,その治療成績の向上が期待されている。
しかし,スクリーニング的な診断として行われるエコー検査では技師に高度な診断技術が求められるほか,確定診断として行われる造影検査では腎機能悪化のリスクを伴うことなどから,一般施設で適応の判断を行うのは難しく,むしろ,腎動脈狭窄の疑い症例を見つけた場合は専門施設との連携が重要と言える。
難治性高血圧の原因の1つとして腎動脈狭窄があることはよく知られている。
欧米からは3割程度が関係しているという報告もあり,少なくない数と考えられる。
また,末期腎疾患の1割程度に腎動脈狭窄があるという報告もあり(Am J Kid Dis 1994; 24: 622-629 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/7942820),狭窄が高度で腎虚血が存在し,なおかつ改善が必要な症状がある場合では,腎動脈ステントの適応が考慮される。
#急性肺水腫による緊急入院例で腎機能改善し,症状も安定
ただし,米国心臓学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)ガイドラインでは,高血圧や腎機能障害に対する腎動脈ステント留置術の適応はクラスⅡa(有益であるという意見が多いもの)であり,クラスⅠ(有益であるという根拠があり,適応であることが一般に同意されている)の適応はうっ血性心不全や不安定狭心症となっている。
腎動脈に有意な狭窄が認められ,ほかでは説明困難な肺水腫症例であれば,腎動脈ステントの留置で大幅な改善が見込める場合もあるという。
これまでに,心不全に腎動脈狭窄症を合併する患者の腎動脈形成術前後で心不全の入院が有意に減少したとする報告(Vasc Med 2002; 7: 275-279 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/12710843)や,ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能クラス分類が有意に改善したとする報告(Nephrol Dial Transplant 2010; 25: 813-820 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/19666661)もある。
中村氏が経験した症例のなかにも,狭心症の既往があり,急性肺水腫で緊急入院した患者に,当初は冠動脈の血管内治療を実施したが,その後クレアチニン値の上昇と腎動脈狭窄が認められたため,腎動脈ステントを留置したところ,腎機能の改善と症状の安定を認めた例があるという。
この症例のように,放置した場合は透析に至る恐れがある症例において腎機能の改善が期待できる場合もあることから,今後の適切な普及が望まれる。
出典 MT Pro 2010.6.15
版権 メディカル・トリビューン社
<関連サイト>
#腎動脈専用ステントが米国に先行して日本で薬事承認取得
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0906/0906005.html
出典 MT Pro 2009.6.2
版権 メディカル・トリビューン社
■日本初となる腎動脈専用ステント(パルマッツ ジェネシス)が、2009.6から販売された。
腎動脈専用ステントとしての適応取得は、米国や欧米に先駆けて行われることになったが、これは血管内治療デバイス導入の稀なケースと言える。
■従来の末梢血管用ステントでは,性状や太さが腎動脈に適していなかったため,腎動脈狭窄症に対する経皮的インターベンションの施行例は,年間数千例にとどまっていた。
今回発売となる専用ステントではより安全な施術と高い成功率が望めるという。
■米国では,年間の冠動脈ステント治療件数が約100万件であるのに対し,腎動脈ステント治療は約7万件行われており,この割合を日本に当てはめると,少なくとも1万件以上の需要が考えられる。
■実際の腎動脈狭窄症を有する頻度については,米国の報告によると,高血圧に冠動脈疾患と末梢動脈硬化性疾患を合併する場合や,高血圧に冠動脈疾患と腎不全を合併するようなハイリスク症例の40〜60%,難治性高血圧の3割程度となっていた。
■小倉記念病院循環器科の横井宏佳部長は,2007年から2年間に同院でカテーテル治療のために入院した冠動脈疾患患者1,429症例を後ろ向きに検証した。
その結果,腎動脈狭窄症有病率は5.4%だったという。
これらの適応症例が放置されると,3剤以上の降圧薬を永久的に服用,透析導入など,予後の悪化や医療コストの増大が考えられる。
■改良された専用デバイスは小径サイズのため,橈骨からの挿入で病変部へのアクセスが安全に行えるほか,柔軟性があるため腎動脈の屈曲に沿う利点がある。
■欧米の臨床試験ASPIRE-2試験(J Am Coll Cardiol 2005; 46: 776-783 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/16139124)では,従来のステント治療による急性期の手技的成功率が80%であったのに対し,腎動脈専用ステントでは98%の成功率が得られたとするGREAT試験の報告(J Vasc Interv Radiol 2005; 16: 1195-1202
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/16151060)がなされている。
■腎動脈ステントの適応については,米国心臓学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)のガイドラインで反復する心不全,突然の肺水腫がクラスI,治療抵抗性高血圧や両側性腎動脈狭窄を有する場合などがクラスIIに位置付けられている。
■日本循環器学会による「脳血管障害,腎機能障害,末梢血管障害を合併した心疾患の管理に関するガイドライン」では腎動脈狭窄症の診断が記載されている(表)。


■ステント治療を行うかどうかの確定診断は,70%以上の狭窄の有無を判定する血管造影や血行動態の詳細検査で行われるが,腎動脈狭窄の有無については,超音波で非侵襲的にスクリーニングすることができる。
■難治性高血圧や心不全を繰り返す症例,進行性に腎機能が低下する症例には,簡便に行える超音波でスクリーニングする必要がある。
#腎動脈狭窄症の重症化例はごく少数
#侵襲的介入の常用を疑問視
出典 Medical Tribune 2009.12.3
版権 メディカル・トリビューン社
■ウェイクフォレスト大学バプテスト医療センター(WFUBMC,ウィンストンセーラム)血管・血管内外科部門のRoss P. Davis博士らによると,腎動脈狭窄症患者のうち危険な閉塞状態まで進行するのはごく少数で,必ずしも全例で外科手術を必要としないこと,場合によっては血管形成術やステント術などの低侵襲手技でさえ不要であるという。
詳細はJournal of Vascular Surgery(2009; 50: 564-571. e3)に発表された。
■腎動脈狭窄症の最善の治療法に関しては現在も結論が得られていないが,現行の治療選択肢としては,薬物治療,外科的バイパス術,血管形成術,ステント術などがある。
ステント術では管状のワイヤメッシュを経皮的穿刺を通じて狭窄血管まで挿入し,バルーン膨張によりワイヤメッシュを展開して固定し,血管を内部から支持することで,血管壁の永続的な開存を維持して血流を増大させる。
■検査された863腎中178腎(20.6%)では,初回超音波検査で有意な腎動脈狭窄が検出されていた。
しかし,その後の追跡検査で,狭窄の進行が認められたのは72腎で,腎動脈の片方または両方が閉塞するまでに進展したのは18腎(約2%)のみであった。
さらに,動脈閉塞の進展が必ずしも腎機能の重篤な低下を招くわけではないこともわかった。
■腎動脈狭窄は必ずしも重度高血圧や腎機能不良に結び付くわけではないというエビデンスが増えてきている。
■況によっては,薬物治療が最適な場合もある。
薬剤での血圧管理が難しくなり,腎機能が持続的に低下するなど,病態がより深刻であるというエビデンスが存在すれば,手術かステント留置による血管形成術を考慮してもよいであろう。
#[PDF] エキスパートによる超音波診断 ~「腎領域」
http://www.rad-us.jp/kaisai/QA/21_1.pdf
治りにくい高血圧がサイン 腎動脈狭窄症に注意を
ステント治療が進歩
http://www.47news.jp/feature/medical/2009/08/post-138.html
動脈硬化性腎動脈狭窄の見落とし
http://blog.m3.com/reed/20090627/1
適用拡大が進む血管内治療 その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20090728
適用拡大が進む血管内治療 その2(2/2)
http://blog.m3.com/reed/20090729/_2_2_2_
東可児第13同盟 : ジェネシスー新しい腎動脈ステント 触りました
http://tomochans.exblog.jp/8380276/
「腎動脈用パルマッツ・ジェネシス」 ジョンソン・エンド・ジョンソン
http://www.yakuji.co.jp/entry12884.html
J&J、腎動脈狭窄症治療のための医療機器として腎動脈専用ステント「PALMAZ Genesis」を発売
http://www.mylifenote.net/009/jjpalmaz_genesis.html
治りにくい高血圧の陰に潜む「腎動脈狭窄症」治療のための医療機器
本邦初(*1)の腎動脈専用ステント 「PALMAZ® Genesis™」を新発売
http://www.jnj.co.jp/group/press/2009/0601/index.html
腎動脈狭窄症の治療
http://www.drjohnson.jp/renal/treatment.html
<番外編>
#心臓手術、センサー使い正確に オリンパス・東大
#患者の負担軽減、数年内に実用化
オリンパスと東京大学の佐久間一郎教授らは日本初の心臓手術支援システムを試作した。
内視鏡や手術器具などを付けたロボットアームを医師が遠隔操作する仕組み。
小さな穴を胸部に数カ所開けるだけでよく、センサーで心臓の動きを確認しながら正確な手術が可能。
患者の負担も大幅に減らせるという。
数年内の実用化を目指す。
狭心症や心筋梗塞の手術に使う。
通常は胸を大きく切り開き心臓を一時的に止める必要がある。
新システムなら心臓を動かしたまま最適な処置ができる。
システムはロボットアームや操作台で構成。
アームの先端部に内視鏡や鉗子、電気メスなどを装着する。
医師は数メートル離れた操作台に座り、コントローラーで器具を操って手術する。
モニターには内視鏡による患部の立体画像が映し出され、動脈のバイパス手術なども進めやすい。
出典 日経新聞・夕刊 2010.3.18
版権 日経新聞社
<関連サイト>
手術支援ロボット用いたCABG
http://blog.m3.com/reed/20080219/_CABG
<自遊時間>
2010.6.16撮影
(皮がパリっとして歯ごたえがあっておいしかったです。英名Round Greeneyes)
めひかり
http://www.geocities.jp/albatrossis/
(結構興味深い生態の魚です)
メヒカリ
http://www.nobekan.jp/local/mehi/mehi.html
いわきの物産 銘品プラザ
http://www.lalamew.jp/index.php?module=View&action=ShopMore&SID=27
その他
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。