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##ARB使用で肺がんリスク25%上昇か,乳がんなどでは認められず
##米研究者のメタアナリシス
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)を使用することでがんリスクを上昇させるというメタアナリシスの結果を,米ケースウェスタンリザーブ大学のIlke Sipahi氏らがLancet Oncology6月14日オンライン版に報告した。
特に肺がんでは新規発症リスクが25%上昇していたが,乳がんや前立腺がんなどでは有意なリスク上昇が認められなかったという。ただし,同氏らは注意を払いながらARBを使用し続けるよう求めている。
#RCT 9件,9万例を解析
Ilke氏らは,2009年11月以前にMedline,Scopus,Cochrane Central Register of Controlled Trials,Cochrane Database of Systematic Reviews,米食品医薬品局(FDA)公式サイトに掲載されたARBに関する論文を対象に,検討を行った。
対象論文は,患者100人以上のARB投与群が1つ以上あり,1年以上のフォローアップが行われたランダム化比較試験(RCT)に限定されている。
9試験9万4,570例から新規がん発症は6万1,590例分(5試験),固形がんは6万8,402例分(5試験),がん死に関しては9万3,515例分(8試験)のデータが得られた。
各試験で使用されたARBは,米国で認可されているテルミサルタン,ロサルタン,カンデサルタン,イルベサルタン,バルサルタン,オルメサルタン,eprosartanの7剤で,新規発症がんデータでは85.7%の患者にテルミサルタンが投与されていた。
その結果,新規がん発症リスクは対照群に比べARB投与群で有意(P=0.016)に上昇(ARB投与群7.2% vs 対照群6.0%,リスク比1.08,95%CI 1.01〜1.15)。
あらかじめがんをエンドポイントに設定していた試験に限定すると,リスクはさらに有意(P=0.001)に上昇した(リスク比1.11,95%CI 1.04〜1.18)。
一方,固形がんの発症リスクは新規肺がんのみがARB投与群で有意(P=0.01)に高かったが(ARB投与群0.9% vs 対照群0.7%,リスク比1.25,95%CI 1.05〜1.49),乳がんや前立腺がんなどでは有意差が認められなかった。また,がん死でも有意差が確認されていない。
#自己判断で服用中止しないで
以上のことから,Ilke氏らは「ARB使用と新規がん発症リスク上昇が,ある程度関連していることが示唆された」と結論した。
その一方で,ARBの種類と関連したがんの正確なリスクについては結論を出すことはできないとし,さらなる研究を求めている。
米クリーブランド・クリニックのSteven E. Nissen氏は,付随論評で「患者は自己判断でARBの服用を中止してはいけない。自身の症状と状況を考慮し,ARBのリスクとベネフィットについて医師と相談すべきだろう」とコメント。Ilke氏らも,注意を払いながらARBを使用し続けるようアドバイスしている。
出典 MT pro 2010.6.17
版権 メディカルトリビューン社
原文
Angiotensin-receptor blockade and risk of cancer: meta-analysis of randomised controlled trials
http://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045%2810%2970106-6/abstract#
<コメント>
非常にショッキングな記事です。
多くの先生が患者に処方し、先生方自身も服用していることの多い降圧剤でもあります。
実は私自身も服用しています。
ここで少し疑問があります。
それはどうして肺がんだけなのかということ。
そしてもう一つはACE阻害剤ではどうかということです。
どの先生も連想するのが、ACE自身は,肺の血管内皮細胞によって産生・放出される酵素であるということでしょう。
もしACE阻害剤は安全ということなら、私も早速乗り換えたいと思います。
もともと循環器専門医ならARBではなくACE阻害剤を選択すべきという話もあります。
少々の咳は気道感受性の低下予防と考えればACE阻害剤も我慢できます。
何よりも肺がんにはなりたくありませんから。
がんの種類についてはわかりませんが、糖尿病自体がん発生のリスクが高いという論文もあります。
PPAR γの活性化作用があるからといって高血圧合併の糖尿病患者にテルミサルタンを、という考えも改める必要があるかも知れません。
<番外編>
一方、こんな記事もありました。
#ACE- I やARBで乳がん再発リスク低下の可能性
■アルバートアインシュタイン医療センター(ペンシルベニア州フィラデルフィア)のYoung Kwang Chae博士らは,降圧を目的としてアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE-I)あるいはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を服用していた乳がん患者で再発率が低かったと第32回サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)で報告した。
同博士らは,両薬剤が乳がん患者の再発リスクを抑制していると結論付けている。
出典 Medical Tribune 2010.1.28
版権 メディカルトリビューン社
<自遊時間>
これからビールのおいしい季節になります。
ビール党にはうれしい夏がもうすぐです。
2010.6.16撮影
その他
ふくろう医者の診察室
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井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
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があります。