戯れ言たれる侏儒
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身長と冠動脈疾患リスク

戯れ言たれる侏儒 / 2010.06.15 07:18 / 推薦数 : 1

低身長が心血管疾患(CVD)と関連するという指摘は古くからあるそうです。
私は恥ずかしながら初耳です。
一方,それを否定する報告もあって、最終的な結論は出ていないということも知りました。

最近、「身長と冠動脈疾患リスク」を検討した論文の記事が見つかりました。
腹囲とかBMIとかのMetS関連とは異なる切り口です。
考案はどのようになっているか、興味深いところです。
身長といえば中心血圧を思い浮かべます。

中心血圧・Augmentation Indexを用いた外来診療
http://www.arterial-stiffness.com/pdf/no13/068-069.pdf

[PDF] 中心血圧・Augmentation Indexを用いた外来診療
http://www.healthcare.omron.co.jp/medical/seminar/pdf/20050319_21.pdf

論文解釈のピットフォール (1)
http://blog.m3.com/reed/20100304/1

中心収縮期血圧
http://blog.m3.com/reed/20090706/1

以下はMedical Tribune誌に掲載された記事からです。

 

フィンランドTampere大学病院のTuula A. Paajanen氏らは,このテーマに関して,さまざまな人種を含む論文のシステマチックレビューとメタ解析を行い,最も身長が低いカテゴリーでは,最も高いカテゴリーと比較して,冠動脈疾患(CHD)の発症と死亡のリスクが最大50%上昇していたと報告した(Eur Heart J6月8日オンライン版)。
また,CVDリスクの上昇は,男女ともに認められた。

 

身長が低いと冠動脈疾患のリスクが最大50%上昇
300万人のシステマチックレビュー・メタ解析
全死亡,CVD死亡のリスクも上昇

Paajanen氏らは,MEDLINE,PREMEDLINEと,All EBM Reviewsの論文,参照リスト,関連記事を検索。1,907の記事から人種,社会経済的地位がさまざまな301万2,747人を含む52研究を選び,分析した。

52研究のうち22研究でメタ解析を実施。最も身長が低いカテゴリーを最も身長が高いカテゴリーと比較した場合の統合リスク比を求めた。
両カテゴリーの平均カットオフ値は,全体では160.5cmと173.9cm,男性で165.4cmと177.5cm,女性で153.0cmと166.4cm,平均相対リスクは1.46(1.37~1.55)だった。

その結果,統合リスク比はそれぞれ,全死亡1.35(95CI 1.25~1.44),CVD死亡1.55(1.37~1.74),CHDの発症および死亡1.49(1.33~1.67),心筋梗塞の発症1.52(1.28~1.81)と,最も身長の低いカテゴリで有意なリスク上昇が認められた。
男女別で見ても,CVDの発症および死亡リスクは上昇していた。

メタ解析の対象以外の7研究からは,身長が5~10cm高くなると,全死亡またはCHDのリスクが10~15%低下し,30cm低くなるとリスクは倍増すると結論付けられた。
さらに別の6研究では,非致死的心筋梗塞とCHD同様,50%以上の冠動脈狭窄が身長と逆相関するが,冠動脈バイパス術(CABG)後30日の死亡および,手術中死亡には有意な関係がないことが報告されていた。

身長の四分位範囲によるハザード比を求めた研究や,身長の増加に応じたオッズ比を求めた研究は,それぞれ身長とCHDリスクの逆相関関係を示していた。

Paajanen氏らは,低身長とCVDとの関係は“本当らしい”と結論付けている。

なお,なぜ低身長がCHDのリスクを高めるのかについては,仮説の域を出ず,社会経済的背景による胎児期や幼児期の栄養不足を理由とする説が最も一般的であるという。
最近の研究では,冠動脈の直径が身長や体重と相関していることもわかり,冠動脈が小さいほど早い段階で閉塞しやすいという可能性も考えられるとしている。
出典 Medical Tribune 2010.6.14
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント>
「冠動脈が小さいほど早い段階で閉塞しやすい」・・・何だか冴えない考案です。
日本人でのこのテーマについての研究はあるのかということは誰もが考えることです。
至極簡単に結果を出せる筈です。

<関連サイト>
〜バイパス術後の死亡率 〜 女性が高い理由は小さい体格
■ シカゴ大学病院(シカゴ)心臓病学研究員のRon Blankstein博士らは,女性が男性よりも冠動脈バイパス術(CABG)後の死亡率が高いおもな原因は体が小さいことであると,Circulation〔2005; 112(Suppl I ): I323-I327〕に発表した。
■CABGを受けた女性の死亡率は男性の2倍であり,死亡率が大幅に高い原因は,女性のほうが一般に身体が小さいためである。
■体が小さければ冠動脈もより細いため,手術はより困難となる。
しかし,小さな身体であることや高齢,高血圧,糖尿病など手術中のアウトカムが不良となる危険因子を考慮した後でも,女性は男性よりもCABG後に死亡しやすかった。
■1999〜2000年に中西部の31病院でCABGを受けた1万5,440例(うち女性5,023例)のデータを見直した。
平均年齢は女性が66歳,男性が63歳であった。
全体では,女性の4.2%と男性の2.2%が手術中または直後に死亡した。
(女性の死亡率は男性の死亡率よりも90%高かった)
出典 Medical Tribune 2005.10.27
版権 メディカル・トリビューン社

 

<番外編>
集団内の急性心筋梗塞の発症率と転帰にみられる傾向
この大規模な地域ベースの研究では,急性心筋梗塞の発症率は 2000 年以降有意に低下し,とくに ST上昇型心筋梗塞の発症率が顕著に低下した。
致命率の低下には,ST 上昇型心筋梗塞の減少と,非 ST 上昇型心筋梗塞による死亡率の低下が寄与していた。
背 景
集団内の心筋梗塞の発症率と転帰に関する最近の傾向を明らかにした研究はほとんどない.

方 法
大規模かつ多様な地域集団において,1999~2008 年に心筋梗塞を発症して入院した 30 歳以上の患者を同定した。
年齢と性別で補正後,全心筋梗塞の発症率と,ST 上昇型心筋梗塞・非 ST 上昇型心筋梗塞で分けた発症率を算出した。
患者背景,外来での薬物療法,入院中の心臓バイオマーカー値は健康保険データベースから同定し,30 日死亡率は行政データベース,州の死亡データ,社会保障庁(Social Security Administration)のファイルを用いて確認した。

結 果
1999~2008 年の 18,691,131 人年の追跡期間において,心筋梗塞による入院 46,086 件を同定した。
年齢と性別で補正した心筋梗塞の発症率は,1999 年の 100,000 人年あたり 274 例から,2000 年は 100,000 人年あたり 287 例へと上昇した。
その後は年々低下し,2008 年には 100,000 人年あたり 208 例となり,研究期間を通じて 24%の相対的低下がみられた。
年齢と性別で補正した ST 上昇型心筋梗塞の発症率は,研究期間を通じて低下した(1999 年の 100,000 人年あたり 133 例から 2008 年の 100,000 人年あたり 50 例へ,線形傾向について P<0.001)。
30 日死亡率は,2008 年のほうが 1999 年より有意に低かった(補正オッズ比 0.76,95%信頼区間 0.65~0.89)。

結 論
大規模な地域集団内で,心筋梗塞の発症率は 2000 年以降有意に低下し,ST 上昇型心筋梗塞の発症率は 1999 年以降顕著に低下した。
心筋梗塞による短期致命率の低下には,ST 上昇型心筋梗塞の発症率の低下と,非 ST 上昇型心筋梗塞後の死亡率の低下が一部寄与しているものと考えられる.
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/362/362jun/xf362-23-2155.htm
原文
Population Trends in the Incidence and Outcomes of Acute Myocardial Infarction
N Engl J Med 2010; 362 : 2155 - 65
http://content.nejm.org/cgi/content/short/362/23/2155

 


<番外編>
抗血小板薬への反応不良はCYP2C19*2遺伝子多型の存在だけでは説明できない
抗血小板薬への反応は明らかにCYP2C19*2遺伝子多型と関連するが、他の臨床因子を考慮したとしても、反応不良例の大部分は本遺伝子の存在では説明不可能であるとの研究論文が、「Journal of the American College of Cardiology」6月1日号に掲載された。

ドイツ、心臓センター(Herz-Zentrum) Bad KrozingenのWillibald Hochholzer氏らは、クロピドグレル負荷量投与後に冠動脈ステント留置を受けた患者760人について検討した。
光学式凝集測定法によって退院前の残留血小板凝集を測定するとともに、回帰分析を用いて、クロピドグレルへの抗血小板反応不良に関するCYP2C19*2遺伝子多型の存在およびベースライン臨床変量の予測値を評価した。

その結果、CYP2C19*2保因は、クロピドグレルへの抗血小板反応不良に関して独立した予測因子であった(オッズ比 [OR]、2.74)。
反応不良に関する他の予測因子は、糖尿病(OR、1.75)、BMI(OR、1.06)、年齢(OR、1.03)であった。
しかし、これらすべての変量を含めた回帰モデルによって説明可能であったのは、抗血小板反応例の11.5%に過ぎず、CYP2C19*2保因によって説明可能であったのは抗血小板反応のわずか5.2%であった。

著者らは「本データから、クロピドグレルの抗血小板効果に対するCYP2C19機能喪失遺伝子多型の強い影響が確認されたが、血小板機能検査を行わずに臨床判断を下す場合、CYP2C19遺伝子型解析だけは不十分であることが示唆される。
臨床変量を追加しても、上記欠点を完全に補正することは不可能であった。
したがって、適切な血小板阻害に大きく依存する患者に関して、本研究結果は、遺伝子型解析単独または臨床因子との組み合わせが血小板機能の表現型検査に取って代わるものではないことを示唆する」と述べている。
HealthDay News 5月25日
Abstract
Impact of Cytochrome P450 2C19 Loss-of-Function Polymorphism and of Major Demographic Characteristics on Residual Platelet Function After Loading and Maintenance Treatment With Clopidogrel in Patients Undergoing Elective Coronary Stent Placement
J Am Coll Cardiol, 2010; 55:2427-243
http://content.onlinejacc.org/cgi/content/abstract/55/22/2427

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