戯れ言たれる侏儒
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DES留置後、クロピドグレルとアスピリンの併用はいつまで継続すればよいのか、というのは意外とはっきりしたデータはないようです。
この疑問を検討した論文(NEJM誌2010年4月15日号)が最近発表されました。

韓国ウルサン大学のSeung-Jung Park氏らは、12カ月を超えてこれら2剤を併用した場合と、アスピリン単剤に切り替えた場合とで臨床転帰を比較する無作為化試験を実施。

主旨は
12カ月を超えるクロピドグレルの投与継続は利益をもたらさないこと、逆に心血管複合イベントのリスクを高める可能性がある
というものです。

「心血管複合イベントのリスクを高める可能性がある」ということですのでセンセーションを巻き起こしそうです。

 

ステント留置後のクロピド・アスピリン併用、1年超えると利益なし
ステント留置後、早い段階でクロピドグレルとアスピリンの2剤併用を中止すると、遅発性ステント血栓症リスクが高まる。
そのため、現行のガイドラインは、出血リスクが高くない患者には、少なくとも12カ月間2剤併用を継続するよう勧めている。
しかし、12カ月を超えて併用を継続した場合の利益とリスクは明らかになっていない。
観察研究では一貫した結果が得られておらず、この問題について調べた無作為化試験はなかった。

そこで著者らは、12カ月を超えて2剤併用を継続した場合の転帰をアスピリンの単剤投与に切り替えた場合と比較する研究を実施した。

対象は、2件の臨床試験に登録され、DESの留置を受けて追跡されていた患者から選んだ。
これらの試験は、韓国の22カ所の医療施設で同時進行していたもので、設計は同様で、対象とする患者が若干異なっていた(1件は別の無作為化試験に登録された患者の中から選出、もう1件は実際の臨床現場に近い広範な患者を登録)。

著者らは、これら試験の登録患者の中から、2剤併用を継続しており、主要な心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、血行再建術再施行)と大出血なしに12カ月以上経過していた患者、計2701人(平均年齢62歳、30%が女性)を登録。
無作為にクロピドグレル(75mg/日)+低用量アスピリン(100mgまたは200mg/日)の併用群(1357人)、またはアスピリンのみの単剤群(1344人)に割り付けた。
割り付け時点で、ステント留置から12〜18カ月経過していた患者が全体の約90%を占めた。

主要エンドポイントは、心筋梗塞または心臓死を合わせた複合イベントに設定した。

割り付けからの追跡期間の中央値は19.2カ月、ステント留置からは33.2カ月だった。
追跡期間中の死亡は33人で、うち心臓死は21人。
急性心筋梗塞は17人、脳卒中は13人、ステント血栓症は9人に発生した。
血行再建術再施行を経験したのは62人、大出血は4人に見られた。出血による死亡はなかった。

2年の時点の複合イベント発生率を、カプランマイヤー法により推定した。
2剤併用群は1.8%、アスピリン単剤群は1.2%で、ハザード比は1.65(95%信頼区間0.80-3.36、p=0.17)と有意差がなかった。

さらに、心筋梗塞、脳卒中、ステント血栓症、血行再建術再施行、大出血、全死因死亡のリスクを個々に比較したが、すべてについて両群間に差なしという結果になった。

ただし、心筋梗塞、脳卒中、全死因死亡を合わせたイベント発生率は、2剤併用群で高い傾向が見られた(ハザード比1.73、0.99-3.00、p=0.05)。
心筋梗塞、脳卒中、心臓死を合わせたイベント発生率についても同様だった(ハザード比1.84、0.99-3.45、p=0.06)。

以上より、12カ月を超えて2剤併用を継続しても、アスピリン単剤に比べ心筋梗塞または心臓死のリスクは低下せず、逆に複合イベント発生リスクが上昇する傾向が見られた。
著者らは、より大規模かつ長期にわたる無作為化試験を行ってこの結果を確認する必要がある、と述べている。

出典  NM online 2010.5.7
版権 日経BP社

 


<コメント>
以前、日本人と韓国人はルーツが異なるという話を聞いたことがあります。
しかし、東アジア人という観点からは、欧米のデータよりも参考になるかも知れません。
NEJM誌に掲載されたわけですから統計処理もしっかりしているはずです。

ここで知りたいことがあります。
○アスピリンではなくクロピドグレルの単剤投与に切り替えた場合はどうか。
○デザインでは無理ですが、12カ月だけでなく6カ月、24カ月(2年)などのデータもみたいところです。
○割り付け時点で、ステント留置から12〜18カ月経過していた患者が全体の約90%を占めた(割り付けからの追跡期間の中央値は19.2カ月、ステント留置からは33.2カ月)・・・これでいいんでしょうか。大いに疑問です。これではステント留置の際に抗血小板を使用し留置後12か月後の状態を観察したということではないことになります。
○対象は、2件の臨床試験に登録され、DESの留置を受けて追跡されていた患者から選んだ・・・このあたりはちょっとわかりづらい。
○フェーズ3 PLATO試験のサブ解析結果からはクロピドグレルよりticagrelorの方が安全性と有効性が高いことが示されました。
「クロピドグレル+アスピリン」を「ticagrelor+アスピリン」に変えたデザインではどのような結果になるのでしょうか。
○低用量アスピリン(100mgまたは200mg/日)・・・200mg/日?

 

 

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