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リンチェピング大学(スウェーデン・リンチェピング)のFredrik H. Nystrom博士らが、JAMA(2010; 303: 1167-1172)に発表した内容を紹介した記事で勉強しました。
急性胸痛で入院した患者の入院時血圧と1年後の死亡リスクを検討したものです。
こういった実地診療に直結したテーマの研究は、日本ではなかなか出ません。
「急性胸痛による集中治療室(ICU)収容時の仰臥位収縮期血圧(SBP)と1年後の死亡リスクは逆相関しており,SBP高値の患者では1年予後が良好である」という結論です。
~急性胸痛患者~ 入院時血圧と1年後の死亡リスクが逆相関
128mmHg未満ではリスク上昇
安静時高血圧は,心血管危険因子のなかで最も研究が進み確立されている因子の1つであるが,急性胸痛のような急性のストレス下での血圧とその後の死亡リスクとの関連はほとんど解明されていない。
Nystrom博士らは,1997~2007年に胸痛でICUに収容された患者の死亡率を,収容時の仰臥位SBPとの関連で解析した。
解析では,スウェーデンの全病院を含む患者登録から11万9,151例のデータを抽出し,SBPによる四分位(第1四分位:128mmHg未満,第2四分位:128~144mmHg,第3四分位:145~162mmHg,第4四分位:163mmHg以上)を用いて分類した。平均追跡期間は2.5年であった。
各種交絡因子で調整した1年後の死亡率は第1四分位群で最も高く,逆に第4四分位群は最も予後良好であった。
調整後,第4四分位群と第3四分位群では,第2四分位群と比べ,1年以内の死亡の絶対リスクがそれぞれ21.7%,15.2%低かったが,第1四分位群では40.3%高かった。
同博士は「急性胸痛患者の仰臥位SBP高値は,1年後の良好な予後と相関していた。胸痛で内科系ICUに収容された患者では,収容時の仰臥位SBPと1年死亡率との間に逆相関が認められた。同じことが虚血性心疾患と診断された患者や,将来の心筋梗塞発症リスクが高い患者にも当てはまる」と結論付けている。
出典 Medical Tribune 2010.5.20
版権 メディカルトリビューン社
<コメント>
「急性胸痛」の定義がはっきりしません。
ACS、GERD、大動脈解離、肺梗塞、緊張性気胸,食道破裂、心膜炎,心筋炎、さらには肺炎,膵炎、胆道疾患、帯状疱疹など実に様々な原因疾患があります。
「急性胸痛」というくくりでザックリまとめられても俄に信じることの出来ない論文です。
たとえば、狭心症や心筋梗塞の場合、低心拍出状態(LOS)で血圧が上がらない場合には予後が悪いということなら理解出来ます。
<番外編>
AMIに対するPCI後のno-reflowの予後への影響
ST上昇型MI患者におけるプライマリーPCI後のno-reflowは、5年の死亡率の強力な独立予測因子であることが、ドイツ、Technische UniversitätのGjin Ndrepepa氏らにより、5月25日号のJournal of the American College of Cardiology誌で報告された。
Ndrepepa氏らは、プライマリーPCIを受けたST上昇型MI患者1,406人を対象とし、治療後のno-reflowと5年追跡での死亡率の関連性を評価した。
造影上no-reflowは410人(29%)で確認され、左室の梗塞サイズはno-reflowを起こした患者では15.0%(6.0%-29.0%)、re-flowが確認できた群では8.0%(2.0%-21.0%)であった(p<0.001)。
追跡期間中132人の死亡が確認され、うち59例はno-reflow、73例はre-flowが確認された患者であり、カプランマイヤーによる5年死亡率は、それぞれ18.2%と9.5%であった(OR 2.02 [95%CI 1.44-2.82] p<0.001)。
梗塞サイズとその他の変数を補整したCox比例ハザードモデルで、no-reflowは5年死亡率の独立関連因子として示された(HR 1.66 [95%CI 1.17-2.36] p=0.004)。
Ndrepepa氏らは、「プライマリーPCIにより治療されたST上昇型MI患者において、no-reflowは5年の死亡率の強力な予測因子であり、梗塞サイズとは独立し、梗塞サイズよりも予後に対する影響が強いことが示された」と、まとめている。
Ndrepepa G, et al. J Am Coll Cardiol. 2010; 55: 2383-2389 https://www.tcross.co.jp/details.php?category=medical&no=665