戯れ言たれる侏儒
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DOSE試験

戯れ言たれる侏儒 / 2010.05.09 00:49 / 推薦数 : 2

ループ利尿薬は,急性非代償性心不全(ADHF,Acute Decompensated Heart Failure)に対して最も一般的に使用されている薬剤です。
しかし,その投与法や用量については,観察研究や体系的後ろ向き解析から高用量投与が腎機能の悪化や心不全の進行,死亡リスク増大につながること,持続投与は間欠的投与より優れることが示唆されている程度で,前向き研究による評価は皆無でした。

米国心臓病学会(ACC 2010)/米国心血管造影インターベンション学会(SCAI)合同学術集会(ACC 2010 & i2 Summit)で,米国立心肺血液研究所(NHLBI)のMichael Felker氏らは,ADHFに対するループ利尿薬投与方法について検討すた結果を発表しました(DOSE研究)。

その結果は,経口利尿薬の高用量投与,持続静注(IV)による有意な有効性は見出されず,必要な場合は腎機能の厳格なモニタリングが重要であるというものでした。

きょうは、その記事で勉強しました。

##急性心不全に対する利尿薬,高用量持続投与の明らかな効果は認めず
#持続IV,高用量経口投与でクレアチニン値が増加傾向
■対象は,心不全の既往があり80~240mg/日のフロセミドが投与されており,症状または徴候が認められるADHF症例で,2×2ファクトリアルデザインによりIVと間欠的IV(12時間ごと)の比較,通常用量とその2.5倍の高用量の比較を行った。
(コメント:投与法と投与量を検討)

■解析対象は308例で,平均年齢66歳,男性7割,平均左室駆出率35%,AFまたは心房粗動を有する症例が半数を占めた。
登録時の平均フロセミド用量は130mg/日。β遮断薬は8割超,レニンアンジオテンシン系抑制薬が65%程度に投与されていた。

■1次エンドポイントはベースラインから72時間後のクレアチニン変化量とVisual Analogue Scale曲線下面積(VAS AUC)。
クレアチニンの変化量は全群とも増加しており,この傾向は持続IV,高用量投与群で強かったが有意差はなかった。
VAS AUCは持続IV,間欠IVで差がなく,高用量投与群では低用量投与群より大きい傾向にあった。
2次エンドポイントの各種項目については,持続IVと間欠IVですべての項目で有意差はなかったが,72時間後の0.3mg/dL超のクレアチニン増加や総容積量低下,体重低下は高用量投与群が低用量投与群よりも有意に低かった。

■Felker氏は,今回の試験が第II相試験であり,臨床転帰の差を評価するには限りがある点や,48時間後の状態によっては治療の変更が可能である点を挙げ,この試験だけでは結論付けられないとした。
しかし,今回の結果から,高用量利尿薬の投与が求められる場合は,腎機能の慎重な観察が推奨されるとまとめた。

出典 Medical Tribune 2010.4.15
版権 メディカル・トリビューン

<コメント>
勤務医の時代ははるか遠い昔の話となってしまいました。
またまた個人的な話で恐縮ですが、私が医師としてのスタートを切って数年後に、心不全の治療は血管拡張療法、SGカテーテルによるForresterサブセットの評価での治療(利尿剤、血管拡張剤、強心剤としてのジギタリス)が大流行(?)しました。
今はどうなっているんでしょうか?

以下は他の「DOSE試験」に関する記事です。
■高用量群は、72時間で全体的な症状をより解消する傾向が観察されたが、有意差はなく、体液量過剰に対しても体重の減少から、高用量群で良好である傾向が見られたが、ベースラインから72時間の血清クレアチニン値の変化による腎機能の有意な低下とは関連していなかった(高用量群0.08mg/dL vs 低用量群0.04mg/dL: p=0.21)。

■また、12時間おきの投与群と持続投与群では全体的な症状の解消、及び血清クレアチニン値の変化(持続投与群 0.07mg/dL vs 12時間おきの投与群0.05mg/dL: p=0.45)に違いは確認されなかった。
https://www.tcross.co.jp/details.php?category=acc100316&no=563
(ログインが必要です)

心不全の代償機構
http://akimichi.homeunix.net/~emile/aki/html/medical/circulatory/node68.html
鬱血性心不全 congestive heart failure,C
http://akimichi.homeunix.net/~emile/aki/html/medical/circulatory/node67.html
心不全 heart failure
http://xakimich.hp.infoseek.co.jp/circulatory/node6.html

<関連サイト>
うっ血性心不全の腎機能悪化と静脈うっ血
http://blog.m3.com/reed/20090327/1
■重度非代償性心不全の人に起こる腎機能の悪化は、心拍出量よりも、静脈うっ血が関与していることが判明した。
(以下は監修者のコメント)
■本研究は、これまでの概念とは異なる視点より臨床病態をとらえた点に、高い新規性がある。
■これまでは、心拍出量の低下が、こうした患者の腎機能悪化の主な原因であると考えられていた。
本研究の仮説は、心不全による中心静脈圧の上昇により、腎静脈うっ滞により、腎機能障害が進行するというものである。
入院時に心係数が低下しており、治療によりそれが改善しても、腎機能の改善にはつながらなかったことから、腎機能の悪化には腎臓低灌流よりも、静脈うっ滞の方がより重要としている。 
■心エコーで下大静脈の拡張や呼吸性変動の消失などの所見を確認して、その病態に静脈うっ滞が実際に関与しているかどうかを確かめてみたい。
<私のコメント>
この研究はあくまでもhemodynamicな面からの検討です。neurohumonalな検討はされていません。
昨年から卒後研修をしている我が子が久しぶりに我が家に帰って来ました。
研修先の病院は症例の宝庫のようでいろんな話を聞くことが出来て私も勉強になります。
心不全や脱水のチェックに頸動脈や大静脈のチェックをルーチンにするということで感心しましたが、私の研修医時代とは隔世の感があります。
若い先生方には恥さらしの話になってしまいますが、私の研修医の頃は肘静脈に太い注射針を刺してガラス管で末梢(!)静脈圧を測ったものです。
恥ずかしくて子どもには話せませんでした。

その他

「葦の髄」メモ帖 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
ふくろう医者の診察室 
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)
2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
 井蛙内科/開業医診療録(3)
~2009.10.15
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井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
があります。
 


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