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#心筋梗塞の入院患者の特徴と予後はこの20年でどのように変わったか?
1987~2006年の20年間における心筋梗塞の疫学は、判定基準におけるトロポニン重視への転換(2000年)の前後でさほど大きな変化はないことが、米国メイヨークリニック循環器内科のVeronique L. Roger氏らによる地域住民研究で示された。
現在でも非ST上昇心筋梗塞が多くを占め、30日死亡率は著明に改善されたものの長期生存率に変化はなく、主な死因が心血管疾患から非心血管疾患に転換したという。
#1987~2006年に心筋梗塞で入院した2,816例を対象に地域住民研究
2000年、欧州心臓病学会(ESC)と米国心臓病学会(ACC)は、心筋梗塞の生化学マーカーとして従来のクレアチンキナーゼ(CK)やクレアチンキナーゼMB分画(CK-MB)よりもトロポニンを重視するよう勧告を行った。
トロポニンの方が感受性が高く、より小さな心筋壊死を検出可能なため、病態の臨床的な重症化を抑制できると期待されている。この判定基準の変更が、心筋梗塞の発症状況や予後に及ぼす影響は明らかにされていない。
研究グループは米国ミネソタ州オルムステッド郡において、1987~2006年までに心筋梗塞で入院した2,816例を対象に地域住民研究を実施した。
2000年8月以降は、プロスペクティブにトロポニンおよびCK-MBの測定を行い、心筋梗塞の発症率、重症度、生存率について検討した。
おもな結果は以下のとおり。
●トロポニンに基づく判定基準のみを満たす症例を含めると、1987~2006年の間で心筋梗塞の発症率に変化は見られなかった。
●CK/CK-MBで判定された症例に限定すると、心筋梗塞発症率は20年間で20%減少した。
●非ST上昇心筋梗塞の発症率はトロポニンで判定すると著明に増加したのに対し、ST上昇心筋梗塞の発症率はトロポニンとは無関係に減少した。
●心筋梗塞による30日以内の死亡は、1987年に比べ2006年には56%低減した(年齢、性別で補正済みのハザード比:0.44、95%信頼区間:0.30~0.64)。
●トロポニン重視に転換しても、30日生存例の生存率は改善されなかったが、死因は心血管疾患から非心血管疾患に転換した(p=0.001)。
●30日生存例の長期的な生存率は、トロポニンとは関わりなく、20年間で変化しなかった。
[監修者 自治医科大学 循環器科 苅尾七臣教授のコメント]
本研究は、CPKからトロポニン重視のガイドラインが発表された2000年を含む、この20年間の心筋梗塞とその特徴の変遷を示した。
これまでのCK・CK-MBで診断した心筋梗塞の発症はこの20年間で20%減少してきている。
特に、重症MIが減少しているのが特徴である。
とくに、ST上昇型MIの減少が大きく、この変化はトロポニンを診断基準に加えても影響がない。
一方、非ST上昇型MIは、より微小な心筋障害を特異的に検出するトロポニンを診断に加えることにより急増した。
また、予後に関しては、短期予後の改善は著しく、30日死亡は約50%減少した。
一方、長期予後に改善はみられず、長期予後を規定する原疾患が心血管疾患から、それ以外の疾患へ変遷した。
ST上昇型MIの治療方針は明確で、「Time is muscle」といわれるように、発症からいかに早くカテーテルインターベンションえるかが勝負である。
一方、本研究でも示されたように、今後の心筋梗塞の主体を占めるトロポニンの増加で診断した非ST上昇型MIのリスク層別化と治療戦略をより明確にされる必要がある。
出典 Care Net.com 2010.2.26
版権 ケアネット
<番外編>
#カルシウム増感剤が効果 拡張型心筋症、マウス実験
心筋の収縮力が弱まって広がり心不全を引き起こす拡張型心筋症のモデルマウスに、収縮力を高めるカルシウムへの感度を上げる「増感剤」という薬を投与し、症状抑制や延命効果を確認したとの研究結果を東京医科歯科大や九州大などが30日、米学会誌電子版に発表した。
東京医科歯科大の木村彰方(きむら・あきのり)教授によると、従来の増感剤は心筋細胞内のカルシウム量が増えて不整脈などの副作用があり、長期的には症状が改善しなかった。
今回はカルシウムが増える成分を除いた薬を使った。
拡張型心筋症は心臓移植が必要になる場合もある。
木村教授は「カルシウムに対する感度を上げるだけで、副作用
もなく効果が得られた。拡張型心筋症の治療や発症予防に使える新薬開発につなげたい」と話している。
遺伝子操作で拡張型心筋症を発症するようにしたマウス約120匹のうち半数に、生まれて4カ月後から薬を投与。
すると投与しない雌は9.8カ月後、雄は7.9カ月後に半数が死んだが、投与した雌は1.3カ月、雄は0.8カ月生存期間が長かった。
雌を生後8カ月時点で解剖すると、薬を投与しないと心臓が肥大していたが、投与したものは正常に近い状態だった。
※学会誌はJACC
出典 共同通信社 2010.3.30
版権 共同通信社
<ヒヤリハット 2010.4.23>
症例
5○歳、男性
主訴
咳・咽頭痛
臨床経過
4/10
1週間前から咳と咽頭痛があるということで来院。
理学所見
咽頭 発赤なし
胸部 心雑音 なし
背部で呼気時にsnoring聴取
血圧 測定せず!
治療
1週間前からの咳ということでマイコプラズマ肺炎(感染症)の可能性を考えてCAM、聴診所見よりBA合併を考えてシングレア処方。
Rp
クラリス(200)2T
ロキソニン3T
ムコスタ3T
メジコン3T
4/15
夜間に息苦しくなるということで再来院。
胸部Xp CTR56%、軽度の肺うっ血?
間質肺炎の所見なし
(crepitantも聴取せず)
SPO2 96% PR105/分
血液検査施行
4/16
昨夜発熱したということで来院。
呼吸困難はなかったとのこと。
来院時 38.2℃。
マイコプラズマ肺炎を否定するためにイムノカードマイコプラズマ施行→陽性。
検査結果で白血球増多と核左方移動がみられたためCTRX1.0g点滴とジスロマック(250)2T経口を併用。
4/19
食欲不振、嘔吐および呼吸困難で前夜2時間ほどしか寝れないということで来院
来院時体温34.9℃(低体温!)
SPO2 測定不可。
血圧 100/72mmHg.
心電図 未施行
入院の適応と判断されたため、近くの大学病院呼吸器科の旧知の教授宛に紹介状を書いた。
ちなみに4/15の検査成績は
AST21, ALT43, LDH239, WBC12300, CRP4.79
数日後返書が届いて驚天動地。
AST4458, ALT3711, LDH7585, WBC上昇とのみ記載, CRP8.81
CK1785
コメントには
「CTR↑が気になったのでCTとBNPを施行。
右優位の胸水、BNP597.5。
うっ血肝を疑い循環器内科に転科となりました。」
と書かれていました。
いずれ結論は出るとは思いますが、一体この症例はどう考えればいいのでしょうか。
○マイコプラズマ肺炎に伴う心筋炎?
○薬剤性肝障害?(可能性としてはロセフィン、ジスロマック)
○両心不全というよりは右心不全優位(肝うっ血だけでは説明のつかない肝障害。むしろショックかなにかの時のcentral necrosisに近いか?)
○BNP上昇の原因は?
○心電図所見は?
○H-FABP、TnTは?
いずれにしろ、患者さんの容態が心配です。
きょうの「葦の髄」
アスピリン
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葦の髄(このブログのイラスト版です)
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井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
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があります。