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米国 女性のCVDリスクの認識に人種間格差
AHAによる3年ごとの追跡調査で明らかに
■ニューヨーク長老派教会病院(ニューヨーク)予防心臓病学のLori Mosca部長らは,女性における心血管疾患(CVD)リスクや心臓の健康に関する認識の程度には人種間格差があるとの研究結果をCirculation: Cardiovascular Quality and Outcomes(2010; 3: 120-127)に発表した。
この調査研究では,心筋梗塞の発症時に911(日本の119に相当)に通報する女性は半数にとどまることなどが示され,心筋梗塞の徴候に関して女性への周知徹底が求められると指摘している。
マイノリティーで認識度が低い
この3年に1回の追跡調査研究は,米国心臓協会(AHA)の委託を受けて1997年から実施されている。
筆頭研究者のMosca部長らの研究グループは今回,2009年の調査研究で,25歳以上の米国人女性2,300人を対象に,CVDリスクの認識度や予防に対する障壁について聞き取り調査を行った(電話調査1,142人,オンライン調査1,158人)。
電話調査については調査が行われた日付をもとに,前回までの調査と比較し,初回調査の1997年からの傾向を評価・分析した。
2009年のオンライン調査では,今後の調査のベースラインデータを取得するために,介護や予防行為,健康的な行動を取る際の問題などに関する質問を追加した。
その結果,電話調査の回答者のうち,CVDが女性における死因の第1位であることを理解していたのは,1997年時の30%に対して,今回の調査では54%であった。
人種ごとの回答を分析したところ,白人女性では60%が,CVDは女性の死因の第1位であることを承知していたが,アフリカ系女性では43%,ヒスパニック系女性では44%,アジア系女性では34%にとどまることが示された。
また,25~34歳の女性では,半数が認識していなかった。
さらに,女性の大多数はCVDを予防するためのエビデンスに基づく予防療法の知識がないことも明らかになった。
同グループは「これらの結果から,CVDによる死亡や障害を回避するためには,CVD予防に関する教育が不可欠であることがわかった」と指摘している。
同部長は「AHAは,2020年までにCVDや脳卒中による死亡を20%低減し,すべての米国人における心血管の健康を20%向上させるとする『戦略的目標2020』を発表している。
しかし,まずは若年女性に対して,心筋梗塞の徴候や症状が見られたときには直ちに911に通報することの重要性などを教育し,マイノリティーの若年女性の認識を高めなければ,これらの目標を達成することはほぼ不可能であろう」と指摘している。
エビデンスに基づく予防啓発が急務
そのほかに明らかになった研究結果は,以下の通り。
(1)1997年以降,CVDが女性における死因の第1位であることの認識に関して,マイノリティーの女性と白人女性間の格差は縮小されつつある。
認識度は白人女性とヒスパニック系女性ではおよそ2倍に,アフリカ系女性では3倍になった
(2)心筋梗塞の警告徴候に関する知識は,1997年以降,改善が認められなかった。
警告徴候として,胸痛や首,肩,腕の痛みを挙げた回答者は54%,息切れ29%,胸苦しさ17%,悪心15%,疲労7%であった
(3)心筋梗塞の症状を自覚したときに911に通報すると回答したのは,全体の53%にとどまった
(4)回答者の多くが,CVDの予防療法としてエビデンスのない療法を挙げた。
予防療法として,69%が複合ビタミン剤,70%が抗酸化物質,58%が特別なビタミン剤を挙げ,アロマセラピーを挙げた回答者も29%いた
(5)オンライン調査の回答者のうち,予防行動を妨げる要因としておもに挙げられたのは「家族あるいは保護者としての責任」(51%),「紛らわしいメディア報道」(42%)などであった
(6)オンライン調査の回答者が考える,健康的なライフスタイルを推進するのに役立つ地域社会での改革は「健康的な食品へのアクセス」(91%),「公共のレクリエーション施設」(80%),「レストランでの栄養情報の明示」(79%)などが挙げられた
AHAと米国脳卒中協会(ASA)が推進する,女性のCVDや脳卒中に対する意識を高めるために赤いものを身に付けることを勧める“Go Red For Women”運動のスポークスパーソンでもあるMosca部長は「今回の調査結果から,女性に対してエビデンスに基づいた予防メッセージを組み入れた啓発・教育キャンペーンを継続していく必要性が明らかになった」とし,「国を挙げて行うキャンペーンでは,女性が入手している矛盾した雑多な情報を取りまとめ,どのように心疾患を予防できるのかという具体策を伝えることが重要である。
抗酸化ビタミン剤については,女性で心疾患の予防効果がないことが近年の研究から明らかとなっているにもかかわらず,調査に参加した女性の大多数は,効果があるものと認識していた」と指摘している。
最新の調査では,マイノリティーに関してはオーバーサンプリング手法を用いて横断的にサンプルを集めており,またCVDリスクに関する認識が高まっていることから,研究グループでは今回のデータが効果的な介入法を考えるうえで最高のシナリオを提供するとしている。
3年ごとに実施しているこの追跡調査は,“Go Red For Women”運動を支援する米国の百貨店チェーンMacy'sが設立した「Macy's Go Red For Women多文化基金」とAHAの助成を受けた。
調査はHarris Interactive社(ニューヨーク)が請け負った。
出典 Medical Tribune 2010.4.8
版権 メディカルトリビューン社
<コメント>
これも一種の性差医療というわけなんでしょうが、男性との比較もなくいきなり女性だけの研究というのもどうかと思いました。
人種もからめた話なので、より理解しにくくなっているようです。
問題は人種なのか生活水準や教育レベルなのか。
マイノリティーという表現自体にすでに偏見や先入観が入り込んでいるような気がします。
在米日本人はもちろんマイノリティーなのでしょうが。
<自遊時間>
先週の土曜日にARBの中でも第二世代の薬剤としてのテルミサルタンとイルベサルタンはメタボサルタンであるという講演を聴きに行きました。
先生方には演者の先生も大体想像がつくことと思います。
懇親会で少し演者の先生とお話をする機会がありました。
質問したのは2つです。
1つはメタボサルタンがPPARγ活性化を介してHGFを増加させ、その結果、心筋の繊維化を改善するという話に関して、fibrosisはreversibleかという質問。
返答はreversibleであるという返事でした。
私は繊維化抑制と理解していたのですが、はたして「改善」は本当なのでしょうか。
もう1つは、ARBはATⅡを増加させるはずだが、その問題はどうかという質問に対して、イルベサルタンはほぼ100%AT受容体のレベルでATⅡをブロックするから問題ないという返答。
AT2受容体への影響などの話はなしでいささか乱暴な答えのような気がしたんですが。
<関連ブログ>
葦の髄「メタボサルタン」
http://yaplog.jp/hurst/archive/8
他にもブログがあります。
葦の髄http://yaplog.jp/hurst/
(「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版です)
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(4)http://wellfrog4.exblog.jp/
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