戯れ言たれる侏儒
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Doctors Blog

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きょうから、このブログの図表を補うためのブログを作りました。

葦の髄
http://yaplog.jp/hurst/

よろしくお願いします。

さて、ごく最近「メタボサルタン」というタイトルがつけられた「イルベサルタン」の講演を聴く機会がありました。
テルミサルタン、イルベサルタンを第二世代のARBと位置づけし、PPAR-γの増加作用を強調したものでした。

もうひとつ興味深かったのは、第二世代のARBが(スタチンと同様に)フィブラートの代わりに使用出来るかも知れないという提言(?)です。

スタチンを使用中の脂肪肝やNASH,NAFLDの患者では(肝障害ゆえに)フィブラート系薬剤の併用が出来ない。
そういう症例にスタチン+ARBという選択肢があるというものです。
些かこじつけ的な話だなあという印象を持って聴きました。
(スポンサーはイルベタンの「シオノギ」)

さてMetsの根幹ともいえる脂肪肝への移行を防ぐためにフィブラートがクローズアップされているような印象も受けます。

きょうはそのフィブラートで勉強しました。

北里研究所病院糖尿病センターの山田 悟先生の「ACCORD脂質試験」がらみの記事です。

##フィブラート薬は選択された集団を対象に投与すればメリットがある?
ACCORD脂質試験から
#研究の背景:糖尿病の大血管合併症予防,フィブラート薬の効果は?
■糖尿病患者に限らず脂質管理に関しては,スタチンによる大血管障害の予防についてはさまざまな試験で有効性が立証されてきたが,フィブラート薬による予防効果の意義は十分に確立されていなかった。
その立証を図ったのがACCORD脂質試験である。

#研究のポイント1: 2型糖尿病患者を対象にフィブラート薬の投与意義を検討するRCT
■ACCORD脂質試験では,スタチン単独投与に比較してスタチン・フィブラート薬併用により糖尿病患者の大血管障害が予防できるかどうかが検証された(表1,2)。

#研究のポイント2:シンバスタチンへのフィブラート薬の上乗せで心血管イベント抑制にメリットなし
■脂質試験の対象となった5,518例は,ACCORD試験参加者のうち,LDLコレステロール(LDL-C)が60~180mg/dLで,HDLコレステロール(HDL-C)が55mg/dL未満(女性および黒人)もしくは50mg/dL未満(それ以外)であり,トリグリセライド(TG)が750mg/dL未満(脂質降下薬の内服がない場合)もしくは400mg/dL未満(脂質降下薬の内服がある場合)という選択項目により脂質試験の対象とされた。

■平均年齢62.3歳,女性30.7%,白人68.4%,黒人15.1%,心血管疾患の既往者36.5%,平均BMI 32.3,平均血圧133.9/74.0mmHg,平均HbA1C 8.3%,平均LDL-C 100.6mg/dL,平均HDL-C 38.1mg/dL,TG中央値162mg/dLという集団であった。

■シンバスタチン単独群でもフェノフィブラート併用群でも,ランダム化時にオープンラベルのシンバスタチン(40mg/日以下)投与を開始し,その1か月後にプラセボもしくはフェノフィブラート投与が開始された。フェノフィブラートは160mg/日で開始されたが,クレアチニンの上昇を来す例があったため,その後,推算糸球体濾過量(eGFR)により調整された。
主要エンドポイントは血圧試験と同じく複合心血管イベントであり,非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中,心血管死がカウントされた。

■平均観察期間4.7年の試験終了の時点で,スタチン単独群ではLDL-Cが101.1mg/dLから80.0mg/dLに,フェノフィブラート併用群でも100.0mg/dLから81.1mg/dLに低下しており,両群に差異はなかった。
HDL-Cについても38.2mg/dLから40.5mg/dL(スタチン単独群),もしくは38.0mg/dLから41.2mg/dL(フェノフィブラート併用群)に両群とも上昇していたが,フェノフィブラート併用群のほうがHDL-Cが有意に高かった。
また,TGについても中央値が186.2mg/dLから170.0mg/dL(スタチン単独群),もしくは189.0mg/dLから147.0mg/dL(フェノフィブラート併用群)に両群とも低下していたが,有意にフェノフィブラート併用群のほうが低値であった。

■その結果,主要エンドポイントはスタチン単独群で310例(2.41%/年),フェノフィブラート併用群で291例(2.24%/年)に生じ,統計学的な有意差はなかった。
また,前もって設定されていた二次エンドポイントにおいても両群に差異はなかった。

■前もって設定されたサブグループ解析では,フェノフィブラート併用は男性では主要エンドポイントを減少させ,女性では増加させるような傾向があり,元来のHDL-Cが低かったりTGが高かったりするようなグループでは主要エンドポイントを減少させる傾向が認められていた。

■副作用については,正常値の10倍以上のクレアチンキナーゼ(CK)上昇,正常値の3倍以上の肝酵素上昇,腎不全の発症などにおいて両群に差異はなかった。
#山田 悟先生の考察:TG 200mg/dL超ならスタチンとの併用を怖がらずに120mg/dL以下を目指すべきか
■ACCORD試験では,血糖試験も,血圧試験も,脂質試験もすべての試験で大血管障害を予防できなかった。
「脂質試験で有意な大血管障害を予防できなかったのはACCORD試験自体,生活習慣指導ができていない試験だったからだ」とお考えの先生もおられるかもしれないが,“ACCORD試験だから”という理由以外にも脂質試験で予防効果を示せなかった理由を考えてみたい。

■まず,著者たちが挙げた理由は次の4点である。
(1)スタチンの大血管障害予防効果が大きいので,フェノフィブラート薬を上乗せすることでメリットを得られる集団がごく限られてしまった。
(2)スタチン単独群でのイベント発症率が低すぎた(ただし,これはサンプルサイズの計算の際に用いられた予想発症率と合致していたので,私は否定的である)。
(3)薬剤コンプライアンスが低かった(ただし,これは両群とも80%程度のコンプライアンスであり,さほど悪いコンプライアンスではない)。
(4)既存の試験でイベント予防効果を示した同じフィブラート薬のgemfibrozilに比べてフェノフィブラートのイベント予防効果が弱い。

■そこで,既存のフィブラート薬を使用した大血管障害の予防試験について簡単にまとめてみる(表3)。
既存のフィブラートによる試験としては,一次(発症)予防のHHS試験(全体;N Engl J Med 1987; 317: 1237-1245,糖尿病患者;Diabetes Care 1992; 15: 820-825),FIELD試験(Lancet 2005; 366: 1849-1861),二次(再発)予防のVA-HIT(N Engl J Med 1999; 341: 410-418),BIP試験(Circulation 2000; 102: 21-27)などが挙げられよう。

■こうして見てみると,(gemfibrozilを用いて)TGを30%超の率で低下させている試験で冠動脈疾患の予防効果を示しているような感がある。
実際,ACCORD試験のサブグループ解析でも,心血管イベント抑制効果は当初のTGが三分位で最も高く,かつHDL-Cが三分位で最も低いグループ(TG 204mg/dL以上かつHDL-C 34mg/dL以下)では有意な効果が認められていた。
そして,このグループでは,TGが中央値284mg/dLから35.0%低下していた。

■サロゲートマーカーで検討した試験でも,SENDCAP試験(Diabetes Care 1998; 21: 641-648)ではTGを32%低下させ,頸動脈超音波所見にプラセボとの差異はなかったものの冠動脈疾患の確定発症数からはベザフィブラートの効果が示唆されている。
また,DAIS試験(Lancet 2001; 357: 905-910)でも,TGを30%程度低下させて冠動脈造影検査における狭窄所見に対するフェノフィブラートの効果が示されている。

■こうしたことから考えると,糖尿病患者に限らずTGが200mg/dL程度を超えるような高TG血症患者にはフィブラート薬の使用を考慮してよく,スタチンとの併用を怖がらずに120mg/dL以下を目指すという治療方針は合理的に思われる。

 

その他
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