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早期再分極は、健診などの心電図でたまに見かける異常波形です。
従来は問題なしと考えられてきましたが、最近、致死性不整脈との関連が海外で相次いで報告され、ハイリスク者の拾い上げが課題になっているようです。
実は危ない早期再分極 下壁誘導のJ波、失神歴に注意
12誘導心電図で早期再分極が見られる中年層の人は、初回の心電図検査から15年ほどたってから、心疾患や不整脈による死亡リスクが高くなる─。
昨年末、The New England Journal of Medicine誌(N Engl J Med 2009;361:2529-37.)にフィンランド・オウル大学のJani T.Tikkanen氏らがこのような内容の論文を発表し、不整脈専門医たちの注目を集めた。
早期再分極とは、12誘導心電図で、QRSとST接合部であるJ点が基線に戻らず持ち上がる(ST上昇)波形。
側壁誘導を中心に複数の誘導で見られ、心筋梗塞など心臓の器質的疾患がないものを指す。
長年、正常心電図と波形は異なるものの病的意義はないと考えられてきた。
だが、この論文によれば、下壁誘導で0.2mVを超えてJ点が上昇しているケースでは、心疾患と不整脈による死亡リスクが、早期再分極がないケースに比べて約3倍も高かった(図1)。
これらの心疾患死亡リスクは、左室肥大やQT延長でのリスクよりも高いという。
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フィンランドの30〜59歳の一般住民1万864人を対象に検討。下壁誘導で0.2mVを超えるJ点上昇が見られた群36人(0.3%)では正常群と比べて、心疾患による死亡、不整脈死がともに多かった(正常群を1.0とすると相対リスクはそれぞれ2.98〔P<0.001〕、2.92〔P=0.01〕)。
最初の心電図検査を行って15年後から差が開き始め、その後は年々差が広がっていった。(N Engl J Med 2009;361:2529-37.)
08年にも、Haissaguerre氏らが、特発性心室細動を来した後に救命された206人を健常者と比較したところ、早期再分極の頻度が有意に高いと発表している(N Engl J Med 2008;358:2016-23.)。滋賀医大病院リハビリテーション科助教の林秀樹氏は、「これがきっかけとなって不整脈専門医たちの早期再分極への認識は変わった。今、国内外でその予後や有病率、病態を調べ始めている」と話す。
ただし、先の2つの海外論文で致死性不整脈との関連が指摘されている「早期再分極」は、従来のいわゆる「J点の上昇(ST上昇)」という定義より狭く、J波があることが条件になっている(図2)。
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J波には、スラーとノッチの2種類がある(J点が0.1mV以上上昇しているものを指すことが多い)。
ノッチは、QRS波とST起始部との間の小さな陽性波。
スラーは、QRS波の下行脚が基線に戻る前の、こぶ状あるいはなだらかな波形のこと。
若年男性のJ波に要注意
実は、J波を伴う早期再分極を持つ人は国内でも珍しくない。
杏林大第二内科准教授の池田隆徳氏は、「われわれの施設の検討では、健常者の心電図の約2%にJ波(J点は0.1mV以上上昇)が見られた。一般的な頻度も同様で、健康診断でもよく遭遇する所見だ」と話す。
J波を伴う早期再分極は若い男性に多く、今までの報告からは、頻度が高い年齢層は10〜30歳代までと幅がある。
遺伝的に心臓の機能的な異常がある可能性が高いことも分かっている。
さらに、J波の波形は日内日差変動するが、これは自律神経との関連が強いのではないかといわれている。
ブルガダ症候群に準じて対応
J波があればみなが、将来、致死性不整脈を起こすハイリスク者なのかというと、その実態はよく分かっていない。
大分大病院副病院長の犀川哲典氏は、「今までの経験や論文から考えて、実際にはごくごく一部の人だけが危険なのだと思う。だが、どんな人がハイリスクなのかは現時点でははっきり分からず、今後の研究課題だ」と話す。
池田氏は、「波形こそ異なるものの、病態はブルガダ症候群と非常によく似ている」と指摘する。
ブルガダ症候群は、心電図上、右側胸部誘導(V1〜V3)で特徴的なST上昇を呈し、その一部が特発性心室細動を起こして突然死につながる病態として知られている。
V1〜V3だけでなく下壁や側壁誘導でもST上昇が見られるブルガダ症候群は、V1〜V3のみの上昇より危険性が高いという報告があり、J波を伴う早期再分極と病態がオーバーラップしているのではないかという指摘もある。
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犀川氏は、「1992年にブルガダ症候群が広まった当初、この波形を持つ人はみな危ないと騒がれたが、研究が進むと本当に危険なのは一部であることが分かってきた。早期再分極も同様なのではないか」と話す。
そのため専門医の間では、現時点で心電図上にJ波を伴う早期再分極を認めたら、ブルガダ症候群に準じて対応を考える方向にあるようだ。
林氏は、「『今までに失神歴がないか』『家族で若いうちに突然死したことのある人はいないか』といったことを聞き、当てはまれば専門医に紹介した方がよい」と話す。
また波形としては、J波の高さが高く、波形が日内日差変動するほど、危険性は高いといわれている。
犀川氏は、「早期再分極だと判断したら、昔の心電図と比較したり、その後は半年か1年に1回心電図を取り、波形が変わっていないかを丁寧に確認してほしい」と話す。
J波の大きさやSTの上がり方に変化がないかを経時的変化を見ていけばよい。
ハイリスク者に対して致死性不整脈を未然に防ぐ方法は、今のところ植え込み型徐細動器しかないため、これらのリスクを勘案した上で適応を考えることになる。
今後、病態の原因やハイリスク群が明確になり、対応方針が定まっていくことが期待される。
出典 NM online 2010.3.19
版権 日経BP社
<関連サイト>
早期再分極(early repolarization)は心室粗動のリスク要因である
http://intmed.exblog.jp/7094051/
寮生→良性
特発性心房細動→特発性心室細動
Sudden Cardiac Arrest Associated with Early Repolarization
N Engl J Med. Vol. 358:(19)2016-2023 May 8, 2008http://content.nejm.org/cgi/content/short/358/19/2016
下壁・側壁誘導の早期再分極パターン:中年での心臓死と関連
http://intmed.exblog.jp/9258047/
アスリートの心電図再分極異常の長期予後
http://intmed.exblog.jp/6660734/
<コメント>
早期再分極は、早期後脱分極 early afterdepolarization(EAD) や遅延後脱分極 delayed afterdepolarization(DAD)と
紛らわしいですね。
http://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/shinkin/denki/denki-5-3.html

熊谷守一 蟻 コンクリート壁画 (豊島区立熊谷守一美術館)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20091015/207193/
熊谷語録
■「地面に頬杖をつきながら蟻の歩き方を幾年も見てわかったのですが蟻は左の二番目の脚から歩きだすんです」
その他
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