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##IGTに対する血糖・血圧コントロールの介入,再考促すNAVIGATOR試験
介入薬にナテグリニドとバルサルタン,ACCで発表
第59回米国心臓病学会と米国心血管造影インターベンション学会(SCAI)の合同学術集会(ACC.10&i2 Summit2010,3月14~16日)でNAVIGATOR試験が発表された、という記事で勉強しました。
同試験は,IGT(耐糖能異常)を対象に,速効型インスリン分泌促進薬ナテグリニドとアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)バルサルタンによる糖尿病,心血管疾患(CVD)発症予防効果を検証したものです。
2×2のファクトリアルデザインで1万人規模の検証を行ったのですが,CVD発症予防効果は示されず,糖尿病発症予防効果はバルサルタンのみで示されるという結果にとどまりました。
#対象集団の平均BMI 30,冠動脈疾患既往歴が4分の1
■近年,IGTは糖尿病予備軍であるだけでなく,既にCVDリスクが上昇していることが明らかになり,この段階での介入をどうすべきかが検討されてきた。
これまでに生活習慣への介入や,α-グルコシダーゼ阻害薬(注1),ビグアナイド薬,チアゾリジン薬を用いた臨床試験が実施され,糖尿病発症抑制効果が認められている。
このため,今回のNAVIGATOR試験(注2)の結果にも注目が集まっていた。
(注1)ボグリボースは日本で行われたVictory試験(関連記事)の結果を経て,昨年IGTにも適応拡大されている
(注2)The Nateglinide And Valsartan in Impaired Glucose Tolerance Outcomes Research。試験はノバルティスファーマの支援を受けて行われ,データ収集,管理にも同社は関与したが,安全管理委員会設置や統計解析は独立した学術機関で実施された
■同試験には40か国806施設が参加。
二重盲検ランダム化比較試験(RCT)として実施された。
対象は空腹時血糖値が95mg/dL以上126mg/dL未満で,かつ1つ以上の心血管リスクを有する55歳以上,または50歳以上で心血管疾患を有する患者。
9,518例が2×2のランダム化に登録(図),プロトコルを満たした9,306例が最終解析に含まれた。
死亡例や脱落例,追跡ができなくなった症例を除き,血糖・血圧コントロールアームとも全体の80%が試験プロトコルを終了した。

■血糖コントロールアームでは,プラセボ群とナテグリニド群に割り付けられ,ナテグリニド群では,毎食前ナテグリニド30mgが投与された。
開始2週間後に1回量が60mgに増量された(注3)。
血圧コントロールアームでは,プラセボ群とバルサルタン群に割り付けられ,バルサルタン80mg/日が投与された。開始2週間後に160mg/日に増量された。
(注3)
わが国の承認用量は90mg×3/日で,1回の投与量は120mgまで増量可能。
ただし,IGTへの適応は認められていない。
■全例に対し,生活習慣改善の指導や電話による支援が行われた。
改善プログラムには5%の体重減を目指し,150分/週の運動や食事面で糖質・脂質量の調整などが取り入れられた。
■対象患者の背景は平均年齢63歳,BMI 30,腹囲が男性104cm,女性98cm,冠動脈疾患既往歴が4分の1程度など。血糖コントロールアームのベースラインHbA1Cは5.8%,空腹時血糖値は110mg/dL。
血圧コントロールアームの血圧は収縮期血圧(SBP)139mmHg,拡張期血圧(DBP)83mmHg。
両アームともに,中央値で5年間の追跡が行われた。
#血糖コントロールアーム
#糖尿病発症,CVDイベント,いずれも有意なリスク低下は示されず
■血糖コントロールアームの結果は以下の通り。
まず,試験開始6か月後までに体重5%減を達成できた症例が両群とも10%にのぼったが,平均体重は,試験期間を通じてプラセボ群のほうが平均0.35kg低く推移した。
血糖コントロールについては,ナテグリニド群のほうが平均値で0.47mg/dL低く推移したが(P=0.03),経口糖負荷試験(OGTT)の2時間値についてはナテグリニド群のほうが4.37mg/dL高く推移した(P<0.01)。
■試験の主要エンドポイントは以下の3項目。
(1)糖尿病の発症,
(2)CVDによる死亡,非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中,心不全による入院から成る主要CVDイベント,
(3)不安定狭心症による入院と血行再建術を(2)に追加した拡大CVDイベント(extend endpoint)。
■(1)の累積糖尿病発症頻度はナテグリニド群36%,プラセボ群34%(ハザード比1.07,P=0.05)でナテグリニド群のほうが多かった。
CVD発症リスクについては,(2)がナテグリニド群7.9%,プラセボ群8.3%とハザード比が0.94(P=0.43),(3)が順に14.2%,15.2%とハザード比0.93(P=0.16)でいずれも有意な差は認められなかった。
■副作用は,ほとんど軽症のものであるがプラセボ群11.3%に対し,ナテグリニド群で19.6%と有意に多くなっていた(P<0.001)。
5年後の試験薬服用率は順に70%,71%で同等だった。
#血圧コントロールアーム
#糖尿病発症リスクはバルサルタン群で有意に低下もCVDイベントは同等
■血圧コントロールアームでは,試験期間の平均血圧はバルサルタン群のほうがSBPで2.8mmHg,DBPで1.4mmHg,いずれも有意に低値だった。
ベースラインの服薬状況は両群同等だったが,最終診察の際のACE阻害薬,ARB(試験薬以外),β遮断薬,α遮断薬,Ca拮抗薬,利尿薬の服用率は,いずれもプラセボ群のほうが有意に高かった。
なお,5年後の試験薬服用率は順に67%,66%で同等だった。
■主要エンドポイントは血糖コントロールアームと同じ3項目。
まず,(1)の糖尿病累積発症頻度については,バルサルタン群33.1%,プラセボ群35.8%で,ハザード比が0.86(P<0.001)とバルサルタン群で有意に低かった。
(2)の主要CVDイベントは両群とも8.1%(ハザード比0.99,P=0.85),(3)の拡大CVDイベントは順にバルサルタン群14.5%,プラセボ群14.8%とハザード比が0.96(P=0.43)でともに有意差がなかった。
■総死亡やCVDによる死亡についても両群で有意な差はなかった。
低血圧関連の副作用がバルサルタン群で,高血圧がプラセボ群で有意に多くなっていたが,副作用による投薬中止はバルサルタン群12.0%に対してプラセボ群11.4%と同等で,有意差はなかった。
■なお,心血管イベントの発症は3,000例が見込まれていたが,実際には両群合わせて1,400例に達しなかった。
■Califf氏はNAVIGATOR試験後の考察として,
(1)肥満,糖尿病の世界的な増加によるCVDリスクが増大している現状をあらためて認識,
(2)同試験内でも3~4割が試験期間内に糖尿病を発症しているなど,IGTでは短期間に糖尿病を発症するリスクが高い,
(3)IGTの糖尿病発症予防において生活習慣改善と治療の重要性は変わらない,
(4)現時点で運動や体重管理による糖尿病予防の重要性は強調されるが,より適切な薬物治療を引き続き模索する必要がある,
(5)同試験はあらためて患者背景から治療のリスクベネフィットを推測する困難さを浮き彫りにしており,適切に実施されたRCTの結果から導かれるべき
―の5点を挙げた。
出典 NM online 2010.3.15
版権 日経BP社
<関連サイト>
血糖コントロールアーム
Effect of Nateglinide on the Incidence of Diabetes and Cardiovascular Events The NAVIGATOR Study Group
http://content.nejm.org/cgi/content/full/NEJMoa1001122
血圧コントロールアーム
Effect of Valsartan on the Incidence of Diabetes and Cardiovascular Events The NAVIGATOR Study Group
http://content.nejm.org/cgi/content/full/NEJMoa1001121
<自遊時間>
#HPでラーメン店を中傷した会社員が有罪
http://www.excite.co.jp/News/society/20100317/JCast_62456.html
最高裁は、個人がネット上で表現したものであっても受け取る側が信じる場合があり、ネットで他人の評価を低下させる情報を出す場合、新聞報道などと同様に確実な根拠が必要だ、という判断を示した。
<コメント>
今後心しないといけないニュースとして自戒の念もこめてドキュメントしました。
他にもブログがあります。
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(一般の方または患者さん向き)
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