戯れ言たれる侏儒
Profile

ブログ内検索

カレンダー

<< 2012/02 >>
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29

新着コメント

新着トラックバック

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

< ADVANCED-J試験 | メイン | J-TOP試験 >

J-CHF試験アゲイン

戯れ言たれる侏儒 / 2010.03.13 00:33 / 推薦数 : 0

大規模臨床試験「J-CHF(Japanese Chronic Heart Failure )」は先生方ご存知のように、慢性心不全患者に対するβ遮断薬カルベジロールの用量を検討したプロスペクティブ試験です。 AHA2009「Late-Breaking Clinical Trials」セッションで報告されました。

きょうは
わが国の臨床試験「J-CHF」を実際の心不全治療に活かすには ーカルベジロールの用量をめぐってー http://medical.nikkeibp.co.jp/all/special/jchf/
の記事で勉強しました。

5名の先生方の座談会形式ですが、詳しくはサイトを参照下さい。

 

カルベジロール至適用量検討のためのプロスペクティブ試験
■慢性心不全患者に対するβ遮断薬、特にカルベジロールの有用性は、ご承知の通り、多くの大規模臨床試験ですでに認められています(表1)。

■至適用量について検討したプロスペクティブ試験はこれまでありませんでした
■欧米では大規模試験の結果を受け、忍容できれば50mg/日から100mg/日まで増量するよう、ガイドラインで推奨されていますが[Dickstein K et al. Eur Heart J 2008;29(19):2388-2442, Hunt SA et al. Circulation 2009;119(14):e391-e479]、必ずしも目標用量まで増量できていない患者が多いようです。
■例えば欧州で行われた観察試験SATELLITE surveyでは、服用開始6か月後のカルベジロール平均用量は31±11mg/日でした[Lainscak M et al. Int J Cardiol 2007;122(2):149-155]。
わが国では20mg/日が目標維持用量となっていますが、実際の服用量は使用成績調査において7.3mg/日と報告されています(表2)。

■わが国で行われたMUCHA試験において、カルベジロールは20mg/日群だけでなく5mg/日群でも「全死亡または全心血管系の原因による入院」がプラセボ群に比べ、有意に減少していました(図1)。

■この結果をうけて、「日本人の慢性心不全に対するカルベジロールの至適用量は20mg/日なのか、それともより低用量で良いのか」という疑問が生じたのです。
J-CHF試験はこの点、すなわち、日本人慢性心不全患者に対するカルベジロールの至適用量をプロスペクティブに明らかにすべく、計画されました。
加えて、カルベジロールによる予後改善の予測因子の検索も行うこととしたのです。
■学会報告の座長のMilton Packer先生(米国Southwestern Medical Center;CHFに対するカルベジロールの有用性を大規模二重盲検試験「US Carvedilol HF」[Packer M, et al. N Engl J Med 1996;334:1349-1355]で初めて証明した研究者)も、「慢性心不全に対するβ遮断薬の至適用量を見出す」という試験目的は重要とコメント。
■J-CHF試験以前の報告はすべて、レトロスペクティブな研究だった。
「低用量服用患者では予後が悪い」とする報告も、確かにあります。
しかし、これらの解析は用量別の群間比較ではありません。
実際に忍容できた用量別に予後を比較しているのです。
慢性心不全が重症化するほどβ遮断薬への忍容性は低下します。
したがって「低用量で予後が悪い」というのは、「重症例では予後が悪い」を言い換えているだけの可能性もあったのです。
■私自身は、欧米人と日本人で至適用量は同じだと思っていましたが、遺伝子多型がβ遮断薬治療の有用性に影響を及ぼしているという報告も出てきました[Bristow MR et al. Circ Heart Fail 2010;3(1):21-28]。
欧米人と日本人でこの多型の頻度が異なっている可能性もあるでしょう。
そうなれば、至適用量が異なることもあり得ると思います。
(Swedberg)

 

予後改善に用量依存性は認められず。
「心拍数変化」「BNP濃度変化」が有意な予測因子


心不全兆候のある患者にはカルベジロールの投与を考慮
■J-CHF試験の結果では、カルベジロール2.5mg/日、5.0mg/日、20mg/日の3群間で予後改善作用(全死亡、あるいは全心血管系の原因による入院)に差がなかった
J-CHF試験では予定していた登録患者数が確保できず、追跡期間を延長し検出力を確保しようと試みました。
(「症例数が足りないため、存在しているはずの差を検出できなかった可能性はないでしょうか」という質問に対する答え)
■先に日本で行われたMUCHA試験において、5.0mg/日群においても20mg/日群と同様に「全死亡または全心血管系の原因による入院」発生率を有意に減少させていました(図1)。
カルベジロール5.0mg/日の日本人における有効性は、すでに証明されているのです。
ただしJ-CHF試験はMUCHA試験より追跡期間が長い(平均3.0±1.3年)ので、MUCHA試験で5.0mg/日群と20mg/日群の間に観察された用量依存性の「左室駆出率改善作用の差」(図2)が、予後改善に反映されるのではないかと想定していました。

■台湾の慢性心不全患者を対象にβ遮断薬を用いたChinese Taipei試験では、「忍容できる限り増量する」というプロトコルでしたが、25±22か月の追跡期間でカルベジロールは平均12±8mg/日までしか増量できませんでした。
カルベジロールに対する東洋人の忍容性はこのくらいなのだと言えるでしょう。
そしてこの検討では、この用量でカルベジロールによる左室駆出率の有意な改善も報告されています[Hu H et al. J Formos Med Assoc 2007;106(8):641-648]。


心拍数による長期予後の予測
■J-CHF試験のもう1つの大きな成果は、カルベジロール服用開始後8週間の心拍数あるいは BNP濃度の低下が、それぞれ独立して、予後予測因子だったという点です。
治療開始後早期に、長期予後が予想できるのです。
■心拍数に関する同様の知見は、CIBISⅡ試験からも報告されています。
服用開始後2か月間の心拍数減少が予後改善の予測因子だということでした[Lechat P et al. Circulation 1997;96(7):2197-2205]。
■3試験における約2万例の慢性心不全患者を対象としたメタ解析の結果でも、β遮断薬による「5拍/分の心拍数減少」により、死亡率は相対的に18%、有意に減少していました[McAlister FA et al. Ann Intern Med 2009;150(11):784-794]。
■J-CHF試験では「心拍数減少」と「BNP濃度低下」はカルベジロール用量依存性でした。
これを考慮すると、症例数を増やせば予後に対しても用量依存的であった可能性が考えられます。


心拍数を指標に増量し、患者ごとの至適用量を見つける個別医療の可能性

出典 NM online
版権 日経BP社

 


J-CHF試験 http://blog.m3.com/reed/20091215/J-CHF_
■β遮断薬カルベジロールの用量別臨床効果を検証
■日本人では最も低用量の2.5mg/日でも臨床効果が得られる可能性が示唆された
■カルベジロールの投与は低用量から開始し,心拍数やBNPの低下が目標値に達するまで増量していく方法が支持される
■(1)日本で行われたMUCHA試験を含め,これまでの試験では用量依存性の効果が示されており,今回の結果と一貫性がない (2)低用量の妥当性を非劣性として結論するには1,000件超のイベントが必要
-現時点ではガイドラインに基づく用量までの増量を目指すべき (ブレシア大学心臓病学Marco Metra氏のコメント)
■当初は1,500例を登録し1年間追跡する予定であったが,困難なことから,500例を3年間追跡すると変更され,群間で差が認められなかったため,追跡期間が途中で打ち切られた
(大阪府立成人病センター堀正二総長のコメント)

 

<番外編> スタチンの入院予防効果、虚血性と非虚血性心不全で違い http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jcs2010/201003/514408.html J-CHF試験 http://blog.m3.com/reed/20091215/J-CHF_


PDF
http://medical.nikkeibp.co.jp/all/special/jchf/pdf/nmop_jchf.pdf
(2009.11.17オーランドでのJ-CHFの学会発表要旨です)

 

 

その他
ふくろう医者の診察室 
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
 井蛙内科/開業医診療録(4)
2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)
~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
があります。
 

 

 

 

 

 

固定リンク | コメント (0)

コメント

コメントはまだありません。

コメントを書く

ニックネーム*
メールアドレス*
URL
内容*
※「利用規約」をお読みのうえ、適切な投稿をお願いします。