戯れ言たれる侏儒
Profile

ブログ内検索

カレンダー

<< 2012/02 >>
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29

新着コメント

新着トラックバック

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

< 発作性AFに対する発生・進展抑制効果 | メイン | J-CHF試験アゲイン >

ADVANCED-J試験

戯れ言たれる侏儒 / 2010.03.12 00:31 / 推薦数 : 0

ARB単剤で血圧コントロール不良な糖尿病合併高血圧患者に対する至適降圧療法を探るADVANCED-J試験の結果が発表されました。
ARBの増量によって降圧不足に対処する治療と、カルシウム拮抗薬(CCB)の併用で相乗的な降圧効果増強を狙う治療の比較は、朝の血圧、夜の血圧、外来血圧のいずれの降圧においてもCCBの併用の有用性が示されるという結果となりました。
さらに、血管機能や腎機能の指標においてもARB増量に比べて有用性が認められ、CCB併用療法により中・長期的な臓器保護作用が期待できると考えられました。

第74回日本循環器学会総会・学術集会(2010.3.5~7, 京都)で、順天堂大学循環器内科・代田浩之教授らが報告した記事で勉強しました。

逆にアムロジピンで降圧療法をスタートする場合、他剤を併用する前にアムロジピンの増量を考えたほうがいいという研究が同学会で発表されています。

アムロジピン増量による血圧コントロール
http://blog.m3.com/reed/20100310/1

これらはあくまでも血圧のコントロールについてであって、心血管イベントなどの抑制効果を検討したものではありません。
しかし、高血圧の治療については、降圧剤の種類に関係なく、降圧の程度そのものが、生命予後や心血管イベント抑制につながるという有名な研究もあります。

そのあたりが脂質低下とは若干異なるようです(drug effectやclass effectがありそう)。

CCBの優れた降圧効果は昨日の

発作性AFに対する発生・進展抑制効果
http://blog.m3.com/reed/201003

でも触れられています。
降圧度
ARBカンデサルタン(8〜12mg/日)<Ca拮抗薬アムロジピン(2.5〜5mg/日)

要するにCCBとARB各々単剤でスタートした場合のコントロール不良例ではCCBスタートの場合はCCB増量、ARBスタートの場合はCCB追加ということになります。
しかし、血管や臓器保護や生命予後の面では異論がありそうです。
特に目新しい内容とも思えませんし、何だかCCB讃歌みたいで少し
警戒する向きもありそうです。

私個人でいえば、薬価さえ安ければARBを増量したい派に属します。
もちろんきちんと血圧がコントロールされていればという条件付きですが。

前置きが長くなりました。

##ARB単剤で血圧コントロール不良な糖尿病合併高血圧例にはARB増量よりCCB併用が有用──ADVANCED-J試験より
■糖尿病合併高血圧患者の降圧治療に際しては、
(1)糖代謝や腎機能を悪化させない降圧薬を用い、
(2)通常よりさらに厳格な降圧をめざすこと、
の2点が必須条件。
国内外の高血圧治療ガイドラインでは、(1)の観点からACE阻害薬とARBを第一選択薬と位置づけており、実臨床でもこれに従ってARBが汎用されている。
しかし、現実にはARB単剤で降圧目標値を達成することは難しく、(2)の観点からARBの増量もしくは他剤の併用が必要となることが多いが、そのどちらの戦略が有用であるかというエビデンスは示されていない。

■ADVANCED-J試験は、この疑問に対する答えを得るべく計画された無作為化比較試験。
対象は、外来血圧≧135/85mmHgの2型糖尿病合併高血圧患者で、通常用量のARBによる8週間以上の治療にもかかわらず、登録前5日間の朝の家庭血圧平均値が≧130/80mmHgの263例。
ただし、SBP≧180mmHgもしくはDBP≧110mmHgの患者や二次性高血圧患者、重度の肝機能異常、腎機能障害を持つ患者は除外された。

■対象者を無作為化のうえ二群に分け、一方はARBを最大用量まで増量し(ARB群;n=132)、もう一方はCCBアムロジピン5mg/日を併用する(CCB群;n=131)治療を行い、3年間の追跡を行った。

■主要評価項目はベースライン時から1年後の朝の家庭血圧の推移。
また、副次評価項目として、夜の家庭血圧および外来血圧の推移、降圧目標達成率のほか、頸動脈内膜中膜厚(IMT)や脈波伝播速度(PWV)などの血管機能指標の変化、血清クレアチニンやeGFRなどの腎機能指標の変化などが検討された。

■試験の結果、ベースライン時に両群で同等であった朝の家庭血圧は、両群間には有意な差が認められた(p=0.001[収縮期]/p=0.010[拡張期])。
同様に、夜の家庭血圧と外来血圧についても、1年後の降圧効果はCCB群の成績がARB群を有意に上回っていた。

■なお、3年の追跡期間で、ARB群患者の68.2%(90/132例)、CCB群の41.2%(54/131例)に他の降圧薬が追加され、ARB群の21.2%(28/132例)にはCCBが処方されるなど、両群の治療内容は次第にオーバーラップしていった。
これに伴い、3年目の評価では、各降圧指標における両群の差は1年目の評価時より縮小したが、主要評価項目である朝の家庭血圧の差は依然として有意であった(p=0.008[収縮期]/p=0.033[拡張期])。

■さらに、ARB群の平均IMTは3年間を通してほとんど不変であったのに対し、CCB群の平均IMTは徐々に減少に向かい、3年目の評価では両群間に有意な差が認められた(p=0.018)。
また、ARB群ではCCB群より大きくかつ有意なeGFR低下が認められた(p=0.009)。

■以上の結果より、ARB単剤で血圧コントロール不良な糖尿病合併高血圧患者への治療戦略としては、ARBを増量するよりCCBを追加するほうが降圧効果に優れ、さらには血管機能の改善作用も期待できることが示唆された。

■しかし、ARBとCCBを併用した場合でも、降圧目標達成率は、朝の家庭血圧が20.5%、夜の家庭血圧が43.9%、外来血圧が37.5%と、必ずしも十分な数字ではなかった。
代田氏は、「2型糖尿病合併患者に対するより確実な降圧のためには、3剤もしくはそれ以上の降圧薬を併用するなど、よりアグレッシブな治療が必要なのかもしれない」と指摘した。

出典 NM online 2010.3.7(一部改変)
版権 日経BP社
##拡張期血圧が低値の慢性CAD患者は予後が悪い──CREDO-Kyotoレジストリーより
一部の大規模臨床試験で見られた"Jカーブ現象"の理由の1つが示された──。
血行再建を行った慢性冠動脈疾患(CAD)患者のうち、入院時の拡張期血圧が低い患者は予後が悪いことが明らかとなった。
待機的PCIかCABGを施行された患者を登録、追跡しているCREDO-kyotoレジストリーのサブ解析から明らかになった.

第74回日本循環器学会総会・学術集会(2010.3.5~7, 京都)のLate Breaking Clinical Trialsで、久留米大学心臓・血管内科の甲斐久史氏が発表した。

■現在、血圧は低ければ低いほど冠動脈疾患死亡リスクが低下するという”The Lower, the Better”が提唱されている一方で、過度な降圧は逆にイベントリスクを高めてしまう可能性(Jカーブ現象)も示唆されている。
2006年に発表された、冠動脈疾患を伴う高血圧患者への降圧治療の有効性を評価するINVEST試験のpost-hoc解析では、拡張期血圧が70mmHg未満程度から全死亡/非致死性心筋梗塞/非致死性脳卒中の発症リスクが有意に上昇するという結果が得られている(Messerli et al. Ann Intern Med,2006;144:884)。

■ただし、拡張期血圧が低い患者には、陳旧性心筋梗塞や心不全による低心機能/低心拍出状態や、収縮期高血圧によって高度な動脈硬化が存在する患者が含まれると考えられ、その場合、降圧の程度に関係なく心血管死や心筋梗塞などのリスクが高いといえる。
<コメント>
私もそう考えていました。
ここがポイントかも知れません。

■そこで甲斐氏らは、日本人の慢性CAD患者において、拡張期血圧が低いと長期予後が悪化するのか(心筋梗塞発症を増加させるか)を明らかにするため、CREDO-Kyotoレジストリーのデータを解析した。

■CREDO-Kyotoレジストリーは、京都大学をはじめとした30施設における計9877例の待機的PCIあるいはCABGを施行された患者を登録した観察研究。
1週間以内に発症した急性心筋梗塞症例は除外している。
このレジストリーから、慢性CAD患者7180例を対象に、登録時(入院時)の血圧値に基づいて解析を行った。観察期冠の中央値は3.6年。

■対象者の患者背景は、平均67歳、男性が7割、収縮期血圧は135±21mmHg、拡張期血圧は75±12mmHg。高血圧は7割、降圧薬服用は8割であるため、高血圧ではないが降圧薬を服用している症例が含まれていた。
ヘモグロビン値は13.2±1.9mg/dL、eGFRは70.0±29.7mg/min/1.73㎡。
心筋梗塞既往は19.9%、心不全既往は4.9%、脳血管障害は16.3%だった。
糖尿病合併例は38.1%、脂質異常症合併例は52.2%だった。

■拡張期血圧と粗死亡率の関係を解析した結果、拡張期血圧が低下するに従って全死亡、心血管死亡、非心血管死亡の発生率は増加した。
非致死性心筋梗塞の発生率は変化がみられなかった。
年齢、性で補正したCox比例ハザードモデルでも、全死亡、心血管死亡、非心血管死亡ともに拡張期血圧が下がるに従ってハザード比は上昇したが、非致死性心筋梗塞は低下する傾向にあった。

■そこで対象者を、拡張期血圧70mmHg未満を低DBP群、70mmHg以上を高DBP群として、2群に分け、患者背景を解析した。
その結果、低DBP群では、男性比率が低い、収縮期血圧が低い、拡張期血圧が低い、脈圧が高い、高血圧症例が少ない、ヘモグロビン値が低い、心筋梗塞既往例が多い、心不全既往例が多いといった傾向がみられた。
合併症を見ると、低DBP群では糖尿病、悪性腫瘍が多く、脂質異常症やメタボリックシンドロームは少なかった。

■多変量解析により低DBP群における心血管死亡予測因子として、eGFR、心不全既往、脳卒中既往、脈圧、左室駆出率40%以下、心筋梗塞既往が見いだされた。
一方、非心血管死に関する予測因子としては悪性腫瘍、年齢、Hb値、肝硬変が見いだされた。

■甲斐氏は、血行再建術を施行された慢性CAD患者のうち、入院時の拡張期血圧が70mmHg未満と低い場合、
(1)総死亡や心血管死亡が増加したが、心筋梗塞発症は増加しないこと、
(2)心血管死亡の予測因子は、腎機能低下、心不全既往、左室収縮能低下、脈圧増大、脳卒中既往、心筋梗塞で、降圧薬の服用や残存冠動脈病変数には影響されなかった
——と指摘。

■以上の結果から甲斐氏は「日本人の慢性CAD患者において、拡張期血圧が低いほど全死亡や心血管死亡は増えるというJカーブ現象は確認されたが、その原因は降圧治療による過度な血圧低下ではない」とした。CREDO-Kyotoレジストリーの最大のlimitationは、フォローアップ期間中の血圧コントロールの状態が不明である点であることを前置きしつつ、低心機能、動脈硬化の進行とその合併症の存在などが死亡増の原因である可能性を示唆した。

■また、血行再建術を行ったCAD症例で拡張期血圧が低値であると長期予後が悪いことから「慎重な経過観察が必要」と注意を促した。

出典 NM online 2010.3.9(一部改変)
版権 日経BP社

<ある日の講演会メモ>
「RAA系抑制による降圧療法」②
国際医療福祉大学三田病院 内科 佐藤敦久教授
■心筋梗塞後の腎機能別にみた2回目の心血管イベント発症率(米国の成績)
Anaveckar NS,et al. N Engl J Med 2004:1285-1295
(GFR値別に4群に分類した場合、心血管死、再梗塞、心不全、脳梗塞、心停止、複合エンドポイントのいずれもGFR値の順に有意差をもってイベント発症率が上昇)
⇒循環器専門医は、循環器疾患患者の心臓だけを診ているわけにはいかなくなった!

■CKDの経緯
CKDという用語が最初に登場(2001 K/DOQI)
CKDの定義と重症度分類(2002 K/DOQI)
CKD診療ガイド(2007 日本腎臓学会)
エビデンスに基づく CKD診療ガイドライン(2009 日本腎臓学会)
■日本のCKD患者は約1,330万人(Imai E. 2009)

■世界の各地域における高血圧症の頻度は増加する
(2000年と2025年の推定 20歳以上)
10億人から 16億人へ
Kearney P,lancet, 365:217-223, 2005

■日本における推計患者数の推移
日本の高血圧患者は約4,000万人(JSH2009)

■Elevated Blood Pressure and Risuk of End-stage Renal Disease in Subjects Without Baseline Kidney Disease
Hsu C. Arch Intern Med. 2005;165:923-928
横軸に血圧の各カテゴリー(至適、正常・非至適、正常高値、ステージ1〜4高血圧)、縦軸に年齢補正したERSD発生数/100,000人/年をとると、男性>女性、黒人>白人、糖尿病>非糖尿病の形で各カテゴリーに比例して(血圧が高くなればなるほど)ERSD発生数が増加する。

■BP is a Major Risk Factor for Renal Death;An Analysis of 560,352 Participants
From the Asia-Pacific Region
Hypertension 2009;54:509~515
(腎臓病死には収縮期および拡張期血圧が有意に関連。BMIやFBは関連がみられない。)

<ある日の講演会メモ>
「RAA系抑制による降圧療法」①
http://blog.m3.com/reed/20100305


中川一政 「静物」 油彩 4号変形
http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2010/02/post_123.html

 

その他
ふくろう医者の診察室 
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
 井蛙内科/開業医診療録(4)
2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)
~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
があります。
 


固定リンク | コメント (0)

コメント

コメントはまだありません。

コメントを書く

ニックネーム*
メールアドレス*
URL
内容*
※「利用規約」をお読みのうえ、適切な投稿をお願いします。