戯れ言たれる侏儒
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「高血圧を伴う発作性心房細動に対する発作発生・進展抑制効果は、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)とカルシウム拮抗薬(CCB)で同等である」という報告で勉強しました。

第74回日本循環器学会総会・学術集会(2010.3.5~7, 京都)のLate Breaking Clinical Trialsでの発表で、演者は心臓血管研究所の山下武志先生です。
##発作性AFに対する発生・進展抑制効果はARBとCCBで同等──J-RHYTHM II 試験より
■これまでに心房細動(AF)において、心房の障害変化などを抑制することによって予後を改善するというアップストリーム治療の概念が提唱され、RA系阻害薬が有効である可能性が示唆されてきた。

■昨年海外で発表された2つの臨床試験では、持続性AFに対するARBの追加投与はAFの再発に対して対照群と差がないことが示されたが、発作性AFに対するRA系阻害薬の有効性については評価されていない。
日本ではAF患者の半数以上が高血圧を合併しており、降圧薬のうちRA系阻害薬がどのように影響を与えているかは明らかとなっていない。

■そこで、日本心電学会が中心となって、J-RHYTHM II 試験が計画され、今学会で結果が発表された。

■J-RHYTHM II 試験の対象は高血圧(収縮期血圧≧140mmHg、拡張期血圧≧90mmHg)を有する発作性AF患者。
持続性AFおよび永続性AF患者は除外した。
<コメント>
「持続性AF」および「永続性AF」・・・英語ではpersistentとpermanent?

ERS/EHRA/ECA AFアブレーションガイドライン
http://blogs.yahoo.co.jp/ks_156ts/47855847.html
には
「これまで、様々な臨床研究において心房細動の定義はあいまいであった。特に持続するAFについてはPersistent AF, Chronic AF, Permanent AFなどの用語が混用されてきた。今回、Chronic AFないしPermanent AFと言われてきたAF(1年以上持続)をLong standing persistent AFと定義した意味は大きい。以前はDCで停止しないことがPermanent AFの条件であったが、例え自然停止するParoxysmal AFであってもDCで停止しないことはあり、今回の定義は意味のあるものと思われる。」
とあります。

Atrial Fibrillation
http://www.patient.co.uk/health/Atrial-Fibrillation.htm
では

Persistent AF.
This means AF that lasts longer than seven days and is unlikely to revert back to normal without treatment. However, the heart beat can be reverted back to a normal rhythm with 'cardioversion' treatment (see later). Persistent AF tends to be recurrent so it may come back again at some point after successful cardioversion treatment.

Permanent AF.
This means that the AF is present long-term and the heart beat has not been reverted back to a normal rhythm. This may be because cardioversion treatment was tried and was not successful, or because cardioversion has not been tried. People with permanent AF are treated to bring their heart rate back down to normal, but the rhythm remains irregular (see below). Permanent AF is sometimes called 'established AF'.

と記載されています。
■ARBカンデサルタン(8〜12mg/日)を投与する群とCa拮抗薬アムロジピン(2.5〜5mg/日)を投与する群に割り付け、最大1年間追跡した。
患者から伝送心電図のデータを毎日送信され、発作回数(発作日数)のデータを蓄積した。

■主要評価項目は、登録時で薬剤投与前の1カ月間の発作日数とフォローアップ期間最終の1カ月間の発作日数との差とした。

■326例が登録され、最終的にフォローアップできたのは318例。ARB群は158例、CCB群は160例だった。

■登録時の患者背景には両群に有意な差はなく、男性が7割弱、平均年齢65歳、収縮期血圧140mmHg/拡張期血圧80mmHg程度で、登録時に7割以上が降圧薬や抗不整脈薬を服用していた。
糖尿病合併例は15%程度。左室拡張末期径(LVDd)には両群間で有意な差はなかったが、左室収縮末期径(LVDs)はARB群が有意に小さく、左室駆出率(LVEF)はCCB群が有意に小さかった。BNP値には有意差はなかった。

■登録時のAFの発生日数は、両群とも1カ月あたり平均4回、有症状AFは1カ月あたり平均1.5回程度で、有意な差は認められなかった。

■フォローアップ期間中の血圧の推移には両群間で有意な差があり、期間中、一貫してCCB群の方が血圧が低かった。

■そしてAFの発生日数については、ARB群、CCB群ともに観察期間の最終1カ月のAF発生回数は登録時のAFの発生回数よりも減少していた。
しかし、ARB群とCCB群の間のAF発生日数に有意な差はなく、ARBカンデサルタンとCCBアムロジピンは発作性AFを同程度に抑制できることが示された。
1年間を通して評価しても、両群ともに徐々にAF発生日数を減少させたが、2群間に有意な差は認められなかった。

■副次評価項目として設定された、発作性AFの慢性化については、ARB群で145例中13例(10%弱)に対してCCB群では136例中24例(15%強)が慢性化しており、ARB群の方が慢性化を抑制する傾向はあったが、有意差は認められなかった(p=0.08)。

■また、左房径について2群間に有意差はなかった。
症状の頻度や不安感、日常生活の制限などQOLについては登録時に比べて改善していたが2群間で差は認められなかった。

■ARB群とCCB群でフォローアップ期間中の血圧に有意差が認められたため、最終的に到達した収縮期血圧によって3つのサブグループに分けてpost-hoc解析を行った。
各血圧グループにおいて、両群いずれもAFの発生日数は減少していたが、両群間に有意な差は認められなかった。

■これらの結果から山下氏は、「高血圧を合併する発作性心房細動患者を対象としたJ-RHYTHM II 試験においては、ARB群とCCB群の間で到達できた血圧に差があり、こうした条件の中で1カ月あたりの有症状、無症状のAF発作日数に有意な差はなく、慢性化の抑制効果にも有意な差はなかったとまとめた。そして、ARBカンデサルタンおよびCCBアムロジピンを使った血圧管理は発作性心房細動を同程度に抑制しうると結論した。

■また山下氏は、現時点でJ-RHYTHM II 試験の結果で最も注目すべきこととして、これまでの臨床試験などから発作性AFの慢性化は年間5%とされてきたが、慢性化は予想以上に多いことが明らかになったことを挙げた。

出典 NM online 2010.3.10
版権 日経BP社


<番外編>
#アスピリンの心血管イベント予防効果、腎機能軽度低下の2型糖尿病患者では有効──JPAD試験より
eGFRが60〜89(mL/分/1.73㎡)という腎機能が軽度に低下した2型糖尿病患者では、低用量アスピリンが心血管イベントの一次予防に有効であることが示された。
第74回日本循環器学会総会・学術集会(2010.3.5~7, 京都)
(奈良県立医科大学斎藤能彦氏の報告)
■今回の報告はJPAD(The Japanese Primary Prevention of Atherosclerosis with Aspirin for Diabetes)試験のサブ解析によるもの。
JPADは2型糖尿病患者の心血管イベント一次予防に低用量アスピリンが有効か否かを調べた臨床試験で、163施設から2539人の2型糖尿病患者が参加。
一次エンドポイントを心血管イベントとしたが、アスピリン(81mgまたは100mg)による有意な効果は認められなかった。
これまで、年齢、性別、高血圧、脂質異常症、喫煙歴で被験者を分けたサブ解析が行われているが、アスピリンの有意な効果が確認されたのは「65歳以上」の集団のみだった。

中略

これらの結果から斎藤氏は、「糖尿病コントロールにおいて、eGFRによる層別化も積極的に考慮する必要がある」と結論。
eGFR 60未満のグループでアスピリン群の心血管イベントが増えた理由については、「アスピリンの投与量が足りないか、アスピリンが作用しない部分の障害が腎機能の低下とともに進んでいる可能性がある。GFR軽度低下(60〜89)でアスピリンが有効である理由と合わせ、今後の検討が求められる」と考察した。

出典 NM online 2010.3.10
版権 日経BP社

 

その他
ふくろう医者の診察室 
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
 井蛙内科/開業医診療録(3)
~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
があります。
 


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