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< 糖尿病とナイアシン | メイン | アジア系米国人の心疾患リスクの研究意義 >
GLP-1受容体作動薬のexendin-4(承認申請中)に動脈硬化初期における進展抑制作用が期待できるという記事で勉強しました。
非糖尿病患者に対する治療選択肢にもなりうるか、その歳に低血糖の問題はどうかという点にも興味が広がりますが、そのあたりはどうなんでしょうか。
さて、最近になってロスバスタチンの抗動脈硬化作用がFDAで認められました。
正常LDL-Cへのスタチン投与
http://blog.m3.com/reed/20100214
将来的にexendin-4がロスバスタチンのように適応拡大が認められるようになるのか、エビデンスの蓄積が期待されます。
##GLP-1受容体作動薬に抗動脈硬化作用認める
順天堂大学内科学・代謝内分泌学の綿田裕孝先任准教授と三田智也氏らのグループは,グルカゴン様ペプチド(GLP)-1受容体作動薬のexenatide(承認申請中)が,動脈硬化初期に認められる動脈壁への単球・マクロファージの集積と炎症反応を抑制し,動脈硬化進展抑制作用を有することを,モデルマウスなどを用いた検討から初めて確認した。
この作用は血糖降下作用とは独立したものであることが認められた。成果はDiabetes(2010; オンライン版)に報告され,注目を集めている。
#新規糖尿病薬で求められる安全性の検証
■昨年,臨床導入が開始されたジペプチジルペプチダーゼ(DPP)-4阻害薬を筆頭に,本年1月にはGLP-1受容体作動薬が承認され,糖尿病治療の選択肢にインクレチン関連薬が登場した。
これらの新規薬剤は,グルコース濃度依存性にインスリン分泌を促進することから,低血糖リスクが低いなど,従来薬とは異なる作用点を持ち,糖尿病治療に新たな変革をもたらすものと期待されている。
近年,2型糖尿病治療戦略は心血管疾患予防に主眼が置かれており,薬剤ごとの動脈硬化に対する直接的な作用の評価も重視されている。
■これまでの研究から,GLP-1受容体作動薬には,グルカゴン分泌抑制作用や膵β細胞増殖作用,胃排泄能抑制作用,さらに食欲抑制作用を有する可能性が示唆されている。
また,GLP-1受容体作動薬は心血管系へ良好な影響を及ぼし,冠動脈疾患既往を有する2型糖尿病患者において,血糖値に変化を及ぼさずに血管内皮機能を改善することも報告されている。
しかし,抗動脈硬化作用については,これまで検討されていなかった。
■綿田先任准教授らは今回の研究に着手した動機として,新薬における安全面での確認が必要であることを強調する。
糖尿病治療薬では,大規模臨床試験から心血管疾患リスクの上昇が示されたrosiglitazone(国内未発売)の教訓があり,動脈硬化促進の可能性を否定することが求められるようになった。
そのため,新規治療薬の臨床導入に当たっては,しっかりとした評価法に基づいて,この疑念を払拭する必要性を強く感じたという。
#血糖・脂質への影響なく,動脈壁への単球接着・炎症反応を有意に抑制
■そこで,綿田先任准教授らは,in vitroおよび2種類の動脈硬化モデルマウス(C57BL/6マウス,ApoE欠損マウス)を用いて,初期動脈硬化病変の形成におけるexendin-4(エキセナチドの物質名)の役割を検討した。
■まず,マウスおよびヒトにおいて,動脈硬化進展に関連する各種細胞中にGLP-1受容体が存在するかどうかを検討したところ,GLP-1受容体は,単球およびマクロファージに多く発現していることがわかった。
■次に,C57BL/6マウスにexendin-4を低用量300pmol/kg/日(ヒト投与時の血中濃度とほぼ同程度)または高用量24nmol/kg/日,コントロール群には生理食塩水を28日間投与し,胸部大動脈内皮細胞への単球接着を検討。
その結果,低用量群,高用量群ともにコントロール群に比べて,大動脈における血管内皮細胞への単球接着が有意に抑制された。その際,体重,耐糖能に変化は見られなかった。
■そこで,ApoE欠損マウスを用いて同様に検討したところ,exendin-4両投与群ではコントロール群に比べて動脈内皮細胞への単球接着が著明に抑制された。
また,両投与群では内皮機能障害を示唆する接着分子であるICAM-1およびVCAM-1のmRNA発現量が大きく減少し,大動脈弁周囲の動脈硬化巣の有意な退縮が認められた(図)。
しかも,この作用はHbA1Cなどの代謝および脂質指標に影響を及ぼさない独立したものであることも示されたという。

■さらに,マウス由来培養マクロファージを用いてexendin-4の炎症反応への影響を検討したところ,exendin-4(0.03~3nM)は,リポ多糖(LPS)刺激によって惹起されるマクロファージの炎症反応〔腫瘍壊死因子(TNF)-α,単球走化活性因子(MCP)-1〕を,サイクリックAMP(cAMP)/プロテインキナーゼA(PKA)系の経路を介して直接的に抑制することが認められた。
この抗炎症作用とグルコース依存的な血糖降下作用は,完全に独立したものであったという。
■これらの成果から,exendin-4はマクロファージの炎症反応を抑制し,血管壁への単球およびマクロファージの集積を抑制する可能性が示された。
また,GLP-1受容体作動薬には,血糖降下作用などの代謝マーカーの改善を介さない直接的な抗動脈硬化作用を有する可能性が考えられる。
出典 MT pro 2010.2.25
版権 メディカルトリビューン社
<コメント>
今回の研究は動脈硬化初期における進展抑制作用です。
進展した動脈硬化の退縮を図るのはいずれの薬剤でも難しいのが現状です。
動脈硬化の治療はあくまでも予防が主体であることは論を待たないところです。
高血圧や高脂血症のほとんどない段階のごく早期(20~30歳代)からスタチンやARBなどを投与して数十年後の動脈硬化抑制硬化をみた大規模臨床試験などはありません。
またそんな研究が今後出てくるとも思えません。
しかし、私個人としてはもし自分が現在20~30歳代ならスタチンとARBを飲み始めます。
私は現在、スタチンとARBとアスピリンとEPAを薬品棚(当院は院内処方)からかすめては毎日服用しています。
先生方は何かお薬を飲んでおられますか?
#エビデンス(循環器領域)シリーズ ④
エビデンス:LIFE
Losartan Intervention for Endpoint Reduction in Hypertension
植田真一郎(琉球大学大学院医学研究科薬物作用制御学)
LIFE試験は従来の β 遮断薬(アテノロール)をベースに、利尿薬(ヒドロクロロチアジド)を多くの患者で併用した降圧療法と、AIIAロサルタンにやはり多くの患者で低用量の利尿薬を組み合わせた治療の比較試験である。
http://www.novartis.co.jp/ebm/navigator/01LIFE.html
(注)
VALUE試験:高リスク高血圧患者を対象に、バルサルタンとアムロジピンの比較を行った研究。
ALLHAT試験:高リスク高血圧患者を対象に、利尿薬とACE阻害薬、Ca拮抗薬、α遮断薬の比較を行った研究。
■目的と背景
これまでの高血圧臨床試験ではβ遮断薬と利尿薬の組み合わせが用いられ、プラセボとの比較において予後を改善することが報告されてきた。
左室肥大は高血圧患者の臓器障害の一つであり、将来の心血管事故予測因子の一つである。
この研究では左室肥大の発生、進展に関与するとされるアンジオテンシンIIの受容体拮抗薬がこれまでの降圧治療と比較してより予後を改善できるかを検討した。
■対象症例
発生したイベントから考察すると、患者のリスクは中等度で、VALUE試験やALLHAT試験よりはリスクが低いが、CAPPP試験やINSIGHT試験と比較すると高リスクである。
比較的一般外来でも遭遇する機会の多い患者が対象であるといえる。
■試験治療プロトコールの臨床的意義
結果として利尿薬の併用は約8割の患者で必要であり、単なるロサルタンとアテノロールの比較ではなく、ロサルタン+低用量の利尿薬とアテノロール+利尿薬の比較となっている。
このほうが単剤同士の比較よりも臨床的な意義が大きい。
また臨床薬理試験ではARB単独で十分な降圧が得られない場合、ARBの増量よりも利尿薬の追加が降圧には有効という結果が出ており、本試験のプロトコールはこの結果に沿ったものといえる。
■結論
左室肥大を有する高血圧患者においてロサルタンと低用量利尿薬の併用はこれまでのβ遮断薬+利尿薬併用による降圧と比較すると、脳卒中リスクを減少させる。
また利尿薬の糖尿病発生リスクが危惧されているが、β遮断薬ではなく、ロサルタンとの併用によりそのリスクを減少させることが可能である。
尿酸値、低カリウム血症発生頻度もロサルタン+利尿薬群で低く、この点からも、2剤は優れた組み合わせといえる。
しかし心筋梗塞リスクに関してはロサルタンを用いることの有益性が証明されず、今後の課題である。
<コメント>
LIFEについては桑島 巌先生のコメントが大変参考になります。
サブスタディに対するコメントもあり文献紹介も充実しています。
http://circ.ebm-library.jp/trial/doc/c2000095.html
■左室肥大の合併は脳卒中頻度を増加させ,また退縮は脳心血管イベントの減少をもたらすとする成績を裏付ける結果である。losartanの一次エンドポイント予防効果はほとんど脳卒中予防効果によるもので,心筋梗塞予防効果はatenololと差がみられていない。
言い換えればlosartanの心筋梗塞予防効果はatenololと同等であるが,脳卒中予防効果ははるかに優れているということである。
■両群の降圧効果はほぼ同等であることからlosartanの脳卒中予防効果は降圧効果以外の要因が関与していると考えられるが,losartan群ではatenolol群に比べて左室肥大の退縮効果が大きかったこと,糖尿病発症は少なかったことの2点がなんらかの関連で脳卒中予防効果をもたらしたと推定される。
その他
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。
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