戯れ言たれる侏儒
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糖尿病とナイアシン

戯れ言たれる侏儒 / 2010.03.06 00:01 / 推薦数 : 0

#HDLコレステロールは糖尿病患者への予防効果は小さいが、ナイアシンは有用性を回復
■ 2型糖尿病では、高比重リポ蛋白コレステロール(HDL)は、その血管内皮保護特性を喪失させるが、ナイアシンは喪失した血管保護作用を回復させる可能性があることを、研究者らは見出した。

■University Hospital Zurich(スイス)のDr. Ulf Landmesserらは、Circulation誌1月5/12日号において、健常者では、HDLは、血管内皮細胞による一酸化窒素産生を刺激し、抗酸化作用を発現し、血管内皮の修復を促進することにより、脈管構造を保護する、と指摘している。

■しかし、メタボリックシンドロームを有する2型糖尿病患者33名および健常対照群10名から得られたHDLと内皮前駆細胞を比較したところ、差異がいくつか示された。

■第一に、3週間以上にわたるスタチン療法をおこなったものの、糖尿病患者の平均HDL値は低かった(男性では40mg/dL未満、女性では50mg/dL未満)。

■さらに、正常なHDLには、糖尿病性HDLにはない能力、すなわち内皮細胞による一酸化窒素(NO)産生を刺激する能力、無傷血管の内皮依存性NO媒介性血管拡張を刺激する能力、酸化作用を阻害する能力、内皮細胞と結合する能力および内皮前駆細胞媒介性内皮修復能を刺激する能力があった。

■しかし、糖尿病患者を、3ヶ月間の徐放性ナイアシン療法群(初期用量500mg、最大用量1,500mg/日)またはプラセボ投与群に無作為に割り付けたところ、ナイアシン投与により、HDL値が上昇したが、「さらに重要なことに」、ナイアシン療法によりHDLの血管内皮保護特性が改善した、と著者らは述べている。

■改善に関する一つの説明として、「徐放性ナイアシン療法後にHDLの脂質酸化が軽減した」ことが考えられる、と著者らは記している。

■「HDLの血管保護特性を回復させる能力について、HDL上昇薬物療法を検討すべきである」と同研究者らは促している。

■さらに同研究者らは、「糖尿病患者におけるHDLの有益な効果の喪失の根本的な機序は、複数の要因がある可能性が高く、HDLの酸化修飾、HDL組成の変化およびHDLの内皮結合の変化の可能性が含まれると考えられる」と推測している。
さらに、糖尿病患者から得られたHDLの分析は、HDLのミエロペルオキシダーゼ依存性酸化は、少なくとも部分的に内皮効果の変化に関与している可能性があることを示した。

■同研究者らによる説明の一つの欠点は、患者がメタボリックシンドロームと糖尿病を併発したため、本知見が肥満や脂質値の差に関連していた可能性がある、ということである、と著者らは述べている。

http://www.kanematsu-rmn.jp/news/univadis/dm/news.php?num=200912220039165&view=jp
出典 ロイターヘルス 2009.12.21(一部改変)
版権 ロイター社

<番外編>
#スタチン系薬剤で糖尿病リスクの増大はわずかである
■スタチン系薬剤を服用している患者は、糖尿病を発症する可能性が9%高いが、このわずかな絶対リスクは、その薬剤の心保護特性を下回る、と研究者らは述べた。

■スタチン系薬剤を対象とした過去の試験からは矛盾する結果が得られており、2008年に実施されたクレストールに関する有力な研究など、一部の研究は、2型糖尿病がスタチン系薬剤に起因する可能性があることを示唆しているが、他の研究では、実際にリスクが低下することを指摘している。

■この問題を解決するため、Sattar氏らはメタ解析を実施し、1994年~2009年に91,000名以上の患者を対象に実施された、スタチン系薬剤に関する無作為化対照試験13件のデータを検証した。

■その結果から、スタチンと糖尿病は関連することが判明した。しかし、その影響はわずかであり、スタチン系薬剤を4年間服用している患者225名において、糖尿病の症例が認められたのは1件のみであった。

■比較した結果、同一患者群にスタチン系薬剤を投与すると、4年間で5.4件の死亡または心臓発作が回避される可能性があり、脳卒中の発生やPTCAの必要性も、ほぼ同程度に回避される、と研究者らは推定した。

http://www.kanematsu-rmn.jp/news/univadis/cv/news.php?num=201002170040422&view=jp
出典 ロイターヘルス 2010.2.16(一部改変)
版権 ロイター社

#スタチンは脳卒中をコレステロール低下率に比例して低下させる可能性
■スタチンが脳卒中リスクに及ぼす影響は、同剤のコレステロール低下作用に関連する可能性があることが、新たな研究から示唆されている。

■研究者らは、患者25万名以上を対象とした78件の無作為化試験のメタ解析において、総コレステロールが1%低下する毎に(薬剤、食事、または他の手段による低下)、脳卒中の相対リスクが0.8%低下することを見出した。

■主著者である"G. d'Annunzio" University, Institute of Cardiology(イタリア キエーティ)のDr. Raffaele De Caterinaは、「スタチンが登場する以前には、試験が行われた他の全ての薬剤が、脳卒中には効果がないと言われていた」と述べた。

■「スタチンは他の治療法よりも実際有効であったが、回帰分析を行うと、他の治療法も脳卒中に影響を及ぼし、そうした治療法がコレステロール低下に及ぼす効果によってそのことが予測されることが分かる。スタチンと同等のコレステロール低下作用のある別の薬剤があれば、その薬剤も脳卒中に対して同じ効果を示すだろう、ということである」とDr. De Caterinaはロイターヘルスに語った。
<コメント>
これは本当でしょうか。
エゼチミブも脳卒中リスクを低下させりことになってしまいます。
コレステロール低下とイベント低下が相関する場合には1対1の対応があると考えるのは早計です。
スタチンの多面作用が主作用であり、コレステロール低下はサロゲートマーカーである可能性もあるはずです。

■本メタ解析の対象試験では、946,582名・年の累積投与期間に、患者266,973名においてコレステロール低下療法が脳卒中に及ぼす影響を評価した。
49件の試験はスタチンについて評価しており、総患者数の20%未満を対象としたその他の試験では、フィブラート系薬剤、食事療法、その他の薬剤、および手術(1試験)が評価された。
結果はJournal of the American College of Cardiology誌1月19日号に掲載されている。

■患者の平均年齢は61歳で、ベースライン時の平均総コレステロール値は224mg/dlであった。
<コメント>
総コレステロール値は正常値のほぼ上限ともいえます。
また総コレステロール値で評価するのもいささか乱暴です。

■コレステロール低下療法を合わせると、脳卒中リスクは12%低下した(p<0.001)。
特定の治療法を検討したところ、スタチンは全脳卒中のオッズ比を有意に低下させたが(15%低下、p<0.001)、食事、フィブラート系薬剤、その他の薬剤、および手術など他の治療法では有意に低下しなかった。

■しかし、致死的脳卒中のリスクは、標準的な脂質低下療法によっても、または特定の治療法によっても低下しなかった。
脳卒中の病因に関して報告のあった試験は極めて少数であったが、出血性脳卒中(頻度は低いが、多くは致死的)はコレステロール低下によって増悪する可能性があると同研究者らは推測した。
その場合、出血性脳卒中がわずかに増加するだけでも、全致死的脳卒中へのコレステロール低下療法の有効性に関する結果に影響する可能性がある、と同研究者は仮定している。
<コメント>
今までも、このブログで問題にして来ましたが、諸外国の文献では脳卒中(stroke)でマルメられていて、梗塞と出血の区別はされていないのがほとんどです。
こういった問題点について言及した研究者が海外にいるということには意を強くしました。
脂質を専門とする研究者は、コレステロール値は「lower the better」と言い切ります。
少なくなったとはいえ、まだまだ脳出血の多い日本ではコレステロールを下げ過ぎることは問題ではないでしょうか。
少なくても厳格なコレステロールのコントロールには、十分な血圧コントロールが大前提と思われます。

■さらに、同研究者らは「統計学的に有意であるが(かつ臨床的意義があるが)」、総コレステロール値の低下によって、「他の因子による影響を明らかに受けている」脳卒中発症率の変動が完全に説明されるわけではない、とも指摘している。
<コメント>
まさしく、その通りですね。

原著
J Am Coll Cardiol 2010;55:198-211.
http://www.kanematsu-rmn.jp/news/univadis/cv/news.php?num=201001260039887&view=jp
出典 ロイターヘルス 2010.1.25(一部改変)
版権 ロイター社

#エビデンス(循環器領域)シリーズ ③
エビデンス:Kyoto Heart Study
Kyoto Heart Study Add-on Effects of Valsartan on Morbi-Mortality in High Risk Hypertension
沢田尚久、松原弘明(京都府立医科大学循環器内科学)
http://www.novartis.co.jp/ebm/navigator/33Kyoto_Heart_Study.html
ハイリスク高血圧の日本人を対象としてバルサルタン上乗せ治療によるイベント抑制効果を検討

■目的と背景
心血管病は高血圧などの各種危険因子によって引き起こされる数々のイベントの連鎖という形で連続性の経過をたどり、患者の予後、生活の質(QOL)、日常生活活動(activities of daily living;ADL)を低下させる。
降圧療法の長期的な目標は、心血管病の発症リスクを低下させることによって、総死亡率と心血管病による死亡率を低減させることにある。
優れた降圧薬が数多く登場してきた現在、血圧を下げること自体は比較的容易である。
降圧治療は長期にわたるため、副作用が少なく服薬コンプライアンスに優れ、心血管系合併症の発症抑制を考慮した降圧薬選択が望まれる。
循環器系疾患治療薬の多施設共同研究の成績が次第に明らかにされ、EBMの重要性はますます高くなっている。
しかしいずれの成績も諸外国で実施されたものがほとんどであり、日常診療の面から考えれば必ずしも日本人に当てはまらない。
また昨今、心血管病発症の危険因子の集積を意味する「メタボリックシンドローム」が国内外を問わずトピックとなっているが、こうしたハイリスクグループでの心血管病に対する予後検討は十分とはいえない。
われわれはこの点を重視し、加齢、性、糖尿病、喫煙、高脂血症、肥満などの危険因子の中から重要と考えられる因子を複数合併する高血圧患者を対象として、バルサルタン上乗せ治療の効果を検討する目的で大規模臨床試験を開始した。
http://www.novartis.co.jp/ebm/navigator/33Kyoto_Heart_Study.html
(このサイトが書かれた時点では結果がまだ出ていません。しかし以下のサイトで結果をみることが出来ます。)

従来治療へのバルサルタン追加投与で一次エンドポイントのリスクが45%有意に減少
http://kyotoheart.jp/result.html
■日本人ハイリスク高血圧患者におけるバルサルタンの追加投与が、心血管系イベントを抑制することが示された。
本試験はJIKEI HEART Study(Mochizuki S et al. Lancet 2007;369:1431-1439)と同様の試験デザインを採用しており、JIKEI HEART Studyで示されたバルサルタンの効果が再確認されたことになる。
JIKEI HEART Studyは心血管系疾患を有する高血圧患者、KYOTO HEART Studyはハイリスク高血圧患者という違いはあるが、JIKEI HEART Studyに続いてKYOTO HEART Studyにおいても日本人に対するバルサルタンのエビデンスが獲得された。
報告者の松原氏はKYOTO HEART Studyを、「ハイリスク高血圧患者に対する従来治療へのバルサルタン追加投与には抗脳卒中、抗狭心症作用がある」と結論した。
また、「バルサルタンは血管保護に優れたARBとして分類される」との見解を示すと同時に、「KYOTO HEART Studyは、アジア人だけでなく、ヨーロッパ/米国人においても、高血圧の日常臨床に有益な情報を提供している」と述べた。

KYOTO HEART Study
http://blog.m3.com/reed/20090911/KYOTO_HEART_Study
バルサルタンのエビデンス その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20080213/1
バルサルタンのエビデンス その2(2/2)
http://blog.m3.com/reed/20080214/1
バルサルタンのエビデンス その2(2/2)
http://blog.m3.com/reed/20080214/1

<自遊時間>
自分の隠れ部屋(?)で5台のスピーカーと6系統の駆動システムを切り替えながら、恰もオーディオ店の店頭の趣で音楽を聴いています。
オーディオ道としては全くの邪道です。
こんなことをするバカはまずいません。
飽きっぽい性格なので、こういったことで新しいシステムを導入する欲望を押さえ込むことが出来るだろうという生活の知恵です。

最近は身辺がバタバタしてゆっくり音楽を聴く気持ちがなくなっていました。
昨夜久しぶりに使ったプリアンプが片チャンネルのガリ音が強く、突然音も出なくなる現象が起きていました。
結婚する直前に貯金をはたいて手に入れた思い出深いアンプです。
あちこちのつまみをカチャカチャいじったのに改善しません。
1時間悪戦苦闘の末、パネル内のボタンスイッチに気付き、そこをいじって何とか回復しました。
それはそれで嬉しかったです。
やっぱり電気機器は車と同じで、使っていないと傷むということなんでしょう。
これからしばらくはこのプリアンプでクラシックやジャズを聴いてやりたいと思っています。
実は結構いい音がするお気に入りのアンプなんです。

http://audio-heritage.jp/PIONEER-EXCLUSIVE/amp/c3.html

現在ではC3  エクスクルーシブといえばクルマのことのようです。

http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000018119.html

 

その他
ふくろう医者の診察室 
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
 井蛙内科/開業医診療録(4)
2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)
~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
があります。
 

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