戯れ言たれる侏儒
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AHAなどが勧告「薬剤誘発性の致死的不整脈TdPは防止しうる」
AHA/ACC財団の合同ステートメント
米国心臓協会(AHA)と米国心臓病学会財団(ACCF)が「院内におけるTorsade de Pointes(TdP)防止に関する勧告(Prevention of Torsade de Pointes in Hospital Settings. A Scientific Statement From the American Heart Association and the American College of Cardiology Foundation.)」をCirculation 2月8日オンライン版に報告した。
同勧告は専門医だけでなく,病院で患者の医療に携わるすべての関係者を対象としたもので,American Association of Critical-Care Nurses(AACCN),International Society for Computerized Electrocardiology(ISCE)も推奨を行っている。AHAなどでは「薬剤誘発性のTdPは防止しうる」との観点から,リスク評価,心電図モニターの重要性を強調している。

 

TdP誘発のリスクとなる薬剤の解説に重点
一部の薬剤がQTの延長を来し,まれではあるが致死的な心室性頻拍TdPによる心臓突然死の原因となることが知られている。
既に日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)が薬剤の開発時からの非臨床・臨床試験の薬物誘発性QT延長症候群に関する指針を制定するなど,試験管内やモデル動物による評価体制が整いつつある。
しかし,日常臨床でこれを完全に予知することは困難とされてきた。

今回の勧告の背景について,AHAとACCFは「医療施設で患者の医療に当たる人たちにTdPのリスク,心電図によるモニタリングの必要性,薬物誘発性QT延長症候群の管理に対する理解を深めて欲しい」と説明。

同じQT延長作用を有する薬剤であっても,入院患者では外来患者よりしばしばTdPが起こりやすいという。
理由として,入院患者はより高齢であり,心血管疾患に腎不全や凝固能や電解質の異常を合併するなど,不整脈が起こりやすい素地があることが挙げられている。

事前に心電図などでQT延長や疑わしい不整脈が見られる場合には,心電図による継続的なモニタリングを行うことでTdPによる心停止を防ぎうるとしている。
さらに,TdPの心電図波形や定義,細胞メカニズムのほか,TdPの前兆となる波形などに関する基本的な知識,TdP発症感受性遺伝子などについても詳しい解説が行われている。

なかでも最も多くの分量が割かれているのが,薬剤誘発性のTdPに関する項目。
どのような薬剤がリスクとなるのかが,アリゾナ治療研究教育センター(Arizona CERT)のウェブサイトから検索,作成されたリストで示されている()。

 

 

ほかにも,患者側のリスク要因として電解質異常,あるいはそうした異常を来しやすい利尿薬などの服用が挙げられている。
 
患者側のリスクでは,ほかに疑わしいとされる心電図波形のほか,心疾患があること,年齢,女性,臨床上目に付きにくいリスク(clinically silent risk factors)として,不顕性の先天性QT延長症候群ならびに遺伝子多型があるという。

AHAとACCFはまとめとして,TdPは個人のリスクファクター,心電図上の薬剤誘発性のQT延長症候群を見逃さないことで防ぎうるとあらためて強調。
QTc間隔の明らかな延長(>500ms,アミオダロン,ベラパミルによるQT延長は例外),QT-U間隔の明らかな延長,ポーズ後の歪み(distortion after a pause),心室性期外収縮とその2連発(ventricular ectopy and couplets)などの前兆となるいくつかの波形が特に重要としている。
また,こうしたTdPの前兆が見られた場合は,マグネシウムの静注や原因薬の中止による電解質の補正や一時ペーシングを行い,徐脈の改善を図るなどの治療が可能であると結んでいる。

出典 Medical Tribune 2009.12.24,31
版権 メディカルトリビューン社

 

<番外編>
薬剤誘発性QT延長症候群を防止する
―抗不整脈薬以外にも十分な注意を―
■QT延長症候群は,心電図上のQT時間延長に加え,torsades de pointes(TdP)と呼ばれる特徴的な多形性心室頻脈を起こして突然死に至ることがある。
誘因の1つが薬剤。
例えば,抗不整脈薬によるQT延長症候群は広く知られている。
しかし,そのほかにも抗精神病薬,三環系抗うつ薬,抗生物質,抗真菌薬,抗アレルギー薬,抗高脂血症薬など,同症候群を起こす危険性のある薬剤は多岐にわたる。
日常診療で一般的に処方されている薬剤も多い。危険性は日常診療のなかにあまねく潜んでいる。
■抗不整脈薬はおもに遅延整流外向きカリウム電流(Ikr)を阻害することにより抗不整脈作用を呈するが,この作用が一部の症例で強く表れるとQT延長症候群を惹起することになる。
このようなIkr阻害作用を有する薬剤は抗不整脈薬以外にも多数ある。
抗不整脈薬以外で,例えば添付文書の「重大な副作用」にQT延長が挙げられている薬剤だけでも24成分,111商品(2003年5月9日現在)に及んでいる。
■2004年のNew England Journal of Medicineに,抗不整脈薬以外の薬剤によるQT延長症候群の実態を調査した注目すべきデータが報告された(351: 1089-1096)。
米国のRayらによるもので,抗生物質使用例約12万例(アモキシシリン使用中,エリスロマイシン使用中またはエリスロマイシン使用歴あり)と抗生物質非使用例約113万例を対象に,心臓突然死の頻度を前向きに検討した。
その結果,心臓突然死のリスクは,QT延長作用がないとされるアモキシシリンを使用した群ではほとんど上がらなかったのに対して,「重大な副作用」の1つとしてQT延長が挙げられているエリスロマイシンを使用した群では約2倍に上昇した。
さらに,エリスロマイシンとともにシトクロムP450(CYP)3A阻害薬を服用しており,肝臓におけるエリスロマイシンの代謝が阻害されていると考えられる群での心臓突然死リスクは5倍以上に達した。
QT延長症候群を起こす危険性のある抗不整脈薬以外の薬剤により,心臓突然死のリスクが実際に高まることが多数例を対象とした検討で確認されたことになる。
■薬剤によってQT延長を起こす人はもともとQTが延長するような素因を持っている。
しかも女性,高齢者ではリスクが高い。


薬剤誘発性QT延長症候群の患者群とコントロール群におけるQT延長症候群を起こす危険性のある薬剤を投与する前と投与中のQTc

■薬剤誘発性QT延長症候群の患者のQT時間を見ると,徐脈あるいは低カリウム(K)血症の際に,延長の程度がより大きくなる。

■防止策まず,投与しようとする薬剤にQT延長作用があるかどうか調べる。
QT延長作用がある薬剤であれば,処方する前に心電図検査を行い,投与前からQTが延長していないか確認する。
循環器専門医でない場合は,QT延長の自動診断機能が付いた心電図を用いることが望ましい。

■女性,高齢,基礎心疾患といった素因,あるいは症状(動悸,めまいなど)の既往や突然死,失神の家族歴があればリスクはいっそう高い。

■症状が出る場合は,服用開始から1〜3日で現れるのが一般的。最初の症状はいったん消失することが多いが,この時点で診察を受けることが重要で,症状がなくなったからといって放置するのは非常に危険である。
QT延長が現れる場合は,服用後すぐに出ることが多いため,できれば服用開始当日か翌日に心電図検査を行ってQT延長の有無,程度をチェックする。

■薬剤によるQT延長が起こってしまった後のTdP防止は速やかに原因と思われる薬剤を中止し,電解質の改善,マグネシウム製剤の投与やペースメーカーによるQT延長の改善に努める。

■薬剤によるQT延長症候群は,1剤で起こる場合と,併用時の相互作用によって起こる場合がある。むしろ相互作用によるもののほうが多い可能性がある。

出典 Medical Tribune 2005.7.28
版権 メディカルトリビューン社

 

<番外編>
講演会メモ 「冠攣縮性狭心症(CSA)」その2
熊本大学大学院 医学薬学研究部 循環器病態学 教授 小川久雄
■安静時胸痛が主体で明確な労作時胸痛の病歴がなく、かつ冠攣縮の関与が強く疑われる症例では、器質的狭窄が存在した上に、冠攣縮が合併することがある。
器質的狭窄が認められたとしても、アセチルコリン負荷試験を行い診断確定することは、今後の治療方針を決定するためにも重要である。

■DESはBMSと比較して再狭窄率を格段に減少させる。
(NEJM2002;346:1773-80)

■DESの留置後に血管内皮機能障害を来たす可能性が示唆されている。
(Eur Heart J 27:166-170,2006)
(JACC 46:231-236,2005)
(Circ J 2007;71:220-225)
(JACC 50:1305-9,2007)

■DES留置後に冠攣縮が生じた症例が報告されている。
(Circulation 2006;113:e850-e851)
(JACC 46:1911-1912,2005)
(Heart 2005;91:e15)

■冠攣縮とNO
攣縮冠動脈に対するL-NMMAの効果・・・ 有効
攣縮冠動脈に対するNTGの効果  ・・・ 有効

 攣縮冠動脈では径の変化が少ない→攣縮冠動脈内皮での基礎的 NO産生能の低下
 
<L-NMMA 関連サイト>
内因性NOS阻害物質と疾病
http://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/119/1/119_29/_article/-char/ja

■冠攣縮と内皮機能障害
 内皮障害ないしは内皮剥離があるとアセチルコリンが血管平滑 筋に作用するようになる
(30歳未満の若年者ではアセチルコリンに反応しない)
 Circulation 74:955-963,1986
J Am Coll Cardiol 28:1161-1167,1996


<きょうの一曲> 
パッヘルベル/ カノン
http://www.youtube.com/watch?v=S1QPAVwE0Wc&feature=related

 

その他
ふくろう医者の診察室 
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
 井蛙内科/開業医診療録(3)
~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
があります。
 

 

 

 

 

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