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ACC2010で発表されたトライアルのうち”SORT OUT III”で勉強しました。
<目的>
通常のルーチン治療を受けている冠動脈疾患(CAD)患者において,zotarolimus溶出ステント (ZES)とsirolimus溶出ステント(SES)の有効性と安全性を比較するall-comer試験。
一次エンドポイントは9か月後の主要 有害イベント(MACE:心臓死,心筋梗塞[MI],標的血管血行再建術[TVR]の複合)。
<八尾市立病院 星田四朗 副院長のコメント>
BMS後の再血行再建術の必要性はDESの出現により半減以下になったが,安全性の面では晩期血栓症のリスクに対して不安が残る。
ステント表面に新生内膜が十分に生成されないことや炎症・リモデリングを伴うステントの不安定な装着により,ステントストラットが露出したままで血栓症が生じやすくなることが危 惧される。
このため,DESでは安全性を担保するため長期の抗血小板療法が推奨されている。
ZESは新生内膜でステントストラットを一様に覆い,ステント の不完全な装着が生じにくい。
さらに,ZESをコーティングしているポリマーは赤血球外膜のリン脂質を合成して作っているので,より安全でより炎症を生じ にくい。
本研究は第2世代DESのZESがSESよりもreal-worldでより安全で有用かを明らかにするために企画された。
結果としては,9か月後 においてZESはSESよりも主要有害イベントが有意に多かった。
18か月後においてもSESの優位性は保たれていた。
SESの有用性は,標的病変血行再 建術,心筋梗塞,ステント血栓症の頻度の低下に表れていた。
本研究では再狭窄を生じやすいハイリスク症例が多く,ZESでは内膜増殖抑制作用が弱く再狭窄 率の増加と関連し,複雑病変に対してはSESよりも有用性は低下するかもしれない。
ZESでは植込み後1週間以内に薬剤溶出は終了するがSESで は3か月間溶出する。
ZESの早期の薬剤溶出は血管壁の治癒過程を抑制し,血液と血管壁プラークとの接触が多くなり,9か月間のステント血栓のリスクが高くなる。
薬剤溶出動態を変化させたEndeavor Resoluteステントの臨床的有用性に期待したい。
1年以上の晩期ステント血栓に対する両DESの相違に関しては8,800例を3年間追跡する PROTECT studyの結果を待つ必要がある。
2009年ACCで韓国のグループが冠動脈造影(CAG) follow upをルーチンに行いSESとZESを比較し,12か月後には主要有害イベントは同等と報告している。
複雑病変を除外したENDEAVOR IVではZESとPESを比較し両者の同等性を示している。
対象病変の複雑性だけでなくエンドポイントの評価方法はイベント発生率に大きく影響する。
本研究はデンマークの5施設で行われているが,follow upとしてCAGをルーチン化せず,PCIを受けた病院での定期的な外来受診や電話での臨床状態の確認をするのではなく,それぞれの地域の病院で一般の患者と 同様に1~3か月ごとにfollowされている。
デンマークでは個人個人に生誕時に番号がついており,デンマーク国内ではどこで診察・加療しても診療 データを後日に中央のデータベースから評価することが可能である。
この方法は臨床研究のコスト削減に貢献するがイベントを過小評価するリスクがある。
どの follow up評価方法が最適かはエビデンスがないのが現状である。
<関連サイト>
■Rasmussen K et al: Efficacy and safety of zotarolimus-eluting and sirolimus-eluting coronary stents in routine clinical care (SORT OUTIII) : a randomised controlled superiority trial.
Lancet. 2010; March 13.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20231034?dopt=Abstract
■SORT OUT III: Cypher bests Endeavor at 18 months
http://www.theheart.org/article/1056151.do
■DATE registry: Three months of clopidogrel for Endeavor? Plus, Xience SPIRIT V
http://www.theheart.org/article/973901.do
■Key Clinical Data Shows That the ENDEAVOR(TM) Drug-Eluting Stent Sustains Strong Safety and Efficacy Performance over Time.
http://www.encyclopedia.com/doc/1G1-135798178.html
■Medtronic Endeavor Heart Stent Tied to Complications (Update3)
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601087&sid=aVBIOcdvYa7Q&refer=home
■Bare-Metal Versus Drug-Coated Intracoronary Stents in Clinical Practice: Are There Guidelines?
http://vasculardiseasemanagement.com/content/bare-metal-versus-drug-coated-intracoronary-stents-clinical-practice-are-there-guidelines
■Long-Term Safety and Economic Impact of Drug-Eluting Stents
http://vasculardiseasemanagement.com/article/8727
■SORT-OUT III In Perspective
http://www.medtronicstents.com/ie/endeavor-sprint-sortoutiii.htm?gclid=CNLQrciU4KACFQG1bwod8gVLBw
<番外編>
実は「SORT OUT II」もあったんですね。
SORT OUT II
<目的>
実地臨床状況下におけるsirolimus溶出ステントとpaclitaxel溶出ステントの効果と安全性を比較する。
一次エンドポイントは9か月後の有害心イベント(MACE:心臓死,急性心筋梗塞,標的病変血行再建術,標的血管血行再建術)。
<コメント>
群馬大学医学部附属病院臨床試験部 中村哲也先生
東京大学大学院医学系研究科循環器内科 永井良三教授
sirolimus溶出ステントとpaclitaxel溶出ステントの比較については,16の無作為比較試験(RCT)をまとめたメタアナリシスにより,sirolimus溶出ステントがpaclitaxel溶出ステントよりも,標的病変血行再建術とステント血栓症において優れていることが示唆されている(J Am Coll Cardiol. 2007; 50: 1373-80)。
また,38試験18,023名の患者を集めたcollaborative network メタアナリシス(Lancet. 2007; 370: 937-48)においても,sirolimus溶出ステントがpaclitaxel溶出ステントよりも優位であることが示唆されていた。
しかし,SORT OUT IIは,両者の薬剤溶出性ステントに優位な差はないことを示した。
エディトリアルでは,本試験はこれまでで最も大きなRCTであるが,組入れ基準を満たした患者のうち実際に組入れられた割合が1/3と低かったために選択バイアスがかかった可能性があること,イベント発生率が低かったことから検出力が不十分であったこと,ステント血栓症の頻度が低くなかったことから,抗血小板薬の使用について十分な事前の議論がなされていなかった可能性があるなどの問題点を指摘している。
今後,everolimus溶出ステントやzotarolimus溶出ステントなどが登場することも予定されており,最終的な結論が得られるまでにはなお長期間を要するものと思われる。
SORT OUT II
http://circ.ebm-library.jp/trial/doc/c2002772.html
その他
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があります。
アトルバスタチンの催糖尿病作用についてはライバルメーカーのMRから時々小耳に入っていました。
少し以前になりますが、スタチンの一部にインスリン抵抗性を惹起する作用があり、Ca拮抗薬の併用により、この作用を回避できる可能性が示唆されたという記事がありました。
昨年の第73回日本循環器学会・学術集会(2009.3.20〜22、大阪)のFeatured Researchセッションで、韓国・ガチョン大学ジル病院血管内科のKwang-Kon Koh氏が報告したものです。
きょうはこの記事で勉強しました。
##スタチンがひきおこすインスリン抵抗性をCa拮抗薬が抑制する
■高血圧に糖尿病が高頻度に合併することは周知のとおりである。
また、最近は肥満を基盤に高血圧、糖・脂質異常を複合的に合併するメタボリックシンドロームが増えている。
これらの事実は高血圧と代謝異常が密接な関係をもって発症すること、高血圧治療においても代謝異常への影響を慎重に考慮する必要があることを示している。
■演者らは、スタチンが糖代謝関連因子に及ぼす影響を研究しており、これまでに、シンバスタチンなどの脂溶性スタチンが、インスリン感受性改善作用をもつアディポネクチンの血中濃度とインスリン感受性指数QUICKI*を低下させること、対照的に水溶性のプラバスタチンを投与すると、血中アディポネクチン濃度とインスリン感受性が上昇することを報告している。
■スタチンは高血圧患者に対しても高頻度に使用されることから、今回Koh氏らは、スタチン投与下の高血圧患者に使用すべき降圧薬を明らかにする目的で、臨床研究を行った。
■対象は軽症・中等症の高血圧患者42例である。
試験薬として、脂溶性スタチンのアトルバスタチン(20mg/日)、Ca拮抗薬アムロジピン(10mg/日)を用い、アトルバスタチン単独、アムロジピン単独、アトルバスタチン・アムロジピン併用による治療をそれぞれ2カ月ずつ、交差法により実施した。
ひとつの治療と次の治療の間には2カ月間のウォッシュアウト期間を設けた。
なお、降圧薬としてアムロジピンを用いたのは、インスリン抵抗性改善作用が報告されているためである。
■血圧はアムロジピン投与(単独、併用)により著明に低下したが、アトルバスタチン単独では有意な変化を示さなかった。
糖代謝指標の変化をみると、血中インスリン濃度はアトルバスタチン単独で著明に上昇したが、アムロジピンを含む2治療では低下、特に単独投与による低下が著明であった。
血中アディポネクチン濃度とQUICKIはアトルバスタチン単独で大きく低下したが、アムロジピン投与時には上昇、とくにその変化は単独投与時に著明であった。
■演者は以上の成績に基づき、高血圧患者にスタチンを使用する場合、脂溶性か水溶性かを考慮する必要があるとした。
さらに、特に糖代謝異常が認められる患者に脂溶性スタチンを投与する際は、インスリン感受性改善作用をもつ薬剤を併用すべきであり、降圧効果を含めて考えると、アムロジピンのような代謝改善作用をもつCa拮抗薬の併用が望ましいとの見解を示した。
【注】
*QUICKI=1/[log(空腹時血中インスリン濃度)+log(空腹時血糖)]
出典 NM online 2009.3.30
版権 日経BP社
#甲状腺由来のコレステロール低下薬がスタチンの代替薬として有望
広く使用されているスタチン系薬剤の代替となりうる甲状腺由来のコレステロール低下薬が、小規模な初期臨床試験で良好な成績を示したことが、スウェーデンおよび米国の研究者らによって報告された。
米ジョンズ・ホプキンス大学(ボルチモア)医学部内分泌学・代謝教授のPaul W. Ladenson博士らは、スタチンを使用してもLDLコレステロール値が低下しなかった患者168例において、スタチン療法にさまざまな用量の甲状腺ホルモンアナログeprotirome(国内未承認)を追加投与。
12週間の臨床試験の結果、コレステロール値は低下し、同様の甲状腺ホルモンを用いた治療で生じる心臓やその他の臓器への懸念される副作用は認められなかった。
Ladenson氏は「今回の試験で重要なのは、同薬の肝臓を標的としたホルモン作用とLDLコレステロール以外の脂質への影響である。スタチンはリポ蛋白(たんぱく)Aなど他の血液脂質に影響を及ぼさないが、今回これらの脂質の血中レベルが有意に低下した」という。同薬を開発したスウェーデン、カロリンスカ研究所(ストックホルム)のBo Angelin博士は「甲状腺の作用が他の臓器ではなく、コレステロールが代謝される肝臓で得られれば問題はない」としている。
両氏は、同薬が血中脂質値に副作用を引き起こすことなく期待される効果を示し、最終的に心臓発作やその他の心血管疾患リスクを軽減するかどうかを確認するためにはより大規模かつ長期の研究が必要であると述べている。
研究結果は、医学誌「New England Journal of Medicine」3月11日号に掲載された。
出典 Health Da yNews 2010.3.10
http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=13016
Use of the thyroid hormone analogue eprotirome in statin-treated dyslipidemia.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20220185
<関連サイト>
Eprotirome
http://www.karobio.com/en/Research--Development/Our-RD-Portfolio2/KB2115/
CVDリスク減少に対する新規,全身性のアプローチとしてのEprotirome: スタチンへの上乗せ時の有用性
http://therres.jp/entry/2009acc_eprotirome.php
■eprotiromeは甲状腺ホルモン受容体アゴニストで,肝臓の甲状腺ホルモンに作用し,コレステロールの取込みと胆汁への排出を増加させることで,血中脂質レベルを低下させることが期待されている。
通常,甲状腺ホルモン受容体アゴニストは視床下部・下垂体・甲状腺系,心臓,骨,骨格筋など肝臓以外の器官・組織にも作用するが,eprotiromeは肝臓に選択的に働く。
そこで,スタチン治療中の患者にeprotiromeを追加投与した際,さらなる脂質低下作用が得られるかどうかを検討するランダム化比較試験が実施された。
ACC2009(2009.3.29~31,米国オーランド)のLBCT IIにおいて,Bo Angelin氏(Karolinska University Hospital)がこの試験の結果を発表した。
■eprotiromeは肝臓でのT4の貯蔵量を減少させたものの,TSHやfT3には影響を与えなかった。
心拍数の増加,心電図異常,骨代謝,骨格筋に対する影響もみられなかった。
肝酵素については,2例でALTの増加(正常上限値の3倍以上)を認めたが,ビリルビンに対する一貫した変化はみられなかった。安全性のプロファイルについて,プラセボとeprotiromeとの間に違いもみられなかった。
Bo Angelin氏はディスカッションのなかで「この試験を含めて3つのproof-of-concept試験を行い,約300例が参加しているが,eprotiromeではこの種(甲状腺ホルモン受容体アゴニスト)の薬剤で考えられるような有害事象は確認されておらず,安全性について期待がもてる」と強調し,「安全性を明確なものとするために,十分なサンプルサイズを用いた臨床試験の実施が必要」と述べた。
スタチン治療中の脂質異常症、甲状腺ホルモン製剤eprotirome投与でLDL低下
http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=13021
http://content.nejm.org/cgi/content/short/362/10/906
eprotirome (KB2115):甲状腺ホルモン・アナログのスタチン治療併用効果
http://intmed.exblog.jp/10161265/
<コメント>
相変わらずの鋭いコメントが見物です。
私も真っ先にezetimibeを連想したのですが、コメントに書かれていたので割愛。
その他
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があります。
単なる高血圧ではなく、極端な血圧の変動がみられる場合には脳卒中リスクが大幅に増大することが、新しい研究で示されました。
血圧の「変動」が脳卒中リスクであるという新しい概念です。
##極端な血圧変動は脳卒中のリスクを高める
英医学誌「Lancet(ランセット)」3月13日号、および「Lancet Neurology(ランセット神経学)」オンライン版に3月11日に掲載された英オックスフォード大学教授Peter Rothwell博士らによる4論文のうちの1つでは、一過性脳虚血発作(TIA、ミニ脳卒中)と呼ばれる軽度の脳卒中を来した被験者2,000人の4集団を対象に、高血圧および血圧の変動性について検討した。
その結果、7回の受診時の収縮期血圧(最大血圧値)の変動が最も大きかった患者は、重度の脳卒中を起こすリスクが6倍であり、血圧値が最も高かった患者群は脳卒中リスクが15倍であった。
高血圧の診断と治療の不十分さが大きな問題となっているが、「その問題の一部は血圧の変動性が診断に及ぼす影響に関する認識の不足であったことが今回の研究から示唆される」とRothwell氏は述べている。
「現行の臨床ガイドラインはいずれも、血圧値の変動や一過性の高血圧は無視し、複数の受診や24時間モニターリングの平均血圧値だけをみるよう推奨している。
今回の研究は、血圧の変動の大きさ、最大血圧値の高さおよび一過性の高血圧が脳卒中および他の血管イベントリスクを増大させることを示すとともに、血圧が正常なときがあるからといって安心してはならないことを強調するものである」と同氏はいう。
同氏らによるその他の論文では、389件の対照試験のメタ分析により、一部のクラスの降圧薬が他のクラスに比べて脳卒中予防効果が高い理由を、血圧の変動性に対する効果によって説明できるとしている。
また別の論文では、カルシウム(Ca)拮抗薬およびサイアザイド系利尿薬が血圧の変動性を軽減するのに対し、β遮断薬は変動性を増大することを明らかにしている。
Rothwell氏は「血圧を安定させると同時に降下させる新しい薬剤の開発が必要であり、平均血圧を下げずに変動性を軽減するだけの薬剤も、平均血圧の降下に忍容性のない患者には有用となる」と指摘している。
米イリノイ大学脳卒中健康センター長のPhilip B. Gorelick博士は今回の知見について、いずれも極めて重要で説得力のあり、今後の治療法に革命をもたらす可能性があると述べている。
すでに自身の臨床業務もこの知見による影響を受け始めているとのことで、血圧管理ではカルシウム拮抗薬と利尿薬が第一に検討される可能性を指摘している。
出典 Health Day News 2010.3.11
<自遊時間>
昨日、医師会での循環器関連の講演会の司会(座長)は無事終了しました。
テーマは心疾患におけるARBとACE-Iの使い分けでした。
われわれ開業医には勿体ないような格調の高い講演で他科の先生方にどれだけ理解していただけたかは少し心配でした。
しかし、フロアーからは活発な質問が飛び交い大いに助かりました。
講演会で何気に見ている座長の仕事も、実際経験してみると随分大変なものであることが分かりました。
知っている先生の講演だっただけに紹介が随分長くなってしまったことは反省点でした。
しかし、当医師会の近隣地区の循環器部長だったので今後の病診連携の促進の面ではこれはこれで良かったかも知れません。
慣れないことで大いに緊張しましたが、充実した時間を過ごすことが出来ました。
折角の講演だったので、レジュメ(résumé)を作って当医師会の機関誌にでも投稿しようかと思っています。
勿論、その際には講者の校閲と承諾を得るつもりです。
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があります。
肥大型心筋症による突然死リスクが、心電図によって予測可能であることが報告されました。
40歳未満の肥大型心筋症では、心電図によるスクリーニング感度は100%に上ったということです。
スウェーデンGothenburg大学小児科のIngegerd Ostman-Smith氏らの研究によるものです。
きょうはその記事で勉強しました。
苅尾先生のコメントも読むことが出来ました。
##肥大型心筋症の突然死が心電図で予測
同氏らは、肥大型心筋症の入院コホート群87例(HCM群)、肥大型心筋症で突然死や心停止のあった29例(HCM-CA群)、心エコーの結果が正常だった44例(正常群)、運動選手34例(運動選手群)について、心電図の結果と突然死・心停止リスクを検討した。
おもな結果は以下のとおり。
●追跡期間の平均値は、HCM群が10.2年、HCM-CA群のうち突然死のなかったグループは10.9年だった。
●HCM-CA群はHCM群に比べ、四肢誘導心電図および12誘導心電図におけるQRS電位(振幅)の合計と、QRS電位・持続時間積ともに有意に高値だった(それぞれp=0.00003、p=0.000002)。
●四肢誘導心電図QRS電位(振幅)の合計7.7mVs以上をカットオフにした際、突然死や心停止に関するオッズ比は18.8、感度は87%、陰性適中率は94%だった(p<0.0001)。40歳未満のHCM群については、同感度は90%だった。
●12誘導心電図のQRS電位・持続時間積2.2mVs以上をカットオフにした際、突然死や心停止に関するオッズ比は31.0、感度は92%、陰性適中率は97%だった(p<0.0001)。40歳未満のHCM群については、同感度は100%だった。
●四肢誘導心電図のQRS電位・持続時間積0.70mVs以上をカットオフにした際、突然死や心停止に関するオッズ比は31.5、感度は93%、陰性適中率は96%だった(p<0.0001)。40歳未満のHCM群については、同感度は100%だった。
●定性分析の結果、T波逆転(p=0.0003)、ST低下(p=0.0010)、V4における優位S波(p=0.0048)はそれぞれ、心停止のリスク因子だった。
●心電図の結果を元に、突然死・心停止のリスクスコアを作成したところ、スコア6以上をカットオフにすると、感度は85%に留まるが、陽性適中率は最も高かった。
●リスクスコア6以上カットオフで、40歳未満HCM-CA群と運動選手群との乖離が最も高かった。オッズ比は345、感度85%、特異度100%だった(p<0.0001)。
<自治医科大学 循環器科 苅尾七臣教授のコメント>
本研究は、肥大型心筋症の突然死リスクの予測に、簡便な心電図指標であるQRS電位の高さと幅の全誘導または四誘導の合計が重要であることを臨床的意義が明確な論文である。
これまで、HCMの突然死を予測する指標として、ホルターECGでのnon-sustained VTの検出、心エコーでの著明な心肥大(最大壁厚>3cm)、突然死の家族歴、失神の既往、運動負荷試験で左室流出路閉塞を示唆する血圧低下などが知られている。
本研究で示した、四肢誘導心電図のQRS電位・持続時間積0.70 mVs以上をカットオフにした際の突然死・心停止に関するオッズ比は31.5、感度は93%と極めて高い。
以前の研究では、心エコーの最大壁肥厚>3cmを予測指標にした場合、突然死・心停止の予測は感度が20%で、オッズ比は5.1であった。これと比較しても、今回、簡便なECGで評価したQRS電位・持続時間積を用いたリスクの予測が臨床的にも大変、有用であると考えられる。
研究対象者数が少ないことから、さらに、今後、多くの患者のデータベースで本エビデンスが検証されることが望まれる。
出典 Care Net.com 2010.3.26
版権 ケアネット社
<自遊時間>
きょうは昼から、地区医師会の学術講演会の座長をすることになっています。
日頃よく知っている先生なので、最初の紹介を(通り一遍でない形で)どのように行えばいいのかと悩んでいます。
会員の先生方にとって有意義な講演会になるといいのですが。
演題は「ARB とACE阻害剤の使い分け」です。
スポンサーが田辺三菱なので大方の話の流れは想像がついてしまいます。
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があります。
血小板機能検査、ステント留置術の転帰を予測可?
冠動脈ステント留置術を受けた患者1069名を対象に、血小板機能検査で臨床転帰を予測できるか前向きコホート研究で検証。
検討した検査法のうち3つで血小板機能の亢進を認めた患者で、全死因死亡、急性心筋梗塞、ステント血栓症、虚血性脳卒中が高率だったが、著者らは予測精度はそれほど高くなかったと指摘している。
原文
Comparison of Platelet Function Tests in Predicting Clinical Outcome in Patients Undergoing Coronary Stent Implantation
JAMA. 2010;303(8):754-762.
出典 m3.com 2010.2.26
http://www.m3.com/news/THESIS/2010/2/26/10198//
このJAMAへ掲載された論文については
日経メディカルオンライン 2010.3.15
で詳しく紹介されています。
JAMA誌から
ステント留置後の血小板機能検査で得られる利益は少ない
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/jama/201003/514530_2.html
出典 NM online 2010.3.15
版権 日経BP社
■冠動脈ステントの留置後、患者には抗血小板薬の2剤併用が行われる。
だが、治療に対する反応性は患者ごとに異なる。
そこで、オランダSt Antonius病院のNicoline J. Breet氏らは、治療中の血小板活性を知るための最適の検査法を同定しようと、6通りの血小板機能検査の精度を比較する前向きコホート研究を行った。
この結果、3通りの検査が有用性を示したものの、アテローム血栓性イベント発生の予測精度は中程度に留まった。
■アスピリンとクロピドグレルという抗血小板薬2剤の併用は、ステント留置を含むPCI適用患者のアテローム血栓性イベントを抑制する。
しかし、患者ごとに治療に対する反応性は異なるため、個々の患者の血小板活性を正確に知り、イベントを回避するための介入を行うことは重要だ。
■著者らは、臨床転帰の予測において有用かどうかという観点から、血小板機能検査法を比較する単施設試験Popularを実施した。
■この試験は、ステント留置を含むPCIを受け、クロピドグレルとアスピリンを使用している患者を対象に、複数の血小板機能検査法のアテローム血栓性イベント予測能力を比較したもの。
■冠動脈疾患で、2005年12月から2007年12月の間に待機的な冠動脈ステント留置術を受けた人々を、連続で1069人(平均年齢は64歳)登録。
すべての介入はガイドラインに沿って行われた。
患者は、ステント留置前から最適な用量のクロピドグレルとアスピリンの投与を受けていた。
術後1年間はクロピドグレル75mg/日とアスピリン80〜100mg/日を投与した。
■ステント留置後、維持用量のクロピドグレルとアスピリンを使用している患者から採血し、以下の方法で血小板活性を測定した。
中略
■著者らは結論として、今回の結果は少なくとも、イベントリスクが低い患者に血小板機能検査を行っても利益はほとんどないことを示した、と述べている。
<コメント>
たまたまCare Net.comを検索していて同じ元論文の紹介がされていました。
血小板機能検査は冠動脈ステント留置後の予後に役立つか?
http://www.carenet.com/news/cardiology/newsnow/det.php?nws_c=12795
Care Net.com 2010.3.22
Cardiology News Nowのコーナーで自治医科大学 循環器科 苅尾七臣教授がコメントをつけていました。
以下、引用します。
冠動脈疾患患者のステント治療後には、アスピリンとチエノピリジンの2剤を用いた強化抗血小板療法により、心血管イベントの発生リスクが低下することが知られている。しかし、このような2剤を用いている状況下においても、血小板凝集抑制効果には個人差があり、血小板凝集が十分に抑制されていないこともある。
これまでの研究では、この抗血小板療法中の残存血小板機能が院内合併症の発生リスクに影響を与えることが示されているが、いずれの研究も1つの血小板凝集試験により評価している。
しかし、血小板凝集能の検査は、採血から測定までの時間や凝集惹起物質の種類や濃度、測定器などの影響を大きく受け、その結果は検査方法により大きく異なる。
こういった背景を受けて、どのような血小板機能検査が、実際の臨床的に有用であるかを検討したが、3つの検査法で、凝集亢進群でその後の心血管イベント発生リスクが2倍増加していた。一方、凝集能と出血イベントのリスクとは全く関連がなかった。
血小板凝集能は煩雑で、標準化も十分になされておらず、その予後予測能もあまり高くないことから、現時点で直ちに臨床的に測定した方が良いとは言い難い。
しかし、今後、新規の抗血小板薬が多く登場してくる。その薬効と出血リスクの至適治療範囲の基準を設定の代替指標としての血小板凝集能の評価は極めて重要である。今後、血小板凝集検査の標準化が待たれる。
版権 (株)ケアネット
<関連サイト>
血小板凝集能検査, Platelet aggregation
http://www.okayama-u.ac.jp/user/hos/kensa/gyouko/pa.htm
<番外編>
ABI低値例、アスピリンによる心・脳血管イベント予防効果認めず
ABI低値(0.95以下)で心血管疾患既往のない患者3350名を対象に、アスピリン100 mg 1日1回投与の有効性を二重盲検無作為化比較試験で検討。その結果、プラセボ群と比較して心・脳血管イベント予防効果に有意差は認められなかった。
原文
Aspirin for Prevention of Cardiovascular Events in a General Population Screened for a Low Ankle Brachial Index
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/303/9/841
出典 m3.com 2010.3.8
http://www.m3.com/news/THESIS/2010/03/08/10221/
シロリムス溶出ステント、ゾタロリムス溶出ステントに比べ有害事象低率
冠動脈疾患を有する成人患者1162名を対象に、シロリムス溶出ステントとゾタロリムス溶出ステントの有効性・安全性を単盲検優越性試験で比較。9カ月および18カ月追跡後の心臓死、心筋梗塞、標的血管の血行再建などの有害事象発生率は、シロリムス溶出ステント群で低率だった。
原文
Efficacy and safety of zotarolimus-eluting and sirolimus-eluting coronary stents in routine clinical care (SORT OUT III): a randomised controlled superiority trial
The Lancet, Early Online Publication, 15 March 2010
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(10)60208-5/abstract
出典 m3.com 2010.3.18
http://www.m3.com/news/THESIS/2010/03/18/10288/
その他
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。
植え込み型心内圧モニター(Implantable Hemodynamic Monitor;IHM)を使用した臨床試験「The COMPASS-HF(Chronicle Offers Management to Patients with Advanced Signs and Symptoms of Heart Failure)study」についての記事で勉強しました。
ハーバード大学医学校教育関連病院ブリガムウィメンズホスピタル 循環器内科重症心不全・心移植部門
加藤 真帆人先生の解説です。
ESCAPE試験のリベンジ「COMPASS-HF」は成功したか?
COMPASS-HFのデザイン
■COMPASS-HFは,274例の慢性心不全患者を対象に,IHMデバイス(Chronicle®, Medtronic Inc.)が,その予後に与える影響を調査した臨床試験である。
■被験者はEjection Fraction(EF)によらず,NYHA IIIもしくはIVの症状を呈する慢性心不全患者とし,被験者全員にIHMデバイスの植え込みを行い,モニター機能をONにしたChronicle group(n=134)と,OFFにしたControl group(n=140)とに割り付けた「単盲検試験」である。
■この試験のプライマリーエンドポイントは「心不全関連イベント」,つまり,6か月の追跡期間中に心不全の『急性増悪』による入院もしくは医療機関を緊急受診した合計回数と設定された。
#プライマリーエンドポイントの設定は正しかったのか?
■しばしば「死亡数」がエンドポイントとされるが,この試験では患者総数が274例と少なく,また経過観察期間が6か月間と短いために,両群を合わせても死亡する患者数が少なく,対照群との差が付かないことが予想されたため,「心不全関連イベント」の総数をプライマリーエンドポイントと設定された。
NYHA IIIもしくはIVである重症心不全患者であれば「心不全関連イベント」の総数は,かなりの数が見込めると考えて試験をデザインしている。
■しかし,プライマリーエンドポイントを「死亡」ではなく「心不全関連イベント」としたことで,解析および結果の判定が少し複雑になっている。
■被験者は一度「死亡」してしまえば「二度死亡する」ことはありえない。
しかし,「心不全関連イベント」は「死亡」と違い,同じ患者が何度でも起こしうる。
「心不全関連イベント」の発生率では有意差が出ず!
■結果は,プライマリーエンドポイントである「心不全関連イベント」に関しては,6か月の追跡期間中,Chronicle groupの44例の患者に合計84回(イベント発生率0.67/6 patient-months)の心不全関連イベントが発生し,一方,Control groupでは,60例の患者に合計113回(イベント発生率0.85/6 patient-months)のイベントが生じた。
■つまり,Chronicle groupでは6か月間に1人当たり0.67回の「心不全関連イベント」が起こり,Control groupでは1人当たり0.85回起きた。
そしてこの「心不全関連イベント」の総回数については,両群間では有意差はなかった(P=0.33)。
つまり,「IHMデバイスであるChronicle®は『急性増悪』による入院もしくは緊急受診の回数を減らすことができなかった」ということになる。
<コメント>
以下は、この記事のポイントですので原文のまま引用します。
私個人としては、論文の読み方の勉強になりました。
見慣れないグラフにInvestigatorたちの悔しさが透けて見える!
■いろいろな意見があると思いますが,統計学的解析では上記のような結果になってしまいました。
Investigatorたち(いや,おそらくスポンサー)は,さぞかしこの結果に納得がいかなかったのでしょう。
そこでこんな見慣れないグラフを持ち出しています(図1)。

■図1の一番右端を見てください。
イベント8回のところです。Chronicle groupで「1」と記述されています。
この被験者は6か月間で8回も『急性増悪』を起こしています。
■もし,この被験者がいなければ,イベント数6回と7回にはControl groupの被験者だけしかいませんので,Chronicle groupでの「イベント発生率」はグンと減って,もしかしたら有意差が付いていたかもしれません。
この少し見慣れないグラフは,そのことを訴えたかったわけですね。
どちらが重症なのだろう? 統計マジック炸裂か!?
■次に,このInvestigatorたちは「Kalpan-Meier曲線(サバイバル曲線 )」を用いて「6か月間心不全による入院をしなくてもすんだ被験者の割合」を曲線に描き,比較してみせています。
■このサバイバル曲線を描くのに使用したエンドポイントである「心不全による入院」とは,プライマリーエンドポイントとなにが違うのでしょうか?
#実は大きな違いがあるのです!
■サバイバル曲線にすることで,一度,心不全入院をした被験者は,その後の解析から「外されます」。
そして残った被験者数は「Number at Risk」としてグラフに表記しなければなりません。
■つまりこの解析では,6か月間に1度しかイベントを起こさなかった被験者も,8回もイベントを起こした被験者も,その回数は全く不問にして,初めてイベントを起こすまでの時間のみが比較解析されているわけです。
■例えば,Aという被験者はエントリーから一月後に最初の入院をして,その後,毎月入退院を繰り返し,6か月間に6回入院したとします。
Bという被験者は,エントリーからわずか1週間で入院しましたが,その後は一度も入院しませんでした。
■さて,被験者Aと被験者Bでは,どちらが重症であると考えられるでしょうか?
■もちろん入退院を繰り返した被験者Aなのですが,このサバイバル曲線では,被験者Bがより重症である,というような扱いになります。
なぜなら,「エントリーしてからどれだけ入院しないですんだか?」がサバイバル曲線の示すところだからです。
■もっと正確に述べれば「何をもって重症と言うのか!」ということになります。
「心不全関連イベントの回数」なのか,「最初の心不全入院までの時間の短さ」なのか,ということで,統計はなにも嘘を言ってはいません。
だからこそ,臨床試験のデザイン,特にエンドポイントの設定は「臨床試験の命」なのです。
#人は二度死ねない! 美しい「Kaplan-Meier Curve」にはとげがある
■エンドポイントが「死亡」であれば,このようなことは起こり得ません。
なぜなら「二度は死亡できない」からです(先述)。
しかし,エンドポイントを「心不全関連イベント」としてしまうと,複数回イベントを発生する被験者が出てきてしまい,サバイバル曲線による解析は,正確さを欠くことがあるのです(図2)。

■したがって,このように「美しい」Kalpan-Meierを見ても,それにだまされてはいけません。
この試験のエンドポイントは「美しいKalpan-Meier Curve」ではなく「『急性増悪』を予防することができる」か否か,なのです。
■ということで「COMPASS-HF」では,デバイス自体の安全性は証明されたものの,プライマリーエンドポイントである「心不全関連イベント」の減少を示すことができませんでした。
この結果を受けて,米国FDAはMedtronic社から提出されていた本デバイスの保険適応申請を却下しました。
■なぜ,IHMデバイスは『急性増悪』を予防することができなかったのでしょうか?
参考文献:
Bourge RC, et al. J Am Coll Cardiol 2008; 51(11): 1073-1079
出典 MT pro 2010.2.11
版権 メディカルトリビューン
<番外編 その1>
安静時心電図による循環器疾患の発症リスクや死亡の予測研究は,各国で盛んに行われています。
滋賀医科大学公衆衛生学部門の長澤晋哉氏は,24年にわたる前向きコホート研究の結果,P波異常(僧帽性P)が将来の循環器疾患リスクの上昇と関連していることを突き止めました。
~僧帽性P波異常~
循環器疾患リスクの上昇と関連
粗死亡率は正常者より数倍
■研究は,1980年循環器疾患基礎調査受検者である30歳以上の男女1万546人を対象としたコホート研究「NIPPON DATA80」において実施された。
全員に標準化した方法で問診,血圧・身体測定,血液検査,心電図検査を行った。
心電図所見は独立した2人の研究者がミネソタコード(MC)に従いコード化し,一致しない場合はもう1人の研究者がコードを決めた。
P波異常は肺性Pと僧帽性Pに分けられ,それぞれMC9-3-1とMC9-3-2に判定される。基準は「肺性P:P波の高さ>=0.25mV(2.5mm)」(II,III,aVFのいずれか),「僧帽性P:P波の幅>=0.12秒(3mm)」( I ,IIのいずれか)である。
■統計手法はP波異常の循環器疾患と総死亡に対するハザード比(HR)をCox比例ハザードモデルで算出。調整因子は性,年齢,BMI,収縮期血圧,血清総コレステロール値,血糖値,飲酒,喫煙とした。
追跡したのは循環器疾患の既往や心房細動,心房粗動のない1万199人であった。
■総死亡の粗死亡率(年対1,000人)は,P波正常群では13.1に対しP波異常群では34.7であった。
P波正常群に対するP波異常群の多変量調整HRは1.32と有意な上昇は認められなかった。
循環器疾患の粗死亡率(年対1,000人)は,P波正常群では4.7に対しP波異常群では18.1であった。
P波正常群に対するP波異常群の多変量調整HRは2.18と有意に高く,特に僧帽性P群では2.24倍と高かった。
長澤氏は「P波異常,特に僧帽性Pは将来の循環器疾患死亡リスクの上昇と関連した。僧帽性Pは心室機能障害とも関連していると言われるが,心電図を読むにはさらなる注意が必要と考えられる」とまとめた。
<コメント>
多くの先生はあれっと思われるような内容です。
私も勤務医の頃、長らく「心電図のコメント書き」をやっていました。
今や、心電図も自動解析が普及してそういった「手作業」も行われていないのではないでしょうか。
「mitral P(僧帽性P)」の心電図波形をみて僧帽弁狭窄症の患者を見つけたのも今となっては懐かしい思い出です。
「sinistro P(左房性P)」というコメントも幾度書いたかと思うと感無量です。
さて、私の認識では、「mitral P(僧帽性P)」と「sinistro P(左房性P)」とは異なるのです、この点はどうなんでしょうか。
またsinistro PはLVEDP(だけではないでしょうが)の上昇を意味しているという認識だったのですが、そう考えれば目新しい内容といえるかどうかと考えてしましました。
<P波 関連サイト>
心房負荷
http://www.udatsu.vs1.jp/atrial-overload.htm
<番外編 その2>
オルメサルタンが安定狭心症患者においてアテローム進展率を低下
■安定狭心症患者に対するARBオルメサルタンの投与は、冠動脈アテロームの進展率低下をもたらすとの研究論文が、「Journal of the American College of Cardiology」3月9日号に掲載された。
■心臓病センター榊原病院(岡山市)の廣畑 敦氏らは、安定狭心症患者247人を対象とする試験(OLIVUS)を実施した。
被験者は冠動脈疾患を有し、(梗塞)責任血管に対して経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けるとともに、非責任血管に対して血管内超音波検査(IVUS)を受けた。
処置後、オルメサルタン(10-40mg)投与群または対照群のいずれかに被験者を割り付けた。
■ベースライン時および14カ月時にIVUSを実施した結果、対照群と比較して、オルメサルタン投与群のアテローム容積率および総アテローム容積の変化は有意に低かった(総アテローム容積は5.4% vs. 0.6%、アテローム容積率は3.1% vs. -0.7%)。
■著者らは「患者の特徴および血圧管理は2群間で同様であった。しかし、追跡IVUSの結果、オルメサルタン投与群では総アテローム容積およびアテローム容積率の変化率が有意に低かった。以上の所見は、安定狭心症患者の冠動脈アテローム進展率を潜在的に低下させるという、オルメサルタンのポジティブな役割を示唆する」と述べている。
<原文>
Impact of Olmesartan on Progression of Coronary Atherosclerosis
J Am Coll Cardiol, 2010; 55:976-982
http://content.onlinejacc.org/cgi/content/abstract/55/10/976
HealthDay News 2010.3.5
その他
ふくろう医者の診察室
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(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
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井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
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井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。
ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者において、ルーチンの末梢保護(DP)は有害な心イベントの発症率の増加をもたらすという研究論文が「Journal of the American College of Cardiology」2010年3月2日号に掲載されました。
きょうは、その紹介記事で勉強しました。
結論は
「フィルターワイヤーのルーチンの使用は推奨されず、STEMI患者に対するプライマリPCI施行時にはおそらく避けるべきである」
ということでした。
DEDICATION(Drug Elution and Distal Protection in ST Elevation Myocardial Infarction: ST上昇型心筋梗塞における薬剤溶出および末梢保護)試験という臨床試験の存在も初めて知りました。
末梢保護を受けたSTEMI患者ではステント血栓症および血行再建術が増加
デンマーク、オルフス大学病院(Skejby)のAnne Kaltoft氏らは、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受け、DPまたは従来治療のいずれかにランダム(無作為)化されたSTEMI患者626人のデータを分析した。
患者はDEDICATION試験に参加しており、15カ月間の追跡調査を受けた。
その結果、DP群では明らかなステント血栓症の発症率が高かった(9例 vs. 1例)。
また、DP群では、臨床的に刺激した標的病変の血行再建術(31例 vs. 18例)および標的血管の血行再建術(37例 vs. 22例)が多く認められた。
著者らは「短期、中期、長期的な血管造影または臨床エンドポイント(評価項目)に関して、今回のランダム化試験ではベネフィットがみられなかった。これとは対照的に、ルーチンのDPを受けた患者群では、15カ月以内の有害な心イベント発症率が有意に高かった。DPを評価した以前の試験結果と併せると、DEDICATION試験の結果は、現状のフィルターワイヤーのルーチンの使用は推奨されず、STEMI患者に対するプライマリPCI施行時にはおそらく避けるべきであることを示している」と述べている。
<原文>
Increased Rate of Stent Thrombosis and Target Lesion Revascularization After Filter Protection in Primary Percutaneous Coronary Intervention for ST-Segment Elevation Myocardial Infarction
J Am Coll Cardiol, 2010; 55:867-871
15-Month Follow-Up of the DEDICATION (Drug Elution and Distal Protection in ST Elevation Myocardial Infarction) Trial
http://content.onlinejacc.org/cgi/content/abstract/55/9/867
出典 HealthDay News 2010.2.26
<番外編 その1>
重症心不全への貧血治療開始時のHb値は10g/dL以上がよい
重症心不全患者にしばしば合併するのが貧血で、治療の1つに赤血球造血刺激因子(EPO)投与があるが、EPO治療はHb値が10g/dL以上で始め、2g/dL以上の上昇がみられれば、貧血や心不全の改善が期待できる可能性が示された。
第74回日本循環器学会総会・学術集会(2010.3.5~7, 京都)で、国立病院機構まつもと医療センター松本病院循環器科の矢崎善一氏が発表した。
出典 NM online 2010.3.10
版権 日経BP社
<番外編 その2>
AF患者の血栓リスク評価はCHADS2スコアにCKDを追加すると精度向上
CHADS2スコアは、心房細動(AF)患者の血栓リスクを良好に反映する指標として、近年普及してきた。
このCHADS2スコアに慢性腎不全(CKD)の有無を組み合わせて層別化することにより、AF患者の死亡リスクを予測するツールとして使える可能性が示された。
東京大学臨床疫学システム講座の鈴木信也氏らが、第74回日本循環器学会総会・学術集会(2010.3.5~7, 京都)にて報告した。
鈴木氏らは、今回の発表に先立ちCHADS2スコアは血栓塞栓症だけでなく死亡リスクとも相関することを見出している。
そこで同スコアにCKDの有無という新たな基準を組み合わせることにより、さらに予測精度が向上するのではないかと鈴木氏らは考え、今回の解析を行った。
中略
解析の結果、CHADS2スコアが増加するに従って死亡率は増加した。
また、すべてのスコアグループにおいて、CKDのある群のほうがない群より死亡率が高率であった。
それぞれのグループ・群における死亡原因をみると、CKDのある群ではCHADS2スコア1または2の比較的低い層に心不全死が多くみられた。
脳卒中、血栓塞栓症による死亡は、CKDのない群ではCHADS2スコア≧4のグループに多くみられたのに対し、CKDのある群ではCHADS2スコア3のグループでの発生が最も多かった。
以上の結果から、CHADS2スコアにCKDの有無を組み合わせた二元的なスケールはAF患者の死亡リスクを良好に反映すること、CKDのある群では、CKDのない群と同じCHADS2スコアであっても死亡リスクは高いことが示唆された。
鈴木氏は、「CKDのある患者は、比較的低いCHADS2スコアであっても細心の注意を払い、ARBの投与など積極的な治療を考えるべきであろう」と述べた。
出典 NM online 2010.3.10
版権 日経BP社
<「CHADS2スコア」の復習>
Congestive heart failure(心不全)、Hypertension(高血圧)、Age(年齢;75歳以上)、Diabetes(糖尿病)、Stroke(脳卒中)の頭文字をとったもの。C・H・A・Dの項目に該当すれば各1点、Sの既往があれば2点とカウントし、合計スコアが0点なら血栓塞栓症を生じるリスクは低く、1-2点なら中等度リスク、3点以上は高リスクと評価される。
<番外編 その3>
ミグリトールがMetS患者の内臓肥満を改善して動脈硬化リスクを低減
内臓肥満はメタボリックシンドローム(MetS)の基盤となる病態で、他の危険因子の「呼び水」となって動脈硬化のリスク集積を促進する。琉球大学第二内科の島袋充生氏らは、αグルコシダーゼ阻害薬(α-GI)ミグリトールが内臓肥満の改善に働くことを、第74回日本循環器学会総会・学術集会(2010.3.5~7, 京都)にて報告した。
演者らは、α-GI投与によって食後高血糖が改善して過剰なインスリン分泌を抑える可能性があり、内臓脂肪の蓄積も抑制されるのではないかと推測。
その仮説を検証するため、ミグリトール投与と非投与との比較試験を計画した。
中略
12週間のミグリトール治療はMetS患者の耐糖能とインスリン抵抗性を有意に改善すると同時に、内臓肥満を改善して体重やBMIの減少をもたらすことが示された。
演者は、「MetSの基盤である内臓肥満が、ミグリトール投与によって改善されるのであれば、インスリン抵抗性と耐糖能のさらなる改善が望めるのみならず、代謝異常や血行動態異常なども含めた動脈硬化リスクの総合的な改善も期待できるかもしれない」と述べた。
出典 NM online 2010.3.10
版権 日経BP社
<自遊時間>
念願の自院のホームページを現在作成中です。
何を今更と思われる先生方も多いでしょうが、手作りのため結構大変です。
開設を目前にして軽い興奮状態にあります。
その他
「治療の成否の評価は、半年後ではなく、それより時間を経た時点の測定値を指標にした方がよさそうだ」という内容の論文がBMJ誌2009年5月23日号に報告されたという記事で勉強しました。
##BMJ誌から
##降圧治療の「失敗」判定、半年後では早すぎる
##アジア、欧州などで行われた無作為化試験の分析結果
オーストラリアSydney大学のKatherine Keenan氏らは、降圧治療の開始後3カ月時点の血圧をベースラインとした場合、その6カ月後の血圧測定値は一過性の変動の影響を受けやすく、治療を受けながら血圧が上昇した患者を同定できる確率が低いことを明らかにした。
降圧治療を開始した患者には、外来での定期的な血圧測定が行われる。
治療に対する反応を調べて、必要なら治療戦略を変更する必要があるからだ。
しかし、血圧は変化しやすく、「ノイズ」のなかから実際の血圧上昇を示す「シグナル」を見いだすことは難しい。
「ノイズ」を指標として治療方針を変えれば、過剰治療に結びつく恐れがある。
著者らは、降圧治療中の患者の血圧測定値の変動がどの程度あるのかを知り、実際に治療が十分でない患者を見いだすために役立つ測定のタイミングを明らかにしようと考え、アジア、オーストラリア、欧州の172施設で行われた無作為化試験PROGRESS(Perindopril pROtection aGainst REcurrent Stroke Study)の結果を分析した。
分析の対象になったのは、PROGRESSに登録され、介入群に割り付けられて、2種類の降圧薬の投与を受けた患者だ。
脳卒中歴または一過性脳虚血発作歴のある患者1709人が、ペリンドプリル4mg/日+インダパミド2.0〜2.5mg/日に割り付けられた。
血圧は、水銀血圧計を用いて5分間隔で2回測定、平均値を求めた。
割り付け後は、3カ月、6カ月、9カ月、15カ月、21カ月、27カ月、33カ月の時点で測定。
今回は、3カ月時の測定値を治療によって達成される血圧とし、ここを起点にその後の変動を調べた。
測定値は、実際の血圧に短期的(数日〜1週間)な変動が加わった値を示すと考えられる。
短期的な変動は、測定時の技術的な誤りに起因する場合と、患者自身の個人内変動を示す場合があるだろう。
割り付け時の血圧の平均値は149mmHgと87mmHgで、割り付けから3カ月後には133mmHgと80mmHgになっていた(1709人の患者が測定を受けた)。
これをベースラインの血圧値とし、その後の測定値と比較したが、血圧の平均値は追跡期間中ほとんど変化していなかった
だが、ベースラインと比較した血圧差の分散は時間経過とともに拡大していた。収縮期血圧の場合、SDは、ベースラインから3カ月目が3.8mmHg、15カ月目が9.8mmHg、33カ月目は11.8mmHgとなった。拡張期血圧のSDは、3カ月目が2.7mmHg、15カ月目が5.1mmHg、33カ月目が6.6mmHgだった。
各測定時の分散の変化を利用して、測定値の上昇が実際に治療失敗を示す可能性を推定した。
まず、収縮期血圧では、ベースラインで実際の血圧が120mmHgだった患者と130mmHgだった患者を想定、それぞれ20mmHgと10mmHg上昇し、測定値が140mmHg以上を示した患者のうち、真陽性者(治療失敗)はどの程度いるのかを推算した。
ベースラインが120mmHgだった患者の場合、6カ月後の時点では、測定値が140mmHg以上を示した(20mmHg以上上昇した)患者の中に真陽性が1人いれば、偽陽性は200人超存在することが示された。
偽陽性者の比率は時間経過と共に減少し、33カ月時には、真陽性1人につき偽陽性は2.4人となった。
ベースラインが130mmHgの患者では、6カ月の時点で測定値が140mmHg以上を示した患者の中で、真陽性1人につき偽陽性が6人存在することが示された。
33カ月の時点では真陽性1人につき偽陽性は0.8人まで減少した。
拡張期血圧では、ベースラインの血圧が80mmHgだった患者の6カ月時の測定値が90mmHg以上だった場合に、真陽性が1人につき偽陽性は39人存在し、33カ月の時点は真陽性1人につき偽陽性1.9人という結果になった。
ベースラインが85mmHgの患者では、6カ月目の測定値が90mmHg以上になった真陽性者1人につき偽陽性は3.5人、33カ月では1人につき0.8人となった。
このように、ベースラインと比べた測定値の上昇が実際の血圧上昇を反映する可能性は、収縮期血圧、拡張期血圧ともに時間と共に上昇し、21カ月以降は真陽性と偽陽性の比率が1に近付いていった。
これは、偽陽性者の数は一定だが、真陽性者が増加したためと考えられた。
得られた結果は、降圧治療に対する患者の反応を評価するためには、6カ月後の外来での血圧測定値ではなく、より時間を経た時点で測定した値を指標にした方が良いことを示唆した。
また、「ノイズ」を極力小さくし、実際の血圧変化を反映する信頼性の高い情報が得られる血圧測定戦略を構築するための研究が緊要だ、と著者らは述べている。
原文
Long term monitoring in patients receiving treatment to lower blood pressure: analysis of data from placebo controlled randomised controlled trial
BMJ 2009;338:b1492
http://www.bmj.com/cgi/content/full/338/apr30_1/b1492
(引用文献を含めFull Textで読むことが出来ます)
この文献で興味深いのは、
What is already known on this topic
と
What this study adds
が
書かれていることです。
まるで査読者の目線で、いい試みと思います。
本来、読み手がこういった意識を持てれば最高ですが。
What is already known on this topic
Long term monitoring of patients receiving blood pressure lowering drugs is common clinical practice and recommended by guidelines
Individuals’ blood pressures vary considerably from day to day, making it difficult to measure the true level
Assessments of treatment efficacy based on noisy measurements might be misleading
What this study adds
Recommended monitoring strategies are poor methods for detecting response to blood pressure lowering drug treatment
Guidelines for the management of blood pressure should include evidence based recommendations about monitoring strategies in addition to providing advice about the choice of treatment
<コメント>
結論は特に目新しいものとも思えませんが、こういった結論に持ってくるまでのロジックと忍耐力(粘着性?)はアングロサクソンの独壇場でしょうか。
スペックルトラッキング法がCRTの患者選択に役立つ
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(09)61965-6/abstract#
心拍数の緩やかな管理、厳格な管理と心血管イベント同等
文献:Van Gelder IC et al. Lenient versus Strict Rate Control in Patients with Atrial Fibrillation. NEJM. March 15, 2010
持続性心房細動患者614名を対象に、心拍数の緩やかな管理と厳格な管理の有効性を無作為化試験で比較。心臓死および心血管疾患による入院の複合で評価したところ、3年目の推定累積発生率は、緩やかな管理群12.9%、厳格な管理群14.9%であり、両群で副作用の発現頻度も類似していた。
http://www.m3.com/news/THESIS/2010/03/18/10290/?Mg=68c3392b5c571bb1963787fa49337493&Eml=31ef79e7aaf65fca34f0f116a57fd65d&F=h&portalId=mailmag
<原文>
Lenient versus Strict Rate Control in Patients with Atrial Fibrillation
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/NEJMoa1001337v1
DES後のアスピリン+クロピドグレル併用、12カ月以上はアスピリン単独と有意差なし
文献:Park SJ et al. Duration of Dual Antiplatelet Therapy after Implantation of Drug-Eluting Stents. NEJM. March 15, 2010
薬剤溶出ステント(DES)を施行され、12カ月以上重大なイベントが見られなかった患者2701名を対象に、アスピリン+クロピドグレル併用とアスピリン単独に無作為に割り付け、心筋梗塞と心臓死の複合を主要評価項目として比較。2年後の主要評価項目の累積リスクは併用群1.8%、単独群1.2%であり、両群間に有意差はなかった。
http://www.m3.com/news/THESIS/2010/03/18/10292/
<原文>
Duration of Dual Antiplatelet Therapy after Implantation of Drug-Eluting Stents
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/NEJMoa1001266v1
<番外編 その1>
##クロピドグレル+PPI併用、冠動脈疾患患者の入院リスク低下
文献:Ray WA et al. Outcomes With Concurrent Use of Clopidogrel and Proton-Pump Inhibitors: A Cohort Study. Ann Intern Med. 2010;152(6):337-345
冠動脈疾患患者20596名を対象に、クロピドグレル+PPI併用と胃十二指腸出血および重症心血管疾患による入院リスクの関連を後ろ向きコホート研究で検討。
PPIを併用した患者では、併用していない患者に比べ胃十二指腸出血による入院が50%減少した。
重症心血管疾患による入院は28.5/1000人・年の減少が見られた。
http://www.m3.com/news/THESIS/2010/03/18/10289/
<原文>
Outcomes With Concurrent Use of Clopidogrel and Proton-Pump Inhibitors
A Cohort Study
http://www.annals.org/content/152/6/337.abstract
<番外編 その1>
#シロリムス溶出ステント、ゾタロリムス溶出ステントに比べ有害事象低率
文献:Rasmussen K et al. Efficacy and safety of zotarolimus-eluting and sirolimus-eluting coronary stents in routine clinical care (SORT OUT III): a randomised controlled superiority trial. Lancet. Early Online Publication, 15 March 2010
冠動脈疾患を有する成人患者1162名を対象に、シロリムス溶出ステントとゾタロリムス溶出ステントの有効性・安全性を単盲検優越性試験で比較。
9カ月および18カ月追跡後の心臓死、心筋梗塞、標的血管の血行再建などの有害事象発生率は、シロリムス溶出ステント群で低率だった。
http://www.m3.com/news/THESIS/2010/03/18/10288/
<原文>
Efficacy and safety of zotarolimus-eluting and sirolimus-eluting coronary stents in routine clinical care (SORT OUT III): a randomised controlled superiority trial
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(10)60208-5/abstract
<番外編 その3>
m3.com の「診断・Q&A(仮称)」ネタです。
夜間右側臥位での不整脈
http://medqa.m3.com/doctor/showMessageDetail.do?messageId=2672
者は45歳、男性。
実は私なのですが…。
右側臥位となった時のみ、2月に1〜2度くらいの頻度で、不整脈が出ます。
仰臥位や左側臥位では全く症状が出ることはないのですが、右側臥位となった時のみ、2月に1〜2度くらいの頻度で、不整脈が出ます。
それは頻脈性でも徐脈性でもなく、脈が欠滞する不整脈です。
という質問に対して
心膜欠損(部分欠損)→MRI
左房粘液腫→UCG
といった流石にm3.com の愛読者(?)はハイレベルと思いました。
お釈迦さんの涅槃図でもわかる通り、一般的には右側臥位の方が心負担は少ない筈ですが、この先生の場合は右側臥位で不整脈が出るようです。
このQ&Aでは触れられていませんが、メカニズムは別として、体位性の心室性期外収縮は割と常識的な話と思っていました。
論文でも、そんなのを読んだ記憶がありますし、診察室で期外収縮が頻発する患者に、心電図記録をとろうとして横になってもらった途端に見事に消失してしまった経験をお持ちの先生方も多いのではないでしょうか。
早期再分極は、健診などの心電図でたまに見かける異常波形です。
従来は問題なしと考えられてきましたが、最近、致死性不整脈との関連が海外で相次いで報告され、ハイリスク者の拾い上げが課題になっているようです。
実は危ない早期再分極 下壁誘導のJ波、失神歴に注意
12誘導心電図で早期再分極が見られる中年層の人は、初回の心電図検査から15年ほどたってから、心疾患や不整脈による死亡リスクが高くなる─。
昨年末、The New England Journal of Medicine誌(N Engl J Med 2009;361:2529-37.)にフィンランド・オウル大学のJani T.Tikkanen氏らがこのような内容の論文を発表し、不整脈専門医たちの注目を集めた。
早期再分極とは、12誘導心電図で、QRSとST接合部であるJ点が基線に戻らず持ち上がる(ST上昇)波形。
側壁誘導を中心に複数の誘導で見られ、心筋梗塞など心臓の器質的疾患がないものを指す。
長年、正常心電図と波形は異なるものの病的意義はないと考えられてきた。
だが、この論文によれば、下壁誘導で0.2mVを超えてJ点が上昇しているケースでは、心疾患と不整脈による死亡リスクが、早期再分極がないケースに比べて約3倍も高かった(図1)。
これらの心疾患死亡リスクは、左室肥大やQT延長でのリスクよりも高いという。
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フィンランドの30〜59歳の一般住民1万864人を対象に検討。下壁誘導で0.2mVを超えるJ点上昇が見られた群36人(0.3%)では正常群と比べて、心疾患による死亡、不整脈死がともに多かった(正常群を1.0とすると相対リスクはそれぞれ2.98〔P<0.001〕、2.92〔P=0.01〕)。
最初の心電図検査を行って15年後から差が開き始め、その後は年々差が広がっていった。(N Engl J Med 2009;361:2529-37.)
08年にも、Haissaguerre氏らが、特発性心室細動を来した後に救命された206人を健常者と比較したところ、早期再分極の頻度が有意に高いと発表している(N Engl J Med 2008;358:2016-23.)。滋賀医大病院リハビリテーション科助教の林秀樹氏は、「これがきっかけとなって不整脈専門医たちの早期再分極への認識は変わった。今、国内外でその予後や有病率、病態を調べ始めている」と話す。
ただし、先の2つの海外論文で致死性不整脈との関連が指摘されている「早期再分極」は、従来のいわゆる「J点の上昇(ST上昇)」という定義より狭く、J波があることが条件になっている(図2)。
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J波には、スラーとノッチの2種類がある(J点が0.1mV以上上昇しているものを指すことが多い)。
ノッチは、QRS波とST起始部との間の小さな陽性波。
スラーは、QRS波の下行脚が基線に戻る前の、こぶ状あるいはなだらかな波形のこと。
若年男性のJ波に要注意
実は、J波を伴う早期再分極を持つ人は国内でも珍しくない。
杏林大第二内科准教授の池田隆徳氏は、「われわれの施設の検討では、健常者の心電図の約2%にJ波(J点は0.1mV以上上昇)が見られた。一般的な頻度も同様で、健康診断でもよく遭遇する所見だ」と話す。
J波を伴う早期再分極は若い男性に多く、今までの報告からは、頻度が高い年齢層は10〜30歳代までと幅がある。
遺伝的に心臓の機能的な異常がある可能性が高いことも分かっている。
さらに、J波の波形は日内日差変動するが、これは自律神経との関連が強いのではないかといわれている。
ブルガダ症候群に準じて対応
J波があればみなが、将来、致死性不整脈を起こすハイリスク者なのかというと、その実態はよく分かっていない。
大分大病院副病院長の犀川哲典氏は、「今までの経験や論文から考えて、実際にはごくごく一部の人だけが危険なのだと思う。だが、どんな人がハイリスクなのかは現時点でははっきり分からず、今後の研究課題だ」と話す。
池田氏は、「波形こそ異なるものの、病態はブルガダ症候群と非常によく似ている」と指摘する。
ブルガダ症候群は、心電図上、右側胸部誘導(V1〜V3)で特徴的なST上昇を呈し、その一部が特発性心室細動を起こして突然死につながる病態として知られている。
V1〜V3だけでなく下壁や側壁誘導でもST上昇が見られるブルガダ症候群は、V1〜V3のみの上昇より危険性が高いという報告があり、J波を伴う早期再分極と病態がオーバーラップしているのではないかという指摘もある。
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犀川氏は、「1992年にブルガダ症候群が広まった当初、この波形を持つ人はみな危ないと騒がれたが、研究が進むと本当に危険なのは一部であることが分かってきた。早期再分極も同様なのではないか」と話す。
そのため専門医の間では、現時点で心電図上にJ波を伴う早期再分極を認めたら、ブルガダ症候群に準じて対応を考える方向にあるようだ。
林氏は、「『今までに失神歴がないか』『家族で若いうちに突然死したことのある人はいないか』といったことを聞き、当てはまれば専門医に紹介した方がよい」と話す。
また波形としては、J波の高さが高く、波形が日内日差変動するほど、危険性は高いといわれている。
犀川氏は、「早期再分極だと判断したら、昔の心電図と比較したり、その後は半年か1年に1回心電図を取り、波形が変わっていないかを丁寧に確認してほしい」と話す。
J波の大きさやSTの上がり方に変化がないかを経時的変化を見ていけばよい。
ハイリスク者に対して致死性不整脈を未然に防ぐ方法は、今のところ植え込み型徐細動器しかないため、これらのリスクを勘案した上で適応を考えることになる。
今後、病態の原因やハイリスク群が明確になり、対応方針が定まっていくことが期待される。
出典 NM online 2010.3.19
版権 日経BP社
<関連サイト>
早期再分極(early repolarization)は心室粗動のリスク要因である
http://intmed.exblog.jp/7094051/
寮生→良性
特発性心房細動→特発性心室細動
Sudden Cardiac Arrest Associated with Early Repolarization
N Engl J Med. Vol. 358:(19)2016-2023 May 8, 2008http://content.nejm.org/cgi/content/short/358/19/2016
下壁・側壁誘導の早期再分極パターン:中年での心臓死と関連
http://intmed.exblog.jp/9258047/
アスリートの心電図再分極異常の長期予後
http://intmed.exblog.jp/6660734/
<コメント>
早期再分極は、早期後脱分極 early afterdepolarization(EAD) や遅延後脱分極 delayed afterdepolarization(DAD)と
紛らわしいですね。
http://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/shinkin/denki/denki-5-3.html

熊谷守一 蟻 コンクリート壁画 (豊島区立熊谷守一美術館)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20091015/207193/
熊谷語録
■「地面に頬杖をつきながら蟻の歩き方を幾年も見てわかったのですが蟻は左の二番目の脚から歩きだすんです」
その他