戯れ言たれる侏儒
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FMDと血管内皮機能

戯れ言たれる侏儒 / 2010.02.28 00:03 / 推薦数 : 3

“Cardiovascular Continuum(心血管イベントの連続性)”における最初の異常は,血管内皮機能の低下として現れます。

依存性血管拡張反応検査(FMD:Flow-Mediated Dilation)は,見た目にはわからない「機能」の障害を捉えることができる血流動脈硬化の存在をいち早く発見し,早期からの介入へと導く有用な指標として期待されています。

きょうは、北海道大学循環器病態内科学の古本智夫先生のFMDに関する解説で勉強しました。
##FMD/見た目にはわからない血管内皮の「機能」を診る
#将来の心血管リスクの予測にも有用  
血管内皮機能の評価法としては,カテーテルを前腕動脈などに挿入して計測するプレチスモグラフィが以前から利用されてきた。この方法は精度が高く,薬効評価などに非常に有効な方法であるが,患者の負担が大きく一般臨床の場で用いることには向かない。
これに対し, FMDは上腕動脈を5分駆血し,血管の拡張反応を無侵襲のエコーで観察するだけであり,患者への負担はほとんどない。
また,最近実用化された半自動測定機器なら操作も容易であり,短期間の練習で専門家でなくても測定が可能だ。


 
古本氏らの検討では,動脈硬化のスクリーニング検査として既に広く用いられている頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT)は,冠動脈造影で90%以上の狭窄がある患者群において有意な変化を示すが, FMDは50%以上の狭窄がある患者群で既に,狭窄のない患者群に比べて有意に低値であることを見出している。
つまり,FMDは血管病変をより早期から検出できる検査と言える。  
また,最近では,米国の大規模疫学研究であるMESA(Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis)の一環として, FMDが中央値以下のコホートと中央値以上のコホートの心血管イベントの累積発症率には,5年間で約10%もの差(P<0.0001)が生じていたことが報告されている(Circulation 2009; 120: 502)。
このように, FMDは現在の血管の状態を反映するだけでなく,将来の心血管リスクの予測因子としても期待されている。

#心電図や血液検査同様,検査項目の1つに  
ただし, FMDにも弱点はある。1つは,NOという生理的な物質を介した反応を測定する方法であるがゆえ,睡眠や食事,体調,それに温度や時間といった測定条件によって,測定値に多少の変動が生じることだ。
また,従来は専門家が目視で測定していたため,その再現性や異なる施設間での測定値の比較には限界があった。
しかし,測定装置の開発などにより,わが国でも標準化が進行している。
一方,現在でも同一患者のFMDを経時的に追跡し,「FMDの変化」を治療経過の指標の1つとして利用することは十分可能である。  
なお,古本氏らの施設ではVascular Labを開設し, FMDだけでなく中心動脈血圧や脈波速度測定など血管機能を徹底的に検査し,そのデータを集積している。ここでは,健診でメタボリックシンドロームを指摘された人や,高血圧や脂質異常症患者など,血管に不安を持つ人々を予約制で受け入れている。
また,初診あるいは他院からの紹介で受診した高血圧患者には,積極的にFMD検査を勧めているという。
大学病院という性格上,患者は比較的短いサイクルでかかりつけ医に逆紹介することが多いが,その際にはFMDをはじめとした血管機能データを添付し,一見問題がないように見えても水面下で血管障害が進行している患者への対処について注意を促すようにしている。  
一般開業医におけるFMDの認知度はまだ十分とは言えないが,「心電図や血液検査と同様に,危険因子のある人には,一度は血管機能検査を受けて欲しい」と同氏は述べている。

出典 Medical Tribune 2010.2.25
版権 メディカルトリビューン社
<血管内皮機能 関連サイト>
血管内皮機能評価 その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20080217/1
■血管内皮は,血管透過性の制御や血栓形成・凝固線溶系の調整 ,接着因子の発現,細胞外マトリックスの産生,リポ蛋白リパーゼの結合,血管壁細胞の遊走・増殖能の制御,血管トーヌスの調節などにかかわっている。
■障害された血管内皮機能は生活習慣の是正や塩酸サルポグレラート(商品名:アンプラーグR)などの薬物療法,血管新生療法によって改善が期待される。
■細胞骨格を制御するRhoキナーゼ(ROCK)の活性を低下させると,一酸化窒素(NO)の産生が増加して血管内皮機能が改善すると考えられている。

血管内皮機能評価 その2(2/2)
htt//blog.m3.com/reed/20080218/1
■FMDは,血管内皮機能のみを反映する指標ではない。
シェアストレスやNO産生の度合い,血管平滑筋の反応性,血管弾性,血管径などもFMDの規定因子である。
■FMDは変化率で表されるため,加圧前の血管径が大きいほど低くなることに留意する必要がある。
■血管平滑筋の反応性を除外してFMDを捉えるには,血管平滑筋に直接作用するニトログリセリン(NTG)を被検者に投与し,それに伴う血管拡張反応を調べなければならない。
その場合,NTGの適量は0.075mg(舌下錠 1 / 4 錠)である。
■FMD値は,検査時間・室温・音といった環境のほか,被検者の食事や運動,排泄などの状態,血管径,検査装置の性能などの影響を受ける。
したがって朝の空腹時,喫煙・カフェイン飲料摂取を6時間以上休止した状態でFMD検査を行うことが推奨される。
検査室は静かで薄暗く室温23~26度に保ち,被検者が女性の場合は月経周期も考慮する必要がある。
検査前は,10分間の安静臥床後に血圧を測定し,低血圧や徐脈のないことを確認する。

ニコランジル長期投与による血管内皮機能への影響
http://blog.m3.com/reed/20081217/1

健康な成人の血管内皮機能
http://blog.m3.com/reed/20090104/1

好みの音楽と血管内皮機能
http://blog.m3.com/reed/20081201/1

<番外編>
今日から毎日、しばらくの間、某日に拝聴した

熊本大学大学院 医学薬学研究部 循環器病態学 教授 小川久雄
http://www.kumadai-junnai.com/

先生の御講演で勉強したメモを書き綴ります。

#講演会メモ 「冠攣縮性狭心症(CSA)」その1
■熊大病院で10年以上の経過でアセチルコリンによる冠攣縮誘発試験を再施行した症例は6例あったがそのうち5例が縮誘冠動脈の部位を含めて再現性をもって陽性であった。

■右冠動脈病変のスパスムでは左側胸部誘導で(陰性U波のreciprocal changeとして)陽性U波の増高がみられることがある。


 

その他
ふくろう医者の診察室 
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
 井蛙内科/開業医診療録(3)
~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
があります。
 

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