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各国の心肺蘇生ガイドラインの基本となっているのが国際蘇生連絡委員会(ILCOR)と米国心臓協会(AHA)による勧告CoSTR(International Consensus on Science with Treatment Recommendation)です。
次回は2010年末に改訂(G2010)が予定されています。
それにに向けた改訂作業が終盤に差しかかっているという記事がありました。
日本蘇生協議会(JRC)がILCORに正式加盟して最初の改訂ということで,わが国の貢献が期待されています。
第28回日本蘇生学会(会長=佐賀大学救急医学・瀧健治教授、佐賀市)のシンポジウム「蘇生法〈G2010を読み解く〉」(座長=救急振興財団救急救命九州研修所・畑中哲生教授,福島県立医科大学病院救急科・田勢長一郎准教授)で,First Aid(救急隊到着までの応急手当),一次救命処置(BLS),二次救命処置(ALS),小児二次救命処置(PALS)それぞれについて,最近の研究成果や予想される改訂の動向が報告されました。
きょうは、その記事で勉強しました。
国際的な蘇生法勧告CoSTR―2010年末改訂への動向探る
〜First Aid〜
2010年2月にScience Statementを公開
獨協医科大学越谷病院救急医療科の池上敬一教授は,First Aidに関するCoSTR改訂作業のスケジュールや進め方を紹介した。12月初旬にはScience Statementが確定し,翌年2月には公開される見通しであるという。
「暗黙知」から推測する手法
■First Aidについては,AHAと米国赤十字社がスポンサーとなったInternational First Aid Science Advisory Board(IFASAB)において改訂作業が進められている。
IFASABには米国だけでなく,世界中から約50人のAdvisory memberが招集されており,池上教授もJRCの会員として参加した。
■同教授は,具体的な改訂内容には触れなかったが,おおまかなスケジュールを提示。12月初旬に改訂のエッセンスであるScience Statementが確定し,2010年2月に公開され,
その後,フィールドからの意見を聴取し,対応する調整期間が設けられるとした。設定されるQuestionは熱傷,中毒,アレルギーなどの18カテゴリーで50を超える。
■First Aidの領域は,特にエビデンスが乏しいことから,同教授は「継承されてきた『暗黙知』から推測する“Extrapolate”という手法で改訂作業が展開されている」と報告した。
~BLS~
「胸骨圧迫のみ」はエビデンス不足
BLSに関する次回のCoSTR改訂について,座長の畑中教授は,前回(2005年)のような大幅な変更は行われないだろうと予測。注目される胸骨圧迫のみによる心肺蘇生(CPR)もエビデンスが不足しているとされ,全面的な改変には至らないとの見通しを示した。
Hands-only CPRの長期成績が待たれる
■近年の研究から,BLSの質が心停止患者の転帰を左右する因子であることがわかってきた。
このBLSの質として最も重要なのが胸骨圧迫の質であり,強く,速く,絶え間なく行うことが求められる。
■最近,絶え間なく行える胸骨圧迫のみによるCPRで,人工呼吸併用CPRと同等またはそれ以上の転帰が得られるという報告が相次ぎ,注目を浴びている。
こうした報告に基づいて,AHAは市民に対して胸骨圧迫のみのCPR(Hands-only CPR)を推奨した。
■しかし,畑中教授は「ILCORはまだエビデンスが不十分だとしており,全面的な改訂にはならないだろう」と推測。
「有用性をランダム化比較試験(RCT)で検討するのは不可能であり,Hands-only CPRの長期成績を蓄積したうえで,慎重に吟味していくしかない」とした。
■絶え間ない胸骨圧迫という意味では,自動圧迫装置にも期待が寄せられている。
X線透過性の高い装置もあり,胸骨圧迫と並行して経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を行うことが可能になる。
同教授は「常識的に考えれば有益であることは間違いない。現在2つのRCTが進行中であり,その結果が待たれる」と述べた。
■胸骨圧迫の深さに関して,同教授は「現実に行われているCPRの多くで,圧迫の深さが不足しているため,より深く行うことがおそらく望ましい」としながらも,転帰に及ぼす影響には圧迫テンポとの交絡も考える必要があると指摘。
さらに,「現在の推奨上限である5cmを超える深さを推奨すべきかについてはデータが不足している」と述べ,深さについてもエビデンス待ちの状態であることを示唆した。
■一方,前回のCoSTRでは,心停止からBLS着手までに一定の時間が経過した心室細動患者に対して,電気ショックを加える前に短時間のCPRを行う,いわゆるCPR-firstが弱いながら推奨された。
この点について,同教授は「その後相反するエビデンスが出てきており,全体的に見ると,CPR-firstの効果は幻想であったのかもしれない」と述べた。ただし,次回改訂で変更される可能性は低いようだ。
~ALS~
CPR中の気道管理でデバイス推奨か
ALSに関する改訂の動向については,名古屋大学大学院救急・集中治療医学の真弓俊彦講師が報告。
CPR中の気道管理におけるデバイス使用,除細動の方法,心停止後症候群の治療などの点で変更の可能性があることを示唆した。
除細動は二相性波形で漸増
■CPR中の気道管理では,まず気管挿管を成功させる必要がある。
成功率は医師が行えば90%を超えるが,救命士では50%前後と報告されている。
また,救命士が挿管に習熟するには50例以上の経験が必要とされるが,現実には難しい。
■そこで注目されているのが,院外における声門上気道デバイス(SADs)の使用だ。手技は非常に簡単で,高い成功率が報告されている。
逆流した胃内容物を吸引できるタイプもある。真弓講師は,SADsの利用について,次回改訂で推奨される可能性があるとの見方を示した。
ただし,最適なデバイスを提示するにはまだ時期尚早のようだ。
■除細動についても,より安全で成功しやすい方法の開発が進んでいる。
同講師は,二相性波形の除細動器は心筋傷害が少ないうえ,単相性波形のタイプよりも低いエネルギーで,より高い除細動成功率が得られることが明らかにされているとした。
さらに,エネルギーレベルを固定するよりも,成功しなかったら漸増していく方式のほうが成功率が高いこと,CPR中の波形解析は胸骨圧迫停止時間を短縮でき,除細動の成功を知る手段にもなることがわかってきた。
同講師は「こうした知見から,二相性波形でエネルギーレベルを漸増しながら,波形解析と並行して行う除細動が次回の改訂で推奨される可能性がある」と述べた。
■心停止後症候群は死亡率がきわめて高く,その対応はトピックの1つだ。治療戦略として,
(1)軽度の低体温療法
(2)早期のPCI
(3)早期の循環動態至適化
(4)適切な再酸素負荷
(5)大量の血液濾過
―があり,特に(1),(2)については多くのエビデンスが得られている。
また,これらの治療法を組み合わせた集学的治療により,生存率が20~30%改善するとされる。
このため同講師は,改訂で具体的な組み合わせは示されなくても,集学的治療の有効性について触れられる可能性があると見ている。
~PALS~
胸骨圧迫の深さ,除細動の強さなど議論
君津中央病院(千葉県)救急・集中治療部の清水直樹部長は,CoSTRの次回改訂に当たり,PALSに関しては,胸骨圧迫の深さや除細動の強さなどが検討されているとした。
胸厚の2分の1は深すぎる
■清水部長によると,PALSについては,おもに次の点が論議されているという。CPR中の換気や胸骨圧迫の深さ・方法,除細動のエネルギーレベル,バゾプレシンなどの薬剤投与,心不全・単心室例への対応,新生児で有害とされている酸素の扱い,低体温療法,体外循環を用いたCPR(ECMO-CPR),CCRT(Critical Care Response Team)/MET(Medical Emergency Team),敗血症性ショックへの対応などである。
■胸骨圧迫の深さは現在,胸の厚さの3分の1~2分の1とされている。
しかし,現場ではそこまでの圧迫は難しいという意見が多い。
同部長によると,実は深さを裏づけるエビデンスはない。
最近,胸の厚さの2分の1を圧迫すると,計算上,胸骨の裏と椎体が接してしまう,3分の1でも胸骨の裏と椎体の間隔は2~3cmという研究結果が報告された。
こうした知見から,2分の1は深すぎるという認識が世界的に広まりつつある。深さをセンチメートルで表現できないかという点も含め,改訂を前に議論が進められているという。
■胸椎圧迫の方法もいまだ不明確だ。
1人で行う場合は母指と示指による2本指法が推奨されているが,実際には十分な圧迫が難しいうえ,長く続けられない。
このため,1人で行う新たな圧迫法を考案する必要性が,日本および海外で指摘されている。
同部長は「今回の改訂には盛り込まれないかもしれないが,既に新たな圧迫方法に関する研究が始まっているようだ」と述べた。
■除細動のエネルギーレベルについては,初回で2~4J/kgとされているが,その除細動成功率は低い。
同部長は「わが国の成績(8~15歳)で4J/kgなら比較的良好な成功率が得られることがわかってきた」とし,こうした成績を踏まえ,エネルギーレベルの見直しが検討されていることを示唆した。
出典 Medical Tribune 2009.12.24,31
版権 メディカル・トリビューン社
<自遊時間>
昨日は休日で、TVを観ながら遅めの朝食をとりました。
「スーパーモーニング」という番組で、普段は平日のために観られない番組です。
「地域医療の崩壊と再生4 自ら病と闘う医師の“病院改革”」というタイトルで新葛飾病院の清水陽一院長が紹介されていました。
ナーシングプラザ.com~今月のコラム・第64回 清水 陽一
http://www.nursing-plaza.com/column/200808/
先生方もよくご存知のようにインターベンションの第一人者の方です。
番組の中でも紹介されていましたが現在は体調を崩されています。
医師と患者をかけもちにやってみえるとのことでした。
さて私事で恐縮です。
随分昔のことになりますが、私にとってある節目の時に、循環器の専門病院の見学をしようということで、大学の先輩を頼って国循センター、榊原記念病院、心臓血管研究所付属病院を回ったことがありました。
清水 陽一先生は当時すでに新進気鋭のインターベンショニストとして注目されていました。
榊原記念病院を見学した時にカテ室に入られていたのがついこの間のように思い出されます。
<CoSTR関連サイト>
ILCOR/CoSTRなどのカタカナ表記
http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/05/yomi.htm
ILCOR-CoSTRおよび関連資料の粗訳
http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/05/CoSTR.htm
日本版救急蘇生ガイドライン策定小委員会-CoSTR日本語訳-
http://www.qqzaidan.jp/qqsosei/costr.htm
[PDF] ILCOR-CoSTR 第4部 成人の二次救命処置 (Part 4: Advanced Life Support)
http://www.qqzaidan.jp/qqsosei/CoSTR/CoSTR_Part-4.pdf
CoSTRと日本版ガイドラインについて
http://www.icls-web.com/info/info051228.html
胸骨圧迫はどっちの手をまず置くの?
http://kekimura.blog.so-net.ne.jp/2007-09-21
ILCORのCoSTRとは何か・・・ 日本の知性が教えてくれました
http://d.hatena.ne.jp/ikegamik/20090915/1253038771
その他
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。