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炎症バイオマーカーであるC反応性蛋白(CRP)の遺伝的変異と冠動脈疾患(CHD)の関連を分析した結果,因果関係を示すエビデンスは得られなかったという研究報告で勉強しました。
報告者はインペリアルカレッジ(ロンドン)のPaul Elliott教授ら
でJAMA(2009; 302: 37-48)に発表されました。
CRPとCHDの因果関係は支持されず
大規模な遺伝子解析結果から
大規模研究でCRPの役割を検証
■CHDによる死亡は世界中で多く死因のトップを占める。
炎症は,CHDの発症から増悪,プラーク破綻に至るまで各ステージにおいて重要な役割を果たしている。
CRPは現在最も広く用いられている炎症バイオマーカーであるが,CHD発症に関与するのか,あるいは潜在するアテローム動脈硬化症のマーカーにすぎないのかといった疑問を明らかにしたいとの機運が高まっている。
■Elliott教授らは,CRP値に影響する遺伝子座を同定するための研究を行い,受胎時にアレルがランダムに割り付けられるmendelian randomization(MR)法の概念を用いて,CRP値とCHDの因果関係の可能性について分析した。
■最初に,ゲノムワイド関連研究(1万7,967人)と再現性評価(1万3,615人)を行い,血漿CRP値と関連する遺伝子座を同定した。データ収集は1989~2008年に行われ,遺伝子型解析は2003~08年に行われた。
■その後,同教授らはCRP変異とCHDの関連を調べるため, CRP座において最も密接に関連する一塩基多型(SNP)と既に論文で発表されている他のCRP変異に関するデータを含む2万8,112例の患者群と10万823例の対照群についてMR法を用いた研究を行った。さらに,これらの知見をCRP値とCHDリスクを検討した観察研究のメタアナリシスから得られた予想結果と比較した。
CRP座のSNPは関連せず
■その結果,今回のゲノムワイド関連研究によって,LEPR,IL6R,CRP,HNF1A,APOE-CI-CII座における遺伝的変異がCRP値と関連していることが確認された。
しかし,CRP座におけるSNPを対象としたMR法による研究では,CRP座の変異とCHDリスクとの間に関連は認められなかった。
■MR法による研究においてCRP座の変異はCRP値の約20%低下と関連していたが,この数値を観察研究での予想結果と照合すると,CHDリスクの6%低下に相当する。
CRP座における遺伝的変異がCHDと関連していないことから,CRP値とCHDを結び付ける観察研究によるデータは,因果関係を表すのではなく,他のCHD危険因子との関連で交絡しているか,アテローム動脈硬化症と関連する続発性炎症反応(逆因果関係)を反映したものと考えられた。
■Elliott教授らは「MR法を用いて2万8,000例強の患者と10万例強の対照を検討したが,CRP座の変異とCHDの関連は認められなかったため,アテローム動脈硬化症におけるCRPの因果的役割を否定する結果となった。今回の研究からは,CRPの血漿レベルを特異的に低下させることを目標とする治療戦略の開発には結び付かないようだ」と結論付けている。
出典 Medical Tribune 2009.12.24,31
版権 メディカル・トリビューン社
<番外編>
糖尿病患者ではバイパス手術に比べて薬剤溶出ステントによる有害事象が増加
■心疾患を有する糖尿病患者が薬剤溶出ステントを使用する場合は、バイパス手術を受ける場合と比較して主な有害事象発現率が高いが、死亡率、脳卒中発現率、心臓発作発現率は血行再建術によって影響を受けないとの研究論文が、「Journal of the American College of Cardiology」オンライン版1月13日号に掲載された。
■英ジョン・ラドクリフJohn Radcliffe病院(オックスフォード)のAdrian P. Banning氏らは、新たな左主幹部病変および/または三枝病変を有する患者1,800人(うち452人は内科的治療を受けている糖尿病患者)をランダム化し、パクリタキセル溶出ステント(PES)群または冠動脈バイパス手術(CABG)群に割り付けた。
■その結果、死亡率、脳卒中発現率、心筋梗塞発現率は血行再建術によって影響を受けなかったが、糖尿病患者では(CABG群10.3% vs. PES群10.1%)、非糖尿病患者(いずれの群も6.8%)と比較して全体的な発現率が高かった。
いずれの処置後も死亡率が有意に増加したが、主な心臓有害事象および脳血管有害事象の1年間発現率は、CABG群と比較してPES群の糖尿病患者において高かった。
■Banning氏らは「サブグループ解析の結果から、左主幹部病変および/または三枝病変に対してPESを用いた糖尿病患者では、CABGを受けた糖尿病患者と比較して主な心臓有害事象および脳血管有害事象の1年間発現率が高く、その原因は血行再建術の再施行増加であることが示唆される。さらなる試験が必要であるが、上記探索試験の結果は、比較的複雑でない左主幹部病変および/または三枝病変を有する特定患者に対し、PES使用のエビデンスを拡張する可能性がある」と結論している。
■本試験は、ボストン・サイエンティフィック社による資金援助を受けた。著者数人はボストン・サイエンティフィック社による研究支援を受けたと報告しており、また著者数人はボストン・サイエンティフィック社の被雇用者である。
HealthDay News 1月14日
原文
Diabetic and Nondiabetic Patients With Left Main and/or 3-Vessel Coronary Artery Disease
http://content.onlinejacc.org/cgi/content/abstract/j.jacc.2009.09.057
その他
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
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井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。